旭川からの帰りに知人の実験場を見に行きました。北海道は氷の国なのです。
さて今日は、
■氷で北海道を楽しもう の1本です。
【氷で北海道を楽しもう】
夕べは旭川に泊まって、朝一番で帰ってくることに。
帰ってくる途中で、知人が氷を使ってモニュメントを作っている現場を見せてもらう事にして、江別駅で下車して現場へ向かう。
知人のKさんは、広告を作ったりホームページを作ったりする企画会社の社長さんなのだが、かつて滝野公園で氷のドームを作ろうと思ったときに企画を手伝ってくれた人である。
滝野公園で氷の六角形と五角形の板を作り、それを組み合わせることでサッカーボールのように半球状のドームを作り、「クリスタルドーム」と名付けたのだが、これは非常にきれいなものだった。
氷を組み立てるために先にコンパネで下地を作り、そこに氷を置いてゆけば安全で確実に作業ができるのだが、そうした仕掛けを「面白いから特許をとりましょう」と言って特許を申請したところ、特許を取ることもできた。
Kさんはそんな付き合いから氷で何かを創るという世界を面白いと思い始め、氷での造形づくりをライフワークの一つとして取り組みを続けてくれている。
作業現場では会社の職員の人たちも一緒になって氷の造形づくりに取り組んでいて、思考実験を繰り返しているのである。
* * * *
今日の写真は、そんな彼が今作っている氷で作ったパーツを4段重ねにして針葉樹のように積み上げたクリスタルツリーである。
氷の造形の面白さもさることながら、Kさんお得意のエレクトロニクスを使って、氷の中に発光ダイオードを組み込む事で、七色に連続的に光が変化するような造形となっている。
これらの他にも、ハート形や氷だるま、まりもをイメージした球体などをFRPというガラス繊維で強化した型を作って、冷凍庫で凍らせて研究努力を続けているのだ。
氷という奴は一見きれいで美しく見えるが、実は大変重くて取り扱いが実にやっかいなのである。
少しボリュームがあって見応えのするような氷ともなると、たちまち2~300kgは軽くいってしまうし、写真の一番大きなパーツでは600kgというから、人間で簡単に持ち上がるようなものではなく、現場でもチェーンブロックという滑車の原理で重いものを持ち上がる機材で作業をしていた。
また氷なので暖かければ融けるのは当然だが、これだけ大きな固まりになると、真夏の外に出しておいても2~3日でなくなるという事はないのだそうだ。
「上から融けてきてだんだん小さくなっていくんですけど、簡単になくなるということはないんですね。それと、氷は重さで接している面が融合してくっついてしまいますから、さわっても簡単にバラバラになって危ないという事もありませんよ」とはKさんの弁。
「夏でもそうですから、北海道の冬に作って外に出しておけば、まずずっともちますよ。このクリスタルツリーがたくさんあって、夜は七色に光ってきれいな空間を北海道の人たちがもっと自分たちで楽しめば、道外から来る人たちも面白くて羨ましいと思うのではないでしょうか」とも。
そう、北海道の人たちが自ら北海道の冬をもっと楽しんでいれば、外から来る人たちもうきうきするに違いない。孔子の論語には「近者悦び遠者来る」と言うではないか。雪と氷でもっと楽しむことが大事なのだ。
「これを使いたいという道内の企業やイベントはないのですか?」と訊いてみると「まだ北海道にはないですね。でも台湾のスーパーマーケットの社長から『北海道フェアをやるのに客寄せでツリーを持ってきてくれないか』と先日声がかかって行ってきました。何とか話がまとまって、今度台湾で先行的にやりますよ」と嬉しそうだった。
「へえ、それはすごいですね」
「台湾は北海道というとすごいブランドなのだという事を改めて感じました。農産物などは日本ブランドではなくて、北海道ブランドなんですよ。一度行ってみてください。感じるところは大きいですよ」
「それじゃ上手くいきそうですね」と言うと
「それがね、税関で今引っかかってまして…」と言う。
「なぜですか?」
「税関の言うには、冷凍食品の詰め物としての氷を輸出した事は前例があるけれど、『氷だけを輸出する』というのは初めてらしいんです。何事も前例を作るときは慎重にならないといけないらしくって、『氷に麻薬を溶かしたらどうなるか』なんて言われてましてね」と苦笑する。
何事も初めての道を歩むから苦労も多いし面白い。どこにでもないもので、二番煎じではないから面白い。
必要なのは外に頼らずに生きて行こうとする、北海道の先祖が培った開拓魂なのではないか。
「いつか『NPO法人氷で北海道を元気にしよう』なんて作りませんか」と言うと「良いですね。せっかく戻ってこられたんですからよろしくお願いします」と言われた。
さてさて、腰を痛めないようにしなくては。
さて今日は、
■氷で北海道を楽しもう の1本です。
【氷で北海道を楽しもう】
夕べは旭川に泊まって、朝一番で帰ってくることに。
帰ってくる途中で、知人が氷を使ってモニュメントを作っている現場を見せてもらう事にして、江別駅で下車して現場へ向かう。
知人のKさんは、広告を作ったりホームページを作ったりする企画会社の社長さんなのだが、かつて滝野公園で氷のドームを作ろうと思ったときに企画を手伝ってくれた人である。
滝野公園で氷の六角形と五角形の板を作り、それを組み合わせることでサッカーボールのように半球状のドームを作り、「クリスタルドーム」と名付けたのだが、これは非常にきれいなものだった。
氷を組み立てるために先にコンパネで下地を作り、そこに氷を置いてゆけば安全で確実に作業ができるのだが、そうした仕掛けを「面白いから特許をとりましょう」と言って特許を申請したところ、特許を取ることもできた。
Kさんはそんな付き合いから氷で何かを創るという世界を面白いと思い始め、氷での造形づくりをライフワークの一つとして取り組みを続けてくれている。
作業現場では会社の職員の人たちも一緒になって氷の造形づくりに取り組んでいて、思考実験を繰り返しているのである。
* * * *
今日の写真は、そんな彼が今作っている氷で作ったパーツを4段重ねにして針葉樹のように積み上げたクリスタルツリーである。
氷の造形の面白さもさることながら、Kさんお得意のエレクトロニクスを使って、氷の中に発光ダイオードを組み込む事で、七色に連続的に光が変化するような造形となっている。
これらの他にも、ハート形や氷だるま、まりもをイメージした球体などをFRPというガラス繊維で強化した型を作って、冷凍庫で凍らせて研究努力を続けているのだ。
氷という奴は一見きれいで美しく見えるが、実は大変重くて取り扱いが実にやっかいなのである。
少しボリュームがあって見応えのするような氷ともなると、たちまち2~300kgは軽くいってしまうし、写真の一番大きなパーツでは600kgというから、人間で簡単に持ち上がるようなものではなく、現場でもチェーンブロックという滑車の原理で重いものを持ち上がる機材で作業をしていた。
また氷なので暖かければ融けるのは当然だが、これだけ大きな固まりになると、真夏の外に出しておいても2~3日でなくなるという事はないのだそうだ。
「上から融けてきてだんだん小さくなっていくんですけど、簡単になくなるということはないんですね。それと、氷は重さで接している面が融合してくっついてしまいますから、さわっても簡単にバラバラになって危ないという事もありませんよ」とはKさんの弁。
「夏でもそうですから、北海道の冬に作って外に出しておけば、まずずっともちますよ。このクリスタルツリーがたくさんあって、夜は七色に光ってきれいな空間を北海道の人たちがもっと自分たちで楽しめば、道外から来る人たちも面白くて羨ましいと思うのではないでしょうか」とも。
そう、北海道の人たちが自ら北海道の冬をもっと楽しんでいれば、外から来る人たちもうきうきするに違いない。孔子の論語には「近者悦び遠者来る」と言うではないか。雪と氷でもっと楽しむことが大事なのだ。
「これを使いたいという道内の企業やイベントはないのですか?」と訊いてみると「まだ北海道にはないですね。でも台湾のスーパーマーケットの社長から『北海道フェアをやるのに客寄せでツリーを持ってきてくれないか』と先日声がかかって行ってきました。何とか話がまとまって、今度台湾で先行的にやりますよ」と嬉しそうだった。
「へえ、それはすごいですね」
「台湾は北海道というとすごいブランドなのだという事を改めて感じました。農産物などは日本ブランドではなくて、北海道ブランドなんですよ。一度行ってみてください。感じるところは大きいですよ」
「それじゃ上手くいきそうですね」と言うと
「それがね、税関で今引っかかってまして…」と言う。
「なぜですか?」
「税関の言うには、冷凍食品の詰め物としての氷を輸出した事は前例があるけれど、『氷だけを輸出する』というのは初めてらしいんです。何事も前例を作るときは慎重にならないといけないらしくって、『氷に麻薬を溶かしたらどうなるか』なんて言われてましてね」と苦笑する。
何事も初めての道を歩むから苦労も多いし面白い。どこにでもないもので、二番煎じではないから面白い。
必要なのは外に頼らずに生きて行こうとする、北海道の先祖が培った開拓魂なのではないか。
「いつか『NPO法人氷で北海道を元気にしよう』なんて作りませんか」と言うと「良いですね。せっかく戻ってこられたんですからよろしくお願いします」と言われた。
さてさて、腰を痛めないようにしなくては。