興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

『独学文章術』(礫川全次氏)

2020-08-16 | 時には芸術気分

きょうは本を一冊ご紹介します。

『独学文章術 ― 名文をまねて上達する
礫川全次(こいしかわ ぜんじ)著/日本実業出版社刊

「簡潔でわかりやすい文章、おもしろくて為になる文章、思わずマネしたくなる文章」を書くにはどうすればよいのか。
本書は、在野史家で著書も多い礫川全次(こいしかわ ぜんじ)氏が、近現代の作家・文筆家の名文を文例として引用しながら、文章上達のコツを説いた一冊です。

 シンプルで平易な名文を味わう(山本有三)(括弧内は文例)
 音読に堪える文章を書こう(尾股惣司)
 明確なメッセージを発しよう(伊丹万作)
 難しい理論でもわかりやすく説く(三浦つとむ、吉本隆明)
 時を超えて胸を打つ文章がある(「裁断橋擬宝珠の銘文」)

など、どの項も切り口が明快で、解説も具体的でわかりやすい。

といって、本書は単なるハウツー書ではありません。
採りあげた文例の背景やエピソードが語られ、文例以外にも名文筆家たちの残した「文章術に関する名言」が随所にちりばめられています。

著者の関心の広さと豊富な読書量を窺い知ることのできる、おもしろい読み物といってよいでしょう。

ところで、著者は「ブログも文章修行の場になる」とも述べています。
「不特定多数の読者の眼に、自分の文章をさらす緊張感」がよいとのこと。これはわたしもブロガーの端くれとして実感があり、共感するところ。

本書を、文章上達を目指す人たちに広くお薦めします。



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