CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】映画を撮りながら考えたこと

2017-05-13 20:43:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
映画を撮りながら考えたこと  著:是枝 裕和

映画監督の自伝的な本でありました
自分の軌跡を振り返りながら、
それぞれの作品を撮ったときの気持ちや想い、
様々な環境や、関わった人々との話を
驚くほど読みやすいタッチで描いていて
なるほどなぁと、感心しきりで読み終えたのであります

正直なところ、監督の撮った映画をひとつも見ていないので
どういう作品を撮る人なのかというのはよくわからないのだけども、
ドキュメンタリとは何かということや、
方法論としての物語や、映画の作り方みたいなのが
試行錯誤のうえに、論理で構築されていく様が見られて
非常に面白いことだと感じたのであります
当たり前のことなんだけども、こうやって
描きたいものを組み立てていくのが創作というのでありましょう
真似できない凄いことだと感じたのであります

ただ、映像を撮ればいいという話では当然なくて、
役者とのやりとりや、その役者にどうしてもらうことで
本当によいものが撮れるかという試行錯誤の後が
非常に面白くて、謙遜もあるのか、志が高いのか
それぞれの作品に関する反省点が事細かに書かれているのが
読んでいて気持ちのよい理由のひとつだと思うんだが
こうやって、成長していくことが
とても大切なんだろうなと思わされたのであります
日記でしたためるのもいいが、
思い返して、そのときはこうだったと
自分を分析するというのは、とても面白いものだと思わされたのであります

この文章を書いた背景というか、
こういう風に書き上げられたところが
様々に、表現することと方法を考えてきた人だからこその
精緻な筆なんだなと、感動したのでありました
映画はそうやって読み取るものなんだとも思うし、
さりとて、そう考えなくても
すっと気付けるようなものでもあってほしいなぁなんて
考えたりもしつつ、
若い頃なら、こういう見方を覚えて、
それがずっと続いていたのかもなぁとも考えたのでありました

つまるところ、映画への触れ方というのを
ひとつ示されたようにも思う一冊であったとさ