CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】カラ売り屋、日本上陸

2021-04-26 20:52:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
カラ売り屋、日本上陸  作:黒木亮

カラ売り屋という職業を知ることができる
あっさり目の経済小説でした
医療関係、シロアリ業者、画商という、結構異色ともいえる職種で、
それぞれ怪しい儲けを出している会社を空売りして儲けるというお話なんだが、
空売りという手法はともかく、そのターゲットになるような会社って
結構あったりするのかしらねと、
その悪事ともいうべき、いい加減なそれこれが
非常に興味深くて、次々読まされる内容でありました

正直なところ、空売り屋自体も、あんまり好きじゃないというか、
なんかいけ好かない感じもしてしまうので、
誰一人として正義とまではいわないけども、よい人というのが出てこず
空売り屋は当然のように儲けのためにやっているし、
ターゲットの会社は、あこぎなことをやってるしと
見ていて、誰がどうなろうと、とりあえずみんな滅びたほうがいいんじゃないかと
そんな気分になりながら読んでいたのでありました
だからだろうか、すんなりというか、さばさば読めて
それが逆によかったようにも思うのであります

あくどい商売の手口というのは、実際こういうことあったんだろうなと
どこかにモチーフがあるんだろうと想像できるそれこれで、
特に問題としてあげ連ねているわけでもないけど、
医療という分野における一種の欠陥、診療報酬についてだとか、
粉飾偽装と仕手筋なんていう、昭和かと思わせるような物語だったりとか、
最終的には、ここ数年で聞いたようなタックスヘイブン問題なんかが
もりもり盛り込まれていて、なるほどなーと
その当時の経済事件の読み方を教えてくれるようでもあって
なかなか楽しかったのであります
実際の事件では、こんな面白いことが起きていなかったわけだけど、
そういう可能性もあったというお話と思うと
なかなか興味深い

空売り屋の人たちが、結構がっつり儲けているように見えるのに、
さしてお金持ちそうでもないというのが斬新というか、
正直、それぞれの登場人物の人間味というか、
生活観みたいなのがほぼ皆無で、経済事象としてのエラーみたいなのが主役と
そんな小説に読めて、勉強しながら読めた
そんな風に思える作品でありました