Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

15年初夏の東北 8 三陸鉄道北リアス線~山田線

2015-07-31 19:41:28 | 国内旅行
6月29日 続き

陸奥湊からはまた八戸線に乗り込んで久慈へ。
朝の列車は学生だらけだったが、10時過ぎの列車は中高年でまたもやいっぱい。

 
何とか席を確保して、線路に迫る海を見ながら1時間半。

 久慈に到着して、このままみなさん三陸鉄道に乗り換えるのか、と急いで鉄橋を渡ると
 
案の定ホームには人があふれている!「あまちゃん」から2年経ったし、平日だし、と思っていたのだが甘かった。
 
早めに移動したのでなんとか席に座ることができたが、後から来た人たちは立っている。
聞けば団体ツアーのお客さんが100人も乗っているそうで、おかげで普段は2両の列車が3両編成になっている。
「いつもこんなにお客さんがいるの?」とかわいい駅員のお姉さんに聞いてみると、「今日は安い切符のお客さんが多いので」って、すいません、私も「安い切符」です。

なんとか座席をキープできたところで、まだ時間が少しあるので駅舎へ戻る。
 
JRのすぐ隣に建っている三陸鉄道の久慈駅。
 
せっかくここまで来ながら、今回は申し訳ないが駅前ロータリーを見るだけ。
駅にはなんだかいろんなキャラクターがあふれているが、鮭を抱えているのは牛なのだろうか。

 
小さな駅舎内にはお菓子なども売られていて、その奥にあるのがお蕎麦のスタンドの「リアス亭」。
 ここの「うに弁当」が有名なのだが、人気があるのでお昼前に当然のごとく売り切れ。
  そのために電話で予約をしておいて、無事にゲットできた、これが1470円のお弁当。
結局朝ご飯がヘビーだったのでお昼には食べられず、帰宅してからいただいたが、たっぷりのウニも車内で食べた方がおいしかったかな。

やがて満員の乗客を乗せて列車は出発。
 
車窓に見えるのは岸壁で続く工事。 
 
新しい道や橋も次々に作られているようで
 
途中ではちょっと停車したり、災害や復興の説明のアナウンスも入る。
 住民の皆さんはまだまだこれからが大変なのだろうが、線路が復興したおかげでこんな美しい景色を見られることに感謝。

100人の団体さんは北リアス線のちょうど真ん中、田野畑駅で大挙して降りてしまったのでその後は車内もゆったり。
1時間40分で宮古駅に到着。
 
謎の「にゃんこ神社」を横目に、連絡通路を通ってJR山田線へ乗り換え。

待っていたのは「わんこきょうだい」のイラストがかわいい快速「さんりく宮古号」。
 
しかしこの列車も中高年で満杯で、なんとか座れたものの空いた座席でゆったりという予想は大外れ。
「大人の休日倶楽部」の盛況はめでたいが、まさか山田線がこんなに混むとは思ってもいなかった。
次はもっとマイナーな路線を選ばないと。
 
延々とひたすら山の中を行く山田線は十分にマイナーなはずだったのだが。

快速列車は途中どこにも停車せず、2時間10分で盛岡着。
 駅ではこんな横断幕に迎えられて、はい、岩手もまた来ます。


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15年初夏の東北 7 陸奥湊

2015-07-29 16:38:52 | 国内旅行
6月29日

八戸のホテルは朝食付きだったけれど、旅に出た時だけはやたら勤勉(笑)なので、何もいただかずに8時10分の八戸線に乗車。
通学の学生でいっぱいの列車で2駅、やってきたのは陸奥湊。
  
駅前では早速「イサバのカッチャ(市場のかあちゃん)」が出迎えてくれる。

駅前の狭い道路を挟んでは小さな市場がいくつも並んでいるが、真っ先に目指すのは八戸市営魚菜小売市場。
 
ここでいろいろ買って朝ご飯をいただくために早起きしてきたのだ。

市場内には通路が2本あって、一方は加工品や焼き魚の店が並ぶ。
 
こちらはどこも商品がたくさん並んでいるが
 
鮮魚を扱う方はもう片付けている店も多くて並んでいるお刺身の種類も少なく、かなり寂しい。8時半ではもう遅かったか。
 
それでもおばちゃんたちと言葉を交わしながら見て回り、おいしそうな生マグロ一皿550円は量が多すぎるので「半分にして」とお願いしたら、なんだかあまり変わらない量が盛られてきた。

買い物が済んだら市場の奥の食事スペースへ行き、ご飯とみそ汁(各100円)をいただいて準備完了。
  
 
マグロの他は鮭の紅葉漬けに身欠き鰊を甘く炊いたものを乗せれば丼ご飯もぺろり。
地物のお刺身がなかったのはちょっとがっかりだったが、600円で満足の朝ご飯。

さらに他の市場を覗いてみると
 
ホタテやらヒラメやら新鮮な魚が並び
  
ウニ、ウニ、ウニがめちゃくちゃおいしそう!先にこちらを覗いてウニ丼にすればよかったと激しく後悔するが後の祭り、生ウニを持って歩くわけにもいかないので
 せめても、と瓶詰の塩ウニ、1200円をお買い上げ。
「地元産だけじゃなく、ロシア産とかも入ってると思うよ、じゃないと値段が高くなっちゃうからね」とお店の人は正直申告してくれたが、量もたっぷり入っておいしかった。

駅前朝市は一通り見たが、次の列車までまだだいぶ時間がある。
そこで港を見てみようと海の方へ住宅地の中をしばらく歩く。
 到着したのは館鼻岸壁。
ここは毎週日曜の朝には300店もの屋台が出ることで有名なのだが、平日の朝には広~い岸壁はがらんとして人っ子一人いない。
 
その岸壁の端にぽつんとあるスーパーは漁船の乗組員がお客さんなのだろう。
 
イカ提灯もかわいいが、渋いお土産コーナーで買ったイカ飯はイカが柔らかくて食べやすかった。

港からは高台にタワーが見えたのでそちらに向かってまたてくてく。
 階段を上がった先にはグレットタワーなる展望台があったが、なんとこの日は定休日。

高台から八戸方面を眺める頃には朝の曇り空がすっかり晴れ上がってくれた。

駅まで戻る道筋にはイカ漁のための電球屋さんがあったり、見事なホヤが売られていたり
 
 
おばあちゃんたちが店先で干す干物もおいしそうなのに、なんで買ってこなかったんだろう。

駅に戻り、次の列車を待つ間に外を覗くと市場の前にはウミネコがいっぱい。
 
魚屋さんの前でもおこぼれを待っていたりするが、町の人は邪険にする様子もない。

いろいろ心残りのある陸奥湊、次は日曜の朝市に来てみたいものだ。
 

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武蔵小山でかき氷@「まめ茶和ん」

2015-07-26 17:57:39 | 食べ歩き
たった1ヶ月前には青森で寒さに震えていたと言うのに、このところの東京の暑さはなんなんだ。

こう暑い時にはかき氷!
最近はかき氷ブームとやらでおいしそうな店はたくさんあるが、人気店はどこも何時間も並ぶのが当たり前なんて、この暑いのにとても無理。

そこで近所でかき氷を食べられるところはないかと検索してみると、ほんの数日前に開店したばかりの店を発見。

「まめ茶和ん」

場所は武蔵小山のアーケードからははずれた渋い商店街の中。
建物の外階段を上がった2階にかき氷ののれんのかかった入口がある。
 
ドアを開けると正面にはオープンキッチン、その奥には席数が20以上もあって思いがけず広い。

メニューを見ると食事のメインは讃岐うどん、午後は和菓子を売りにしているようだが、今日はもちろんかき氷。

抹茶かき氷の小600円に白玉100円をプラスして待つこと10分弱。
 
えっ、これで小なの、という大きさのかき氷登場。
てっぺんに乗った白い氷からガリガリした氷かと思ったが、食べてみればそんなことはなくて柔らかい口どけ。
抹茶シロップはかなり甘さ控えめで苦みが効き、上からかけられているので中心の氷は白いが、十分にかけられているので最後まで抹茶風味を楽しめる。

メニューの説明書きによるとこちらのかき氷は「しもきた茶苑大山」というお茶屋さんの「茶師十段」直伝とのこと。
この師匠のお店、調べてみたら結構な人気店で夏は整理券をもらうのも大変らしい。

師匠のかき氷とどれだけ違うのかはわからないが、かき氷はふらっと来て食べたいのでこちらで十分。
お店のお姉さんもとても感じがいいし、かき氷を食べ終わる頃には熱いほうじ茶を持って来てくれるところも気が利いている。

お会計の時に開店記念のお土産をくれたので開けてみると
 かわいらしい紅白まんじゅう。

近所にいい店ができてくれてうれしい。
次はうどんとくずもちを食べに行こう。


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15年初夏の東北 6 青い森鉄道と浅虫温泉

2015-07-25 17:44:52 | 国内旅行
6月28日 続き

田舎館から弘前に戻り、駅前で軽くお茶。
 1月にはアップルパイをお持ち帰りした「茶房Coco」で今回はタルトタタン。小ぶりに見えるが濃厚なので一つで十分満足。

弘前からは青森に出て、向かい側のホームで待っていた青い森鉄道に乗車。
第三セクターであるこの路線、空いているかと思ったら座席がすべて埋まって立っている人もいるほどの乗車率。
青森市郊外の住宅地へ向かう人と、「大人の休日パス」の観光客が重なったためのようだ。
 
車両にはイメージキャラクターのモーリー君が描かれ、ホームの注意書きにまで登場する推されっぷり。
 
下車した駅にはグッズ売り場に自動販売機まである力の入りようなのだが、タオルやピンバッジなどのグッズにいまいち食指の動くものがないのが残念。キャラクターはかわいいんだけどねえ。

さて、やってきたのは青森の奥座敷と言われる浅虫温泉。
 
駅の周りには旅館が立ち並び、ここでほとんどが降りたと思われるパス利用の中高年たちはすぐに駅前に待機していたお迎えの車に乗り込んであっという間に消えてしまった。

この駅前には大きな歩道橋があって、これを渡ったところにあるのが
 「道の駅 ゆ~さ浅虫」
平屋の普通の道の駅とは違い、ここはレストランや会議室まで備えた5階建てのビル。
そしてこの5階には展望浴場「はだか湯」があるというので行ってみると
 
大きな窓からはすぐ目の前の陸奥湾と湯の島が見えて、これが晴天だったらどれだけ素晴らしい景色だろう。

2,30人は入れそうな大きなお風呂はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉だそうだが全くの無色で無味無臭。誰でも入れそうな温度に調整されて塩素消毒もされているので、温泉と言うよりは景色のいい銭湯といったところ。
しかし350円できれいなお風呂はありがたく、汗を流すつもりで立ち寄ったものの、この日はすごく寒かったので暖まれたのがありがたかった。

ひとっぷろ浴びた後は一階の物販コーナーでお買いもの。
 
なかなか充実した広い売り場でいつものごとくりんごのお菓子など物色するが、クルミの入った「茶屋の餅」もおいしかった。

滞在1時間半で再び青い森鉄道に乗り、八戸で一足先に東京へ帰る友人とはお別れ。
  
八戸線に乗ってやって来たのは本八戸。

今夜の宿は駅前のビジネスホテル、「セレクトイン本八戸駅前」
 
 窓からは駅のホームが見える最高の立地で、これで一泊3000円とはすばらしい。

駅前のホテル側にはバスのロータリーがあるだけ、反対側も住宅地で閑散としていて、繁華街へは10分ほど歩かなければならない。
 そこまで行けばデパートもあり、飲食店の集まった一角もある。
せっかく八戸まで来たのだからここでお寿司でも食べよう、とわざわざ本八戸に宿を取ったのだが、この日はとにかく寒くて、とても冷たいものを食べる気にはならない。

ということで目についたお蕎麦屋さんに入って
 
暖かいせんべい汁を所望。野菜がたくさん入った汁に、ふやけたせんべいはすいとんのような感じでほっとする。
なるほど同じ南部せんべいと言っても汁用のものはお菓子として食べるものとは違うのね、と実感。
 もうひとつデザートとして「あずきばっと」。
暖かい小豆のお汁粉にひもかわうどんが入った、これも南部の郷土食だそうだが、団子が細長くなったと思えばそれほど違和感はない。

この「はっと」という言葉、「ほうとう」がなまったという説もあるらしいが、そう言えば南部藩の祖は山梨から移って来たと司馬遼太郎の本で読んだことがあったっけ。

予定は狂ったが、八戸らしいものが食べられてよかった。


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マレー料理食べてチベットに思いをはせる

2015-07-23 18:32:14 | 機内食・映画・美術展
所要のついでに渋谷に行った。

さて、お昼は何を食べようかと考えていると、偶然目についたのが珍しいマレーシア料理、「マレーアジアンクイジーン」
  
食べたいものがメニューにあったのでエレベーターで2階に上がってみると、入口にこそ大きな国旗があるが、店内はなかなかおしゃれな造りでエスニック色はない。

久しぶりに食べたかったのはナシ・レマ。
 ご飯の周りにチキンカレー、揚げ卵、イカンビリスに揚げせんべい。
チキンカレーは塩が強めだが辛さはサンバルで調節できるようになっているので食べやすく、おかずを混ぜながら食べればご飯がすすむ、すすむ。
ご飯がココナッツ風味でないのは残念だけれど、スープにサラダ、飲み物にデザートも付いて1000円ならランチとして十分。
シェフと思しき人は中国語を話していたのでおそらく中国系マレーシア人だろう。
メニューも豊富そうなので、今度は夜に来てみたい。


お腹を落ち着かせたところで次に入ったのはこの店からすぐ近くの映画館、イメージフォーラム。

 「ルンタ」 

我がHNでもある「ルンタ」とはチベット好きならご存じの通り、天を駆けて仏の教えを広める「風の馬」のこと。
この名を冠した「ルンタ・プロジェクト」というチベット難民支援のNGOがあって、代表はダラムサラ在住の中原一博氏。
この映画は現在チベットで多く発生している焼身自殺に心を痛める中原さんに密着してチベット人の苦悩を伝えている。

チベット人の焼身自殺については以前から「なぜ」という気持ちが強かった。
そうしたところで厚顔無恥な中国政府が心を動かすはずもなく、何も変わらない無駄死になのではないかと。

チベット人には幸運なことにダライ・ラマという強力なカリスマ性を持った絶対的指導者がいる。
その人の戒めもあって、チベットでは同じように抑圧されたウイグルとは違い、暴動やテロ行為というのはほとんど起こらない。
彼らが中国政府の横暴に対して起こすのは抗議のデモだけなのだが、それに参加しただけでも逮捕され、拷問を受けて何年も投獄される。
となれば抗議の姿勢を表すには焼身自殺しかない、となってしまうのはこの映画を見てようやく理解できた。決してそれを容認することはできないけれど。

チベット本土にはこれまで4回行って、いずれも単なるツアーだけれど、その度にいろいろ耳にした。
ダラムサラに行って教育を受けて来た者は公職にはつけないこと、お寺にお参りした大学生は学校から追放されること、寺の僧侶の中にも中国政府のスパイがいること、小学校でもチベット語の授業がなくなりつつあること、などなど。
ラサなどは行く度に漢人の比率が増えてチベット人が少数派になりつつあるのが明らかにわかるし、地方に行けばどこから連れて来たのか、子供のような人民解放軍兵士であふれている。
道はどんどん舗装されて移動は楽になって行くけれど、遊牧をやめて安っぽい「模範村」と称する定住住宅に住むことをチベット人本人たちは望んでいるのか。
一介の旅行者にさえこれだけ見えるのだから、実際にはどれだけの横暴が行われていることか。

映画の前半はインドに逃れてきたチベット人たちへのインタビューだが、後半では中原氏とカメラはチベット本土のアムドへ行く。
チベット難民の救済活動をしている人がアムドに入れたのが驚きだが、「これが最後になるかもしれない」との中原氏の言葉はこの映画で彼の活動が知られてしまう、という意味だろうか。

アムドの景色は美しく、チベット人たちはやっぱり正直だ、自分がその地を訪れた時と同じように。
この人たちがどうか自分たちらしさを維持できますようにと祈らずにはいられない。


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15年初夏の東北 5 田舎館の田んぼアート

2015-07-21 17:51:28 | 国内旅行
6月28日

津軽湯の沢から弘前に出て、今年の1月に乗ったばかりの弘南鉄道に再び乗車。

そしてやって来たのはその名も「田んぼアート」駅。
 
前回は一面の雪原だった田んぼも今は緑一色、いつかは見たいと思っていた田んぼアートをまだ少し早いかもしれないけれどせっかく近くまで来たのだから見て行こうと、夏の間だけ列車の停まるこの駅に降り立ったのだ。

まず目指すのは駅からも見えるこの展望所。
 
すぐ隣には道の駅いなかだてがあるこちらは弥生の里展望所というそうだが、200円を支払ってエレベーターに乗り、展望台に出てみると

今年の第2田んぼアートはスターウォーズ。
田植えが5月31日だったそうなので約1ヶ月、「まだ少し早いかもよ」と弘前駅の駅員さんには言われたけれど、水面はまだ見えるものの絵柄はもうちゃんと見える。
 この絵は展望台の上からの角度を計算した遠近法で描かれていて、近くで見れば異なる色の稲を緻密な計画に従って植えているのがよくわかる。
たいしたもんだな、と思いつつ、実は想像よりはかなり小さかった。 
 というのも展望台から見える駅の向こうに広がる田んぼ、こちらに田んぼアートがあるものと勝手に思い込んでいたのだが、考えてみればこんな広さに細かく色の違う稲を植えるのは大変すぎる。

 第2田んぼアートを確認したところで、次は展望所のすぐ前から出るこの無料シャトルワゴンに乗って第1田んぼアートへ移動。

10分ほどでやってきたのは田舎館村役場なのだが
 
立派な門に天守閣まであるこの役場にはびっくり。
 
この天守閣がこちらの展望台になっているので、また200円を払ってエレベーターで上に上がる。

 天守閣のてっぺんはこんな感じで、外に出ると

大きなレット・バトラーとスカーレット・オハラがお出迎え。


こちらの方が稲の生育が早く、絵の緻密さも高くて見事だが、なんで「風と共に去りぬ」が「青天の霹靂」なんだろう?
と不思議に思ってたくさん待機している係りのお姉さんの一人に聞くと、「青天の霹靂」とはこの田舎館村で作られているお米の品種名とのことで納得。
 ついでにこの絵には7色、11種類の稲が使われていることまで丁寧に説明してくれた。

ところでこの日は東北が梅雨入りしたばかりのどんよりした天気、晴れていれば見えるはずの岩木山も全く見えず、展望台の上は風が吹いてものすごく寒い。後で見たらこの日の弘前は10℃だったとかで、せっかくの田んぼアートも長くは見ていられない。
しかし展望台を下りても村役場の周りには何もなく、役場の中の喫茶コーナーも7月からの営業でコーヒー一杯飲めない。
ちょうどいい時間のシャトルもないので呼んだタクシーのおじちゃんによると、今日はまったく待つこともなく上れた展望台も夏休みになると2時間待ちになるとか。

寒かったけれどちゃんと田んぼの絵が確認できたし、待たされることもなかったのでよしとしよう。
今頃は稲ももうすっかり成長しているだろう。


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15年初夏の東北 4 古遠部温泉

2015-07-17 20:14:44 | 国内旅行
6月27日 続き

大館からは奥羽本線に乗って15分、青森県に入って最初の駅、津軽湯の沢で下車。
 
駅前には何もない無人駅だけれど、列車からは我々の他にも中高年ばかり5,6人も降りてびっくり。
そしてさらにびっくりしたことにはその全員が同じ宿の迎えの車に乗り込んだのだった。

駅から宿までは車で5分と聞いていたけれど、「クマ出没注意」の看板の出ている道をどんどん奥に入って行く。
そして到着したのが 「古遠部(ふるとおべ)温泉」
 
まるで何かの現場事務所のようなそっけない外観だが、受付で出迎えてくれたのは日本人とは思えない見た目の美人女将。はっきりと華やかな顔立ちはハーフタレントの誰かに似ているのだけれど誰だか思い出せない。若い頃のロザンナに似ている、と言ってわかる人がどれだけいるやら(笑)。

超てきぱきといろいろ説明されて、案内された部屋へは階段を下りて行く。
 
扉を開けると長い廊下があって、その先にすでに布団の敷かれた6畳間。古い部屋だけれど畳は最近取り替えたらしく、きちんと掃除された部屋にいぐさの香りが心地いい。
 
窓の外を覗くとお湯が流れて地面は一面鉄さび色。それというのも部屋のすぐ隣が女湯への入り口。さらに階段を降りて行くが、到着した時には近所から来ているらしい日帰りのお客さんでいっぱい。その話声が部屋の中にいても聞こえて、でもおかげで空いている時がわかってこれは便利だった。

この宿に到着したのが4時半近く、「夕食は5時15分から、絶対に時間厳守!」と言い渡されていたのでお風呂にも入らずすぐに食堂へ。
 
たっぷりのお刺身はホタテが抜群においしく、ミズの酢の物にはホヤが入っていて、これ実ははじめて食べた。
 
岩魚の塩焼きと天ぷらはアツアツが運ばれてきて、時間厳守もこのため。「写真なんて撮ってないで早く食べて!」なんて叱られてたおじさんもいたが、これがまた女王さまっぽくておじさんたちの鼻の下が伸びる。
 味噌汁の巨大なめこがおいしくて、家庭料理風ではあるが8300円の宿でこれだけ出されたら何の文句もない。

食事を終えても外はまだ明るいので、玄関脇にいるこの宿の番犬と遊びに行く。
 
 柴犬にしては珍しい毛色だけれどこの犬はペットではなくて番犬だ、と厳しくしつけているらしい若女将。クマやらシカやら出る山の中では本当に重要なお仕事。でもおねえさんが投げるおやつを必死で待つ姿がやっぱりかわいい。

そうこうするうちに日帰り入浴のお客さんも少なくなったので待望のお風呂へ。
 昼間はごった返していた狭い脱衣場からガラス戸を開けると
 
それほど大きくない浴槽にお湯が文字通りドバドバとそそがれ縁からあふれ出している。
  おかげで隅にシャワーブースが一つあるために狭くなった床一面、常に5cmほどお湯に覆われている状態。

浴槽内のお湯は緑がかった色で濁って底が見えず、入ると思いがけず深い。鉄臭いお湯はナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉で源泉温度43.6℃だそうだが、加温もしていないのに浴槽内でも43℃はありそうだったのはよほど汲みたてほやほやということだろう。近所のおばあちゃんたちが「ここはお湯がいいから」と我がもののように自慢するのも無理からぬ気持ちよさ。

しかしこの温泉が有名なのは何と言ってもこのお湯が溜まった床に寝そべって「トド」になれるから。
 何しろ宿の中の案内にもちゃんと書いてあってトド公認なのだ。

そこで他の人がいなくなったところで自分も桶を枕に転がってみると、背中を熱いお湯が流れてまるで岩盤浴みたい。これは腰や背中に良さそうだし、なにより気持ちいい。
同行の友人はドバドバのお湯の鮮度に感激していて、ふふ、この人もだいぶ温泉がわかってきたな。

宿は満室とのことだったがそれほど部屋数はないので夜中などこの素敵な温泉を独占して、朝ももちろんトドになって
 朝ご飯の後も名残惜しくもう一度入りに行ったら他のお客さんたちも行動は同じだった。

またみんなで駅まで送ってもらって宿を後にしたが、素敵な女王様のいる素晴らしい温泉のこの宿、絶対にまた来よう。


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15年初夏の東北 3 玉川温泉と秋田犬会館

2015-07-15 23:11:54 | 国内旅行
6月27日

ふけの湯からのバスは田沢湖行き、目指す鹿角花輪へは途中のアスピーテ入口というバス停で乗り換えなければならない。
しかし宿の人に聞くとバス停の周りには何もないと言う。
そこで乗り換え地を通り過ぎて玉川温泉まで行き、50分の乗り換え時間で田沢湖発鹿角花輪行きのバスに乗ることにした。

雨の中を走ること35分で有名な玉川温泉に到着。
 
さすがに宿泊棟から食堂、売店といくつもの大きな建物が並ぶ。

時間はあまりないけれど、まずは車窓から見えた噴煙の上がる景色を見ようと自然研究路へ。
 
周りには強烈な硫黄のにおいが立ち込め、道の脇には湯畑。
 
ぼこぼこと温泉の湧き出る大噴は玉川温泉の源泉、北投石は台湾の北投とここにしかないラジウムを含む石だそうで
 さらに先へ進むとオンドル小屋があって、ゴザを小脇に抱えた湯治客と何人もすれ違う。

これを見たらやっぱり温泉に入らずには帰れない、と急いで大浴場へ。
 
たくさんのお客さんで大にぎわいだが、浴槽がいくつも並ぶ浴室は広くて、ぬるめに調節されたPh1.2の強酸性のお湯は源泉50%でも傷に染みる。
箱蒸しも気持ちよさそうだし、この温泉に10分しか入れなかったとは残念無念。
ここはそのうち泊まりに来ねば。

後ろ髪引かれつつ時間通りに来たバスに乗って1時間10分で鹿角花輪駅へ。
 
列車の時間まで1時間あるので、かなり寂しい駅前だけれど昼食を求めてうろうろ。
 見つけた居酒屋にあったのは納豆味噌ラーメン。
納豆は細かく刻まれているので納豆汁を思えばなるほど違和感はない。ニンニクも効いたパンチのあるスープに中太の麺が合って、おかげで体が温まった。

食後のデザートにはすぐ隣にあった大きなお菓子屋さんのこちら。
 「けいらん」は鹿角の名物で、クルミ入りの漉し餡を包んだ白玉餅。ただし餡には胡椒が入り、しかもこれを澄まし汁に入れることもあるのだとか。「お口に合うかどうか」と心配してくださったお菓子屋さんの上品な女将さんによると、お葬式などで人が集まる時に出されたものなのだそうだ。確かに甘い餡の中から胡椒がピリリと効いて、今までに食べたことのないお菓子。

 鹿角花輪からは花輪線に乗車。
 途中の十和田南駅は珍しいスイッチバックの駅なので、ホームの先でレールが行き止まりになっている。

乗車55分で終点の大舘駅に到着。
 ここはこの1月にも来たばかりだが
  駅の中も
  外も秋田犬だらけ。

というわけで次の列車までの1時間で秋田犬会館と言うところに行くことにした。

駅前からタクシーに乗って10分ほど。
  
ここは秋田犬保存会の建物で、3階に秋田犬博物室がある。
  
途中に貼られたポスターのかわいさにノックアウトされつつ階段を上がり、入口で100円を払って中へ。
 
元々マタギの伴侶であったことを示すやけにかわいい模型やら
 大館出身のスター、ハチ公の写真やらある中に
 
アルバムまであったのは秋田犬と戯れるプーチンの姿。なんでも3年前に一匹、大統領に献上されたそうで、大型犬の好きそうな大統領に気に入られたらしい。
それにしても今年はなぜかプーチンによく遭遇する。ファンでもなんでもないのに。

一通り秋田犬の勉強をして一階に戻り、建物の脇に回ると
 
ケージの中にいるのは御年2歳の色白美人の夏子ちゃん。
  
遊んでほしそうに寄ってくるので鼻づらをなでてやるとこのお顔。かわいい

乗ったタクシーの女性運転手さんによると大館市にはさすがに秋田犬を飼っているお家が多いそうだが、近くで見れば実感できる通りかなり大きいので散歩などは飼い主が引きずられるほどとか。餌も大変そうだが、やっぱり賢そうでいいなあ。

それにしてもこのために往復2000円かけるとは、我々も物好きだ。
  
   
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神楽坂でフレンチ@「デジーノ」

2015-07-13 17:51:52 | 食べ歩き
最近旅行以外ではさっぱり地元の商店街の外には出なくなってしまい、ましてやおフレンチとはすっかりご無沙汰していたのだが、友人に誘われて神楽坂へ行ってきた。

指定されたお店は地下鉄神楽坂駅から徒歩5分、とは言えにぎやかな商店街の方ではなく、新潮社の脇道をちょっと入った静かな一角にあるこちら。
 「デジーノ」

 
開店時間よりちょっと早めに着いてしまったが、入れていただいた店内は奥が小さなパティオになっているので明るくすっきり。

やがて合流した友人とメニューをじっくり拝見して、最初に登場したアミューズは
 豚のリエット、オリーブと、奥はなんだったっけ?
 もう一品、こちらは玉ねぎのブラマンジェ。
上に生ハムが乗っているが、それ以上に赤玉ねぎのショリショリがブラマンジェのアクセントになっておいしい。
 前菜にはいわしのマリネを選んでみたが、このマリネはほとんどお刺身。上に乗ったフレッシュトマトのソースがよく合い、下にはズッキーニやパプリカなどのお野菜がいっぱい。
 メインは豚にしたが、これは肉やら内臓やら耳やらいろいろな部位を細かく刻んで煮こんだものとのことで「コラーゲンも入ってます」ってとこが大切。臭みや癖もなく食感が楽しくてとても食べやすいが、お肉の下のマッシュドポテトにマスタードソースたっぷりで味もボリュームもかなりがっつり。
 
ということで軽そうなものをと選んだデザートはトマトのコンポートのゼリー寄せとオリーブオイルのアイスクリーム。アイスクリームはオリーブオイルが入っているのか上からかけただけなのか、香りがちょっとするぐらいだが、甘酸っぱく煮こまれたトマトとグレープフルーツを包むカルダモン風味のゼリーがさわやか。トマトは確かにフルーツかも。

全体に味がしっかり系なのは江戸風ということだろうか。
プレゼンテーションは美しく女性好みだが、ボリュームはかなりあって、プチフールまでいただいたら苦しいほど。
サービスの男性は料理の説明を早口ながらしっかりしてくれるが、もうちょっと愛想があったらもっと居心地がよくなるだろうに。

食後は近所の友人宅でだらだらおしゃべりをして、夕方神楽坂をちょっと案内してもらった。

こちらは数年前に建て替えられたばかりという赤城神社。
 
社務所がマンションの中に入っているところが都心らしいというべきか、この神社とマンションは隈研吾のデザインだそうだが、隈さんはこの神社の氏子だそうな。そのせいか銀山温泉で物議をかもした藤屋旅館より周りの景観とあっているような気がする。

表通りこそ全国チェーンの居酒屋などが目立つものの、ちょっと脇に入ればおもしろそうな店がいっぱいの神楽坂。
「住まいは神楽坂です」と言ってみたい、と引っ越しを検討してみたこともあった。
そのうちまた友人のしょばを荒らしに来よう。


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15年初夏の東北 2 ふけの湯

2015-07-10 19:33:55 | 国内旅行
6月26日 続き

八幡平頂上からはバスで秋田側に降りて20分。

降り立ったのは標高1100mの山の中にある一軒宿、ふけの湯
 
まるで古い木造校舎のようなお宿。
 
玄関の正面にある「ふけの湯神社」には子宝の湯ということで金精様が祀られている。

案内されることもなく鍵を渡された本日のお部屋は本館の2階。
  いかにも古い6畳間だけれど、掃除は行き届いてテレビもある。ちょっと離れたところにあるトイレもちゃんとウォシュレットだ。

 窓の外を見れば駐車場の向こうに温泉の噴煙が盛大に上がっているのが見える。
今夜は団体が入って全館満室とのこと、これはバスが来る前に露天に入らねば、と急いで浴衣に着替えて外に出る。

 ゆるやかな坂を下った先に広がるのが露天エリア。
 
左手に見えるのが混浴露天だが、浴槽の前には仕切りが何もなくて、遠目とは言えこちらから丸見え。景色はいいだろうが、これは女性には難易度が高すぎる。
その向こうに2つある小屋は地熱浴のためのオンドル小屋。
元々ここにはオンドル式の自炊宿があって、だから名前が「蒸(ふけ)の湯」。その自炊棟はもうずいぶん前に土砂崩れでつぶれてしまったのだそうだ。

道の右手には手前にちゃんと目隠しされた女性用、奥に男性用の露天風呂。
 
脱衣場にはかごもない簡素な造りだが
 
5、6人サイズの浴槽の目の前には硫黄の匂いでむせそうなほどの噴煙がシュウシュウと上がっていて野趣満点。
分析書上では単純温泉とされているが、ここのお湯はもちろん硫黄の匂い。灰色に濁って浴槽の底にも泥がたまっている。すぐ近くにある源泉温度は79.8℃だそうだから当然加水されているのだろうが、42℃ほどの適温になっていて、ハイキングの後にこのお湯は極楽。

ゆったりと露天を楽しませていただいて、6時から食堂で夕食。
 
すべて一度に並べられているので焼き魚や天ぷらがあつあつでないのは残念だけれど、地元産の食材ですべて手作りという食事は味付けも上品でとてもおいしい。その説明をする女将はしっかり土産物の宣伝まで入れて、なかなか商売上手と見える。

満腹になって部屋に戻るとさすがに古い建物なので他の部屋の話し声や廊下を歩く音が良く聞こえる。
しかしそのおかげで人の行き来がよくわかって、静かになった頃を見計らって内湯に行くと案の定だれもいない。
 
こちらにも露天が設えられているが、ここは夜にはぬるすぎた。
そこで内湯の方に移動すると
 総ヒバ造りという美しい湯屋。
 
浴槽は露天よりも大きくて、こちらのお湯は濁りが少なく、硫黄の匂いも弱い。ここは単純酸性湯で露天とは泉質が違うのだ。カランの代わりに木をくりぬいた洗い場も素敵で、こちらのお風呂も気持ちいい。

パリパリの美しいシーツに毛布まで入ったお布団でぐっすり寝たら翌朝は5時過ぎに目が覚めてしまった。
そこで小雨は降っているが一人で露天の方に行くと、昨夜遅くに到着した団体のおばさま方何人かが傘を差して混浴露天に入っているのが見えた。団体のおばさんほど強いものはないものね。
しかしおかげで女性用露天の方は誰もいなくて、満室でこれほどお風呂を独占できるとは思わなかった。

朝食は7時半からまた食堂で。
 自分で焼く鱒の塩加減がよくてとてもおいしく
 
まっ黒いのはちょっと固ゆで気味の温泉卵。もち米の酢の物は「あさづけ」という秋田の郷土料理だそうだがとても珍しい。

バスが10時過ぎまでないので部屋でゆっくりさせてもらって、チェックアウトは最後になった。
しかし支払いを済ませると見送りをするでもなく、トイレもない部屋で一泊13000円もするわりには随分淡白なサービスだ。お風呂と食事がいいので高すぎるとは言わないが。

 本降りになった雨の中、ちょっと早めに来てくれたバスに乗ってふけの湯を後にした。


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