Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ラダック再訪 10 トゥルトゥク~スムル

2015-09-30 19:11:18 | チベット文化圏
8月20日

トゥルトゥク村の穏やかな朝。
 
杏の木には頭の赤い鳥が来ている。

今朝の朝食はこの地ではキセルとチャミックと呼ぶらしいそば粉のパンケーキとハーブのいっぱい入ったヨーグルト。
 宿のご亭主、ヨーグルトに花まで飾ってくれておしゃれだ。

トゥルトゥク村を出たら羊の群れなどに会いながら来た道をひたすら戻る。
  
 
途中のチャイ休憩の店はこの村唯一の商店だろう。

やがて一泊目に宿泊したフンダル村に到着。
この村にあるゴンパを見学予定だったが、鍵が掛かっていると言うことでマニ壁の横を通って裏山へ。
 
 
少し上った所には祠があって、中に収められたちょっと不気味な面は村の方を守っている。

眼下にはたくさんのチョルテンと入れなかったゴンパ。
 
 泊まった宿は緑の縁のあたりだろう。

ここからデスキットの町まではすぐ。
 
デスキット銀座に並ぶ商品は地元の人向けの物ばかり。

今回はこの商店街の中のいかにもローカルな食堂で昼ごはん。
 
できますものはトゥクパ。モモは持ち帰りの人が多く、地元のおじさんたちはカレーライスのようなものを食べていたが、お味はまあ見た目通り。

デスキットを出てまた川沿いを行くと、広い河原で二つの川が合流するところに出る。
 真ん中の山を挟んで左を流れているのがここまでさかのぼって来たシャヨーク川、右から流れてくるのがヌブラ川。

この広い河原にはまっすぐな道が通っていて、これを通ってシャヨーク川を渡り、ヌブラ川を遡って行く。
 
しかしこの河原、今の時期はほとんど砂漠だが、川が増水することはないのだろうか。

ほどなくチョルテンが見えて、その先の緑がスムルの村。
 
道路脇には商店が何軒か並び、民家もなかなか多くてゲストハウスもいくつかある様子。

この道路脇の一軒に泊まる予定だったようだが、行ってみると別に新しく建てたゲストハウスがあるのでそちらに行けとのこと。
そこで村の中の細い坂道をしばらく行って、ずいぶん上がったところに現れたのが今夜の宿、Lharje Resort。
 
看板脇を入って、正面に建っているのは食堂。
この脇を通って庭の方へ降りて行くと
 まだ真新しい部屋がいくつも並び、建設中の物もあって部屋数はずいぶん多い。
 
部屋は広々、バスルームもきれいで
 
窓やテラスからの眺めも素晴らしい。これならリゾートと名乗っても遜色はない。

 部屋の前には草ぼうぼうの庭があって、ここでみんなでお茶を飲んでいるとおじさんが一人やって来て付いて来いという。
そこでついて行くと
 
すぐ隣の果樹園のリンゴを「食べなさい」ともいでくれる。このリンゴがミカンほどの大きさなのだが甘くてみずみずしくてすごくおいしい。
さらに庭の先に見えるおじさんの家までついて行くと
 
ドラム缶に入れたアンズに水を入れている。このアンズの実は腐らせてしまって、中の種から油を採るのだそうだ。

トゥルトゥクもよかったが、ヌブラ川沿いのスムルも素敵な村だ。


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福井で観た、買った

2015-09-28 18:22:43 | 国内旅行
病気見舞いと言いつつ、病人の顔を見る合間にはちゃっかり観光も。

まずはホテルの周りを散歩すると、足羽川(あすわがわ)の岸はいい散策路になっていてここは桜の名所だそうな。
  
街中には路面電車が走っているが、この福井鉄道は一部が路面、一部が普通の鉄道を走る変わった路線だそうで、特に古い車両が来ると鉄オタの弟は大喜び。

  
首を長くして新幹線の延長を待つ福井駅前には動いて声も出す恐竜たち。その向こうには大型商業施設を建設中だが、現在はいささか寂しい駅前。

 
少し行くとお堀と石垣が見えてくるが、中に建っているのは県庁でお城はない。

福井市は第二次大戦中に大地震と空襲のために古い街並みがすべて破壊されてしまったそうで、街中に見どころはない。
今や観光の目玉は恐竜博物館だが、連休最終日とあって激混み間違いなし。
それでは、と言うことで渋く一乗谷に行ってみることにする。

一乗谷は福井市中心部から南東へ車で30分ほどと、思ったよりもずっと近い。
 
しかし地図で見ればわかる通り細長い谷の両側は山で、谷の入り口は極端に狭く、奥は行き止まり。
防備しやすいこの谷に朝倉氏の支配した戦国時代には一万人も暮らしていたということで、
 
  
その街並みが一部復元されている。

町人や武士の家並の向こうにあるのは朝倉氏の館跡。
 
と言ってもここはもちろん織田信長に徹底的に破壊されてしまったので残るのは柱の跡だけ。
 というわけでこんな自虐的なポスターまで作っているが、朝倉氏の資料館などもあって、歴史をちょっと知っていればここはなかなか楽しめる。

この後は我が家定番の道の駅めぐりで、まずは「道の駅 一乗谷あさくら水の駅」。
 
すぐ近くには凝った造りの農業用水の取水堰があり、三連水車なども作られているので「水の駅」のようだが
  
売店にはあまり特色もなくてジンジャーエールを一本買っただけ。これは甘すぎずにおいしかったけど。

次に行ったのは鯖江市の「道の駅 西山公園」。
 
西山公園は鯖江藩第7代藩主間部詮勝の庭園が元になった大きな公園で中には動物園もあり、レッサーパンダが売りと見えて売店はレッサーパンダだらけ。
 
しかしここの売店は野菜からお菓子類、鯖江特産のメガネまで商品が豊富でついいろいろとお買いもの。
 
まるで砲丸投げの玉のような吉川ナスは焼いて食べたが、皮も薄くてとてもおいしかった。
「すこ」は里芋の茎の甘酢漬けで、これもサクサクした食感でおいしい。

次は「道の駅 パークイン丹生ヶ丘」に行ってみたが
 
ここは食堂のおまけに売店がついているようで戦利品なし。

これでは不完全燃焼ということでもう一軒、越前海岸に出て「道の駅 越前」。
 
ここは真ん中が「越前がにミュージアム」になっていて、よく見ると建物が蟹!片方のはさみ部分が売店になっていて、さらに道路を挟んだ反対側にも建物があり、
 こちらには温泉まである大きな施設。 
  
売店はもちろん魚介類中心で、干物など仕入れる。
「かにミュージアム」にも興味があったが、来年の夏まで改装中ということで、残念ながら営業していなかった。

さらに翌日にもう一軒、福井港のすぐ近くの「道の駅 みくに」。
 
この辺りの特産品はラッキョとのことでいろいろなラッキョが山盛りになっているが
 
広い売店には生鮮食品から加工品まで、今回訪れた中では一番の品ぞろえ。あとでジモティーに聞くとやはりここは定評があるそうで
 ここで買った焼き鯖寿司はおいしかった。
「元祖」とある通り、焼き鯖寿司は三国の店が発祥だそうで、鯖はもちろん、酢飯の塩梅がとてもいい。

と、あれこれ買った荷物を抱えて、最後は小松空港。

ここは自衛隊基地でもあるので
 自衛隊グッズがいっぱい。
 
隊員給食カレー(750円は高い!)やら、松井家秘伝のカレーなんてものもあるが
 
好奇心に負けて「金沢カレーイカ飯」なんてものをついお買い上げ。
食べてみるとカレーの香りはしっかりするが、味は全く辛くなくてわりと普通のイカ飯。

お見舞いと称してよく遊んだ。


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福井で食べた

2015-09-25 16:56:18 | 国内旅行
親類の病気見舞いのため、2月の鹿児島に続いて親子3人で福井へ。

宿は足羽川に面したホテル・リバージュ・アケボノ
 
ジモティーによると元は旅館だった老舗だそうだが、今回はビジネス仕様のシングル部屋に各自チェックイン。
コンパクトに必要なものが揃っていて、とても静かな部屋に年寄りも満足な様子。

町の中心に位置しているのがこのホテルを選んだ一番の理由だが、朝食が充実しているらしいことも楽しみだった。
そこでシルバーウィークの最終日、朝食会場へ行ってみると
 さすが連休、子供や老人も含めた家族連れで大にぎわい。

そしてビュッフェのテーブルには
 
和食のお惣菜から洋食、フルーツまですごい品数。ジュースも6種類ぐらい、パンも何種類か並んでいるが
 
さらにご飯の友が充実していて、これはご飯をもらわなければ。

と言うことで
 一日目も
 二日目も大充実の朝ご飯。

特に煮ものとかおひたし、なますなどが家庭のお母さんが作ったようなほっとする味付けでとてもおいしく、日本のホテルの朝食ビュッフェとしては今までで一番満足度が高かったかもしれない。

ついでにこちらは同じホテルの夜のビュッフェ。
  
 連休最終日で近場のお店はほとんどお休み。このホテルの和食レストランも休日のみビュッフェになってしまって、日本海のお魚が食べられなかったのが残念。料理も冷めてしまったものが多いのががっかりだったが、ローストビーフとデザートのプリンは特筆もののおいしさ。

リーズナブルな値段で、このホテルは大正解。

そして福井で食べるとなれば名物のソースかつ丼を絶対に本家本元で食べたかった。
その本家、「ヨーロッパ軒総本店」はホテルから歩いてすぐ。

「きっと並んでいるよ」と親戚に言われた通り、夜7時に行ってみると店先には10人ほどの列。
 
時々お兄さんが出てきて名前と人数を確認するが
 お向かいでやはり大勢の人が待っている焼き鳥屋に比べれば客の回転が良くて列が動く。
ちなみにお向かいの「秋吉」も福井県内にたくさん支店のある人気店だが、この片町店が一番おいしいんだそうな。

店頭で待つこと15分ほどで無事店内へ。
年寄りが階段を上がれないので庶民的な雰囲気の1階のカウンター席で早速注文。

ヨーロッパ軒と言えばもちろん元祖ソースカツ丼なのだが、ここのメンチカツにも心惹かれ、迷いに迷って「3種盛スペシャルカツ丼」を注文。
そしてやってきたこちら
 
トンカツと開いたエビカツの上にメンチカツ。カツにもご飯にも酸味の効いたウスターソースがたっぷりかかっていいにおい。
薄ーいトンカツには脂身がまったくなく、細かいパン粉がサクサクでやっぱりおいし~
エビカツはエビより衣の存在感が強くていまいちだが、メンチカツがまたすごい。割ると中から肉汁があふれ、柔らかいけれど肉の味がしっかり、これにまたウスターソースが合う。
このメンチだけが乗ったものは「パリ丼」と言うそうだが、次はカツ丼とどちらにしようかともう悩んでしまう。

さらに福井でもう一つ食べてみたかったものは油揚げ。
福井は油揚げの消費量が日本一だそうで、中でも竹田の油揚げが有名とのことなので、弟にレンタカーを走らせる。

 すれ違うのもままならないような細い道を上がって行く竹田は山の中。
よくぞこんなところに、というような畑の中の集落にあるのが目指す油揚げ屋の「谷口屋」
 油揚げ屋というよりファミレスのような外観で、右手の売店もケーキ屋のようなこじゃれた造り。
 左手のテラスの奥にレストランへの入口があり、入るとすぐに番号札のための機械がある。
この日は連休明けの平日、時間は午後1時。それでも待ち時間は30分、外に泊まっている車は京都や大阪、石川など県外の車ばかりなのは噂に聞いた通り。

売店など冷やかしているうちに25分ほどでやっと席に案内される。
しかし案内のお姉さんによれば連休中は3時間待ちもあったそうで、「今日は暇です」とのこと。

注文は3人なのでそれぞれ違うものを頼んで油揚げの食べ比べ。
 基本の油揚げは大きすぎるのでハーフサイズ、さらに食べやすいように切ってもらった。中は関東の厚揚げのようだが、外は焼いた油揚げのようにカリカリ。年寄りには堅すぎたようだが、弟と自分は結構好み。
 こちらはこのレストランでしか食べられない半熟油揚げ。基本の油揚げより揚げる時間が短いと言うことで中はほぼ豆腐のまま。大根おろしとタレをかけるとおいしいが、何もかけないとかなり油っぽく、期待した分ちょっとがっかり。
 そしてもう一品はこれもここでしか食べられないと言うとうふカツ。
しっかり水抜きをした豆腐にパン粉の衣をつけて揚げてあり、知らずに食べればチキンカツかと思うような食感でうまみもあり、3つの中ではこれが一番おいしい。
年寄りは定食についてきた冷奴が一番おいしいと言い、お豆腐がしっかりしていることは確か。

と言うことでわざわざ山の中まで来た甲斐はあったが、3時間待ってまで食べたいかと聞かれればそれほどのものではないようにも思う。
「ケンミンショー」などテレビで有名になったおかげで福井のジモティーたちは簡単に食べられず、そのせいで「スーパーで買えば十分」と評判はよろしくない。

ついでに油揚げにはこれも福井名物のおろしそばをつけたが、つゆの味が薄すぎて今一つ。
 前日に道の駅で食べたおろしそばもあまりおいしくなかったし、次回は地元民のおじさんにおいしいローカルのそば屋を紹介してもらわねば。

福井に行ったのはあくまでお見舞いだったのだが。


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ラダック再訪 9 トゥルトゥク村

2015-09-20 15:41:21 | チベット文化圏
8月19日 続き

昼食を済ませたところで宿へ向かう。

川のほとりで車を降り、木の橋を渡って崖を上がる。
  
 少し行くとホームステイの看板があったのでここかと思ったら
 
我々の宿はソバ畑の中のこちら、Kalman Guest House。
母屋に7部屋、他に離れに4部屋ある。
 
適当に部屋割りをしてもらった1階の部屋はなかなか広くてよかったが、バスルームがらせん階段を上がった2階にしかなかったのはちょっと誤算。
バスルームにお湯は出ないものの、トイレは水洗でとても清潔。

外の日差しが強いので、バケツにお湯をもらって髪を洗い、宿の2階でのんびり。
すると眼の前の建物から子供たちがぞろぞろと出てきた。
 
なかなかきれいなこの建物は学校。女の子たちがスカーフをかぶっているのは国境から10キロのこの辺りはイスラム圏だからで、この村はシーア派とか。この後からは男の子たちも出てきたところを見るとこの学校は共学のようだ。

日もだいぶ傾いてきたところで村の散歩へ。
  先ほど渡って来た橋の方へ行ってみると、下から上がってきたおじいちゃん、「コリアンか?」
「ジャパニーズ」と言ってもピンとこない様子で、日本の存在感も薄くなったものだ。

  
先ほどとは違う制服を着た子供たちが橋を渡って来るのは下にもう一つ学校があるのだろう。
  
崖を上がって帰って行く子供たちの後を追って村の中へ。

  
 
家は石造りで味があり
 一軒の家の前にはホップが植わっている。
イスラムのこの村でビールを作るわけではないだろうに。

 家々を囲む畑で作られているのは野菜やソバ。
  
麦は刈り入れが始まり、人が集まって脱穀作業に忙しい。
 
ここでも麦わらは屋根の上にあげて冬の家畜の餌にするのだろう。

畦道を歩いて行くとシャヨーク川を見下ろす崖の上に出た。
 
村は上下に分かれているようで、店などは車道の通る下にある。
そこで荷物は担いで崖を上がってこなければならないわけで
  すごい荷物のお姉さんはさすがに大変そう。

藁を担いだおばさんたちもそうだが、水汲みの子供からアプリコットでいっぱいのかごを担いだおばあちゃんまで
  この村の女性たちは良く働く。

顔だちはモンゴロイドの色が濃いラダックの他の地域とは明らかに違い、彫りが深くて目や髪の色が明るい人が多いところ、周りの景色ともどもフンザと雰囲気がよく似ている。
ただし割と気楽に写真を撮らせてくれるイスマイリ派のフンザとは違い、ここでは美人も多い女性の姿を撮ることはできない。
喜んで写真を撮らせてもらえたのは建設中のモスクの前の男の子だけ。
 

村の人たちは決して不親切ではないのだが、ラダックの他の村に比べると警戒心が強く感じるのはこの場所の地理的条件のせいか、あるいは観光客に不慣れなせいだろうか。

宿に戻って、夕食は草花の生い茂る庭のテントで。
  
 
庭で採れた野菜を使った食事は豪華ではないがとてもおいしかった。

食後は宿の屋上に上がって、今夜も雲一つない星空の撮影会で

今度はなんとか天の川が撮れた!
けどピントが甘い~(泣)


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ラダック再訪 8 フンダル~トゥルトゥク

2015-09-19 12:06:41 | チベット文化圏
8月19日

ちゃんと電気の来ているフンダル村だが、夜は11時で強制終了。
なので当然、朝は早くに目が覚める。

外が明るくなってきたところで宿の周りの散歩に出発。

  
 今日は雲一つない快晴だ。

 
牛さんたちの出勤風景。

畑では女の子たちが刈り取った草をねじって束にしているし、枯草をいっぱい背負った村人に次々出会う。
  
 
運んできた枯草は屋根の上へ。もう冬への支度が始まっているのだ。

 
村の中ほどにあるチョルテンとマニ石を見たら
 宿に引き返して朝ご飯。

棚に並んでいた器がきれいだったので朝食にはツァンパを所望。
 
バター茶を注いだ上に、「えっ、こんなに」と言うほどの量のツァンパを入れられた。
 これをこねて団子にして、カレーやヨーグルトをつけながら食べる。
器の曲線がこねるのにちょうどよく出来ているのには感心。
ツァンパは麦こがしなので見た目より香ばしくておいしい。しかしすごくお腹にたまるのでこれだけの量はとても食べられない。
ラダックではこれをコラックと言うそうだ。

お腹が膨れたら宿を出発してシャヨーク川沿いをさらに西へ向かう。

しばらく行くとインド軍のスクル基地が見えてきた。
 
この滑走路はパキスタンとの国境に最も近いはずだが飛行機の姿は見えず。

 
橋の所で小休止をして川の水に触ってみると、山からの水は当然のごとくとても冷たい。

  さらに進んでもう一つ橋を渡る。
こちらは川の写真はいいが橋を撮ってはダメ、とガイドがあわてて言う。
 と言うのもここには見張り小屋があって、立派な髭とターバンのシーク教徒の兵士が目を光らせているから。
インドでは橋も滑走路も軍事機密なのだ。

 この辺りはまったくインド軍だらけで検問も何か所かあるが、今は国境があまり緊張していないようで雰囲気はゆるゆる。

 
川筋はだんだん山が迫って来て、しかし緑の全くない荒涼とした景色。
 こんなところで岩を砕き、コールタールを溶かして道路工事をする人々。
少し雨が降れば簡単に崖崩れするだろうことが容易に想像できる。この道を維持するのはいかに大変なことか。

さらに進むと何もないところに突然茶店が出現。
 
雑貨屋も兼ねていて、他には何もないところだから通りかかる車はみんな停まるだろう。
商売上手だけれど、よくぞこんなところに。

お茶休憩をして、しばらく行ったところでようやく緑が見えてきた。
 これが目指すトゥルトゥク村。
パキスタンとの国境まであとわずか10キロ、現在ヌブラで外国人が入れる西の端だ。

村に入ってすぐの道路脇に外国人向けらしいホテルがあったのでここで昼食。
 マンチュースープは中華の酸辣湯がインド化したものだろうか。
ここのは胡椒が効きすぎて食べられなかった。


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ラダック再訪 7 デスキット・ゴンパ

2015-09-17 15:32:05 | チベット文化圏
8月18日 続き

デスキットの町を見下ろすように、少し離れた崖の上にそびえているのはデスキット・ゴンパ。
 
レー郊外のティクセ・ゴンパの分院だそうで、たくさんの建物が重なり合うように建つ姿は良く似ている。

が、このお寺にお参りする前に、谷を挟んだところに座っていらっしゃる巨大弥勒菩薩にまずはご挨拶。
 
まだ2010年に完成したばかりというこの像は32メートルもあるそうで、足元で拝んでいる人と比べると大きさがよくわかる。
さすが熱心に拝んでいる人たちがいるな、と思ったら我らがドライバーたちで、実際車の中でもお経を唱えていたり、ダライラマの説法テープを流したり、信仰心は本物だ。

弥勒菩薩の足元からはシャヨーク川の広い河原に広がるデスキットの町を一望。
 
 町の中心はこの辺り。

 
一度谷へ下り、また崖を上がって僧院の門をくぐる。
 
このお寺にも学校があるので、小さい子供から年配者までお坊さんの年齢は幅広い。

まず最初に入ったのは階段を上がって右手にあるゴンカン。
 
中には顔を布で隠した護法神像がたくさんあって迫力なのだが、内部は残念ながら写真撮影禁止。
女性でも中に入れてもらえるだけよしとしよう。

左手の扉の向こうはまだ新しいドゥカン。
 
扉の金具にはよく見るとトルコ石などの宝石がはめ込まれていて、さすがはヌブラ一のお寺。
 
正面の棚の真ん中にはご本尊である弥勒菩薩、その前にはダライラマと並んでパンチェンラマ10世の写真も。
 境内にはこんなポスターも貼られていて、この辺りでは当然のことながら中国で行方不明の「本物」のパンチェンラマ11世を心配している。

ゴンパの見学を終えたらデスキットの町を離れて、8キロ先のフンダルへ。
 途中の河原はちょっとした砂丘のようになっていて、ここでフタコブラクダに乗ることもできる。

フンダルの村の入口にはインド軍の駐屯地があるが、村に入るとゲストハウスの看板だらけ。
4,5年前まではここが外国人が入れる西の端だったためで
 今夜の宿はそのうちの一軒、Sand Dune View Guest House。
  
2階の部屋はとても広くて明るく、バスルームも清潔でお湯が出るし、レーのホテルではつながらなかったWiFiがなんとここではちゃんとつながる。
すでに10部屋ある宿をさらに建て増ししているところを見ると、ここの経営は順調らしい。

 
広い庭でこまめによく働く奥さんの乳搾りなど見学しているうちに夕暮れになって
  
河原で放牧されていた牛さんたちは勝手にお家に帰る。

宿の一階の台所ではお兄さんたちが夕食の準備。
  
  
きれいな食器の並ぶ居間でいただいたのはご飯にダル、カリフラワーのサブジに野菜炒め、サラダの菜食メニューだけれど、優しい味付けでとてもおいしかった。

食後は真っ暗な河原に出ると、月の沈んだ空は一面の星で天の川もくっきり。
写真家の山本氏に星空の撮り方の簡単なレクチャーをいただくが、本格的なマニュアル撮影などしたことがないのでまったくだめ。
ちゃんと予習をして来ればよかった。


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ラダック再訪 6 カルドゥン・ラ~ヌブラ谷

2015-09-14 18:20:42 | チベット文化圏
8月18日

本日よりようやく楽チンなツアーに参加。
 朝7時に旅行会社の前に集合して、車3台に分乗して出発。

 まずはレーの町を出たところのビューポイントで写真休憩。
レーの標高が3400mぐらい、ここはすでに4000m近い。

町の北にあたるので市街地は左手の丘の向こうで見えない。
足元で建設中のものは何かと聞くと、なんと立体六道輪廻図とか。昔懐かし、タイガーバームガーデンのようにカラフルでキッチュなものが出来そうな予感。

 
さらにどんどん標高を上げて行くが、途中荷台にぎっちり人を満載したトラックを何台も追い抜く。乗っているのは道路の補修工事の人たちで女性が多い。この人たちのおかげでこの峠を無事に車で通れるわけで感謝。

  
よくぞこんな道を作った、というウネウネした道路を上がってまずはサウス・プルでパスポートと入域許可証のチェック。

これを過ぎ、道路にかかるタルチョをくぐってしばらく行くと
 
車で到達できる世界最高所の峠、カルドゥン・ラに到着。
この峠、公称は18380フィート(5600m)だが、手持ちの高度計では5200mほどしかない。
それでもさすがにまわりには雪が残り、頭がクラクラする高度だが
 
休憩所には観光客の車がいっぱい。せっかくなので「先に入らせろ」というインド人のおばちゃんたちとバトルしつつ、世界最高所(たぶん)の公衆トイレにも行っておいた。

ここから下り道になるが、途中インド軍トラックの大車列とすれちがい。
 この先はパキスタンとの国境地帯で軍事的重要拠点。この道が作られ、維持されているのも軍事目的のためで、峠は冬でも一応通行可能なのだそうだ。

 16000フィート(4900m)まで下ってノース・プルのチェックポイント。
ここまでは9年前に一度来たことがあったが、この先がいよいよヌブラ谷。

さらに標高を下げるとヤクの放牧地があったので、ここでまたカメラ・ストップ。
 
ヤクと言ってもここにいるのは飼育しやすい牛との掛け合わせの「ゾ」だ。

その少し先でヌブラ最初の村を発見。
 
川沿いの台地の上、村の周りにだけ緑がある風景。
 公称4500mのカルドゥン村でお茶休憩。
この辺りの村は一年中定住しているそうで、よくぞこんなところに、と思う。

どんどん下ってようやくシャヨーク川が見えてきた。
 
ここでも緑があるのは支流が流れ込む河口の村の周りだけ。

この時期のシャヨーク川は泥をいっぱい含んで灰色、流れはかなり速い。
 
この川は北西に流れて、パキスタンに入ってからインダス川に合流するが、ヌブラ川との合流地点あたりでは河原がとても広くなって、ラダックとはまた景色が違う。

この砂の河原でフタコブラクダ発見!
 
国境などという概念のない頃、ヌブラは東トルキスタン(現在の新疆ウイグル自治区)との交易で栄えていた。その頃に活躍したラクダの末裔が今は観光用に飼われているのだそうだ。

ヌブラ谷で一番大きな町、デスキットは川の合流点のすぐそば。
お昼もだいぶまわっていたので、すぐに町の高台にあるカフェで昼食。
 
一番大きな町とは言え、食堂はいくつもないのでこのカフェも観光客で大にぎわい。
できますものはモモに焼きそば、あとはトゥクパか炒飯、とこの辺りのローカル食堂はみんなそんな感じ。一皿100ルピーぐらいでおなかはいっぱいになる。

 食後はポプラの向こうにある丘へ向かう。


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ラダック再訪 5 レー王宮

2015-09-12 17:15:52 | チベット文化圏
8月17日 続き

ニェモへのドライブからホテルに戻ったが、強い日差しはようやくやわらぎ、しかしまだしばらくは明るそうだ。

そこで市内のどこからでも見えるレー王宮まで登って町を見下ろしてみることにする。

王宮への登り口はイスラム・モスクの先、旧市街に入った所。
 このチョルテンの右へ行っても左に行っても上に上がる道がある。

そこでまずは左手から
  石や泥煉瓦を積み上げた壁の間を息を切らしながら上がって行くと
 
15分ほどで王宮についてしまう。

何層にもなった王宮のテラスの上に上がれば

レー市街が一望のもと。
 
泊まっているホテルは矢印のところ、足元には家が重なり合ったような旧市街が見えるが、ここは以前から少しも変わっていないようだ。

 修復が完全に終わった王宮の内部は今は博物館になっているそうだが、外国人の入場料は100ルピーと高く、「入る価値はないよね」と外人は誰も入らない。
 王宮のさらに上にもゴンパがあるのだが、降りてきた白人のおじさんが「行くんじゃなかった」と息を切らして言うので上るのはやめておいた。
 
 
さっきとは違う道を通って麓まで。
 
下に降りてからもわざと狭い道に入って行くと、観光客相手ではない普段着の店が連なっていて楽しい。

  モスクの近くにはムスリムのお肉屋さんやパン屋さん。
 
メインバザールの突き当りでアクセサリーなど売っているのはチベット人。
 ラダッキのおばちゃんたちは今日もおしゃべりしながら野菜を売っている。

歩き回って疲れたので、本屋の2階にあるカフェで一休み。
 
ダライ・ラマだのチベット仏教だのヒマラヤだの、英語の本に囲まれた落ち着いた雰囲気のこのカフェ
 エスプレッソマシンを使ったアイスカフェオレもできる。
 
窓の向こうには上らなかったゴンパ、正面に見えるのはシーク教の礼拝所のようだ。 

ここでのんびりしているうちに暗くなってきた。
そろそろ夕食を、とまたうろうろして、
 結局外人客でにぎわう「チベッタン・キッチン」に決定。
チベット料理メニューの中に初めて見る「シャバグレブ」なるものがあったので頼んでみると
 
お肉のぎっしり詰まったパイでおいしく、サラダもたっぷりでここはいい。

食事の途中で停電になったりもしたが、大満足でホテルに戻った。


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東銀座の居酒屋「ごち惣家」

2015-09-11 18:15:37 | 食べ歩き
旅仲間との食事が続く。

今度は昨年の南極行きの船で知り合ったオーストラリア人のおっさん。
この人、南極やら北極やら旅行して、中国には仕事で年に何回も行っていると言うのに今回が初来日とか。

台風で飛行機が遅れるのではないかと心配したが、待ち合わせの時間にホテルに行ってみるとちゃんと来ていた。
三原橋のすぐ近くのソラリア西鉄ホテル、いつの間にこんなホテルができたのか、と最近銀座にはとんとごぶさたなので驚く。

築地が近いので鮨屋に連れて行くことも考えたが、「何が食べたい?」という質問に「スシ」とは言わないので、無難に火の通ったものが食べられる居酒屋にしておこう、とネット検索してこちらの店へ。

「ごち惣家」

歌舞伎座の向かいの小路を入って地下に降りる店。
それほど広くない店は若いサラリーマンやOLでいっぱい。
 カウンターに通されたが、まさに居酒屋でオーストラリア人には物珍しいらしい。

注文をしようと「刺身は?」と聞いてみると、「生の魚は食べたことがない」と、ああ、やっぱり。
高い鮨屋や懐石にしなくて良かった。

 お通しには生卵を落とした長芋が来たが、何の問題もなく食べている。
 それぞれ名札付きで登場した刺身も、最初はこわごわ口に入れていたがすべて食べていたので大丈夫だったらしい。
 
看板メニューらしいさつま鶏の炭火焼に、メカジキのカマ焼きと白菜サラダは写真を撮り忘れ、最後はソース焼きそばを食べて、お会計をしてみたら、あら、安い。

この店、おしぼりは冷たいのか熱いのか人肌かが選べたり、料理も2人だとハーフサイズにしてくれたりするところは気が利いているのだが、サービスは何となく「プロデューサー」のにおいがするし、お味も値段なり。
銀座だけれど若い子向けの店に紛れ込んじゃったな。

しかしおっさんは食べることよりおしゃべりに夢中だったので、まあ問題なし。
北極、南極両方のクルーズに行ったおっさんによると、ペンギンやアザラシ、鯨がたくさん見られる南極の方が面白くて、白クマを見に北極に行くなら北欧側よりカナダ側の方が見られる公算が高いらしい。
やはり南極で一緒だったイギリス人のおばちゃんと、来年はガラパゴスに行くことにしたとか。

ちなみにおっさん、昨年のクルーズで会った時より随分スマートになっていて、聞けばこの一年ほどで20キロ落としたと言うからたいしたもの。
「加工食品をやめて、一日一万歩とバイクを日課にしたら落ちた」って、えらいなあ。

「また世界のどこかで会おうね」ってちょっとかっこいい。
こういう知り合いが増えるから旅は楽しいのだ。


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麻布十番でイタリアン@「プリンチピオ」

2015-09-09 14:25:20 | 食べ歩き
インドから帰って早々、一番の旅仲間のKちゃんに「イタリアンが食べたい!」と訴えて連れてきてもらったのがここ。

麻布十番「プリンチピオ」

駅から5分ほど、麻布十番商店街の中ほどにあるが、1階にチーズケーキの店がある細ーいビルの2階にひっそりとあって、知らなければまず気づかない。(ちなみに1階のチーズケーキもかなりおいしい)。
 とても小さな店で全12席。
奥の厨房もかなり狭そうだが、余計な飾りのない真っ白なインテリアが潔い。

席についてまず出されるのが細~いグリッシーニ。
 こんなに細いのは初めてだが、これが香ばしくてとてもおいしい。
昨年のモデナの三ツ星以来、グリッシーニをちょっと見直している。

 アミューズはバターナッツかぼちゃの一口スープと鯖(だったかな?)のリエット。
 メジ鮪のカルパッチョはおいしいお刺身。
 トリュフ・フレークの下に隠れているのはアナゴのフリットで、さらにその下にはジロール茸と小さなムール貝。
トリュフの香りはほとんどしないが、アナゴは衣がカリッと、中はふんわりでとてもおいしい。

パスタは2種類。
 サザエとジェノベーゼソースの冷たいタリオリーニに
 幅広ラガーネにはちょっとぴりっとしたお肉の存在感たっぷりのラグー。

2皿のパスタでもうかなり満腹なのだが、「頑張って食べてください」と出てきたお魚。
 思わず声を上げるほど立派な太刀魚で、下には大好きな北寄貝も隠れている。太刀魚っておいしいよね~。

と、ここまで完食して苦しいのだが、デザートは別腹。同行者が絶賛するメニューを頼んでみると
 ココナッツ・ジェラートとパッションフルーツの乗ったクレマ・カタラーナ、うまし!
カタラーナの甘さもちょうどよく、パッションフルーツの酸味とぴったり。
 締めのエスプレッソにチョコレート・マカロンをいただいて、ふー。

丸くなったお腹をさすっていると、とても感じよくサービスしてくださっていたマダムが「先ほどご覧になっていたのはイタリアの本ですよね」と、知りたくて仕方なかったと言う風に声をかけてきた。
実は食事の前、分厚いイタリアのガイドブックをバラバラにしていた我々、来月二人ともイタリアに行くのだが、行き先が別々なので必要なところだけ破り取っていたのだ。

「楽しんできてくださいね」とシェフと共に気持ちよく送り出してくださった。
気の置けない友達と来るのにちょうどいいお店、まだ若いお二人にもがんばっていただきたい。


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