英語達人列伝は、英語のプロである斉藤氏が、明治から、昭和前半にかけて国際人と言われた人達の生き様と、英語の関連について述べた本だ(中公新書)。
この本を読むと、我々が知っている偉人(例えば、野口英世)と、現実の彼らが結構違うことがわかって面白い。英語の達人と言っても、本当に、欧米人を凌駕する語学力を有した者もいれば、勢いで通じただけという人もいて様々だ。
ただ、彼らが、日本と西欧の架け橋になったことには、違いなく、日本と外国との間に、壁を作らず接することができた人達が、近代日本の成立に大きな貢献をした。ただ、その後第二次世界大戦を引き起こし、敗戦し、戦後日本においても、主体的な動きができずにここまで来たということは、このようなグローバルな視点で物事を考えられる人が、まだ圧倒的に少なかったということだろう。
英語は、文法、発音とも、日本語とは全く違う言語で、日本人にとって難易度は高い。しかもネィティブの教師から英語を習う機会も少ない。よっぽど、若い頃から海外生活が長い人でないと、日本人の英語だとすぐわかる。ただ、これは、全く問題にならないと思う。特に、シンガポール駐在時代強くそう感じた。
シンガポールの高等教育は、英語で行われており、彼らは英語で、100%コミュニケーションができる。ただ、発音は、違うし、マレー語、福建語などが混じる。
インドもそうだ。英語の国と言われながら、発音は、これまた違う。巻き舌・早口で、慣れないと、英語→英語の通訳が必要なぐらい聞きとりにくい。
英語は、グローバルなコミュニケーションのツールとして割り切るべきだと思う(もちろんネイティブみたいに話せれば申し分ないが)。達人達の英語も、いろいろなのだから。