「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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国際政治のリアリズム:平和はもろく、一瞬で崩れる。人間は間違いをおかしやすい。

2017-12-19 11:43:27 | 戦争と平和
 三浦俊章氏は、「20世紀の戦争とジャーナリズム」の授業で伝えようとする論点を三つあげられています。

 ①多くの戦争が、相互の恐怖心や相手の意図の読み違いから偶発的に始まっていること。

 ②戦争という異常な環境の中で、人間の判断力が麻痺し、一般市民の虐殺が繰り返されたこと。

 ③戦争の最初の犠牲者は「真実」であること。指導者は不都合な事実を隠そうとし、メディアもナショナリズムにあおられ、いったん始まった戦争について批判的に考えることはきわめて難しい。

 
 自分も正月の課題本は、『1941』です。
 戦争の過ちを繰り返さぬこと、私たちの絶対の宿命です。
 「平和はもろく、一瞬で崩れる。人間は間違いをおかしやすい。」国際政治のリアリズムが、そうであろうとも。
 


************朝日新聞*************************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13279669.html

(記者有論)戦争と人間 リアリズム、歴史から学べ 三浦俊章

2017年12月19日05時00分



 都内の大学で、20世紀の戦争とジャーナリズムについての講義を始めて3年になる。第1次世界大戦から、今世紀初頭のイラク戦争までを扱う。なぜ戦争が起きたのか、メディアはどう伝えたか、がテーマだ。

 毎年、最初にこういう話をする。

 「20世紀後半は、まれな繁栄と安定の時代でしたが、今また不安定な世界になりつつあります。戦争の歴史を学ぶことは、みなさんにとって不可欠の教養なのです」

 年を追うに従い、開講の辞がより現実味を増してきた。学生の関心も高い。授業では、三つのことを伝えようと試みている。

 ひとつは、多くの戦争が、相互の恐怖心や相手の意図の読み違いから偶発的に始まっていること。

 次に、戦争という異常な環境の中で、人間の判断力が麻痺(まひ)し、一般市民の虐殺が繰り返されたこと。

 そして、戦争の最初の犠牲者は「真実」であること。指導者は不都合な事実を隠そうとし、メディアもナショナリズムにあおられ、いったん始まった戦争について批判的に考えることはきわめて難しい。

 学生たちは、「受験勉強の知識だけで、戦争の実態は知らなかった」「人間はこれほど残酷になれるものなのか」と感想を述べる。だが、これは若者に限ったことではない。

 戦争についてのリアルな知識が社会から急速に失われている。たとえば私自身は父から戦場の体験を、母からは空襲の話を聞いた。しかし、戦争経験者が世を去り、軍事力行使が、あたかもゲームの一手のように語られる危うい時代になった。

 トランプ米大統領は、北朝鮮への武力攻撃の可能性をちらつかせた。首脳会談後、安倍晋三首相は「圧力を最大限まで高めていくことで完全一致した」と語った。開戦が現実的選択であるかのように伝えるメディアもある。

 だが、「圧力」だけで外交が伴わなければ、予期せぬことが発生し、事態が制御不能になるかもしれない。過去の戦争は、武力行使が限定的なものにとどまる保証はないことを示している。そのとき、政治家は冷静に判断できるだろうか。民主主義は機能するだろうか。

 多くの歴史家が指摘するように、1962年のキューバ危機から学ぶべきだろう。ソ連のミサイル配備に対抗して、米国は海上封鎖を実施した。米軍幹部は核戦争も視野に入れて、武力侵攻を進言したのだが、ケネディ大統領が交渉による解決を図り、危機はぎりぎりで回避された。実は、あるソ連の潜水艦では、艦長が開戦したと勘違いし、核魚雷を発射する寸前までいっていた。

 平和はもろく、一瞬で崩れる。人間は間違いをおかしやすい。国際政治のリアリズムとは、本来そのような認識に基づくべきものである。

 (みうらとしあき 編集委員)
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マンション管理組合の理事長は、理事会だけの判断で解任できるかどうか⇒解任できる。最高裁第1小法廷H29.12.18大谷直人裁判長

2017-12-19 08:59:06 | 街づくり
 マンション管理組合の理事長は、理事会だけの判断で解任できるかどうか⇒解任できる。

 重要な判断のひとつと考えます。

 メモとして。 

 ただ、解任された理事長の男性は、「管理会社を競争入札で決めるべきだ」と訴えていたといいます。その理事長の言い分もあるような感じも受けます。
 

*************************
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017121801001233.html

【社会】


理事会でトップ解任可能、最高裁 マンション組合の訴訟

2017年12月18日 11時25分

 マンション管理組合の理事長は、理事会だけの判断で解任できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は18日、解任できるとの初判断を示した。解任できないとした二審判決を破棄し、審理を差し戻した。

 全国のマンション管理組合の約9割は、今回の組合と同様、国土交通省作成の「標準管理規約」に準拠している。標準管理規約は、理事会による理事長の解任について明記しておらず、判決は広く影響を与えそうだ。

(共同)

******朝日新聞******

http://digital.asahi.com/articles/DA3S13279792.html


マンション管理組合理事長、「理事会で解任可」 最高裁

2017年12月19日05時00分

 マンション管理組合の理事会で選んだ理事長であれば、理事会で解任もできる――。解任は不当と訴えた元理事長の裁判で18日、最高裁は初判断を示した。理事長の解任は、国土交通省が作成した管理規約のひな型に記載がなく、活用する多くのマンションに影響を与えそうだ。

 問題になったのは福岡県のマンションのケース。理事長の男性が管理会社を競争入札で決めるべきだと訴えたところ、理事の反発を受け、欠席した理事会決議で解任された。男性は「理事長を理事会で解任できる、との定めは管理規約にない」と訴えていた。

 判決は、このマンションの管理規約に「理事の互選で理事長を選任できる」との定めがある点に注目。総会で選ばれた理事の過半数の意見で、理事長の解任もできると認めた。その上で「解任できない」とした一、二審判決を破棄し、理事会の手続きが適切だったかを判断するため、審理を高裁に差し戻した。

 全国の多くのマンションは、国交省作成の「標準管理規約」を参考にしている。だが、この規約には理事長を理事会で解任できるとは記されていない。同省は「必要があれば規約の見直しを検討する」という。

 日本マンション学会の折田泰宏弁護士は「会社の代表を役員会で選任、解任できるのと同じで、常識にかなった判断。総会を開くには時間や労力がかかるため、理事会で素早く対応できる方が実務にも合う」と話した。

 (岡本玄)


*****最高裁HP***********
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87311
- 1 -
平成29年(受)第84号
総会決議無効確認等請求本訴,組合理事地位確認請求反訴事件
平成29年12月18日 第一小法廷判決
主 文
原判決中,被上告人の本訴請求に関する部分を破棄す
る。
前項の部分につき,本件を福岡高等裁判所に差し戻す。

理 由
上告代理人中島繁樹ほかの上告受理申立て理由第2点について
1 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 上告人は,福岡県久留米市内にあるマンション「Y」(以下「本件マンシ
ョン」という。)の管理組合であり,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分
所有法」という。)3条前段所定の本件マンションの区分所有者全員を構成員とす
る団体である。
被上告人は,本件マンションの区分所有者である。

(2) 上告人が定めた本件マンションの管理規約(以下「本件規約」という。)
には,要旨次のような定めがある。
ア 管理組合にその役員として理事長及び副理事長等を含む理事並びに監事を置
く(40条1項)。理事及び監事は,組合員のうちから総会で選任し(同条2
項),理事長及び副理事長等は,理事の互選により選任する(同条3項)。役員の
選任及び解任については,総会の決議を経なければならない(53条13号)。
イ 理事長は,管理組合を代表し,その業務を統括する(43条1項)。理事長
は,区分所有法に定める管理者とする(同条2項)。
ウ 理事長は,通常総会を,毎年1回新会計年度開始以後3箇月以内に開催しな
ければならない(47条3項)。理事長は,必要と認める場合には,理事会の決議
- 2 -
を経て,いつでも臨時総会を招集することができる(同条4項)。総会を招集する
には,少なくとも会議を開く日の2週間前までに,会議の日時,場所及び目的を示
して,組合員に通知を発しなければならない(48条1項)。
エ 組合員が組合員総数の5分の1以上及び議決権総数の5分の1以上に当たる
組合員の同意を得て,会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には,理事長
は,2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日を会日とする臨時総会の
招集通知を発しなければならない(49条1項)。理事長が同項の通知を発しない
場合には,同項の請求をした組合員は,臨時総会を招集することができる(同条2
項)。
オ 理事は,理事会を構成し,理事会の定めるところに従い,管理組合の業務を
担当する(45条1項)。理事会は,理事長が招集する(57条1項)。理事会の
招集手続については48条の規定を準用する(57条3項)。理事会の会議は,理
事の半数以上が出席しなければ開くことができず,その議事は出席理事の過半数で
決する(58条1項)。

(3) 平成25年1月に開催された上告人の臨時総会において,被上告人を含む
役員10名が選任され,同年3月に開催された上告人の理事会において,理事の互
選により,被上告人が理事長に選任された。

(4) 平成25年8月に開催された上告人の通常総会において,上記(3)の役員1
0名に加え,新役員5名が選任された。
平成25年9月に開催された上告人の理事会において,役員15名のうち13名
出席の下,同年10月20日に新役員を含めた役員の役職決定を議題とする理事会
を開催することが決定された。

(5) ところが,被上告人は,平成25年10月10日,理事会決議を経ないま
ま,他の理事から総会の議案とすることを反対されていた案件を諮るため,理事長
として臨時総会の招集通知を発した。このようなことから,同月20日に開催され
た上告人の理事会において,被上告人を除く役員14名のうち11名(理事10
- 3 -
名,監事1名)出席の下,本件規約40条3項に基づき,理事10名の一致によ
り,Aを被上告人に代わる理事長に選任し,被上告人の役職を理事長から理事に変
更する旨の決議(以下「本件理事会決議」という。)がされた。

(6) 上告人の組合員は,平成26年5月18日,被上告人及びAに対し,本件
規約49条1項所定の割合の組合員の同意を得て,同項に基づき被上告人を理事か
ら解任すること等を会議の目的とする臨時総会の招集請求をした。そして,被上告
人は,同年6月1日,理事長名義で会日を同月13日とする臨時総会の招集通知を
発した。しかし,上記招集請求をした組合員は,上記招集通知が本件規約48条1
項に違反して無効であると主張して,本件規約49条2項に基づき臨時総会を招集
した。
上記組合員の招集により平成26年7月5日に開催された上告人の臨時総会にお
いて,被上告人を理事から解任するなどの決議(以下「本件総会決議」という。)
がされ,同日開催された上告人の理事会において,Bが理事長に選任された。

(7) Bの招集により平成26年8月に開催された上告人の通常総会において,
役員を選任する旨の決議がされ,同年9月に開催された上告人の理事会において,
Cを理事長に選任する旨の決議がされた(以下,上記の総会決議及び理事会決議を
併せて「その余の決議」という。)。

2 本件本訴は,被上告人が,上告人に対し,本件理事会決議,本件総会決議及
びその余の決議の無効確認等を求めるものである。被上告人は,本件理事会決議の
無効事由として,決議の内容及び手続の本件規約違反を主張している。

3 原審は,上記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断し,本件理事会
決議,本件総会決議及びその余の決議の無効確認請求を認容すべきものとした。
(1) 本件規約は,区分所有法に定める管理者である理事長(43条2項)を理
事の互選により選任する旨を定めているが(40条3項),これは解任についての
定めではないこと,理事長を管理組合の役員とし(同条1項),役員の解任は総会
の議決事項とする旨を定めていること(53条13号)等からすると,本件規約4
- 4 -
0条3項を根拠として,理事長の地位を喪失させることは許されないと解すべきで
ある。そうすると,被上告人の役職を理事長から理事に変更する旨の本件理事会決
議は,本件規約に違反して無効である。

(2) 本件総会決議は,本件規約49条1項に基づく総会の招集請求に対し,上
記(1)のとおり本件理事会決議により理事長の地位を喪失したとは認められない被
上告人が,理事長として適法に同項所定の臨時総会の招集通知を発した以上,同条
2項の要件を欠き,その招集手続に瑕疵があるから無効であり,本件総会決議が有
効であること等を前提とするその余の決議も無効である。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
(1)ア 区分所有法によれば,区分所有者は,全員で,建物等の管理を行うため
の団体を構成し,同法の定めるところにより,集会を開き,規約を定め,及び管理
者を置くことができるとされ(3条),規約に別段の定めがない限り,集会の決議
によって,管理者を選任し,又は解任することができるとされている(25条1
項)。そうすると,区分所有法は,集会の決議以外の方法による管理者の解任を認
めるか否か及びその方法について区分所有者の意思に基づく自治的規範である規約
に委ねているものと解される


イ そして,本件規約は,理事長を区分所有法に定める管理者とし(43条2
項),役員である理事に理事長等を含むものとした上(40条1項),役員の選任
及び解任について総会の決議を経なければならない(53条13号)とする一方
で,理事は,組合員のうちから総会で選任し(40条2項),その互選により理事
長を選任する(同条3項)としている。これは,理事長を理事が就く役職の1つと
位置付けた上,総会で選任された理事に対し,原則として,その互選により理事長
の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。そうすると,このような定め
は,理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長
の職を解き,別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨
- 5 -
と解するのが,本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきで
ある
。本件規約において役員の解任が総会の決議事項とされていることは,上記の
ように解する妨げにはならない。

ウ したがって,上記イのような定めがある規約を有する上告人においては,理
事の互選により選任された理事長につき,本件規約40条3項に基づいて,理事の
過半数の一致により理事長の職を解くことができると解するのが相当である。

(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,本件理事会決議
は,平成25年10月20日に開催された上告人の理事会において,理事の互選に
より理事長に選任された被上告人につき,本件規約40条3項に基づいて,出席し
た理事10名の一致により理事長の職を解き,理事としたものであるから,このよ
うな決議の内容が本件規約に違反するとはいえない。

5 以上によれば,これと異なる原審の上記3(1)の判断には,判決に影響を及
ぼすことが明らかな法令の違反がある。また,本件理事会決議が無効であり,被上
告人の役職が理事長から理事に変更されたとは認められないことを前提として本件
総会決議を無効とし,本件総会決議を前提とするその余の決議を無効とした原審の
上記3(2)の判断にも,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論
旨は以上の趣旨をいうものとして理由があり,原判決中被上告人の本訴請求に関す
る部分は破棄を免れない。そして,本件理事会決議の手続の瑕疵の有無等について
更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻すこととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大谷直人 裁判官 池上政幸 裁判官 小池 裕 裁判官
木澤克之 裁判官 山口 厚)
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