本書は、本屋で見つけた。原始仏教に関する一般的な本は、かなり読んできたつもりだったが、灯台下暗し。岩波新書に、元祖的な本があった。
1974年発行で、手元にあるのは、何と50刷。これまで、どれだけの人が本書を読んできたのだろう。
仏陀とは何か、仏陀以前のインド、仏陀の生涯、その弟子たち、経典の成立と、仏教とは元々何かを、わかりやすく説明してくれる。
わかり易い中にも、著者の独自の意見も盛り込まれる。
例えば、中国。中国は、日本に仏教をもたらしてくれた地と認識するが、玄奘などわずかな人の貢献で、国家的事業とは言い難く、せっかくインドから大量の経典が運び込まれたのに、そのあとかたすらないという。逆に、日本まで、届いたものは、多く残されていたりする。玄奘の末ゥ体も、かなり恣意的なもので(越訳とでも言おうか)、原本からかなり離れてしまっているという。
仏陀の生涯においても、これまでの書で登場しなかった人物が登場する。たぶん、参照している原経典が異なるのだろう。
仏教の独自性、偉大さが、改めて理解できる、コンパクトだが、よくできたすばらしい書と思う。