北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

あなたのスマホもデータかも ~ 観光戦略にはビッグデータを使おう

2015-06-22 23:02:16 | Weblog

 旭川、留萌、稚内という道北の三つの開発建設部が連携して、地域の観光振興を考える勉強会が名寄市で開催されました。

 今回のテーマは、「ビッグデータで見る観光動向と今後の可能性
 ~道北地域連携・地域づくりセミナー~」で、最近流行のビッグデータを使って戦略的な観光振興策を練りましょう、というもの。

 ビッグデータとは、従来のデータベース管理ツールでは処理しきれないほど巨大で複雑なデータの集合体の事。

 何百万人もがどこにいてどう移動したか、といったことが、今日ではカーナビやスマホなどから取得することができます。

 冒頭で旭川開発建設部の丹野弘部長からは、「かつて道路計画を作る際には、アンケートや少ない調査データから全体を類推するしかなかったが、今日ではそれがより正確なデータとして収集できる時代になった。これからの観光振興策はこうしたビッグデータをうまく利活用して行うべき時代になった」という、今回の勉強会の意義が説明されました。


 続いてドーコン交通部の松村次長さんからは、ビッグデータに対する国レベルの動きが紹介されました。

 ビッグデータと言っても様々な収集元があり、またデータにも種類があります。その中から目的に応じて必要なものを選別して集めなくてはなりません。

 またデータを集めるだけではだめで、それを現状分析や観光振興の戦略策定に用い、さらには戦略のチェックやフォローアップにも使われます。

 そうしたことへのサービスとして政府の「まち・ひと・しごと創生本部」では、地方自治体が地方版総合戦略を策定する際の情報支援ツールとして、平成27年4月21日より、地域経済分析システム」(RESAS(リーサス))の供用を開始しました。 http://bit.ly/1FwsiDl

 データは分かりやすいように「見える化」されることが大事です。例えばこのRESASの中には、携帯電話のソフトバンク所有者による人々の移動データが見えるようになっています。道内都市から稚内への移動データを観てみましょう 

 

【RESASによる分析】道内都市から稚内への移動データ
 http://bit.ly/1H6iNA3

 まだデータ数が少ないのでこの程度ですが、今後様々な種類のデータが増えてゆくでしょうし、分析の品質も向上してゆくに違いありません。
 

   ◆   ◆   ◆

 

 第二部は、「道北地域の観光振興の可能性を考える」というテーマで、これまでの成功事例とこれからのアイディアが紹介されました。

 登場したのは留萌観光連盟事務局長の佐藤太紀さんと、宗谷シーニックバイウェイルート運営代表者会議事務局長の杉川毅さん。

 留萌の佐藤さんからは、「情報発信から情報伝達へと意識を変えたいと思う。情報のフィードバックを行って留萌管内として観光まちづくりを進めている」とのこと。また、「留萌管内はホスピタリティが弱いので、それを強化したい」とし、さらに「最近は天売焼尻での体験キャンプを進め、また道北最大級の吹奏楽合宿のメッカになりつつある。楽器を運ぶには質の高い道路が必要で、良いインフラが地域に目を向けるきっかけになる」とも。

 また稚内の杉川さんからは、「利尻・礼文も含めてかつて81万人の観光入れ込みが、今では約50万人に減った。特に、道外客はともかく、道内在住者が利尻礼文へ行ったことがない人が多くなっている。その原因としては、団体での旅行が減り個人旅行が中心になってきたことが大きいと思う」という現状分析がありました。

 また、「以前札幌でレンタカーを燃料付きで10台貸して稚内への旅をまかせてみた。多分日本海川沿いに北上するのじゃないか、と思っていたら、半数は深川まで高速できて、そこから国道275号線を使ってなんとオホーツク海側の浜頓別へ抜けてそちらを回って稚内へたどり着いた。それで初めて観光客は目的地があっても最短の道だけではなく周遊ということをするんだと思った。今日の勉強会を踏まえてビッグデータについて勉強してみたいと思った」と感想を述べられました。


       ◆  


 最後に道北地域の観光の可能性として、まちづくり観光デザインセンター代表のかとうけいこさんから、道北地域の観光資源のすばらしさについてあらためて多様な視点が提供されました。

 なかでも大雪山の素晴らしさは、外国人旅行者ほどよく知っていて道民や上川管内の人の方がそれを知らずにいるという指摘がありました。

 非日常を求める外の人の憧れと、地元民としては日常の暮らしの中にある当たり前の価値とのギャップを考えさせられます。 

 そして、「美しい風景や美味しい料理はもう当たり前で、北海道はそれだけハードルが高い大変な地域とも言えます。だから『今だけ、ここだけ、私だけ』の特別感や暮らしを感じるストーリーを提供しましょう。地域の資源をさらに楽しくするにはもう一味を加えて、誰に合わせるか。どこで誰と何を食べるかを鍵にしてはどうでしょうか?」という提言。

 かとうさんとは長い付き合いになっていますが、最近は現場をよく見る機会に恵まれて、自分自身の腹落ちした情報を力強く発信してくれるようになりました。

 さて、では地元民の我々はどう提言を実践してゆくか。ビッグデータという新しいツールを活用しつつ、地元の「人」を活用してゆくという王道は変わらないような気もします。

 道北の観光振興は、隣り合った開発建設部が連携して支援してゆきますよ。

コメント
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