古代史と言えば、大化の改新(むしごろし)。
本書は、その大化の改新の正面から取り組んだ本と思ってゲットしたのだが、政治面よりも、まさに、その時代の日本創世記の実話を探り出そうとした本だ。
記紀には、遠い過去から、それも神の国だった時代からの歴史を書いた本だから、当然、正確性には欠けるし、故意に事実を捻じ曲げていると思われる部分も多い。
また、中央の政権側の視点から書かれており、実際の生活がどうだったのかとか、どんな変化が起こっていたかには、あまり触れられていない。
その他の書物、新たな考古学的な発見、夥しい数の新たに発見された木簡。
それらから浮かびあがる姿は、大化の改新後、中央集権が進み、多くの施策が実行に移され、7世紀後半に、国としての形成されていった姿だ。
記紀では、中国の先端制度が遣隋使、遣唐使等により、導入されたように描かれるが、実は、日本的な制度がまず導入され、その後、中国の先端制度に変化していった。そして、大宝律令によって、一定の成果としてまとめられたというストーリー。
あまり話題にならないが、孝徳天皇時代の変化が大きかったと本書はいう。
それまでは、豪族が割拠し、なかなかまとまった施策を推進できなかったということだろう。
政治史に比べ、やや地味だが、本当の意味の古代史を知るきっかけとなる一書。