統合型リゾート(IR)実施法が7月20日に通常国会で成立し、今後、日本でも問題になるであろうギャンブル依存。
まずは、そのような施設を具体的に作る際に、十分議論が必要。
**********日経新聞20180818******************
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180818&c=DM1&ng=DGKKZO3427871017082018CR8000
ギャンブル依存、拭えぬ不安 日本でカジノ
患者の回復施設少なく
カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が7月20日に通常国会で成立した。今後はカジノが整備される国内3カ所が選ばれ、2020年代半ばにも第1弾が開業する見通しだが、ギャンブル依存症対策への不安は払拭されていない。依存症から脱却を目指す患者の回復施設も少ない。依存症が疑われる成人は約70万に上るとの推計もあり、治療や相談体制づくりが急務となっている。
「パチンコがやめられず借金をした。親にも『金を貸してくれ』と何十通のメールを送った」「自宅とギャンブル場を往復する日々で、家族関係は最悪だった」
6月下旬、ギャンブル依存症の回復施設「グレイス・ロード」のデイケアセンター(山梨県甲斐市)の一室。男性約10人が車座になり、1人ずつ胸の内を語り出した。同施設で週4日行う回復プログラム「グループミーティング」の一幕だ。自分の言葉で過去を告白し、現在の状況に至った経緯を自覚させることが目的という。
入所者の男性(23)は「同じような境遇の人と出会い、自分が依存症と自覚できるようになった」と話す。約2年前から競馬や競艇にのめりこみ、給料約30万円の大半をつぎ込んだ。消費者金融から借金し、親の預金も勝手に引き出した。「悪いと分かっていたが、自分を抑えられなかった。最後はギャンブルしながら借金と闘っている状態だった」と振り返る。
別の入所者の男性(23)は一度ギャンブルをやめたが再び手を出し、家族が入所を決めた。「施設を出たら、またギャンブルをやってしまうかもしれない」と漏らす。
厚生労働省によると、過去にギャンブル依存症が疑われる状態になった人は推計320万人に上り、最近に限ると約70万人いると推計している。
潜在的なギャンブル依存症患者の多さが指摘される中、IR実施法は依存症対策として日本人客には週3回、月10回のカジノ入場制限に加え、6千円の入場料を設定。一方で、カジノ事業者に対しては依存症拡大につながるとの批判がある利用客への金銭貸付業務を認めている。
貸付業務の詳細な仕組みやカジノゲームの種類など331項目については今後、国会での審議を必要としない政省令や管理委の規則で定められる。依存症対策や規制の実効性が確保できるのかが焦点となる。
現時点での依存症の治療や相談体制は十分ではない。公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表によると、患者らがミーティングを行う自助グループは全国に170カ所程度、専門の回復施設は5カ所程度という。
グレイス・ロードのスタッフで自らも依存症を経験した植竹淳さんは「依存症の実態を社会全体で認識することが必要になる。回復プログラムを手掛ける施設は全国でも少なく、行政は相談窓口を充実し、患者を支援団体や回復施設につなげる仕組みを整えてほしい」と話している。
まずは、そのような施設を具体的に作る際に、十分議論が必要。
**********日経新聞20180818******************
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180818&c=DM1&ng=DGKKZO3427871017082018CR8000
ギャンブル依存、拭えぬ不安 日本でカジノ
患者の回復施設少なく
カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が7月20日に通常国会で成立した。今後はカジノが整備される国内3カ所が選ばれ、2020年代半ばにも第1弾が開業する見通しだが、ギャンブル依存症対策への不安は払拭されていない。依存症から脱却を目指す患者の回復施設も少ない。依存症が疑われる成人は約70万に上るとの推計もあり、治療や相談体制づくりが急務となっている。
「パチンコがやめられず借金をした。親にも『金を貸してくれ』と何十通のメールを送った」「自宅とギャンブル場を往復する日々で、家族関係は最悪だった」
6月下旬、ギャンブル依存症の回復施設「グレイス・ロード」のデイケアセンター(山梨県甲斐市)の一室。男性約10人が車座になり、1人ずつ胸の内を語り出した。同施設で週4日行う回復プログラム「グループミーティング」の一幕だ。自分の言葉で過去を告白し、現在の状況に至った経緯を自覚させることが目的という。
入所者の男性(23)は「同じような境遇の人と出会い、自分が依存症と自覚できるようになった」と話す。約2年前から競馬や競艇にのめりこみ、給料約30万円の大半をつぎ込んだ。消費者金融から借金し、親の預金も勝手に引き出した。「悪いと分かっていたが、自分を抑えられなかった。最後はギャンブルしながら借金と闘っている状態だった」と振り返る。
別の入所者の男性(23)は一度ギャンブルをやめたが再び手を出し、家族が入所を決めた。「施設を出たら、またギャンブルをやってしまうかもしれない」と漏らす。
厚生労働省によると、過去にギャンブル依存症が疑われる状態になった人は推計320万人に上り、最近に限ると約70万人いると推計している。
潜在的なギャンブル依存症患者の多さが指摘される中、IR実施法は依存症対策として日本人客には週3回、月10回のカジノ入場制限に加え、6千円の入場料を設定。一方で、カジノ事業者に対しては依存症拡大につながるとの批判がある利用客への金銭貸付業務を認めている。
貸付業務の詳細な仕組みやカジノゲームの種類など331項目については今後、国会での審議を必要としない政省令や管理委の規則で定められる。依存症対策や規制の実効性が確保できるのかが焦点となる。
現時点での依存症の治療や相談体制は十分ではない。公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表によると、患者らがミーティングを行う自助グループは全国に170カ所程度、専門の回復施設は5カ所程度という。
グレイス・ロードのスタッフで自らも依存症を経験した植竹淳さんは「依存症の実態を社会全体で認識することが必要になる。回復プログラムを手掛ける施設は全国でも少なく、行政は相談窓口を充実し、患者を支援団体や回復施設につなげる仕組みを整えてほしい」と話している。