銀座のシネスイッチがなぜかインド映画づいている。
現在上映中の2本共にインド映画、しかも片方はお弁当の映画となれば見ないわけにはいかない、といつもの通りレディースデイ割引の日に行ってみると、上映1時間以上前なのに2本とも既に立ち見。
昨夏の「クロワッサンで朝食を」以来、またも完敗。
せめて短い方を立ち見で、と最初に見たのはこちら
「めぐりあわせのお弁当」 The Lunch Box
インドの都市部には昼食の時間に合わせて暖かい弁当を各家庭から職場まで届けてくれる商売があって、映画の中にも「ハーバードの先生がシステムの研究に来た」みたいなセリフがあったが、名前も付いていない弁当をなぜか間違わずにちゃんと持ち主に届けるのだそうだ。
この間違わないはずのシステムがどこかで狂ってしまって、本来の届け先ではない初老のやもめと、夫婦関係がうまくいっていない若い主婦が弁当箱を通じて文通を始める、というのがこの映画。
この筋書きを読んで、いかにもインドらしい軽いコメディー調の映画を予想していた。
ところが実際は違って、このシンプルな筋立てで現代のインド都市生活者の苦労や寂しさを大げさではなく、とてもリアルに見せてくれる。
給料があがっても物価の上昇に追いつかないとか、長患いの家族の看護の経済的な苦労とか。
特に女主人公の父親が死んだ後、ずっと看病で苦労していた母親が泣き崩れるかと思いきや、「おなかが空いたわ」というところなど、あまりにリアルでどきっとする。
劇中でブータンの話が出てくるところも興味深い。「GNPより国民の幸福が大事な国。物価もインドの5分の1らしい」と桃源郷のように語られるとは、ブータンも有名になったものだ。
全体にとても抑えた表現で、こんなにしっとりしたインド映画は初めてかもしれない。
ラストの曖昧さも、夢物語にせず、でも明るさも感じさせるところがいい。
弁当箱に魅かれて見た(実際、お弁当の中身はとてもおいしそうだった)けれど、予想以上にとてもいい映画で、おかげで通路に座ってみた105分も苦にならなかった。
この映画の終了後、すぐに続けて見たのはこちら
「マダム・イン・ニューヨーク」 English Vinglish
裕福な家庭の主婦が姪の結婚式のためにニューヨークにやってきて、コンプレックスの克服のためにこっそり英語教室に通って自信を取り戻すというお話。
ほとんどニューヨーク・ロケながら、こちらは王道インド映画という感じで予想通りの展開、こてこてではないが音楽や踊りも期待通りちゃんと入っている。
「~お弁当」に比べるとたわいないが、こちらの見どころは主役のシュリデヴィ。インドの大女優でもう50歳なのだそうだが、その年齢が到底信じられないかわいらしい美しさ。もう彼女の顔と、次々に着替えるサリーを見ているだけで楽しい。インドの吉永小百合といったところだろうか。
この映画のはじめには「アミターブ・バッチャンの70歳を祝って」のような献辞が出るのだが、そのアミターブの出演場面は「え、これだけ?」ってほどあっけない。けれどやっぱりかっこよくて、さすがインド映画の顔。
とても分かりやすいこの映画はかなり国外マーケットを意識しているような感じがする。
おかげで時に辟易させられる泥臭いギャグもなく、気持ちよく見ることができた。
134分の長尺、ちゃんと椅子に座れたのも助かったし。
インド映画がこれだけヒットしているとは、なんだかうれしい。
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現在上映中の2本共にインド映画、しかも片方はお弁当の映画となれば見ないわけにはいかない、といつもの通りレディースデイ割引の日に行ってみると、上映1時間以上前なのに2本とも既に立ち見。
昨夏の「クロワッサンで朝食を」以来、またも完敗。
せめて短い方を立ち見で、と最初に見たのはこちら
「めぐりあわせのお弁当」 The Lunch Box
インドの都市部には昼食の時間に合わせて暖かい弁当を各家庭から職場まで届けてくれる商売があって、映画の中にも「ハーバードの先生がシステムの研究に来た」みたいなセリフがあったが、名前も付いていない弁当をなぜか間違わずにちゃんと持ち主に届けるのだそうだ。
この間違わないはずのシステムがどこかで狂ってしまって、本来の届け先ではない初老のやもめと、夫婦関係がうまくいっていない若い主婦が弁当箱を通じて文通を始める、というのがこの映画。
この筋書きを読んで、いかにもインドらしい軽いコメディー調の映画を予想していた。
ところが実際は違って、このシンプルな筋立てで現代のインド都市生活者の苦労や寂しさを大げさではなく、とてもリアルに見せてくれる。
給料があがっても物価の上昇に追いつかないとか、長患いの家族の看護の経済的な苦労とか。
特に女主人公の父親が死んだ後、ずっと看病で苦労していた母親が泣き崩れるかと思いきや、「おなかが空いたわ」というところなど、あまりにリアルでどきっとする。
劇中でブータンの話が出てくるところも興味深い。「GNPより国民の幸福が大事な国。物価もインドの5分の1らしい」と桃源郷のように語られるとは、ブータンも有名になったものだ。
全体にとても抑えた表現で、こんなにしっとりしたインド映画は初めてかもしれない。
ラストの曖昧さも、夢物語にせず、でも明るさも感じさせるところがいい。
弁当箱に魅かれて見た(実際、お弁当の中身はとてもおいしそうだった)けれど、予想以上にとてもいい映画で、おかげで通路に座ってみた105分も苦にならなかった。
この映画の終了後、すぐに続けて見たのはこちら
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裕福な家庭の主婦が姪の結婚式のためにニューヨークにやってきて、コンプレックスの克服のためにこっそり英語教室に通って自信を取り戻すというお話。
ほとんどニューヨーク・ロケながら、こちらは王道インド映画という感じで予想通りの展開、こてこてではないが音楽や踊りも期待通りちゃんと入っている。
「~お弁当」に比べるとたわいないが、こちらの見どころは主役のシュリデヴィ。インドの大女優でもう50歳なのだそうだが、その年齢が到底信じられないかわいらしい美しさ。もう彼女の顔と、次々に着替えるサリーを見ているだけで楽しい。インドの吉永小百合といったところだろうか。
この映画のはじめには「アミターブ・バッチャンの70歳を祝って」のような献辞が出るのだが、そのアミターブの出演場面は「え、これだけ?」ってほどあっけない。けれどやっぱりかっこよくて、さすがインド映画の顔。
とても分かりやすいこの映画はかなり国外マーケットを意識しているような感じがする。
おかげで時に辟易させられる泥臭いギャグもなく、気持ちよく見ることができた。
134分の長尺、ちゃんと椅子に座れたのも助かったし。
インド映画がこれだけヒットしているとは、なんだかうれしい。
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