さて、明日6/24、いよいよ、中央区議会本会議で、問題の中央区長のロンドン・パリ視察(区長他6人パリロンドン1週間1118万6千円)が含まれた補正予算案の採決がなされます。
私は、先日、このロンドン・パリ海外視察は、理由がないと、書きましたが、その点について、詳述します。
すなわち、3月の予算特別委員会において、来るべき東京五輪について予算審議したばかりにも関わらず、降ってわいたような東京五輪準備のための海外視察の補正予算は、ある意味、地方財政法上、違法ではないかとさえ考えています。
以下、違法と考える理由を述べます。
まず、補正予算は、どのような場合に出せるのか?
地方財政法は、予算編成について3条1項で、「地方公共団体は、法令の定めるところに従い、かつ、合理的な基準によりその経費を算出し、予算に計上すること」を、地方公共団体に義務づけています。
補正予算の場合の法令の定めは、地方自治法218条1項に該当し、その内容は、「予算の調整後に生じた事由」に基づき、当初予算に追加等の変更をする必要が生じたときに、首長によって調整され、議会に提出される予算であることとなっています。すると、「予算の調整後に生じた事由」がなく補正予算が議会に提出された場合は、その補正予算は、法令の定めに反することになり、地方財政法上違法な予算編成となります。
この海外視察費について、「予算の調整後に生じた事由」があるかについて検討してみるに、6月21日22日の本会議において、他会派からの質問に対し、区長答弁では、予算の調整後に生じた事由として、1)平成28年3月開催のオリンピック・パラリンピック区民協議会の分科会での意見が出されたことと、2)平成28年3月末に東京都による晴海のまちづくりビジョンが公開されたことの二つを挙げられていました。
一つ目の事由、オリンピック・パラリンピック区民協議会の分科会での意見は、地域の文化芸能団体など各種団体がオリンピック・パラリンピックの開催に当たってどのように係わっていくとよいのかという主旨のものであり、同様の問題提起は、すでに第一回のオリンピック・パラリンピック区民協議会でも出されていました。
二つ目の事由、東京都による晴海のまちづくりビジョンの公開についても、その公開された内容は、すでに都市計画審議会で決定したまちづくりの方向性の域を超える内容ではありませんでした。
加えて、各種団体の五輪への関わりについてや晴海のまちづくりビジョンを含め東京五輪に関連したテーマについても、3月の予算特別委員会で十分討議がなされた結果、同委員会では、海外視察の必要性にまで言及された議論は出されなかったところであります。
よって、本会議で区長が述べた二つの事由は、補正予算を組む事由としての「予算の調整後に生じた事由」にはあたらないと考えられるので、海外視察費には、提出に当たって必要な「予算の調整後に生じた事由」を欠いており地方自治法218条1項に反した形での補正予算案であって、そのこと、すなわち、地方財政法上違法な予算編成となる可能性があるのではないかと考えます。(違法となるかどうかの判断は、最終的には裁判官であり、断定まではいたしません。)
海外視察により、観光施策、多言語対応、大会後のまちづくり、まちの安全・安心の取り組み、受動喫煙防止の取り組みなどを視察し、関係者と意見交換を行い、区政に生かすその目的は理解するところでありますが、今この時期のパリ・ロンドンでなければならないのか再検討することや、ロンドン・パリの行政幹部と会談などの「都市外交」をするのであれば、補正を組んだ急な訪問ではなく、書状のやりとりなど手順を踏んでしっかりとした形での外交をすることを求めるところです。
違法な(可能性のある)予算を含んでいる以上、私は、明日は、6月補正予算案に反対の態度を表明する所存です。
もちろん、6月補正予算案は、海外視察費含め全部で4件セットで出されていますが、他の3件の予算につきましては、賛成だけれども、違法な1件のため、やむを得ず予算案には反対します。
次回の9月第3回定例会で、他の3件は、再提出されることを区に求めます。
********地方財政法*******
6月補正予算案⇒ https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kohokotyo/press/puresuheisei28/20160603press.files/2806hoseiyosan.pdf
***************産経新聞**********************************
http://www.sankei.com/region/news/160603/rgn1606030046-n1.html
2016.6.3 07:02
中央区長ら来月欧州視察、1週間で経費1118万円
■ビジネスクラス使用「正当な支出」
中央区は、平成28年度一般会計6月補正予算に、矢田美英区長、押田満理子区議会議長ら計6人が7月に1週間、パリ、ロンドンを視察する経費約1118万6千円を計上した。舛添要一知事の高額海外出張費が問題となったばかりだが、区は正当な支出としている。
「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた海外視察」は、7月3日から9日までの日程。区長、区議会議長のほかは区議1人、区職員3人が同行する。
2020年東京五輪・パラリンピックでは、区内に選手村が設置される予定で、区は視察の目的を「ロンドンでは五輪の選手村跡地の活用」と説明。パリについては、「築地市場の豊洲移転をかかえるため、舟運の状況について視察する」としている。
視察費用のうち、旅費は約460万円で、区長、区議会議長、区議と議会事務局の職員が羽田-パリ、ロンドン-羽田でいずれもビジネスクラスを利用。五輪関連部署の区職員2人はエコノミークラスを使う。
区の規則では「飛行機旅費に関して8時間以上かかる場合には最上級の直近下」とされ、ファーストクラスは区長も利用できない。五輪関連部署の職員2人はビジネスクラスの利用が可能だが、「諸般の事情を鑑み、節減に努めた」という。
宿泊費は約150万円を見込んでいる。スイートルームなどは使わないが、視察期間はテニスのウィンブルドン選手権、サッカーの欧州選手権の開催時期が重なるため、割高になるとしている。他の費用はレンタカー代や、通訳への費用などと説明している。