Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

イランの旅 25 再びテヘラン

2014-08-06 10:52:37 | 中近東/北アフリカ
5月5日

イラン最後の夜、テヘランでの宿泊はフェルドーシ・グランドホテル。
 ガイドブックにも必ず載っている大きなホテルだが、
   
通された6階は廊下からちょっと変わったインテリア。部屋の椅子はハイヒール型でおもしろ~い、けど部屋は狭い。

翌朝はいよいよ最後の観光。
 
雪山を見ながら市内を走れば、有名な "Down with the USA" のビルはいまだにあるのね。

今日はまず初日に見なかった絨毯博物館に行きたい、と車を停め、博物館のある公園の中に入ると、なんと本日休館日。
考えてみれば今日は月曜日、わかっていたはずなのだが、ガイドさん、またしてもチェックが甘い。

しかたがないので車に戻ると、運転手氏は朝食のレストランに入ったばかりだと言う。
それが車を停めた時から気になっていた羊の看板の店だと言うので早速侵入。
  
 
羊のあらゆる部位を食べさせる店だそうで、鍋の中を覗くとスープの中には脳みそが浮かんでいる。
運転手氏はスープとお肉を食べていたが、これをちょっと味見させてもらうととろとろと柔らかくておいし~。
スタミナ朝食として男性に人気なのだそうだが、次回はこれをガッツリ食べたい。

さて、予定が狂ってしまったのでどうしよう、と考えていると、「私が普段買い物に行くあたりに行きませんか」とガイドさんの提案があったのでそれに乗り、テヘラン市の北部へ向かう。
 
市の中心部を出るとまわりには高層マンションや大型ショッピングセンターが出現し、新しい建物もガンガン建設中。
街路には大きな木が植えられ、その合間に見える店はきれいでしゃれたカフェやらギャラリーやら。

 やがて到着したここはなんと言う場所かさっぱりわからないが、山が近づき、買い物客でにぎわうバザールがある。

外側には八百屋さんが多くて
 
皮を剥いた大量のそら豆やら行者にんにく、イチゴにうどのような野菜
  
若いアーモンド(このまま食べるらしい)やブドウの葉、と季節感がいっぱい。

 
中に入ると乾物や雑貨の店が並び
 
中央にはまた八百屋さんがあって大人気。
 
ここのお惣菜屋さんで初日に気に入ったザクロ・くるみペーストのオリーブを購入。まるでみそ樽のような大きな容器に山盛り入っていると言うことは、やっぱり人気があるんだろう。

バザールの外には洋服の店が多く並び、ガイドさんと一緒に今時のイラン・ファッションをチェック。
ここいらへんは中流の買い物エリアだろうが、テヘランの普段の姿が垣間見えて、ガイドさん、怪我の功名。

やがてお昼が近づいてきたので、またテヘラン中心部へ。
 下町はやっぱりごちゃごちゃと、車も多い。

 
案内されたのは絨毯バザールにほど近いオリジナル・カイヤーム・レストラン。
店内は古いモスクの一部を改装したとかで、半地下になった部分など、表からは想像もつかないほど天井が高い。

ここはガイドさんによればイラン名物、アブグーシュト(またの名ディズィ)の名店だと言うので早速それを注文。
 これが壺焼きシチューのアブグーシュト。
 
まずはスープだけをボールに移し、ここにパンをちぎって入れて食べる。
トマト味のスープは具材のだしがよく出ていて、浸したパンはお粥のようになって食べやすい。
  
壺の中には羊肉、ジャガイモ、ひよこ豆、トマトの具材が残っているが、これは小さなすりこ木のようなものですりつぶし、ペースト状になったらパンにのせて食べる。
店のお兄さんが念入りにつぶしてくれたが、う~ん、以前に食べたことのある友人が「あまり好きじゃない」と言ったわけがよくわかった。

まずは匂いがきつい。自分は羊肉が大好きだが、それでもこれはきついと思うのは脂肪の塊がたっぷり入っているから。
となればペーストも脂っぽくて、ちょっと食べたらもういやになってしまう。
スープの味はいいので、具をつぶさなければ美味しく食べられるように思う。
しかしイラン人はつぶして食べるのが好きらしく、どこのレストランでもこの料理を注文して一生懸命つぶしている姿をよく見かけた。
好みはともかく、名物をやっと食べることができて満足。

食事の後はまだ忙しい。
次はテヘラン観光の定番、宝石博物館のある中央銀行へ。
 全くそっけない外観の銀行だが、土曜から火曜までの週4日、午後2時から4時半のみ開館ということで、時間が近づくと観光客がどっと押し寄せる。

館内はカメラはもちろん、バッグ類なども一切持ち込み禁止。待合室で荷物を預け、セキュリティーゲートをくぐって宝物庫に入ると
 まずは19世紀初めに作られたと言う宝石だらけの「孔雀の玉座」がお出迎え。
さらに進むと、暗い館内にショーケースがたくさん並び、その中はどれも宝石だらけ。
ダイヤ尽くしだったり、エメラルド尽くし、ルビー尽くしと、サファビー朝以来集められたと言う宝石はどれだけあるのか。
 中でも一番有名なのはダリア・イ・ヌールという世界最大のピンクダイヤ。
確かにでかいが、思ったほどピンクではない。
  こちらは最後のパーレビ国王とファラー王妃の王冠。
2キロもあるものを頭に乗せるのは大変だろうね。

とこれらの写真は待合室で売っていたこちらの写真集から。
 英語の説明付きのこのカタログ、ページ数は多くないが主な収蔵品は網羅していてなかなか便利。そしてこれがなんとたったの25,000リアル(約75円)というのには一桁ちがうんじゃないかと耳を疑った。

誰かがショーケースに触れるたびに警報が鳴り響くにぎやかな宝物庫を後にし、
 ペルシャ建国2500年記念に建てられたと言うアザーディー・タワーをぐるっと回って、本日最後の目的地へ向かった。


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イランの旅 24 カシャーン

2014-08-01 18:49:50 | 中近東/北アフリカ
5月4日 続き

午後1時もだいぶ過ぎて、カシャーンの町に到着。
ツアーだと世界遺産のフィーン庭園に連れて行かれるらしいが、お庭にはさほど興味がないので旧市街へ行くようお願いする。

そんなわけで最初に立ち寄ったのは19世紀に作られたマスジェデ・アガー・ボゾルグ。
  
立派な門の正面に一段低くなった中庭を挟んでミナレットとドーム。
 中庭の周りは今も現役の神学校だそうだが、柵も手すりもないのでぼーっとしていたら落っこちそう。

モスクの方は今はもう現役ではないそうだが
  
  
 
これまで見てきたモスクよりもずっと時代が新しいので、装飾がモダンに見えて面白い。

もうかなり時間が遅くなったが、ここでようやく昼食。
 
目立たない入口だが、ここはアッバーシアンという19世紀のガラス商の邸宅。入ってすぐの階段を下に降りると
 噴水の周りがレストランになっている。
 サラダをつまみつつ
 もうすっかりおなじみになったナスの料理。
ここのはこってりしたチーズがかかっておいしい。
 こちらは珍しいラクダ肉の煮込み。
ラクダはくせもなく、柔らかく煮込まれて美味。

栄養補給をしたところでお屋敷の見学。
  
  
家は2つの中庭を巡って建物が取り囲み、いくつ部屋があるのか、迷子になりそうなほど。

 
ガラス商の家らしくステンドグラスがあちこちに使われ
  
  
壁や天井の装飾も繊細だ。

 屋根の上にはバードギールがあって
  風が各部屋や地下の食料庫までまわるようになっている。
この家が家具や使用人でいっぱいだったころはどんなだったろうか、と想像するのも楽しい。

広い家をうろついていたら疲れてしまったので、出発する前にレストランの2階へ。
 
ここは売店になっていて、何種類あるのか、すごい数のハーブドリンクやらお菓子やらを売っているが、いただいたアイスクリームももうなじみになったサフランやファルーデが入っておいしかった。

時間があれば他のお屋敷やバザールを歩いてみたかったカシャーンに後ろ髪引かれつつ、車は高速をテヘランに向かって飛ばす。
 途中、スイカを盛大にぶちまけた事故車を見て「あ~あ」なんて言っていたら、我々の車がなんとネズミ取りに引っかかってしまった。そんなにスピードを出していたわけじゃないのに。
その後は気を付けて見てみるとあちらこちらにパトカーがいて、ここは罰金徴収ロードか。

 途中には大きな休憩所もあって
  
お菓子の実演販売まである充実ぶり。

大都会が近いことを実感しつつ
 飛行機からも見えた塩湖を過ぎて、夜の8時にテヘランに到着した。


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イランの旅 23 アブヤーネ村

2014-07-31 19:46:12 | 中近東/北アフリカ
5月4日

世界の半分、イスファハンを出発するとまわりの景色は緑もほとんどない半砂漠。
 
そんな中に突如現れる高い山は標高3899mのキャルキャス山。

この山のふもとにあるナタンズという小さな町を過ぎたところで車は幹線を外れ、くねくねとした道を標高を上げていく。
 谷には緑が増えて居心地が良さそう。

やがてナタンズから小一時間ほどで目的地に到着。
 
手前の駐車場で車を降り、門をくぐるとその先がアブヤーネ村だ。

この村は標高2200mにあり、山の中に隠れているからだろう、昔ながらの住居が残り、村人の衣装や言語も他とは異なっていると言うことでイランの国家遺産に登録されている。
村の中に入ると狭い通路に面して並ぶ家々はすべて赤い土壁づくりで
  
 
さらに山の上へつながる階段が見える。
   
    
テラスの付いた家も多く
  
 
窓や扉の形も様々で面白い。
 見通しのきくところから見ると山肌に重なり合うように家が並ぶさまはマシャド郊外のキャン村にちょっと似ている。

しかしキャン村がまさに昔ながらの素朴さだったのに比べて、こちらの家々はあまりにもきれいに修復されすぎている。
 こちらでも修復なのか増築なのか、工事が現在進行中。

聞けばこの村の教育水準は高く、若い人たちはテヘランに出て成功している人が多いので金回りがいいんだそうな。
しかも国家遺産として観光客に人気となり
  村中国内外からのツーリストでいっぱい。 
 
若いお姉さんたちは記念撮影に余念がない。

そんな観光客たちを相手に商売しているのはこの村独特の衣装のおばあちゃんたち。
  
  
花柄の服とスカーフがかわいいのだが、この観光客ずれしたばあさんたちの性格はかわいくなくて、売っている乾燥リンゴなどは高いし、写真集をめくっただけで「いらない」とおいたら、「なんだい、見るだけで買わないのかい。わたしゃ貧乏なんだからこの値段よりもっと高く買え」とどなりまくる。これまでイランでこんなことはなかったのでびっくり。
 少数派のじいちゃんたちも明らかに負けている。

この村もおそらく少し前まではキャン村のような素朴なところだったのだろう。
それが観光客が押し寄せるようになり、被写体となる村人たちに欲が出てこうなってしまい、そうなると村の魅力もなくなる。
観光客とはわがままなものだと思いつつ、
 
村の参拝所からまわりの景色を眺めてアブヤーネ村の観光終了。
正直、ここはわざわざ寄り道をしてまで来る価値はなかったかもしれない。

とナタンズまでまた小一時間かけて戻り、荒涼とした景色の中をカシャーンへ向かってしばらく行くと、「あれ、あれ」と運転手氏が前方を指さす。
なにごとかと見ると、道路脇に高射砲が置かれ、監視塔が並ぶ高い塀に囲まれた広い敷地が現れた。

これがなんと悪名高いイランのウラン濃縮工場。
建物などは全く見えないが、まさかこんな観光客がバンバン通る幹線道路脇にあるとは思ってもいなかったので驚いた。

「車の中からでも写真など決して撮ってはいけない」とガイドブックにあったのでさすがに自粛したが、そんなに内緒にしたいならこんなところに作らなきゃいいのに。
イランは不思議な国だ。


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イランの旅 22 イスファハンのマスジェデ・イマーム

2014-07-28 19:15:31 | 中近東/北アフリカ
5月3日 続き

遅い昼食の後、イマーム広場に面したもう一つの大きなモスク、マスジェデ・イマームへ。

 
広場に面して建つ2本のミナレットを持つ入口の門は30mあり、この上部の鍾乳石飾りは圧巻の細かさ。
  
 重厚な扉のあるこの入り口の建物からもうブルーのタイルの洪水。

広場とメッカの方角の関係から45度曲がったこの入口の建物を抜けると
 正面に大きなドームのある南のイワーン。
  
左右に同じ造りの東西のイワーンがある。

まずは右手にある西のイワーンに入ると
  
 
ここも繊細なブルーのタイルで覆い尽くされている。
 この奥に進むと
 中庭があって、周りを囲む平屋の建物は神学校のもの。
  中庭からは中央の大ドームが良く見える。

その大ドームは内部の高さが36m、外の高さが51mと中空の二重構造になっている。
 
そのためドームの真下に立つと音が反響して小さな声でもよく聞こえる。他の国のモスクでも見たことのある構造だが、音の反響の仕方が好きだ。

 
こちらはまた微妙に模様の違う東のイワーンのドーム。
この奥にもまた神学校があって
 
 
ドームとミナレットをじっくり見ることができる。

ところでおなじみアッバス1世によって創建されたこのモスク、マスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーやマスジェデ・ジャーメに比べるとモザイクタイルが少なく、彩色タイルが多い。
 
これは1611年に建設が始まったものの、なかなかモスクが完成しないと王様がイライラするので少しでも工期を早めようと建築家が工夫して、以来採用されるようになったものだとか。それでもこのモスクの完成には25年もかかっている。

もうタイルはお腹いっぱい、という方も多いだろうが、まだ行けると言う方はこちらへ↓


イスファハンの観光はこれで終了、あとはちょっと買い物に走って、夕食はイスファハンで一番有名らしいこちらのレストランへ。
  階段からして高級っぽい「シェエラザード」
  
内部もステンドグラスがきれいだが、ここも外国人の団体だらけなのは他にあまりチョイスがないので仕方ないのか。

 
野菜たっぷりのスープとご飯はまあ無難な味。
 珍しく魚があったので頼んだこちらのフライは、右はおいしかったが左は川魚らしくちょっと泥臭い。
 羊のケバブはちょっと手の込んだ形で出てきたが、これは塩辛すぎ。
 そしてオムレツのように見えるこちらはイスファハン料理のホレシュテマスト。ヨーグルトと羊肉で作られ、サフランで色づけされているのだが、肉は言われなければわからないほどなめらかにすりつぶされ、味付けはものすごく甘い。料理としてもデザートとしても食べられると言うことだが、味は完全にデザート、しかし食感も味もわからないのになぜ肉が入っているのかが謎。まずいとは言わないが何とも不思議な一皿。
 そんなわけでこの店で一番おいしかったのは食後に出されたギャズ。これまたイスファハン名物のヌガーなのだが、この店のは甘すぎず、歯に付くこともなくてとてもおいしかった。

結局イスファハンで一番おいしかったレストランは泊まっていたホテルの一階ということで灯台下暗し。
イラン一の観光都市イスファハンにはホテルもおいしいレストランも足りない。


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イランの旅 21 イスファハンのバザール

2014-07-26 10:42:20 | 中近東/北アフリカ
5月3日 続き

 見どころ満載だったマスジェデ・ジャーメ。
この周りは1000年も前から続くバザールで、古いアーケードがイマーム広場まで1.7km続いている。

 
こういったバザールでは同業者が固まっているのがお約束。入ってすぐのあたりは衣料品の店が多く
 
派手なドレスの店のお向かいはスーツの店と新婚カップルに便利。
肌を出すドレスもネクタイもご法度のはずだけれど、結婚式だけは特別でOKらしい。
 お子ちゃま用ネクタイを持ったマネキンも大笑い。
 
フレディ・マーキュリーにそっくりなこちらの御仁はつけまつげだ。

 
アーケードには水飲み場があったり、銀行があったり、ちょっと入ると小さなモスクもいっぱい。
  
天井の明り取りから入る光がきれいだが、ぼーっと見とれていると
 忙しい荷車にひかれそうになる。

   
要所要所には美しいドーム天井があり、脇に伸びるきれいな通路沿いにあるのは金の店。

このバザール内に生鮮食品はないが、ドライハーブやスパイスの店がいくつもあって、
   
 
ここで買ったドライレモンとヨーグルト用ハーブはどちらもおいしい!
イラン特産のピスタチオはさすがに高いが、それでも250gで400円ぐらい。

これは屋台で売っていた小さな小さなプラム。とても酸っぱくて同行者には不評だったが、酸っぱいもの好きにはおいしい。
 
売っていたおじさんにカメラを向けたら、そばにいたお客さんに無理やりキス。
イラン人、おちゃめすぎ。

こうしてぶらぶら歩くこと小一時間、イマーム広場脇にあるレストランに到着。
  
 
室内装飾の見事なBastani Traditional Restraunt はガイドブックにもあるような有名店なので2時過ぎでもお客さんでいっぱい。外国人ツアー客だけではなく、イラン人も多いので期待する。
 注文したのは左から羊とプラムの煮込み、ナスの料理、チキンの煮込みだったと思うが、ここも味付けが甘~い。

イスファハンの料理は甘いのが特徴なのだろうか。


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イランの旅 20 イスファハンのマスジェデ・ジャーメ

2014-07-23 18:56:51 | 中近東/北アフリカ
5月3日 続き

ヴァーンク教会の後は川を渡り、バザールの中にあるマスジェデ・ジャーメへ。

  入口はさほど大きくなく、入るとまずは地味な廊下がある。
 ここにある模型で最初にモスクの全体像を確認。
8世紀以降何百年にもわたって増改築を繰り返してきたと言うこのモスクは2万平方メートルもあって、イランでも最大の規模なのだ。

入口の廊下から左手に入ると南側の回廊。
   
たくさんの柱が小さなドームを支えているが、柱の形や模様は少しづつ違い
 天井の模様も様々で渋いが素晴らしい。

  
重厚な石の廊下を通って入るのはネザム・アル・モルクのドーム。ミフラーブに青いタイルがあるだけの地味なドームだが
 中庭に面した入口のしゃれた鍾乳石飾りはモンゴル時代のもの。
  
その下の壁にも繊細な模様のタイルがある。

 次に向かうのが西のイワーン。
  
こちらの装飾は17世紀、サファビー朝時代のもの。
   
その脇の小さな入口を入った部屋にあるミフラーブは一面細かな模様とコーランの文句で覆われている。

さらにこの奥にある部屋に入るとガイドさんが扉を閉めて電灯を消した。
 
冬の祈りの間を照らすほのかな光は天井のアラバスタ―を透かして入ってくる。

  
さらに回って北のイワーンに入ると、正面に2本のミナレットを持つ南のイワーンが見える。
 
またたくさんの柱の間を奥へ進むと
  
広くはないがとても高いタージ・アル・モルクのドーム。このドームは数学的に完璧な設計であるために900年間、数々の地震にもびくともしなかったのだそうだ。

 またぐるっとまわって東のイワーンに入ればこれで一周。

暑くて広くてヘロヘロになるし、イマーム広場のモスクに比べれば地味ではあるが、マスジェデ・ジャーメはやはりイスラム建築の粋。いくら見ても見飽きることがない。

と言うわけで、さらに細部を見たい方はこちら↓



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イランの旅 19 ヴァーンク教会

2014-07-22 16:57:00 | 中近東/北アフリカ
5月3日

イスファハン観光2日目はホテルの目の前のヴァーンク教会からスタート。
ジョルファ地区というこのエリアは17世紀初頭、アッバス一世が商業や工芸に秀でたアルメニア人を移住させたところで、一時期は4,5万人もいたアルメニア人も今では5,000人ほどに減ったものの、現在も教会が13残っているとか。

それらを代表するヴァーンク教会は1655年の創建。
  
高い時計塔の下の門をくぐるとやぐらのような鐘楼があり、
 
その隣の教会にはまるでモスクのような大きなドーム。入口の鍾乳石飾りやタイルもモスクのようだ。

しかし一歩中に入ると
 
内部は金を多用したキリスト教式のフレスコ画でびっしり。
  
 
天使も遊ぶ華やかな装飾だけれど
 
その中にまぎれるイスラム風味も美しい。

 
キリスト降架図や懐胎告知のおなじみの絵の下をくぐって表に出ると
 正面にはアルメニア博物館がある。

2フロアの広い展示室だが、入ってまず目に付くのは
  
オスマントルコによるアルメニア人虐殺に関する展示。
100万人ほども殺されたというこの出来事、イランとは関係がないが、アルメニア人としては絶対に忘れない、というところだろう。

   
他にはアルメニア聖書の写本やら、僧衣やらタイルやら、工芸を得意とするアルメニア人らしい細々としたものがいっぱいで楽しく、
 ペルシャの王たちがアルメニア人に特権を与えた証書などもあって面白い。

日本ではほとんど縁のないアルメニア人だが、トルコやシリア、ミャンマーでもアルメニア教会を見かけて興味があった。
教会の華麗さといい、博物館の内容と言い、ヴァーンク教会は期待以上だった。


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イランの旅 18 イスファハンの橋

2014-07-17 14:55:52 | 中近東/北アフリカ
5月2日 続き

陽も傾いてきた頃合いにまたホテルを出発。
ザクロジュースを飲みに行きましょう、とイマーム広場近くの有名らしいジュース屋に行くが、ザクロはシーズンじゃないのでないとのこと。
我らがガイドさん、いろいろと気を使ってはくれるのだが、いまいち詰めが甘い。

それではチャイハネに行きましょう、とイマーム広場を通ると
 
暑い昼間よりも人出が増えて、芝生ではピクニックをしている人たちもいっぱい。
このイラン人のピクニック、シラーズでは夜中にも見たが、座り込めるところがあればどこででも見られて
 これなどはなんと交通量の多いロータリーの真ん中。
なにも排気ガスを吸いながらピクニックすることもないだろう、と日本人は思ってしまう。

さて、案内されたチャイハネはバザールのアーケードを出たすぐのところにあるこちら。
 
この看板の下をくぐると
 
通路にはがらくたっぽい古道具があふれ、店内も骨董っぽいランプ類でいっぱい。

この店、入ってすぐの部屋は地元の男性ばかりが水タバコをふかしており、案内された奥の部屋には女性も含めた外国人ツーリストがたくさんいる。
チャイハネと言えば中央アジアのように庭の高台に座ってお茶を飲むところだと思っていたのだが、こういう穴倉のようなところでタバコを吸うのもチャイハネ、ただしこちらは普通女性は来ないのだそうだ。ここはツーリストのために部屋を分けていて、ジモティー専用部屋の方は写真撮影禁止になっていた。

  そんなわけで、健全部屋の方でガイドさんにお茶を淹れてもらい、シロップ漬けの甘~いお菓子を食べながら一服。
でも確かにこの穴倉より外のピクニックの方が気持ちよさそうだ。

チャイハネでおなかがたぽたぽになるまでお茶をいただいたが、まだ外は明るい。
イスファハン一の繁華街を歩くと
 
持ち帰り専門の店はハリームだったかな、ベリヤニも店先で焼いている専門店の方がおいしそう。

 ショッピングモールではセール中のスカーフの店に引っかかる。
イランのスカーフ屋さんは当然ながら品数豊富で、日本でも使えるものがいっぱいでお安いのだ。

と遊んでいるうちにようやく暗くなってきたので、橋の見学のためにザーヤンデ川へ。

まずは1602年完成のスィー・オ・セ橋。
 
長さが300mもあって、ライトアップされたアーチがとてもきれい。
下段のアーチの下は本来なら水が流れているはずなのだが、この数年来、降雨量の減少と上流のダムのせいで川に水があることの方が珍しくなってしまったとかでこの時もカラカラ。
ガイドブックに良く出ていた橋のたもとのチャイハネも最近なくなってしまったそう。

 
それでも橋の上は散歩をしたり、座っておしゃべりをしたりする人で大にぎわい。
橋の上部はてっきり屋根が付いているのだと思っていたが、上はオープンで、両脇の壁のアーチはところどころ外へ開かれている。
  意外に複雑な造りで面白い。

ここから1.5キロ離れたところにあるのは1666年完成のハージュー橋。
 
こちらは130mほどと少し短いが、上下段とも歩いて渡ることができ
 
中央には豪華な王様専用のテラスもある。
 
下部はダムの役目も果たすように作られているそうだが、川はご覧の状態。

 
この橋の下段には柱の間に座り込めるスペースがあって、ここでもやっぱりピクニック。
イラン人、どれだけピクニックが好きなんだか。

ザーヤンデ川を行ったり来たりしているうちにすっかり夜も更けたが、食事をまだしていない。
いい加減おなかも空いたのでホテルのすぐ裏手にある通りへ。
 
こんな店がいくつも並んでいるこの通りを我々は「チキン・ストリート」と命名した。

  その中でもおいしそうなチキンがグルグル回っているこちらの店で
 
ハーフチキンを所望。我らがドライバー氏もテイクアウトしていたここのチキンは皮もパリッとおいしかった。

 さらに隣のかわいいジュース屋さんで
 
マシャドですっかり気に入ったマージュン
を注文。ここのは前のものほどチョコレートやゴマが入っていないが、その分ナッツとココナッツがたっぷり。
食事が一人あたま60,000リアルだったのにこの一杯は100,000リアル(約300円)とやっぱりお高いが、大満足のプチ贅沢。
もう夜中なのに。


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イランの旅 17 チェヘル・ソトゥーン宮殿

2014-07-16 18:08:00 | 中近東/北アフリカ
5月2日 続き

マスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーを堪能した後はイマーム広場を出て、道一本隔ててアリ・ガープ宮殿の裏にあるチェヘル・ソトゥーン宮殿へ。
  
入口を入ると大きな池があり、その向こうに背の高い柱が印象的な宮殿がある。
1648年、アッバス2世が迎賓館として建てた宮殿だが、現在の建物は1706年に火事の後で再建したものだそうだ。

   
柱は全部で20本だが、池に映る柱を合わせて「40本の柱」が宮殿の名前とか。
このテラスの天井も象嵌細工が見事。天井の中央と正面入り口の上部には鏡がはめ込まれ
 窓の透かし彫りもすばらしい繊細さ。

そして中に入ると
 
内部の壁は鮮やかなフレスコ画で埋め尽くされている。
 
上部の大きな縦型の絵は戦争の画面、横長の絵は宮廷の宴会場面になっていて
 その下には小さなミニアチュールの絵が並ぶ。 
 
これらの絵はサファビー朝時代から様式の変化があり、さらにその後の加筆や修復で様々な手が入っているので一様ではなく面白い。本格的な修復はパーレビ1世の時代から始まったそうだが、イラン革命後もこれが維持されているのは幸い。
イスラムでは人物画を否定するところが多いようだが、さすがペルシャは違うのだろうか。

午前中から素晴らしい建築を3つも見てさすがに少し疲れた。
ここで昼食休憩、とガイドさんが連れて行ってくれたのはイマーム広場のバザールをちょっと入った所。
  
建物の外階段を2階に上がったところにある Naqsh-e Jahan Traditional Banquet Hall。
  
  
ステンドグラスを多用した室内がとてもきれいだ。

 せっかくなのでイスファハンらしいものを、と注文したお料理。
 まずはベリヤニ。インドのビリヤニに名前が似ているが全くの別物。羊の肉と内臓を細かいミンチにして調理し、パンにくるんで食べる料理だが、肉と内臓のミックスにして口に入れるとコクがあっておいしい。
  
シチューのような一皿は羊肉のザクロソース煮込み、なすとブドウの葉包みの料理はトルコなどと同様のドルマだが、これもザクロジュースが使われていてかなり甘い、というか甘すぎる。
 これはケバブだったはずだが味の印象はなし。

インテリアが素敵なレストランだが、お料理の方は正直たいしたことはない。

お腹が膨れた後はぶらぶらとイマーム広場を囲む店など覗いてみる。
   
アーケードには真鍮の道具屋さんがあったり
 
タイルや七宝の店があったり
 
版木が美しくディスプレイされたブロックプリントのお店も素敵だ。
購買意欲をそそられるが、昼休みで閉ざされた店が多かったのは幸いだったかも。

ここで一休みのために一度ホテルに戻ると、なんと部屋を変われと言う。
昨晩の大きな部屋は特別だったようで
 
今度の部屋は何の変哲もない狭いツイン。ちぇ~、窓からはアルメニア教会が見えて景色は前よりいいけど。

気を取り直してちょっと外へ散歩。
 
発見したイタリアン・ジェラートの店は中に入ると奥にサフランアイスのフリーザーがあって、これが本物のサフラン使用、ピスタチオごろごろでうまい!しかもアイスとメロンジュースでたったの120円、お姉さんも親切で感激。

すっかり機嫌も直った(単純)ところで、また観光に出かけよう。


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イランの旅 16 イスファハン、イマーム広場

2014-07-13 19:24:08 | 中近東/北アフリカ
5月2日

いよいよイラン観光のハイライト、イスファハンである。

 少し早めの8時半に出発、ホテルのあるアルメニア地区からザーヤンデ川を渡ると大通りは中央が緑の遊歩道になっている。

車を降りてイマーム広場へ。

まだ観光客の姿もまばらな広場はさすがに広い!

目立つのは大きなドームのモスクだが、まずは左手のアリ・ガープ宮殿へ。
 
ここは16世紀末、イスファハンに遷都したサファビー朝のアッバス1世が建てた宮殿。
 地味な入口から入ると 
 
1階はこれまた彩色が褪せて地味ながら、繊細な装飾で早速趣味の良さがうかがえる。

   
途中階の部屋の装飾は19世紀以降に破壊されてしまったとのことだが、階段まで美しいタイル張り。
これを上がって行くと大きなテラスに出る。
 ここから広場を一望できるのだが

現在テラスを修復中のため、正面は足場で視界を遮られてしまう。
それでもここから眺めれば、左手にマスジェデ・イマーム、正面にマスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーが見えて広場の大きさが改めて実感できる。

 
木造のテラスの天井も精緻な模様で彩られ
  壁には優雅な美女たちがいる。
 
テラスに続く部屋の装飾も優美だ。

そしてこの上の階にあるのが有名な音楽室。
  
  
 
壁や天井に無数につぼ型の穴があけられているが、これは雑音を吸収し楽器の音を際立たせるための工夫なのだそう。
同じような装飾はアンベール城など、インドのムガール建築でよく見かけるが、こちらペルシャがオリジナルだ。

最初の建物からもう興奮しきりだが
 広場中央の噴水をまわり
 
次はお向かいのマスジェデ・シェイフ・ロトゥフォラーへ。モスクへの入り口は正面、両脇にはバザールが続いている。

 
入口の見事な鍾乳石飾りをくぐると
 
天井が低く華やかな廊下が途中で折れ、そこを抜けると 

圧巻の空間。

 
この洗練された美しさには息をのむしかない。

正方形の室内は正面にミフラーブがあるのみでからっぽだが、まわりを覆い尽くすタイルはとにかく精緻の一言。
   
 
壁の下部こそ彩色タイルだが、ドームも含めた上部はすべてモザイクタイルで、これもアッバス1世建造のこのモスクは完成まで17年かかったとか。

彩色タイルもトルコとは違った華やかさで、さすがペルシャ!
ということでタイルをもっと見たい方はこちら。


しかしイスファハン観光はまだ始まったばかり。


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コメント (6)
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