7月23日
朝5時のアティン村。
一家の主婦はもう起きだして、5時半には家の裏にいる牛の乳搾りを始める。
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ここにいる仔牛が柔らかい毛でかわいい。
やがて同じように乳搾りが済んだのだろう牛やヤクたちが山へ出勤して行き
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仔羊をかかえたお兄さんたちもどこかへ出かけて行った。
家の裏では番犬がしっかり仕事をしているが
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この家にはもう一匹小さな室内犬がいて、芸など仕込まれているものの待遇がだいぶちがう。
絞ったばかりの牛乳は沸かして朝のおめざ。
思ったほど乳脂肪分は高くないようでさっぱりしている。
さらにお父さんがチャパティを焼いてくれて
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自家製ヨーグルトも添えた朝ご飯。しぼりたての牛乳と持参のフィルターコーヒーでカフェオレを作ったら、これがもう最高においしかった。
朝食が済んだらオーナー一家とお別れ。
これから一家でダライラマの説法会に行くのでおしゃれしている。
アティン村を出た我々は幹線道路をはずれて少し山の中に入る。
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すぐに岸壁の中ほどに見えてくるのが11世紀にナーローパが開いたとされるゾンクル・ゴンパ。
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下から見上げると本堂は崖の中にめり込んでいるように見えるが、実際この本堂の最上階にあるナーローパが瞑想修行したとされる部屋は岩窟そのまま。
撮影禁止の内部は暗いうえに灯明の煤で壁が真っ黒だが、懐中電灯で照らしてみると煤の下に古い壁画が残っているのがわかったのには感激した。
瞑想部屋の下には聖水が滴っているという小部屋があり、これをありがたくいただいたら
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きれいなドゥカンでダライラマと対面。
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本堂の脇には僧坊が並び、その頭上にはもう一つの瞑想石窟が鳥取の投入堂のように見える。
12年前にはあそこまで上ったが、今回はこの後の行程を考えて自粛。
ところでこの僧院のお坊さんたち、今日はダライラマの説法会のためにみんな出払ってしまい、我々はあやうく中に入れなかったところなのだが、ドライバーが出かけようとしているお坊さんを一人つかまえてくれた。
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まだ17歳というイケメンの鍵番、頭の形のすばらしいこと。
お礼にこのお坊さんを車に乗せて、我々もダライラマの説法会へ行くべくパドゥムへ向かう。
会場は町のはずれ、何もない原っぱの中にたくさんの車が停まっている。
その周りには物売りがたくさんいて、まるで縁日みたい。
門の前には金属探知用のゲートが設置され、現地人はすぐに通されるが外国人は厳重な荷物検査があって、カメラの動作確認までされる徹底ぶり。
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そこを過ぎてしばらく行くと前方に建物が見えてきて
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まわりは文字通り人の海。
ダライラマはほぼ毎年ラダックを訪問されるが、ザンスカールにまではなかなかいらっしゃらないのだろう。
訪問の日程は直前まで決まらなかったようだが、それでもこの人出。どういう情報システムになっているのか。
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前の方ではご老人方が熱心にお話に耳を傾けているが、周りでは一家総出でピクニックを楽しんでいたり、若い子たちも着飾っておデートしたり、ナンパしたり。
ハレの日ということでぺラクというこの地方独特の頭飾りや絞り染めのストールを身に付けた人も多くて
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特にトルコ石と銀細工で飾られたぺラクが見事だ。
混み合っている会場だが、一角に外国人席が設けられ、英語訳の流れるこちらに割り込ませていただく。
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ダライラマのお姿はシルエットでかろうじて見えるだけだが、チベット語で話すお声が聞こえ、その後にはラダック語の訳が続く。
お話しは「宗教や宗派が違ってもみんな仲良くするように」みたいな内容だったと思うが、英語訳が聞きづらいのであまりよくわからない。
しかし合間合間にお経を誦される声に張りがあって耳に心地よく、今年83歳になられたがまだまだお元気な様子。
なにより話のつなぎに「オー、ヤー」とおっしゃっる、その言い方がかわいくて、ザンスカールでこの説法会に遭遇できたのは実に幸運だった。
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朝5時のアティン村。
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一家の主婦はもう起きだして、5時半には家の裏にいる牛の乳搾りを始める。
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ここにいる仔牛が柔らかい毛でかわいい。
やがて同じように乳搾りが済んだのだろう牛やヤクたちが山へ出勤して行き
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仔羊をかかえたお兄さんたちもどこかへ出かけて行った。
家の裏では番犬がしっかり仕事をしているが
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この家にはもう一匹小さな室内犬がいて、芸など仕込まれているものの待遇がだいぶちがう。
絞ったばかりの牛乳は沸かして朝のおめざ。
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さらにお父さんがチャパティを焼いてくれて
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自家製ヨーグルトも添えた朝ご飯。しぼりたての牛乳と持参のフィルターコーヒーでカフェオレを作ったら、これがもう最高においしかった。
朝食が済んだらオーナー一家とお別れ。
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すぐに岸壁の中ほどに見えてくるのが11世紀にナーローパが開いたとされるゾンクル・ゴンパ。
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下から見上げると本堂は崖の中にめり込んでいるように見えるが、実際この本堂の最上階にあるナーローパが瞑想修行したとされる部屋は岩窟そのまま。
撮影禁止の内部は暗いうえに灯明の煤で壁が真っ黒だが、懐中電灯で照らしてみると煤の下に古い壁画が残っているのがわかったのには感激した。
瞑想部屋の下には聖水が滴っているという小部屋があり、これをありがたくいただいたら
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きれいなドゥカンでダライラマと対面。
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本堂の脇には僧坊が並び、その頭上にはもう一つの瞑想石窟が鳥取の投入堂のように見える。
12年前にはあそこまで上ったが、今回はこの後の行程を考えて自粛。
ところでこの僧院のお坊さんたち、今日はダライラマの説法会のためにみんな出払ってしまい、我々はあやうく中に入れなかったところなのだが、ドライバーが出かけようとしているお坊さんを一人つかまえてくれた。
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まだ17歳というイケメンの鍵番、頭の形のすばらしいこと。
お礼にこのお坊さんを車に乗せて、我々もダライラマの説法会へ行くべくパドゥムへ向かう。
会場は町のはずれ、何もない原っぱの中にたくさんの車が停まっている。
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門の前には金属探知用のゲートが設置され、現地人はすぐに通されるが外国人は厳重な荷物検査があって、カメラの動作確認までされる徹底ぶり。
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そこを過ぎてしばらく行くと前方に建物が見えてきて
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まわりは文字通り人の海。
ダライラマはほぼ毎年ラダックを訪問されるが、ザンスカールにまではなかなかいらっしゃらないのだろう。
訪問の日程は直前まで決まらなかったようだが、それでもこの人出。どういう情報システムになっているのか。
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前の方ではご老人方が熱心にお話に耳を傾けているが、周りでは一家総出でピクニックを楽しんでいたり、若い子たちも着飾っておデートしたり、ナンパしたり。
ハレの日ということでぺラクというこの地方独特の頭飾りや絞り染めのストールを身に付けた人も多くて
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特にトルコ石と銀細工で飾られたぺラクが見事だ。
混み合っている会場だが、一角に外国人席が設けられ、英語訳の流れるこちらに割り込ませていただく。
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ダライラマのお姿はシルエットでかろうじて見えるだけだが、チベット語で話すお声が聞こえ、その後にはラダック語の訳が続く。
お話しは「宗教や宗派が違ってもみんな仲良くするように」みたいな内容だったと思うが、英語訳が聞きづらいのであまりよくわからない。
しかし合間合間にお経を誦される声に張りがあって耳に心地よく、今年83歳になられたがまだまだお元気な様子。
なにより話のつなぎに「オー、ヤー」とおっしゃっる、その言い方がかわいくて、ザンスカールでこの説法会に遭遇できたのは実に幸運だった。
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