「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

朗報!小坂クリニック病児保育事業を、児童福祉法及び子ども・子育て支援法の事業として都に認定いただきました。

2016-08-17 23:00:01 | 各論:病児保育

 2001年開業来、病児保育事業を行って参りました。

 病児保育事業が、市区町村の自主事業としてなされ、全国的にも広がりを見せて来たところですが、ようやく児童福祉法及び子ども・子育て支援法においても、地域子育て支援事業として重要なものであると、法律に規定されることとなりました。
 法律の規定⇒http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/8b1c3e518e4556291236a148d60ce4e6

 当院も、改めて東京都に申請を出し、両法に則った病児保育施設であることの認定をいただきました。

 お盆時期も、ご利用者がたくさん来られている状況です。

 今後とも、鋭意、病児保育事業を継続発展させて参る所存です。


 都の基準、指針を再確認のため、都のマニュアルを再読。
 実は、そのマニュアルの作成に自分自身が携わらせていただきました。
 懐かしい…今から、10年前のことで、病児保育の広がりが、まだまだという時でした。(事業名でさえ、「病後児保育事業」と言わざるを得なかった頃です。)再度、お世話になるとは。

 *********都ホームページ*********

東京都病後児保育事業マニュアル(平成17年6月)

 「東京都病後児保育事業マニュアル」は、平成16年の実施基準等に基づき作成したものです。
 最新の基準等については、「東京都病児・病後児保育事業実施要綱」を確認願います。








 作成にかかわったあの頃を、懐かしく思い出し、『東京都病後児保育事業マニュアル』最終ページもついでにスキャン。


 

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日本国憲法17条(国家賠償、マッカーサー草案にも政府草案にも存在せず、衆議院の修正で付加)と自民党案

2016-08-17 23:00:00 | 日本国憲法

 日本国憲法第17条。


*****************
日本国憲法
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。


自民党改憲案
(国等に対する賠償請求権)
第十七条 何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は地方自治体その他の公共団体に、その賠償を求めることができる。

****************

 ほぼ同じです。


 
 憲法17条は、国家賠償を定めた規定です。
 実際に、法律としての規定は、国家賠償法によります。

 
 大日本帝国憲法には、国家賠償制度に関する規定はなく、法律でも「行政裁判所ハ損害要償ノ訴訟ヲ受理セス」(行政裁判所法16条)とされていたため、公権力の行使によって私人に損害が発生しても、国も公務員も責任を負いませんでした(国家無答責の原則)。
 本条に該当する規定は、マッカーサー草案にも政府草案にも存在せず、衆議院の修正で付加されました。(参考文献 『判例憲法』第一法規 290ページ)

 国家賠償法、通称「国賠」。あまり馴染みのない法律ですが、条文は少なく、六条しか規定されていません。
 ならば理解するのも簡単かと言うとそうでもなく。
 以下に、全文掲載します。

 国賠の対象は公権力の行使にあるが、では公権力とはなにか?公権力に過失がなくても国賠の対象となりうるのか?

 公務員による不法行為 憲法17条によって、公務員の不法行為によって損害を受けたとき、憲法でその賠償を求めることが出来る対象として明記されているのは、公務員を雇用または使用している国または公共団体に対してのみです。
 国家賠償法1条の根拠にしています。


 また、法律の文言は、「公共団体」であって、「地方公共団体」ではありません。
 それによって、弁護士会のような団体も、「公共団体」に含まれ、国会賠償法が適用されることになります。もちろん、「国会」も含まれます。

 法6条では、その国に日本人に対しても国家賠償法同様の規定がある場合、その国の外国人に、日本の国家賠償法が適用されることが規定されています。


************************************
国家賠償法
(昭和二十二年十月二十七日法律第百二十五号)



第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
○2  前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

第二条  道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
○2  前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

第三条  前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
○2  前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。

第四条  国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法 の規定による。

第五条  国又は公共団体の損害賠償の責任について民法 以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。

第六条  この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。

   附 則 抄


○1  この法律は、公布の日から、これを施行する。
○6  この法律施行前の行為に基づく損害については、なお従前の例による。

***********************************

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日本国憲法16条(請願権)と自民党案

2016-08-16 23:00:00 | 日本国憲法

 日本国憲法、第16条。


********
日本国憲法
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。


自民党案
(請願をする権利)
第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。
2 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。
********

 憲法16条は、請願について規定しています。

 この条文は、いまのところ、ほぼ同じです。
 自民党案は、日本国憲法で一項だったものが、二項に分けたということだけの違いでしょうか。


 ところで、16条で保障する請願権。私達は、もっと「請願」を有効に使うべきと考えます。


 声を、国、自治体、政治に反映させる重要な手段です!
 自らの声を、政治にインパクトを持って届けることができるのです。


 なお、憲法16条で、請願した者に差別的待遇をしてはならないと現行憲法で規定しているにもかかわらず、ある自治体が、署名者や署名活動者に対し、限度を超えて戸別訪問調査をして、不当に圧力を加えたという事件が実際に発生していることは、驚きです(岐阜地判平成22.11.10、名古屋高判平成22.4.27、最三小決平成24.10.9)。
 憲法一条一条を侮ってはなりません。
 権力機関は、容易に不当な圧力を住民に対して加えることがありえます。


 憲法16条を受けて、請願を規定する法律は、

〇請願法

〇国会法(79~82条)

〇衆規(171~180条)

〇参規(162~172条)

〇自治法(124~125条)

 で、請願権行使の手続きについて規定が設けられています。

 参考までに、掲載します。


******各法律、該当部分の掲載******

〇請願法 全文
請願法
(昭和二十二年三月十三日法律第十三号)



第一条  請願については、別に法律の定める場合を除いては、この法律の定めるところによる。

第二条  請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない。

第三条  請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。天皇に対する請願書は、内閣にこれを提出しなければならない。
○2 請願の事項を所管する官公署が明らかでないときは、請願書は、これを内閣に提出することができる。

第四条  請願書が誤つて前条に規定する官公署以外の官公署に提出されたときは、その官公署は、請願者に正当な官公署を指示し、又は正当な官公署にその請願書を送付しなければならない。

第五条  この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。

第六条  何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

   附 則

 この法律は、日本国憲法施行の日から、これを施行する。


〇国会法(79~82条)
第七十九条  各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

第八十条  請願は、各議院において委員会の審査を経た後これを議決する。
○2  委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願は、これを会議に付さない。但し、議員二十人以上の要求があるものは、これを会議に付さなければならない。

第八十一条  各議院において採択した請願で、内閣において措置するを適当と認めたものは、これを内閣に送付する。
○2  内閣は、前項の請願の処理の経過を毎年議院に報告しなければならない。

第八十二条  各議院は、各別に請願を受け互に干預しない。


〇衆規(171~180条)
 第十一章 請願

第百七十一条 請願書には、請願者の住所氏名(法人の場合はその名称及び代表者の氏名)を記載しなければならない。

第百七十二条 請願書には、普通の邦文を用いなければならない。やむを得ず外国語を用いるときは、これに訳文を附けなければならない。

第百七十三条 請願を紹介する議員は、請願書の表紙に署名又は記名押印しなければならない。

第百七十四条 議長は、請願文書表を作成しこれを印刷して各議員に配付する。
•会期末に請願の文書表を作成するいとまがないときは、本書により審査する。(衆先390)

第百七十五条 請願文書表には、請願者の住所氏名、請願の要旨、紹介議員の氏名及び受理の年月日を記載しなければならない。

  数人の連署による請願は、請願者某外何名と記載する。

  同一議員の紹介による同一内容の請願が数件あるときは、請願者某外何名と記載する外その件数を記載する。

第百七十六条 請願は、文書表の配付と同時に議長がこれを適当の委員会に付託する。

第百七十七条 裁判官の罷免を求める請願については、議長は、これを委員会に付託しないで裁判官訴追委員会に送付する。

第百七十八条 委員会は、請願についてその審査の結果に従い左の区別をなし、議院に報告する。

 一 議院の会議に付するを要するもの

 二 議院の会議に付するを要しないもの

  議院の会議に付するを要する請願については、なお、左の区別をして報告する。

 一 採択すべきもの

 二 不採択とすべきもの

  採択すべきものの中、内閣に送付するを適当と認めるものについては、その旨を附記する。

第百七十九条 委員会において、議院の会議に付するを要しないと決定した請願について、議員二十人以上から休会中の期間を除いて委員会の報告の日から七日以内に会議に付する要求がないときは、委員会の決定が確定する。

第百八十条 陳情書その他のもので、議長が必要と認めたものは、これを適当の委員会に参考のため送付する。


〇参規(162~172条)
第11章 請願

第162条 請願書は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載したものでなければならない。
第163条 法人を除いては、総代の名義による請願は、これを受理しない。
第164条 請願書の用語は平穏なものでなければならない。また、その提出は平穏になされなければならない。
第165条 議長は、請願文書表を作り印刷して、毎週一回、これを各議員に配付する。
 請願文書表には、請願の趣旨、請願者の住所氏名、紹介議員の氏名及び受理の年月日を記載する。
第166条 請願は、請願文書表の配付と同時に、議長が、これを適当の委員会に付託する。
第167条 裁判官の罷免を求める請願については、議長は、これを委員会に付託しないで裁判官訴追委員会に送付する。
第168条 請願を紹介した議員は、委員会から要求があつたときは、請願の趣旨を説明しなければならない。
第169条 請願書は、議院の議決がなければ、これを印刷配付しない。
第170条 委員会は、審査の結果に従い、次の区別をして、議長に報告書を提出しなければならない。
1.採択すべきもの
2.不採択とすべきもの

採択すべきものについては、なお、次の区別をしなければならない。
1.内閣に送付するを要するもの
2.内閣に送付するを要しないもの

第171条 委員会において採択すべきものと決定した請願については、委員会は、前条第1項の報告書に付して意見書案を提出することができる。
第172条 委員会において議院の会議に付するを要しないと決定した請願については、委員会は、議長にその旨の報告書を提出しなければならない。
 前項の場合において、報告書が提出された日から休会中の期間を除いて七日以内に、議員二十人以上から会議に付する要求がないときは、同項の決定が確定する。
第173条 削除



〇自治法(124~125条)
第百二十四条  普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

第百二十五条  普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。

以上

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憲法9、1、4、15、20、89、21、23、25、26、41、65、76、81、96、98、99条と前文 不戦精神が貫く

2016-08-16 12:55:38 | 日本国憲法

 弁護士伊藤真先生が、不戦精神が貫かれているという憲法の大切さを体系的に書かれており、理解に役立つため、掲載いたします。

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契約の締結は、市長が単独で行うことができるが、一定の種類・金額以上の契約は、議会の議決が必要

2016-08-16 10:44:49 | 地方自治法
 公共事業の工事の実施方法の決定、契約の締結は、本来、執行機関である市長、区長が単独で行うことができるが(地方自治法149条2号)、

 地方自治法96条1項は、政令(地方自治法施行令121条の2第1項、別表第三)で定める基準に従い条例で定める一定の種類・金額の契約について議会の議決事項としています。


 議会議決を必要とするその趣旨は、政令等で定める種類及び金額の契約を締結することは普通地方公共団体にとって重要な経済行為に当たるものであるから、これに関しては住民の利益を保証するとともに、これらの事務の処理が住民の代表の意思に基づいて適正に行われることを期することにあるためと解されています。(最高裁平成16年6月1日第三小法廷判決)


********地方自治法****************
第九十六条  普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
一  条例を設け又は改廃すること。

二  予算を定めること。

三  決算を認定すること。

四  法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。

五  その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること

六  条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。

七  不動産を信託すること。

八  前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。

九  負担付きの寄附又は贈与を受けること。

十  法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。

十一  条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。

十二  普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第二項 に規定する処分又は同条第三項 に規定する裁決をいう。以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において同じ。)に係る同法第十一条第一項 (同法第三十八条第一項 (同法第四十三条第二項 において準用する場合を含む。)又は同法第四十三条第一項 において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第三項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。

十三  法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。

十四  普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。

十五  その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項

○2  前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。




第百四十九条  普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。
一  普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。

二  予算を調製し、及びこれを執行すること

三  地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。

四  決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。

五  会計を監督すること。

六  財産を取得し、管理し、及び処分すること。

七  公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。

八  証書及び公文書類を保管すること。

九  前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。



******地方自治法施行令******
第百二十一条の二  地方自治法第九十六条第一項第五号 に規定する政令で定める基準は、契約の種類については、別表第三上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額が同表下欄に定める金額を下らないこととする。
○2  地方自治法第九十六条第一項第八号 に規定する政令で定める基準は、財産の取得又は処分の種類については、別表第四上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額が同表下欄に定める金額を下らないこととする。




別表第三 (第百二十一条の二関係)


工事又は製造の請負

都道府県  五〇〇、〇〇〇千円
指定都市  三〇〇、〇〇〇千円
市(指定都市を除く。次表において同じ。)  一五〇、〇〇〇千円
町村  五〇、〇〇〇千円
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絶対に軍事研究とは一線を画すべき、軍学共同はありえない。

2016-08-16 09:01:11 | 教育

 研究成果は、人類の福祉のためにこそ、役立てるべきものです。

 戦後71年にして、考え方を、どうか曲げぬように。

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日本国憲法15条(公務員は全体の奉仕者、議会制民主主義の根幹:選挙権の保障)と自民党案(普通選挙を「保障する」の文言削除)

2016-08-15 23:00:00 | 日本国憲法

 憲法15条。

 15条は、
 〇公務員が全体の奉仕者であるということとともに、
 〇議会制民主主義の根幹をなす選挙権に関して定める条文でとても重要です。

 特に3項と4項で、近代選挙の基本原則である、

1普通選挙

2平等選挙

3自由選挙

4秘密選挙

5直接選挙

 を要請しています。

 だからこそ、日本国憲法では、普通選挙を「保障する」という文言を用いています。


****************
日本国憲法
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

自民党案
(公務員の選定及び罷免に関する権利等)
第十五条 公務員を選定し、及び罷免することは、主権の存する国民の権利である。
2 全て公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による
4 選挙における投票の秘密は、侵されない。選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。

*****************


 自民案で、15条が変えられた点は、以下。

15条1項
 国民固有の権利ということのその「固有の権利」という文言を削除しています。
 11条でのべましたがhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/ad3650d77379d66bbf6142d8342bfefe
 人権の三つの意義のひとつ固有性を、11条及び97条で削除しています。それにあわせてこの15条の「固有の権利」という文言も削除されました。
 人権の固有性、すなわち、「人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること。」という考え方を、自民党はどうしても否定をしたいのでしょうか?

15条2項
 漢字になっています。
 個人的に、「全て」の漢字は読みにくいので、「すべて」のひらがなのままでよいと思います。

15条3項
 大問題です。
 普通選挙を「保障する」という大切な文言を削除しています
 なぜ、わざわざ、削除するのか、疑問です。

 また、「日本国籍を有する成年者」と、わざわざ「日本国籍を有する」とかぶせています。
 ここでは、その是非は述べませんが、最高裁判所の見解(最三小判平成7・2・28)によると、国政選挙は別にしても、地方議会議員選挙では、定住外国人の選挙権は、否定をしていません。
 地方政治のあり方についての判断が委ねられた部分です。
 にもかかわらず、自民案は、有無を言わさず、定住外国人の地方議会議員選挙の選挙権を奪おうとしています
 最後に、その判決文を全文掲載します。
 自民党のように安易に、定住外国人の地方議会議員選挙の選挙権を奪ってよいか、判決文(一番最後に掲載)を読んで考察いただければ幸いです。

15条4項
 「侵してはならない」という主体的な言い方から、「侵されない」と、なにか他人事のような表現に変えています。
 15条3項の「保障する」の文言削除と共に、自民党は、選挙権を軽視している印象を受けざるを得ません。

************************





以下、憲法15条が保障することのひとつ選挙権の大切さについて、書きます。



選挙権の大切さ。




 被選挙権の大切さ。
 立候補することの自由も保障されています。


 どのようなひとも、立候補は許されます。
 だからこそ、逆に、私達、国民の側に、きちんと選ぶ目が要求されます。



日本国憲法15条1項。
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。



 選挙権に、なんら制限を加えては、なりません。
 もちろん、成年被後見人にも、選挙権は保障されねばなりません。
 重病者には、在宅投票もきちんと保障されるべきだと考えます。
 例えば、ALSなど難病で、投票所に行くことができない方々の選挙権の保障は、なされねばなりません。





 一人一票の価値は、守られねばなりません。

 



 一人一票を判断する場合の裁判所の論理1と2
 




 一人一票を判断する場合の裁判所の論理3




 違法であり、本来、勝訴判決を得られるはずであるが、裁判で、敗れる論理。

行政事件訴訟法
(特別の事情による請求の棄却)
第三十一条  取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。


 一人一票の最高裁の論理のまとめ。






 ただすべきものをたださない国会の責任について、最高裁の考え方。
 やや弱い感じはするところではありますが。



 

*******最高裁ホームページより*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120908067922.pdf

主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。


         理    由
 上告代理人相馬達雄、同平木純二郎、同能瀬敏文の上告理由について
 憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをそ
の対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等し
く及ぶものである。そこで、憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保
障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考える
と、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存
することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するもの
とする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民と
は、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そ
うとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利
の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留
する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について
定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及
び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するも
のと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条
一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成す
ものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共
団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右
規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等
の選挙の権利を保障したものということはできない。以上のように解すべきことは、
当裁判所大法廷判決(最高裁昭和三五年(オ)第五七九号同年一二月一四日判決・
民集一四巻一四号三〇三七頁、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇
月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁)の趣旨に徴して明らかである。

 このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体
における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関す
る規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接
な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共
団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出た
ものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居
住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものに
ついて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処
理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対す
る選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解
するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の
立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の
問題を生ずるものではない。以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(
前掲昭和三五年一二月一四日判決、最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三
月二七日判決・刑集一七巻二号一二一頁、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五
一年四月一四日判決・民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五
号同五八年四月二七日判決・民集三七巻三号三四五頁)の趣旨に徴して明らかであ
る。
 以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権
利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九
条二項の各規定が憲法一五条一項、九三条二項に違反するものということはできず、
その他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤
りがあるということもできない。所論は、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法
九条二項の各規定に憲法一四条違反があり、そうでないとしても本件各決定を維持
すべきものとした原審の判断に憲法一四条及び右各法令の解釈の誤りがある旨の主
張をもしているところ、右主張は、いずれも実質において憲法一五条一項、九三条
二項の解釈の誤りをいうに帰するものであって、右主張に理由がないことは既に述
べたとおりである。

 以上によれば、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ
る。論旨は採用することができない。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、
裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    尾   崎   行   信

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美容外科、形成外科の日本における医療の現状

2016-08-15 08:52:06 | 医療

 美容外科、形成外科の日本における医療の現状の一端が、会間みれるので、掲載します。

 美容外科の医療の質の担保が課題です。

画像に含まれている可能性があるもの:テキスト

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日本国憲法14条(平等権、実質的平等)と自民党案(形式的平等)

2016-08-14 23:00:00 | 日本国憲法

 日本国憲法、14条、平等権。

 以下、比較すると大差ないようにお感じになると思います。


*************************
日本国憲法
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。


自民党案
(法の下の平等)
第十四条 全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
*************************

 

 私も、最初、「あれっ」と思いました。

 なぜ、今までの14条に至るまで問題点が多々あったのに、ここでは「障害の有無」の追加をするもその他の変更をしなかったのだろうかと。

 日本国憲法14条≒自民党案14条 ?

 よくよく、考えると…

 

 日本国憲法が機能する人権の世界と、自民党案が機能する人権の世界では、世界が異なるのです。
 その条文だけで考えてはいけません。

 人権の総則規定12条を思い出して下さい。


****************** 
日本国憲法 
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 

自民党案 (国民の責務) 
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。 

******************     

 人権の世界が、まるっきり自民党案では変えられていて、「公益及び公の秩序」に反することは許されなくなっているのです。


 12条と14条を併せて考えると、 

 日本国憲法 12条+14条=「公共の福祉」のために実質的平等のルールの採用を可能にする。 (実質的平等「等しいものは等しく、等しくないものは等しくなく」の考え方。例、所得税)

 自民党案  12条+14条= 「公益及び公の秩序」に反しないように、形式的平等を課す。(形式的平等「A=B=C=D=E=F=G・・・・」の考え方。例、消費税)

 
 日本国憲法と自民党案では、意味をしている平等概念そのものが異なるのではないでしょうか。

 
 形式的平等のルール(A=B=C=D=E=F=G・・・・)を適用すると、能力のある人、資質のある人、そして、能力や資質をのばすための環境が整備されているひとが、高い成績をあげることができ、結果に大きな差が生じてしまいます。
 行きつく先は、格差社会です。
 それをよしとするぞと、自民党案は、宣言をしているように考えます。
 (実質的平等、形式的平等などの概念は、ブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/c6493bd72f0b2d3296c2da24d939ce8dで基本的なところの解説をしています。)


 自民党案では、「公益及び公の秩序」という文言を、「公共の福祉」を削除して入れ替え、人権概念を大きく覆してしまっています。人権規定を注意深く読んで行く必要があります。

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日本国憲法13条(最も重要な条文の一つ、幸福追求権)と自民党案(「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換え。)

2016-08-13 00:00:01 | 日本国憲法

 日本国憲法第13条。

 着眼点により異なりますが、13条は、憲法の中で最も重要な条文と考えます。2番目に大事なのは、手続き保障を定めた31条でしょうか。(13の数字のならびを逆にすれば31で、よい対になっています。)

 

 憲法学者の故芦部先生によると、「社会の変革にともない、「自律的な個人が人格的に生存するために不可欠と考えられる基本的な権利・自由」として保護するに値すると考えられる法的利益は、「新しい人権」として、憲法上保障される人権の一つだと解するのが妥当である。その根拠となる規定が、憲法13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」(幸福追求権)である。」として、13条は、幸福追求権を謳っているとされています。

 「個人の尊重の原理に基づく幸福追求権は、憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であり、この幸福追求権によって基礎づけられる個々の権利は、裁判上の救済を受けることができる具体的権利」であります。

 「幸福追求権からどのような具体的権利が実際に導き出されるか、そして、それが新しい人権の一つとして承認されるかどうかをどのような基準で判断するかは、なかなか難しい問題」です。

 「これまで、新しい人権として主張されたものは、

○プライバシーの権利、

○環境権

○日照権

○静穏権

○眺望権

○入浜権

○嫌煙権

○健康権

○情報権

○アクセス権

○平和的生存権

 など多数」あります。

 「最高裁判所が、正面から認めたものは、プライバシーの権利としての肖像権ぐらい」です。

 「裁判上の権利と言えるかどうかは、

○特定の行為が個人の人格的生存に不可欠であることのほか、

○その行為を社会が伝統的に個人の自律的決定に委ねられたものと考えているか、

○その行為は多数の国民が行おうと思えば行うことができるか、

○行っても他人の基本権を侵害するおそれがないかなど
 
 種々の要素を考慮して慎重に決定 」 しなければなりません。

(加憲すべき権利を考える場合にも、重要な考慮要素だと、私は思います。逆を言えば、安易な加憲もまた、許されません。)

 以上、「」は、『憲法 第五版』芦部 118~121ページ。

 
 


*************************
日本国憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

自民党案
(人としての尊重等)
第十三条 全て国民は、として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない
*************************

 さて、自民党案は、13条において、12条同様に、重大な過ちを犯しております。

 「公共の福祉」を、「公益及び公の秩序」に置き換えています。(前条12条でも述べました。今後、21条、22条、29条でも同様の問題が出て来ます。)

 また、国家主義を目指している自民党にとって、「個人」という言葉も、極力用いたくないのだと思います。これまた、「個人」から「人」に置き換えられています。

 「最大の尊重を必要とする。」この文言が「最大限に尊重されなければならない。」の置き換えは、同じ内容としてみなせるでしょうか?
 

 少なくともわかるのは、個人の幸福追求権を謳う13条では、「個人」を「人」に置き換えてはならないし、「公共の福祉」は絶対に「公益及び公の秩序」に置き換えてはなりません。
 新しい人権が生まれる余地がなくなります。
 個人の幸福追求権が否定されます。



 ひとつだけ例を挙げます。


 肖像権が生まれた、「京都府学連事件」

 デモ行進に際して、警察官が犯罪捜査のために行った写真撮影の適法性が争われました。

 最高裁(最大判昭和44・12・24)は、

「憲法一三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由
及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法そ
の他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているのであつて、これ
は、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべ
きことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の
一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう
等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。」

 と判決をしています。


 もし、「公共の福祉」が「公の秩序」に置き換えられてしまえば、
 この判決の内容は変わることになると思います。

 自民案を許してしまった場合、 「公の秩序」が優先され、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対して保護されないことになり、肖像権は主張できなくなります。
 なぜならば、「公の秩序」が意味するものは、「国家権力からみた秩序」であるからです。

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憲法平和主義規定は、日本国民の平和への希求と幣原首相の平和主義思想を前提に、マッカーサーが決断した日米合作

2016-08-12 11:20:33 | 日本国憲法

 「日本国憲法制定当時の幣原首相の平和主義思想が、マッカーサー・ノートの一つのきっかけになっている。」憲法学を学ぶ者であれば、当然の知識(常識)として有している箇所です。

 すなわち、「日本国憲法の平和主義の規定は、日本国国民の平和への希求と幣原首相の平和主義思想を前提としたうえで、最終的には、マッカーサーの決断によってつくられた、日米の合作」と解されています。(芦部『憲法』第5版55頁)

 国会でも、この経緯を踏まえ、日本国憲法9条の議論を行っていただきたいところです。首相であられるかたが、知らないわけがないのだけど…





 

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日本国憲法12条と自民党案(「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換え。最大の問題点の一つ)

2016-08-12 00:00:01 | 日本国憲法

 日本国憲法第12条。
 
 重大な問題点として、自民党案では、「公共の福祉」が「公益及び公の秩序」に、置き換えられています。  
 この置き換えだけは、絶対にゆるしてはならないと考えています。
 自民党案の最大の問題点のひとつだと私は考えています。

 憲法12条、13条、22条、29条及び21条が同様に置き換えがなされています。

 自民党案に、賛同する憲法学者や裁判官など法律の専門家は、誰一人としていないと思います。  
 特に、この削除・置き換えには、賛同するものなどいないはずです。自信を持っていいます。  
 おられれば、そのかたを後学のため教えていただきたいほどです。  

 誤解を恐れずに、わかりやすく書くのであれば、  

 「公益」=「国のため、国家のために」で、国民の権利が片づけられます。  

 「公の秩序」=権力機関により、権力機関の論理・都合で、国民の権利が片づけられます。  

 「公共の福祉」=人権と人権のぶつかり合いを、二重の基準論、比較衡量論を用い、均衡のとれた解決を見出していきます。  



******************
日本国憲法
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

自民党案 (国民の責務)
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

******************    

 「公共の福祉」の概念は、ブログhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/11adf6d04c55152a6546d1681e84426fで、基礎知識で整理をしています。  

 一部抜き出します。    

 人権があるから、私たちは、何をやっても許されるというわけではなく、人権が制約される局面があります。  

 次の3つの場合が想定されます。

1)権利行使が他者に害を与える場合。

2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。

3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。    


 それぞれの場合を具体例を挙げてみます。

1)権利行使が他者に害を与える場合。  
政治団体の街宣車がフルボリュームで、音楽を流すことは、彼らの表現の自由の行使ではあるが、市街地の平穏を乱し、市民に不快感を与えていることから、他者に害を与えている。人権は、まず、他者に迷惑をかけてはならない、という制約がある。

2)権利行使が他者の正当な権利ないしは利益と衝突する場合。  
マスコミが、有名人のプライバシーや名誉を傷つける報道を行う場合は、マスコミの表現の自由(報道の自由)と有名人のプライバシーが衝突する。表現の自由もプライバシーもともに、極めて重要な人権である。

3)権利行使が社会全体の利益にとってマイナスになる場合。  
空港や高速道路を建設する際には、その用地を買収しなければならないところ、地権者が用地買収に協力してくれない場合は、建設が遅れ、社会全体に大きな不利益を与える場合がある。  

 このような人権の制約を掛けねばならないときに、用いられるのが、「公共の福祉」による人権の制限です。  


 現行憲法で、「公共の福祉」の制限がついている条文は、12条・13条・22条・29条。

*****日本国憲法*****
第十二条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。


第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。


第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。


第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。
○2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

***************  

 これら条文において、自民案は、22条以外の3つは、「公共の福祉」を「公益及び公共の秩序」に置き換えています。  

 そして、22条では、はぶいてはならないのに、「公共の福祉」を省いています。  

 さらに、重大問題なのは、21条に、「公共の福祉」さえついていなかった条文に、「公益及び公共の秩序」を新たに導入しています。後に21条のところで触れますが、表現の自由を国家権力が制約し、言論弾圧ができる体制づくりを着々と進める素地を作っていると考えます。


****自民案*****
(国民の責務)
第十二条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

(人としての尊重等)
第十三条
全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。


(表現の自由)
第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。〔新設〕
3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。


(居住、移転及び職業選択等の自由等)
第二十二条
何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。    ←「公共の福祉」の文言が落ちています。ここでは、落としてはなりません!
2 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する。


(財産権)
第二十九条 財産権は、保障する。
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

**********  

 「公共の福祉」削除は、かなり意図的であり、悪質とさえ言えるのではないでしょうか。  
 単に言葉だけとか、そんな生易しい問題ではないと考えます。

 11条でのべた、「ナチスに学べ」という麻生発言(2013年7月)の意図が、ここにも表れています。

 麻生氏が、「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。」と発言されたことの真意が、この「公共の福祉」の削除でも出ています。  

 と言いますか、麻生氏の「ナチスに学べ」という発言を聞いたとき、瞬時に、この自民党案の「公共の福祉」の削除に思い当たりました。
 麻生氏が、本心で発言していることが、たやすく想像できました。
 
 日本国憲法における基本的人権の制約する文言である「公共の福祉」が、「だれも気づかない手口」で削除され、代わりに「公の秩序」に置き換えられています。

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日本国憲法第11条(基本的人権の普遍性、不可侵性、固有性)と自民党案(現在及び将来の国民に与へられる。の削除)

2016-08-11 10:32:40 | 日本国憲法

 日本国憲法第11条。

************
日本国憲法
(基本的人権の享有)
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。


自民案
(基本的人権の享有)
第十一条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。
************

 11条は、人権保障の総則的規定です。
 基本的人権の享有主体と、基本的人権の保障の意義についてうたっています。

 すなわち、基本的人権の享有主体は、国民であり、基本的人権の保障の意義が、その固有性、不可侵性、普遍性があるがゆえに保障すべきものと意義づけられるとしています。

 固有性:人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること。

 不可侵性:人権が、原則として、公権力によって侵されないこと。行政権はもとより、立法権も、さらに憲法改正権も侵すことはできない。

 普遍性:人権は、人種、性、身分などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有できる権利であること。


 日本国憲法の条文を見ることで再度確認します。


第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない普遍性)。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利不可侵性)として、現在及び将来の国民に与へられる固有性、人間が生まれながらに有するということ)。


 自民党案を次に。

第十一条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。


 私は、基本的人権を守るという真摯な思いが、自民党案に感じられません。
 それは、重要な文言を削除しているからです。

1)基本的人権の「普遍性」が自民案では弱まっている
現行憲法
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない
 ↓
自民案
国民は、全ての基本的人権を享有する

 単に享有するだけでなく、享有を「妨げられない」ところに意味があると思います。
 自民案では、故意に重要文言を落としています。

2)基本的人権の「固有性」が自民案では、ない。
現行憲法
現在及び将来の国民に与へられる。
 ↓
自民案
(削除)

 憲法以前に、私たちは人間として固有の権利をもっています。それを文字で表したのが、憲法です。「実定的な法的権利」として確認したのが憲法です。
 「人間の固有の尊厳に由来する」のが基本的人権です。

 このような重要な「固有性」の観念を、自民案では削除しています。
 考えられないことです。

 なお、このことは、単に文言を整理していたら、たまたま落ちたとかいうレベルの話ではなく、自民案では意図して行っていることが分かります。

 日本国憲法が、人権を、「信託されたもの」であるとして人権の固有性を謳った重要な憲法97条も、自民案では、残念ながら削除しています。

現行憲法97条
第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
 ↓
自民案
(97条自体を削除)

3)2013年夏の自民党麻生氏麻生氏の「ナチスに学べ」発言
 2013年夏の自民党麻生氏麻生氏の「ナチスに学べ」発言が意図していたものが、この憲法11条、97条にも表れていないでしょうか。

 麻生氏が、「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。」と発言されたことの真意が、憲法11条の変更、97条の削除でも出ていると、私は、危機感をもって感じます。

 日本国憲法における基本的人権の重要な観念である「固有性」が、自民案では、「誰にも気づかないような手口」で、落とされています。

以上

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舛添氏は、許されなくて、都議は、許される?都議68人、政活費で新年会 計1600万円を支出 15年度使途公開

2016-08-11 09:57:09 | 議会改革
 舛添氏は、許されなくて、都議は、許される とはならないと考えます。

 少なくとも重要なことは、以下、元東京都副知事の青山やすし(やすし)・明治大教授(公共政策)が述べられているように、「問題は、税金が支出された会合の詳細を納税者がチェックする仕組みがないこと。都議会共通のホームページなどを作り、誰とどんな意見交換をし、いくら政活費を支出したかを公開すべき」点です。



********************************
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12506594.html


都議68人、政活費で新年会 計1600万円を支出 15年度使途公開

2016年8月11日05時00分


 東京都議会(定数127)が10日公開した2015年度の政務活動費(政活費)で、都議68人が業界団体などの新年会に計2251回出席し、計約1619万円を「会費」として支出していた。都議会の基準では、飲食を伴う会合でも情報収集が目的なら1回1万円を限度に支出できるが、批判もある。

 公開された領収書のただし書きに「新年会」「賀詞交歓会」などと記され、新年会と分類できるものについて朝日新聞が集計した。会派別にみると、自民が47人で約1143万円、公明が20人で約457万円、無所属の1人が約19万円をそれぞれ支出している。

 支出額が多い上位3人はいずれも自民で、堀宏道氏が88回出席して約61万円。1日に5カ所以上を「はしご」した議員も15人おり、最多は8カ所だった。

 84回で約51万円を支出した自民の高木啓幹事長は、事務所の担当者を通して「取材は受けない」と答えた。74回で約54万円を支出した公明の長橋桂一幹事長は「批判があるのは理解しているが、支持政党に関係なく様々な人と話ができる貴重な機会。どんな要望があったかの報告も会派で義務づけている」と説明する。

 上脇博之・神戸学院大法学部教授は「議会活動に資する意見交換と言うよりも、選挙のための個人的な政治活動の側面が大きく、公金を支出するのは不適切だ。支出額も大きく、舛添要一前知事の公私混同問題を批判したことと矛盾する。都民感覚とかけ離れている」と指摘する。

 一方、元東京都副知事の青山やすし(やすし)・明治大教授(公共政策)は「問題は、税金が支出された会合の詳細を納税者がチェックする仕組みがないこと。都議会共通のホームページなどを作り、誰とどんな意見交換をし、いくら政活費を支出したかを公開すべきだ」と話す


 ■政務活動費の支出が多い「新年会」

 《支出額の上位3人》

(1)堀宏道(自民)  61万円

(2)来代勝彦(自民) 57万円

(3)山内晃(自民)  56万円

 《出席回数の上位3人》

(1)堀宏道(自民)  88回

(2)高木啓(自民)  84回

(3)長橋桂一(公明) 74回

 ※敬称略。支出額は千の位を四捨五入
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日本国憲法10条(日本国民の構成員たる資格について)と自民党案

2016-08-10 23:00:00 | 日本国憲法

 日本国憲法10条。
 10条から、第三章の人権規定「国民の権利及び義務」に入ります。

 
 10条は、幸いにしてほぼ同じ内容です。
 強いて言うなら、文章の品格として、自民党案が劣っています。

*************************
〇日本国憲法
第三章 国民の権利及び義務
第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。


〇自民党案
第三章 国民の権利及び義務
(日本国民)
第十条 日本国民の要件は、法律で定める。
************************

 「日本国民たる要件」とは、日本国民の構成員たる資格(日本国籍)を有する要件を意味します。

 日本国籍の取得と喪失に関する事項は、法律で定めることを規定しています。

 その法律は、「国籍法」です。
 最後に全文を掲載します。

 「国籍法」の2条1号、3条1項はそれぞれ問題がありましたが、両者改正(2条1号:昭和59年改正、3条1項:平成20年改正)されました。


 なお、間違ってはならないのは、日本国民にだけ、日本国憲法の人権を保障するのではなく、「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ」(マクリーン事件)とされています

 逆に、判例で「権利の性質上」外国人に及ばないとされた権利:
 ○入国の自由、在留権(最大判昭和53・10・4マクリーン事件)

 ○再入国の自由(最一小判H4・11・16森川キャサリーン事件)

 ○国会議員の選挙権(最二小判H5・2・26ヒッグス・アラン事件)

 ○地方議会議員の選挙権(最三小判H7・2・28)

 ○公権力行使等地方公務員(管理職)への就任権(最大判H17・1・26)
 など




*****国籍法 全文*****
国籍法

 昭和二十五年五月四日 法律第百四十七号
 施行 昭和二十五年七月一日
 改正 昭和二十七年七月三十一日 法律第二百六十八号
    昭和五十九年五月二十五日 法律第四十五号
    平成五年十一月十二日 法律第八十九号
    平成十六年十二月一日 法律第百四十七号
    平成二十年十二月十二日 法律第八十八号

    (この法律の目的)
   第一条 日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる

    (出生による国籍の取得)
   第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
    一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
    二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
    三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を
     有しないとき。

    (認知された子の国籍の取得)
   第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除
    く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、
    その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつ
    たときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
   2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

    (帰化)
   第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日
    本の国籍を取得することができる。
   2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

   第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可す
    ることができない。
    一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
    二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
    三 素行が善良であること。
    四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生
     計を営むことができること。
    五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
    六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政
      府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若
      しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したこ
      とがないこと。
   2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができな
    い場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると
    認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化
    を許可することができる。

   第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについ
    ては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないとき
    でも、帰化を許可することができる。
    一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住
     所又は居所を有するもの
    二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、
     又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
    三 引き続き十年以上日本に居所を有する者

   第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所
    を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その
    者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可
    することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過
    し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とす
    る。

   第八条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第
    五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許
    可することができる。
    一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
    二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時
     本国法により未成年であつたもの
    三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除
     く。)で日本に住所を有するもの
    四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き
     続き三年以上日本に住所を有するもの

   第九条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一
    項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができ
    る。

   第十条 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければ
    ならない。
   2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。

    (国籍の喪失)
   第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日
    本の国籍を失う。
   2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選
    択したときは、日本の国籍を失う。

   第十二条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたもの
    は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本
    の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本
    の国籍を失う。

   第十三条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、
    日本の国籍を離脱することができる。
   2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。

    (国籍の選択)
   第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有すること
    となつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、そ
    の時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国
    籍を選択しなければならない。
   2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の
    定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨
    の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。

   第十五条 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期
    限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択を
    すべきことを催告することができる。
   2 前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができない
    ときその他書面によつてすることができないやむを得ない事情があるとき
    は、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における
    催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。
   3 前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日
    本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。
    ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつて
    その期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選
    択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この
    限りでない。

   第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければな
    らない。
   2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないもの
    が自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であ
    つても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就
    任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対
    し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。
   3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければな
    らない。
   4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。
   5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。

    (国籍の再取得)
   第十七条 第十二条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のもの
    は、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の
    国籍を取得することができる。
   2 第十五条第二項の規定による催告を受けて同条第三項の規定により日本の
    国籍を失つた者は、第五条第一項第五号に掲げる条件を備えるときは、日本
    の国籍を失つたことを知つた時から一年以内に法務大臣に届け出ることによ
    つて、日本の国籍を取得することができる。ただし、天災その他その者の責
    めに帰することができない事由によつてその期間内に届け出ることができな
    いときは、その期間は、これをすることができるに至つた時から一月とする。
   3 前二項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得す
    る。

    (法定代理人がする届出等)
   第十八条 第三条第一項若しくは前条第一項の規定による国籍取得の届出、帰
    化の許可の申請、選択の宣言又は国籍離脱の届出は、国籍の取得、選択又は
    離脱をしようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてす
    る。

    (省令への委任)
   第十九条 この法律に定めるもののほか、国籍の取得及び離脱に関する手続そ
    の他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。

    (罰則)
   第二十条 第三条第一項の規定による届出をする場合において、虚偽の届出を
    した者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
   2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。

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