昨日、塩野さんは、女傑だと昨日言ったが、世界で一番有名な日本人女性は、やはりオノ・ヨーコさんだろう。
その伝記かつ評論的な本が出ている。その名も、オノ・ヨーコという生き方 WOMAN。
オノ・ヨーコさんは、ビートルズを解散させた女として、悪名高い。確かに、結果的には、そうなったという考え方もあるが、それは、自然の流れであったと思う。とにかく、変人として名高いJLを、ビートルズ現役時代に、素っ裸にして、アルバムジャケットに載せた女性であるから、超変人であることは間違いない。ただ、その生き様には、人間の本質を突いたまじめさがあることが、この本を読むと、わかる。単なる目立ちたがり屋ではない。
一番興味深かったのは、あまり知らなかった前衛芸術家になるまでの生い立ちだ。よく、外国人の著者がここまで、調べ上げたものだ。モト本があるのかもしれない。
曾祖父の税所家は、江戸から明治に移行する大政奉還に、大きな貢献をした一族という。そして、祖父に当たる小野英二郎は、1890年にミシガン大学で、経済学と数学の博士号を取得。日本興業銀行の総裁を務めたという。当時としては、とんでもない才人だったのだろう。そして、父の小野英輔は、才能に恵まれながらも、音楽にのめりこんだ。出会ったのが、母の磯子。この磯子の祖父が安田銀行(富士銀行の前身)の創設者であった安田善次郎だったというからすごい。まさに、華麗なる一族だ。
そして、英輔は、磯子との結婚後、音楽で身を立てる夢を捨て(ピアニストを目指していた)、横浜正金銀行(東銀の前進)に勤務。サンフランシスコや、NYのマンハッタン支店に勤務。一旦帰国したが、戦後またNY勤務となり、学習院大学に通学していた娘のオノ・ヨーコさんは、その転勤を機に、NYに転居。そして、声楽の勉強を再開し、どんどん前衛芸術にのめり込んでいった。切りがないので、やめるが、1966年のLNの個展で、JLに出会い、波乱万丈の人生は、どんどん加速し、1980年12月8日に、大きな転機を迎える。1980年以降のオノ・ヨーコさんについても、丁寧に書かれている。
オノ・ヨーコさんに興味のある人は、絶対お勧めの本。
(申し訳ないが)オノ・ヨーコさんの音楽にあまり興味はないのだが、その音楽に対する評論も真正面から取り組まれている。もうオノ・ヨーコさんは、70歳を越えているのだが、『遠慮を知らず、赤裸々で、向こうみずな精神に駆り立てられた彼女の芸術的展開は、依然として現代感覚にみなぎり、比類なく独創的である。』と評されている。
もし、JLが彼女と出会わなかったら....
今となっては意味のないIF.
JLとオノ・ヨーコさんは、まさに一体だった。