Steve Jobs が、亡くなってから、2ヵ月ほどたっただろうか。すごいタイミングで伝記が出て、ベストセラーになっているから、読んだ人も多かろう。
大部だが、あっという間に読める。私は、ちょっと厚かったけど、原書で読んだ。
特に本書の場合、自伝ではなく、Steve Jobs 公認の伝記ということで、価値が大きい。今流行りの第三者委員会による伝記と言ってもいいかもしれない。
結局彼は、本書を読まずに逝った。
死期が近づいて、著者がJobs と話した際、Jobsは、”I know there will be a lot in your book I won't like."と言ったいう。
ビートルズのハンターディヴィスによる最初の伝記も公認と言われているが、最近復刻版で、相当の直しが入ったと暴露されている。本書には、たぶんそれがない。
特に、彼を深く知っていたわけではなかったが、本書読んで、①インドへの関心②PCが庶民のものになったING世代③60-70年代の音楽シーンとの関わり④禅を中心にした仏教への興味⑤日本文化への関心⑤コンピューターによるアニメ作成⑦ipod、ipadなど、コンピューターメーカーの殻を大きく破ったJobs 復帰後の、アップルの飛躍など、私の人生とのつながりが想像以上に大きいのにびっくりした。日本人の読者は、程度の差はあれ、皆そう感じたに違いない。
しかし、その生き方はかなり強烈。絶対上司には持ちたくないタイプであることも間違いない。
原書で読むと、日本語がそのまま英語で使われていることが多いことにも驚く。特に、日本の電機メーカー、京都や寿司や禅など、日本文化に関する部分は、日本語のオンパレードだ。
技術の奪い合いの凄さにもびっくり。この業界、アップルと、マイクロソフトが有名だが、元は、ゼロックスの技術をただ同然で、使ったり、H/Pとは、共に歩んだり、。マイクロソフトとの関係も、近付いたり、離れたり。でも最後のところで、Jobsが死期を悟った後、ゲイツと語り会う部分は、感涙ものだ。
音楽との関連も深く、特に、ボブディランとの関係は深かった。ビートルズとの和解金(アップルの商標を、音楽ビジネスに使うため)の話も興味深い。アップルコピューターを立ち上げたころは、流石のJobsも、アップル社が音楽配信をする会社になるとまでは、予想できなかったということか。
ビートルズや、ディランが、次々に新しい分野を切り拓いたというのも、Jobs の生き方に影響を与えたという。
話すと切りがないくらい盛りだくさんの伝記だが、特に、①破天荒な生きざまに興味のある人②コンピューター業界に関心のある人③音楽、映画に興味のある人④西洋人の東洋文化に対する考え方に興味のある人など、幅広い人に、強くお勧めできる。
自信があり過ぎ、東洋のスピリチュアルな世界に傾倒しすぎたため、初期治療に遅れが生じたのは、本当に残念だ。
彼が、もっと長生きできたら、次にどんなびっくりを我々に与えてくれたのだろうか。