桐蔭法科大学院 鈴木純先生 最終講義が、同校東京キャンパスで3/25に行われました。
私の民法学の恩師のひとりです。
鈴木先生の自主ゼミに参加させていただいておりましたが、その成果を今だ出せず、たいへん悔やまれます。
私の謝辞は、具体的事実を一般的抽象的に書いたのですが、下線の部分は、まさに、鈴木先生とのゼミの光景をイメージして作文したところであり、ここで謝辞を読んでいてつまってしまいました。
鈴木先生のご指導には、心から感謝申し上げる次第です。
最終講義で、心に残った言葉。
学問は、何のためにあるか。
「自分以外の他人を幸せにするためにある。」
鈴木先生の考えることを大切にし、厳しくも懇切丁寧なゼミは、まさにそのような場でした。
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謝辞
早いところでは桜の花が、関東地方においても、あちらこちらですでに満開であるとの便りが届き、厳しかった冬を終えて春が確実にそこまで来ています。この良き日に、私たち桐蔭法科大学院第九期生十六名は、無事修了式を迎えることができました。本日は、学長の小島武司先生をはじめ、法科大学院において熱心にご指導してくださった法務研究科長・蒲俊郎先生及び諸先生方、そして学習環境の整備に尽力してくださいました事務職員の皆様方に、修了生を代表して、心より厚く感謝申し上げます。
早いもので、法曹になる夢を抱いて入学した日から、三年の歳月が過ぎました。
本学にともに入学した同級生の仲間は、20代から60代まで、職業は、私は、小児科医師でありますが、同級生には、司法書士、弁理士、会計士、官僚、市役所職員、新聞記者、証券マンなど文理の区別なく多様な職種が、皆それぞれに、高い目的意識を持って集っておりました。
とはいえ、いずれの者にとっても、「二足の草鞋」は、想像以上に厳しいものであり、ある者は、仕事の都合で特定の曜日の授業においては、ほとんど終わりのほうからしか出席出来なかったり、またある者は、海外転勤を余儀なくされ、やむなく休学をされたり、仕事による時間的・場所的制約は、並大抵のものではございませんでした。
各自、個々人の障害を克服し、今日の日を迎えることができましたのは、ひとえに豊富な知識や実務経験をお持ちの先生方に、親身に、時に厳しく、ご指導いただいたからに他なりません。
長時間に及ぶ自主ゼミを多数回にわたり忍耐強く開催していただきましたこと、学生の起案、それも私のような珍回答の論文にでも懇切丁寧な添削をいただきましたこと、講義中、論理的である以前に倫理的に問題ある学生の回答への毅然としたご指摘をいただきましたこと、講義後の懇親会で人生相談までしていただきましたこと等、今思い起こせば、熱意溢れる先生方に、知識習得だけにとどまらない理想の法曹像とは何かをまでご指導いただいたこの三年間は、非常に楽しく過ぎ去り、私にとって、かけがえのない財産となりました。
本学のような夜間開講の場は、社会人にとって、とても貴重です。全国の法科大学院の先行きが不透明な中においても、ハイブリッド法曹の育成を掲げ、多様な職種の社会人学生にも門戸を開く桐蔭法科大学院は、全国の法科大学院の理想のモデルであり、かつ、将来の法曹養成の先駆けであると私は思います。
私たちは、本日、めでたく修了式を迎えましたが、法曹となるべき者の一通過点に、今まさに、立てたということです。来る5月の司法試験において、これまで鍛え抜いた実力を、存分に発揮して参ります。
そして、合格した暁には、最も白熱した講義のひとつであった3年次の『法曹倫理』で、本学の小島学長、大澤先生、本学と合併した大宮法科大学院の柏木先生らが編著者となっておられる『現代の法曹倫理』をテキストに、同級生達と授業の中で熱く議論したところでありますが、「依頼者の希望に寄り添う一方で、社会正義を実現することのできるバランス感覚に優れた法曹」であり、なおかつ、「依頼者のQOLに確実に配慮することができる法曹」となるべく、精進して参ります。
また、本学をご卒業されて法曹となられた先輩方が、「法曹会」を組織してボランティアとしてゼミを企画していただいたことを、我々もまた、本学の良き伝統として引き継いでいけますように努力して参ります。
最後に、ここにご参列の皆様方のご健勝と桐蔭法科大学院の益々のご発展を心から祈念して、謝辞とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
平成27年3月19日
桐蔭横浜大学法科大学院修了生代表 小坂和輝