築地市場移転問題を終え、四番目のテーマに移ります。
「歌舞伎座の建て替え問題について」です。
歌舞伎座の建て替えを含んだ「都市再生特別地区銀座四丁目12地区の変更」は、都市再生特別措置法に基づき、松竹株式会社と株式会社歌舞伎座から、本年1月、都市計画の提案を受けたものです。4月13日中央区都市計画審議会で審議、5月22日第185回東京都都市計画審議会で審議されました。
銀座4丁目約一ヘクタールの区域で、日本を代表する古典芸能の一つである歌舞伎の専用劇場の再生を行い、あわせてだれもが気軽に歌舞伎を見学できる歌舞伎ギャラリー、交流拠点となる国際文化交流センター、伝統文化の学びの場となる歌舞伎アカデミーを整備し、歌舞伎の複合文化拠点の形成を図るものです。また、防災広場機能も備えた情報発信や交流に資する地下広場を整備するとともに、日比谷線東銀座駅の出入口を新設し、バリアフリー化を行います。都市計画の主な内容として、容積率の最高限度は1220%とし、うち300%以上を劇場等の用途、高さの最高限度は高層部の部分で150メートルということになっています。
この計画により、いまや銀座のシンボル、ランドマークとなった、歌舞伎座の勇壮な建物が取り壊されてしまいます。日本全国から、歌舞伎座の保存を望む声が寄せられ、署名活動も実施されています。
その一方、歌舞伎の伝統・文化と相容れないガラス張りのシンプルな外観が、新聞に掲載され、波紋を呼んでいます。
外観のデザイン作者は、「隈研吾氏」の名前もあがっていますが、本当なのでしょうか。平成14年「登録有形文化財」の指定を受けていますが、この指定のまま、建て替えを行う計画なのかも含め、建て替え計画の概要をお聞かせいただきたいと思います。
中央区都市計画審議会では、歌舞伎座の取り壊しについて、地元代表の委員からも疑問の声があがりました。この歌舞伎座の建て替え計画は、本当に周辺地域の合意形成を得たうえで計画されたものであるのかどうかお聞かせいただきたいとおもいます。
その場合の周辺地域とはどこを指し、特に、新聞報道され波紋を呼んでいるガラス張りのシンプルな外観も含め、果たして、合意形成を得ているのかどうか明らかにしていただきたいと思います。
周辺地域との合意形成は、現在の歌舞伎座よりも豪華な、大屋根を再建した戦前の歌舞伎座を復元する当初の松竹案に対してなされたのではなかったでしょうか。周辺地域との合意形成を得た外観の当初の松竹案から、まったく異なるガラス張りのシンプルな外観の案が、どういう経緯でかはわかりませんが、突如として出されてきたのではないでしょうか。
現在の歌舞伎座の建物は、「登録有形文化財」の指定をうけています。そもそも「登録有形文化財」制度は、建物の保存をしながらも活用を促進する制度であります。改修にあたっては、修理等の設計監理費補助という優遇措置も設けられているものです。平成14年(2002年)当時、歌舞伎と歌舞伎座を心から愛する人たちが、この制度を活用し、銀座のランドマーク、歌舞伎の象徴たる建物を保存しながらも改修していくことを模索し、制度認定に至ったのであると推察いたします。
私たち中央区の都市計画審議会の付帯決議 を担保するのであれば、「登録有形文化財」指定のままで、改修を進めることが、望ましいと考えますが、いかがでしょうか。昨年12月の第4回定例会で、他の議員からの歌舞伎座の質問に答えて、矢田区長は、「今後、詳細な検討の中で外観や意匠など、現状の面影を残す工夫を図るよう要請してまいりたいと考えております。」と約束されました。
ぜひ、保存の要望書を提出している日本建築学会のお知恵をお借りしながら、「登録有形文化財」制度を活用した改修を行うように指導すべきと考えますがいかがでしょうか。
もし、「登録有形文化財」の指定を解除し、「都市再生特別地区」制度を活用するというのであれば、国の方針に一貫性がなくなると考えますが、いかがでしょうか。
すなわち、「登録有形文化財」指定を解除するほどまでの、再開発をする場合は、「都市再生特別地区」制度を活用するのではなく、自社独自で開発を行うべきとの判断が妥当であり、それを容認してしまう国の姿勢を質すべきと考えますがいかがでしょうか。
国を一人の人格とみなしてください。保存しながら改修をするという「登録有形文化財」制度を認めていたものが、突如、建築物の歴史的価値を見失い、「都市再生特別地区」制度に乗り換え、取り壊しを進めてしまうのは、信用を失う行動だとお思いになられませんでしょうか。「登録有形文化財制度」は単なるお飾りの制度として自己否定するわけでしょうか。いわゆる「朝令暮改」、ころころと態度を変えたり、自ら定めた制度を否定するこのような国の態度が、世界から嘲笑されることを大いに案じます。
付け加えて言うなれば、松竹株式会社と株式会社歌舞伎座にとってみれば、劇場再生とともにそのすぐ後ろに150メートルというオフィスビルを同時に建て、その家賃収入で、歌舞伎文化を支えていくお考えかと思いますが、今の沈滞した経済状況の下、万が一オフィスビルが埋まらない場合、その負担が経営を圧迫する大きな要因となります。民間努力の苦肉の策が、歌舞伎座を取り壊してしまわねばならないほどの巨大なオフィスビル建設案だったのだと思います。松竹株式会社様と株式会社歌舞伎座様のご努力には大いに敬意を表します。
その一方で、一民間企業にそのような大きなリスクを負わせながら、日本が誇る伝統文化の継承をお願いするのではなく、国としてしっかりと歌舞伎の伝統文化を守っていく姿勢を見せていただけるよう、国に物申したいと思います。
(5番目のテーマは、次のブログへ)
「歌舞伎座の建て替え問題について」です。
歌舞伎座の建て替えを含んだ「都市再生特別地区銀座四丁目12地区の変更」は、都市再生特別措置法に基づき、松竹株式会社と株式会社歌舞伎座から、本年1月、都市計画の提案を受けたものです。4月13日中央区都市計画審議会で審議、5月22日第185回東京都都市計画審議会で審議されました。
銀座4丁目約一ヘクタールの区域で、日本を代表する古典芸能の一つである歌舞伎の専用劇場の再生を行い、あわせてだれもが気軽に歌舞伎を見学できる歌舞伎ギャラリー、交流拠点となる国際文化交流センター、伝統文化の学びの場となる歌舞伎アカデミーを整備し、歌舞伎の複合文化拠点の形成を図るものです。また、防災広場機能も備えた情報発信や交流に資する地下広場を整備するとともに、日比谷線東銀座駅の出入口を新設し、バリアフリー化を行います。都市計画の主な内容として、容積率の最高限度は1220%とし、うち300%以上を劇場等の用途、高さの最高限度は高層部の部分で150メートルということになっています。
この計画により、いまや銀座のシンボル、ランドマークとなった、歌舞伎座の勇壮な建物が取り壊されてしまいます。日本全国から、歌舞伎座の保存を望む声が寄せられ、署名活動も実施されています。
その一方、歌舞伎の伝統・文化と相容れないガラス張りのシンプルな外観が、新聞に掲載され、波紋を呼んでいます。
外観のデザイン作者は、「隈研吾氏」の名前もあがっていますが、本当なのでしょうか。平成14年「登録有形文化財」の指定を受けていますが、この指定のまま、建て替えを行う計画なのかも含め、建て替え計画の概要をお聞かせいただきたいと思います。
中央区都市計画審議会では、歌舞伎座の取り壊しについて、地元代表の委員からも疑問の声があがりました。この歌舞伎座の建て替え計画は、本当に周辺地域の合意形成を得たうえで計画されたものであるのかどうかお聞かせいただきたいとおもいます。
その場合の周辺地域とはどこを指し、特に、新聞報道され波紋を呼んでいるガラス張りのシンプルな外観も含め、果たして、合意形成を得ているのかどうか明らかにしていただきたいと思います。
周辺地域との合意形成は、現在の歌舞伎座よりも豪華な、大屋根を再建した戦前の歌舞伎座を復元する当初の松竹案に対してなされたのではなかったでしょうか。周辺地域との合意形成を得た外観の当初の松竹案から、まったく異なるガラス張りのシンプルな外観の案が、どういう経緯でかはわかりませんが、突如として出されてきたのではないでしょうか。
現在の歌舞伎座の建物は、「登録有形文化財」の指定をうけています。そもそも「登録有形文化財」制度は、建物の保存をしながらも活用を促進する制度であります。改修にあたっては、修理等の設計監理費補助という優遇措置も設けられているものです。平成14年(2002年)当時、歌舞伎と歌舞伎座を心から愛する人たちが、この制度を活用し、銀座のランドマーク、歌舞伎の象徴たる建物を保存しながらも改修していくことを模索し、制度認定に至ったのであると推察いたします。
私たち中央区の都市計画審議会の付帯決議 を担保するのであれば、「登録有形文化財」指定のままで、改修を進めることが、望ましいと考えますが、いかがでしょうか。昨年12月の第4回定例会で、他の議員からの歌舞伎座の質問に答えて、矢田区長は、「今後、詳細な検討の中で外観や意匠など、現状の面影を残す工夫を図るよう要請してまいりたいと考えております。」と約束されました。
ぜひ、保存の要望書を提出している日本建築学会のお知恵をお借りしながら、「登録有形文化財」制度を活用した改修を行うように指導すべきと考えますがいかがでしょうか。
もし、「登録有形文化財」の指定を解除し、「都市再生特別地区」制度を活用するというのであれば、国の方針に一貫性がなくなると考えますが、いかがでしょうか。
すなわち、「登録有形文化財」指定を解除するほどまでの、再開発をする場合は、「都市再生特別地区」制度を活用するのではなく、自社独自で開発を行うべきとの判断が妥当であり、それを容認してしまう国の姿勢を質すべきと考えますがいかがでしょうか。
国を一人の人格とみなしてください。保存しながら改修をするという「登録有形文化財」制度を認めていたものが、突如、建築物の歴史的価値を見失い、「都市再生特別地区」制度に乗り換え、取り壊しを進めてしまうのは、信用を失う行動だとお思いになられませんでしょうか。「登録有形文化財制度」は単なるお飾りの制度として自己否定するわけでしょうか。いわゆる「朝令暮改」、ころころと態度を変えたり、自ら定めた制度を否定するこのような国の態度が、世界から嘲笑されることを大いに案じます。
付け加えて言うなれば、松竹株式会社と株式会社歌舞伎座にとってみれば、劇場再生とともにそのすぐ後ろに150メートルというオフィスビルを同時に建て、その家賃収入で、歌舞伎文化を支えていくお考えかと思いますが、今の沈滞した経済状況の下、万が一オフィスビルが埋まらない場合、その負担が経営を圧迫する大きな要因となります。民間努力の苦肉の策が、歌舞伎座を取り壊してしまわねばならないほどの巨大なオフィスビル建設案だったのだと思います。松竹株式会社様と株式会社歌舞伎座様のご努力には大いに敬意を表します。
その一方で、一民間企業にそのような大きなリスクを負わせながら、日本が誇る伝統文化の継承をお願いするのではなく、国としてしっかりと歌舞伎の伝統文化を守っていく姿勢を見せていただけるよう、国に物申したいと思います。
(5番目のテーマは、次のブログへ)