かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

僕の樹には誰もいない

2022年12月26日 | Music
昨日は、日中ちょっと緩んだが、寒い日が続いている。



本書は、松村雄策さんの遺作。
癌で今年3月急逝された後、残されたエッセイから、厳選した50作を収める。

面白くて、読みやすくて、世代も似ているから、あっという間に読める。
松村さんの著作は、これまでも読んではいるのだが、雑誌への寄稿が多く、このようなまとまった形で、読むのは、2冊目かもしれない。
生前、様々な企画があったが、実らず、逝去後、この姿になったのだそうだ。

エッセイだから、自分の生活にもかなり触れているが、最近までかなりパンクな生活を送られていたようだ。
特に、若い頃には。
それが、早逝につながってしまったようにも読める。

その根本の原因はというと、ビートルズの来日コンサートと、その後の、70年安保の争乱で、高校を中退してしまったことが大きいようだ。
そして、ハードロック全盛の時代になり、音楽評論家として生きる道に、流されるようにはまり込んだ。
世間の評判など気にせず、自分の信じるところを論じ続け、確固たる地位を築いた。
その後も、空気を読まない?評論を続けたが、我々世代から見ると、至極最もな評論が多く、我々世代の世界を代弁してくれていたようにも思う。

関係者、ご家族のコメントも載るが、やや直球の書きぶりに反して、人を思いやる優しいご性格だったようだ。
寄稿では、意識的に尖った評論にしていたのかもしれない。

お会いする機会には恵まれなかったが、今の洋楽ブームを築き上げたお一人であったことがわかる。
松村さんのご冥福をお祈りするとともに、本書を、70年代以降の日本における洋楽ロックの歴史に興味のおありになる方に、強くお勧めしたい。
コメント
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