大きな影響を受ける税制。
地方消費税を都道府県が分け合う「清算基準」見直し⇒これまでは小売販売額など消費統計の都道府県別シェアを重視し、税収を分け合っていた。今回の見直しでは清算基準に占める消費統計の比重を下げ、人口のウエートを高めた。
中央区財政においても、要注意。
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地方消費税の配分見直し 1都3県 明暗くっきり
東京のみ減収でいら立ち 協力関係へ影響懸念も
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日経新聞 20171215
自民、公明両党が14日決定した2018年度与党税制改正大綱は、地方消費税を都道府県が分け合う「清算基準」の見直しを打ち出した。首都圏では東京都が1000億円の減収になる一方、神奈川、千葉、埼玉の3県は100億~200億円程度の増収になる。税制改正ではこれまで利害が一致してきた1都3県で明暗が分かれた格好になり、今後の協力関係に影を落とす可能性もある。
地方消費税は都道府県が課税する地方税で、消費税率8%のうち1.7%分を占める。これまでは小売販売額など消費統計の都道府県別シェアを重視し、税収を分け合っていた。今回の見直しでは清算基準に占める消費統計の比重を下げ、人口のウエートを高めた。
これにより、最も大きな打撃を受けるのが都だ。東京は人口も多いが、それ以上に店舗が集積する。消費統計による配分が削られるため、減収が大きくなる。1000億円の減収になれば、例えば保育所300カ所を整備し、保育定員3万人分を増やせる財源を失う計算だ。
小池百合子知事は14日、大綱について「都民生活を脅かす不合理な見直しが強行されたことは到底容認できない」とのコメントを発表した。
小池知事は人口による配分を増やすことは「地方分権に逆行する」とも指摘する。かつて国税の消費税の一部を国が人口に応じて自治体に配っていた制度を廃止し、自治体固有の財源になる地方税として地方消費税を創設した経緯があるからだ。人口重視の配分では、消費を喚起して税収拡大を目指す自治体の意欲もそいでしまう。
都がいら立ちを募らせる理由は他にもある。地方税の偏在是正はこれまで、法人課税の分野で先行してきた。首都圏の1都3県はいずれも税収を奪われる側で、一致結束して反対の論陣を張ってきた。地方消費税に飛び火した今回は、同じ首都圏の大都市ながら利害が食い違う構図になっている。
埼玉県は170億円程度の増収になる計算だ。100億~200億円の増収になる見通しの千葉県は、人口が密集する県北西部を中心に都内で買い物や食事を楽しむ住民が多く、「人口の比重が高まるのは千葉にとって有利だ」
神奈川県も増収を見込み、黒岩祐治知事は「理にかなった見直しだ」と歓迎した。
地方消費税の見直し論議の過程では、3県が表立って声を上げる局面はほぼなかった。今後も続くとみられる税源偏在是正の攻防で「首都圏の自治体が結束できず、都が孤立を深める懸念もある」(都幹部)。
地方消費税を都道府県が分け合う「清算基準」見直し⇒これまでは小売販売額など消費統計の都道府県別シェアを重視し、税収を分け合っていた。今回の見直しでは清算基準に占める消費統計の比重を下げ、人口のウエートを高めた。
中央区財政においても、要注意。
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地方消費税の配分見直し 1都3県 明暗くっきり
東京のみ減収でいら立ち 協力関係へ影響懸念も
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日経新聞 20171215
自民、公明両党が14日決定した2018年度与党税制改正大綱は、地方消費税を都道府県が分け合う「清算基準」の見直しを打ち出した。首都圏では東京都が1000億円の減収になる一方、神奈川、千葉、埼玉の3県は100億~200億円程度の増収になる。税制改正ではこれまで利害が一致してきた1都3県で明暗が分かれた格好になり、今後の協力関係に影を落とす可能性もある。
地方消費税は都道府県が課税する地方税で、消費税率8%のうち1.7%分を占める。これまでは小売販売額など消費統計の都道府県別シェアを重視し、税収を分け合っていた。今回の見直しでは清算基準に占める消費統計の比重を下げ、人口のウエートを高めた。
これにより、最も大きな打撃を受けるのが都だ。東京は人口も多いが、それ以上に店舗が集積する。消費統計による配分が削られるため、減収が大きくなる。1000億円の減収になれば、例えば保育所300カ所を整備し、保育定員3万人分を増やせる財源を失う計算だ。
小池百合子知事は14日、大綱について「都民生活を脅かす不合理な見直しが強行されたことは到底容認できない」とのコメントを発表した。
小池知事は人口による配分を増やすことは「地方分権に逆行する」とも指摘する。かつて国税の消費税の一部を国が人口に応じて自治体に配っていた制度を廃止し、自治体固有の財源になる地方税として地方消費税を創設した経緯があるからだ。人口重視の配分では、消費を喚起して税収拡大を目指す自治体の意欲もそいでしまう。
都がいら立ちを募らせる理由は他にもある。地方税の偏在是正はこれまで、法人課税の分野で先行してきた。首都圏の1都3県はいずれも税収を奪われる側で、一致結束して反対の論陣を張ってきた。地方消費税に飛び火した今回は、同じ首都圏の大都市ながら利害が食い違う構図になっている。
埼玉県は170億円程度の増収になる計算だ。100億~200億円の増収になる見通しの千葉県は、人口が密集する県北西部を中心に都内で買い物や食事を楽しむ住民が多く、「人口の比重が高まるのは千葉にとって有利だ」
神奈川県も増収を見込み、黒岩祐治知事は「理にかなった見直しだ」と歓迎した。
地方消費税の見直し論議の過程では、3県が表立って声を上げる局面はほぼなかった。今後も続くとみられる税源偏在是正の攻防で「首都圏の自治体が結束できず、都が孤立を深める懸念もある」(都幹部)。