「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』著者川内有緒、集英社2021年第1刷、2022年を素敵な気持ちで締めくくれる一冊です!

2022-12-22 13:16:48 | 書評

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』 著者川内有緒、集英社、2021年第1刷、2022年8月第7刷。

 お読みになられましたでしょうか。

 お勧めします。
 2022年を素敵な気持ちで締めくくれる一冊です!

 私が勧めるまでもなく、2022年『本屋大賞ノンフィクション本』大賞受賞作でもあります。

 私が、イイナ!と思った文章を3か所、引用します。

●アイマスクをすると、いったんは視覚障碍者みたいになるじゃない?それを見るとね、あなたはどこかのテレビゲームみたいなことをお遊びでやってんですか、って思いました。…このとき画面上のホシノさんに対し、画面のこちらにいるわたしが反論をしたくなった。でもさあ、ホシノさん、見えるひとがアイマスクをつけて過ごしてみることは、想像力を働かせるきっかけくらいにはなるんじゃないですか?…しかし画面の中のホシノさんは続けてそれを力強く否定していく。僕らはほかの誰にもなれない。…彼が伝えたいということは、想像力よりももっと手前にある部分だった。寄り添うことしかできない?いや、それもそうなんだけど、そのあと。―この世界で、笑いたいんですよー(318-320頁)

●―けんちゃんは目が見えないんだから、人の何倍も努力しないといけないんだよー

ただでさえ障害があるひとの風当たりが強い社会で、「頑張らない障害者」への風当たりはどんなものになるのか、と想像をすると心底恐ろしくなる。

しかし、本当は別に障害者が過剰な頑張りなど強いられない、人々の心の余裕がある社会を作るほうを目指すべきなのだ。(211-213頁)

●自分の場合、死に対する恐怖は、ただ一点に集約されることに気がついた。それは、まだ幼い娘の将来を見ずに死にたくないということに尽きた。…それを聞いた白鳥さんは、吐息で紙吹雪でも散らすように「俺はどっちでもいいな。明日死んでもいい」と言った。…「いやあ、どの時点で死んでも、結局は後悔するような気がするの。…結局のところ、ちゃんと自分がわかっているのは『いま』だけなんだ。だから、俺は『いま』だけでいいかな。過去とか未来とかじゃなくて『いま』だけ。だから、俺は明日死んでもいいと思う」(74-75頁)




https://www.hontai.or.jp/

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