インスタントラーメンを発明した安藤百福さんが亡くなられた。TIME アジア版の60周年記念号で、SONYの創業者のお二人と共に、日本を代表する人として紹介されていた。プロジェクトXでも、取り上げられていたかな?
ご冥福をお祈りいたします。
とどまるところを知らないビートルズ本発行の嵐の中で(ちょっとオーバーだが、読みきれない量の本が発行され続けているのは確か)、『イエロー・サブマリン航海記』を読んだ。期待していなかったのだが、十分読んだ甲斐があった。
『イエロー・サブマリン』は、元々1966年に製作されたアルバム『リボルバー』に収められた、ポールがリンゴのために作った童謡のような歌に過ぎなかったのだが、ビートルズを題材にしたアニメ映画の主題歌となり、一躍有名になって、今もリンゴの代表曲になっている。
ただ、映画の方は、ビートルズがあまり関与しておらず、また、そのサウンドトラック版も、雑魚曲の寄せ集めとされ(B面は、プロデューサーであるジョージマーチン作曲の、インストゥルメンタル曲のみ)、人気はなかった。
と、ところが、この本を読むと、その斬新さが、事細かに立証されている。よくも、これだけ、関係者とのインタビューを積み重ね、資料を集め、当時の製作過程を再構成したものだ。予算枯渇の危機、めちゃくちゃな製作スケジュール等、混乱振りも同時に明らかにされている。
当時、長編アニメといえば、ディズニーぐらいしかなく、このように芸術性が高く、かつエンターテイメント性の高い映画は、まさに画期的であった。今は、スタジオじぶりの物など、すばらしいものがたくさんあるけど。
この映画作成のきっかけは、ビートルズは、映画会社との契約で、映画を作らなければならなかったが、もう興味をなくしており、このアニメ製作をしぶしぶ承諾したためという。ビートルズの4人は、当初全くこの映画に興味を持っていなかったが(ポパイのようなアニメを連想し、嫌悪さえしていたという)、そのできばえのすばらしさに驚き、最終段階では本人達も、ちょっと出演した。
製作工程も異例中の異例で、脚本が元々なく、使う音楽のアニメを製作しながら、ばらばらの場面を、つなぎ合わせて作っていったのだそうだ。映画の公開後も、編集が続いたため、本当のイエローサブマリンの映画は、最終アメリカ公開版ということになっているらしい。
そのため、ビデオも、きちんと発売できなかったという。たまたまシカゴ駐在時に発売され、買っていたのだが、画質が悪く、すぐ販売中止になり、今はレア物になっているとのこと。知らなかった。
このバージョンには、顔が4つで胴が一つのブルドッグが出てこない。このブルドッグは、イギリス公開時には出ていて、アメリカ公開時にはカットされ、1999年のリマスター版でまた復活したものだ。『ヘイ・ブルドッグ』という歌だけは、LPに入っていて、荒っぽいロックンロールで、結構人気はあった。録音風景も残されている。
とんでも(ない)キャラクターがたくさん出てくるが、これらも、まだ、新鮮さを保っている。これらは、イラストレーターのハインツさんの発想によるものが多いのだそうだ。
敵役のブルーミーニーも、最初のアイデアは、レッドミーニー(当時、共産主義と、資本主義が対峙していた)やパープルミーニーだったそうだ。とにかく、いろんなトリビアを見事に発掘している。
今は、1999年にデジタルリマスターされたDVDと、CDが出ているので、満足度100%のすばらしいアニメ映画が堪能できる。
余談になるが、インタビューの中で、たまたまNYにいたJLが、ビートルズ再結成についての協議をしていた場面に出くわした人の話が出てくる。嘘をつくメリットは、今や全くないから、本当なのだろう。JLが、あと10年、否あと5年生きていたら、再結成は、実現していたように思う。
この本は、マニア向けだが、DVDは、もちろんお勧めです。