北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

トータル訪問者数が百万人を超えました。ご愛顧に感謝です

2015-06-03 23:48:22 | Weblog

 このブログ「北の心の開拓記」のアクセス者数が今日をもって累積で百万人を超えたみたいです。

 ブログの数は3902本で、この形でブログを始めたのは2005年4月7日でした。

 百万人を超えたからといって何かが変わるわけではありませんが、継続することによる一里塚だなあと思います。

 これからもどうぞよろしくお願いします。

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地方への移住とは~中頓別町のコミュレス&カフェ

2015-06-03 23:46:34 | Weblog

 中頓別町を訪問して、この春の町長選挙で当選された小林成吉町長にご挨拶ができました。

 着任後に挨拶に来たときは前任の野邑町長さんだったのですが、選挙後に小林町長に変られた後にお会いする機会がなかなかなかったのです。

 小林町長さんは「中頓別は小規模ながらバラエティに富んだ観光コンテンツが凝縮している土地柄なので、それらを上手にまとめあげて発信できたらもう少し人気が出ると思います」とおっしゃいます。

 私も、鍾乳洞、砂金堀、頓別川でのカヌーや釣り、ハチミツ、温泉となかなか面白い要素がふんだんにある中頓別町をとても興味深く思い始めたところなので、非常に共感できるところです。
 観光での情報発信はもっとできることがあるようにも思います。

 町長さんに今の悩みを伺ってみると、「人が欲しい、人出不足です」とのこと。

「それはどういう職種での人出不足でしょうか」と訊くと、「介護や福祉ですね」とのこと。「今は老健や障碍者施設などで約200人の町民の世話を行っていますが、これを約100人の担当者が支えています。今現在はまだ大丈夫なのですが、年に数人は辞めたり引っ越して行ってしまう人が出てくるので、その補充に頭を痛めています」
「募集しても来てくれませんか」

「福祉の学校を卒業したような若い人たちが、最初の職場として中頓別町を選ぶということはまず望めません。それではと、地元の高校を卒業したような子たちを採用して福祉部門で担当させても、必ずしも本人の希望とマッチしないようなことになればやはり辞めていってしまいます。来てもらって定着させるということが実に難しいのです」

「移住して来るような方はいかがでしょう」
「それが、移住となるとまた話は変わって結構不思議な人材が集まってくる魅力があるようなんです。全国を旅行して歩いたような人が森林組合に就職してみたりするなど、面白い人たちがたまに来るんですね」

 中頓別の魅力をもっと発信して、不思議な人材が集まることを期待したいと思います。


       ◆  


 その後でお会いしたのが、まさにこの中頓別町へ不思議な縁で導かれるようにして移住してきた渡辺由起子さん。

 この方は、看護師・保健師として働いていたこともあるのですが、ソーシャルファーム(Social Firm)という、障がい者や社会的弱者の就労の問題に取り組む活動に興味を持ち、それに関する講演会を中頓別町で聞いてから、この町がずっと気になっていたのだそう。

 そしてある時、町がかつて民間から継承した公衆浴場施設を売りに出すという話をホームページでみつけ、(これを活かせば何か自分でもできるかもしれない)と考えて、公衆浴場を買い入れたのでした。

 最初は売った側の町の方が「買ってどうするの?何をするのでも難しいですよ」と怪訝な感じだったそうですが、浴場の熱源を灯油から地域の産物である薪に替え、さらに施設の中でコミュニティレストランやカフェを行ってみることに決めました。

 最初は周りのお年寄りたちも「薪にするなんて無理だ、やめちまえ!」と厳しい声を口にしていたのが、いざやり始めると「(渡辺さん曰く)変人たちが手伝ってくれるようになって(笑)」薪が集まり、またボイラーで火をたく手伝いをしてくれるような人たちが現れてきたのだそう。

 また地域の山菜や農産品を活かした地産地消の素材で一食500円の定食をほぼ一日おきくらいに提供し始めると、常連の人ができてこれを支えてくれるようになったのだと。


   【これで500円は格安です】

「ビジネスとして設けることだけを考えると値段や素材も考えますが、障碍を持った人にちゃんと賃金を払って手伝ってもらうなど、お年寄りや障碍者を巻き込むことで、儲け以上の社会的な価値を感じられます」

 なによりも、風呂焚きや薪集めを手伝うという使命感に燃えた人たちは日常生活に不便のないくらいにどんどん健康な状態に近づいていくのが分かったそう。

「健康になるためには治療や投薬といったことだけではなく、社会に参加しているという充実感や使命感、目標や達成感といったものがいかに大切かということを痛感しました」

 

「必ずしも医療や買い物などにあまり便の良くないこの町で不便や不満は感じませんか」とお尋ねすると、「私はかつて海外青年協力隊でネパールに行っていたことがありました。それを思うと、物がなくて我慢したり工夫するということが極めて当たり前で、この町でもほとんど不便を感じないんですよ(笑)」という返事が返ってきました。

 北海道が目指すべき姿に関しても、「日本全体のように外貨を稼ぐということに一生懸命になりすぎずに、ちんまりとしても地域でこのように暮らせるんだということを示すことも大切じゃないでしょうか。北海道って日本の中での途上国みたいで、ネパールと思い返すと途上国っぽい強みみたいなものがあるような気もします」という感想を語ってくださいました。


      ◆  

  
 移住促進と簡単に言いますが、移住を決断するための背景は十人十色で一人一人の縁なんだなと思います。

 ただやはり惹かれていくにはその町になんらかの魅力があるわけで、中頓別町では受け入れてくれた周りの人たちとの繋がりや縁が強い魅力になっているようです。

 自分たちの町の魅力を理解して磨くことで小さな町でも移り住みたくなる人を呼び寄せることができるという事例を見せていただいたような気がします。

 うーん、やっぱり中頓別町って不思議な魅力がある町です。

コメント (2)
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