かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

眩人

2015年01月28日 | Books


今度、北九州に行く機会があって、前回行きそこねた松本清張記念館に行こうかなと思って、検索したら、眩人展をやっていることを知った。
眩人という本を調べたら出てたので、早速ゲット。
松本清張さんによる古代史関連の本は多いが本書のことは知らなかった。
見ると、昭和55年に豪華本が出て、昭和56年に普及本、文庫本が昭和58年に出たようだ。
ちょうど、私が、就職した時期の前後に当たる。

読んで見ると、小説とは言うけれど、かなり学術書に近い。
続日本紀がベースだが、主人公である玄肪(日編)の一生を軸に、唐にいたところから、日本に戻ってどろどろの政争を繰り広げ、最終的に、大宰府に左遷され亡くなるまでを描く。
その首が、奈良に舞い戻ったとされるのが、以前訪れた頭塔だ。
注が異様に多く、小説を書きたかったというよりも、研究成果を小説の形にして世に出したかったという方が正しいだろう。
小説としては、ややダイナミズムに欠けるか?
架空の人物も登場するが、やはり続日本紀の小説版という色彩が、強い。

松本清張の古代史に共通するのは、イランと麻薬の影響。遣唐使が持ち帰った文化の中に紛れ込んだこれらの要素が、当時の日本に大きな影響を与えたという考え方である。
後者については、よくわからないが、前者については、その後も研究が進み、イランから直接というよりも、イラン発祥の文化、考え方が、インドの文化、考え方に紛れ込み、それが中国経由で、日本に伝えられたと考えるべきだろう。
シルクロードのなせる技だ。シルクロードにより伝えられた文化が、どこでどういう風に形成されてきたのかは、これからも、研究が続けられ、成果が上がってくるだろう。

本書で、一番驚いたのが、平山さんの挿絵がふんだんに盛り込まれていることだ。平山さんの思い入れも詰まった本だったのだ。本書の味わいを、深いものにしてくれる。

古代史の面白さを満喫させてくれる本。
火の路も読んでいたので、さらに楽しめた。
コメント
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