Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

プーリアの旅 2 オリーブ、ブドウ、そしてチーズ

2018-10-29 19:39:38 | ヨーロッパ
10月14日

プーリア実質初日の朝。
 この時期、あたりが明るくなるのは7時を過ぎてから。
日曜日のためか、明るくなっても広場に人影はほとんど見えない。

今朝はゆっくり、9時にケイコさんが迎えに来てくださって、徒歩5分のご自宅へ。

お宅はご両親との2世帯住宅。
 玄関にはご先祖の胸像や写真、古い馬具などが飾られて一家がこの町に長く住まわれていることがわかり
 
明るくリフォームされた2階のお部屋にお邪魔すると、このルティリアーノと言う町の特産品という土笛や、畑から出土したと言うローマ時代の土器などが飾られている。

こちらに本日ご用意いただいた朝食は
 なんと、正統派和食。
ひじきや切干大根の煮物なんて、自分でだって作らないのに、と感動。

この日本旅館のような朝食をいただいたら、ご主人とお義父さんの車に分乗して一家所有の畑へ。

本日のハイライトはこちらのオリーブ畑の収穫体験。
 
ということで、オリーブの木の周りには網が敷かれ、軍手と潮干狩りに使うような熊手も用意されている。

見ると枝には小さな黒い実がいっぱい。
こちらに植えられているのは樹齢100年ほどのオイルを取るための実の小さな品種だそうで、熟した実はちょっとつぶすとすぐに油が染み出てくる。
 
この枝を熊手でしごくと実がボロボロと足元に落ちて、これがなんとも気持ち良くて楽しい!
 
高い枝の実は長い柄の棒で落とし、一本の木が済んだら網を寄せて実を集め
 
葉っぱや枝を取り除いたら籠の中へ。

この日は作業1時間でこの籠1杯、10㎏ほどで搾油すれば3~4リットルになるだろうとのこと。
しかし共同の搾油所はこの日まだ稼働しておらず、今年は実が早く熟しているので収穫が遅くなりすぎると心配しているらしい。
本来はまだ青い実を絞ったぴりっとしたオイルが好みだそうだが、自家所有の畑とは言え現在はお勤めをしている一家、1年分のオイルに十分の量の実を収穫したらあとほとんどの木はほったらかしにしてしまうのだとか。
本格的な収穫は大変だそうだが、このオリーブ採りは楽しくて、来年の収穫作業にはまた馳せ参じたいほど。

オリーブの収穫を一通り体験したら、次は隣のブドウ畑へ。
 こちらも一家所有のブドウで、どれだけ広いんだというほど、ネットを掛けたブドウ棚が延々。

イタリアでブドウと言えば大抵はワインになるが、このルティリアーノは食用ブドウが特産だそうで、
 
棚の下には文字通りたわわに実ったブドウがびっしり。
 
しかも一房の大きいこと。4種類ほど栽培しているブドウを次々につまみ食いさせていただいたが、完熟のブドウはどれも甘くて、中でもきれいな緑のはウヴァ・イタリアと言って一番人気の品種、マスカットのような風味があってとてもおいしい。
 籠いっぱいに摘んでお持ち帰り。

 さらにこれは畑の脇に生えているサボテン。この実も食べられると言うことで
 
とげが刺さらないようにプラスチック・カップをかぶせてひねれば簡単に採れる。これも楽しい。

戦利品をゲットしたら、再びケイコさんのお宅へ。
  
今度はテラスでお昼をいただくのだが、大きな食用オリーブや豚首肉の生ハムなどの前菜と登場したのがこの近くのアルタムーラと言う町で作られているパン。
以前ボローニャやフィレンツェに来た時にはイタリアのパンは塩気がなく、パサパサでおいしくないと思ったものだが、これは皮はガッツリと歯ごたえがあり、黄金色の中はしっとりと弾力があってすごくおいしい。
その横の輪になったものはタラッリという、これもプーリア独特の物。グリッシーニの変形かと思ったが、思ったより堅くなく、パサパサもしていなくてグリッシーニよりずっとおいしい。

そして登場したのがお待ちかねのフレッシュ・チーズ!
 そもそもコッコロ・マダムとプーリアに来ようと思った第一の理由が作りたてフレッシュ・チーズを食べるためだったのだ。

お皿に乗っているうち、まず最初にいただいたのは真ん中をひもで縛ってひょうたん型になったスカモルツァ・フレスカ。モッツァレラを少し乾燥させたものだそうで、塩気はほとんどなく、ミルク感はたっぷりだが正直ちょっと物足りない。

次はその手前、まるでお豆腐のようなプリモ・サーレ。これは食べても塩気のある木綿豆腐のようで、生姜醤油でもおいしいんじゃないかと思うほど。自分はこれが気に入ってお代わりまでいただいた。

真ん中の円筒はおなじみのリコッタ。ではあるが、これが衝撃的。
今までリコッタはカッテージチーズのように淡白でつまらないチーズだと思っていたのだが、これは牛乳の甘みと香りが広がってうまーい!

そして最後はブッラータ・チーズを一人一個。
 割れば中から生クリームが流れ出て、これが食べたくてここまで来たのだ。

この後さらに瓶に入ったリコッタ・フォルテと言うものを出してもらったが、これはリコッタを発酵させたものだそうで、ほんの少量でも塩気が強くて匂いも強烈。沖縄の豆腐ようにそっくりで、酒飲みにはたまらないんじゃないだろうか。

と、フレッシュ・チーズを次々にいただいてもうかなりお腹いっぱいだが、
 
次はプリモで、パスタの原料、硬質小麦をゆでたもの。お店にも売っていたが、これがムチムチとした食感でムール貝とトマトのスープを吸って大変に結構。日本で言えばそば米のようなものだろうか。

 デザートには手造りのプリンまで用意され
 畑で採って来たサボテンの実はご主人がナイフとフォークで上手に皮を剥いてくださる。
中はぼけたパパイヤのような味、たくさん入った種も堅くて、これは食べるより採る方が面白い。

それにしてもケイコさんはいつこんなに料理を用意してくださったやら。
満腹を抱えて、ひとまず宿に戻って休憩となった。


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プーリアの旅 1 プーリア到着

2018-10-26 19:34:05 | ヨーロッパ
自由ヶ丘「コッコロ」は残念ながら閉店してしまったが、また誘われてコッコロ・マダムと三度イタリアへ。
今回もメンバーは若干違いながら、大人女子ばかりの4人旅。

2018年10月13日から22日まで イタリア・プーリア州の旅

10月13日

午後1時過ぎのアリタリアで3人で成田を出発、12時間のフライトでローマ到着。

入国審査はほとんど待つこともなく通過、ブランドショップや免税店がいっぱい並ぶ中をずんずん歩いて
 
プーリア州バーリ行きのゲートに来てみると案の定バス移動のための質素なエリア。
ここで別の経由便で到着した4人目のメンバーと無事合流。

ローマからバーリは50分のフライトで、予定より少し早めの22時半に到着。

 バーリ空港は福岡空港よりちょっと小さいぐらいだろうか。ちゃんとボーディングブリッジもあって、思ったより立派(失礼)。
 
通路のかわいい絵が早くも食材押しで期待が高まる。

空港には日本人のケイコさんとそのイタリア人の旦那様、さらにお義父様の3人が出迎えに来てくださっている。
これから旅の前半4日間はケイコさんの南イタリアチーズ教室で宿泊から移動、観光まですべてアレンジをお願いしているのだ。

空港から一家の住むルティリアーノと言う町へは車で35分。

 今夜から3泊は町の中央広場に面したこの建物の中。
 
正面の扉を開けると目の前にエレベーターがあるが、これは3階の住人の個人的持ち物だそうで我々は使えず(笑)、階段で2階に上がると B&B Palazzo Didonna の小さな札の下がる扉があり
  
中に入ると所々に古い家具や調度の置かれた廊下の先に部屋が全部で6つある。

我々にあてがわれたのは狭い方の部屋だったが、テレビや冷蔵庫も完備して設備は十分。
 
ただしよくぞこの狭いスペースに設置したと言うバスルーム、朝はふんだんに出る熱いシャワーがなぜか夜はだめなのが玉にキズ。

その代わり部屋のテラスが表の広場に面していて

夜中の町がムードたっぷり。

機内で一睡もしていないので、この夜はさすがによく眠れた。


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初めてのアリタリアで映画三昧

2018-10-24 22:04:12 | 機内食・映画・美術展
今年はなぜか異なる航空会社に次々に乗ることになった。

2月のエアアジアを手始めに、タイ航空、ノックエア、ルフトハンザ、エールフランス、KLM、JAL、ANA、ジェットエアウェイズ、エアインディア、シンガポール。

そして今回のイタリアへは今年12社目のアリタリア。
常に経営危機で、現在もまた破産状態らしいこの航空会社に乗るのは覚えている限り初めて。

出発は羽田には入れてもらえないらしくて成田から。
 好きじゃないスカイチーム塗装のB777。

 エコノミーは3-3-3の座席配列で狭苦しく、欧米人と日本人でほぼ半々の機内は満席。
 
結構しっかりと厚手の毛布と共に袋詰めされた枕が面白くて、真ん中を途中まで2つに割ると首を入れてネックピローにすることができる。
ただし実際に使ってみると首を絞められるようで苦しく、妙に出っ張ったヘッドレストも邪魔になって、枕は腰のクッションにした方がいい。

飛び立ってしばらく経っても飲み物のサービスはなく、先に機内食を配ってからスナックと冷たい飲み物が来るとは、こういうところがつぶれる会社か。
食事のチョイスも機内後方では当然のごとくなくて、有無を言わさず日本食を渡されたが
 この和食は意外にまとも。特にキノコが少し入った味付きご飯がおいしくて、メインの揚げ魚のあんかけも副菜もまあまあ。これなら許せる。

これを食べながら映画鑑賞の始まり。
まずはメジャーなハリウッド映画から。

 オーシャンズ 8
実はジョージ・クルーニ―のオーシャンズ・シリーズは一本も見ていないのだが、これはジョージの妹のサンドラ・ブロックが女性ばかりのチームを作ってお宝を拝借しようと言うお話。
サンドラがいかにも頭良さそうだし、ケイト・ブランシェット姐さんがいつもとは違ういでたちでこれまたかっこいい。

仲間にインド系、アフリカ系、アジア系が入る所がいかにも今風だが、それぞれ「らしい」役割が割り振られ、普段は小汚い恰好ながら一ヶ所全員にゴージャスなイブニング・ドレスを着せる場面があって、これも女性客に受けそう。

見るたびに顔の道具が大きすぎると思うアン・ハサウェイがいつも以上に派手だが、今回はこの映画でも一番の儲け役。しかし彼女もうまい。

これぞ正統派ハリウッド娯楽映画で、理屈抜きに楽しめた。

続いてはこれもアメリカ映画だが、ぐっとシリアスに
 タリーと私の秘密の時間
美人女優のシャーリーズ・セロンは本当に演じる役の幅が広くて、今回は3人の子育てで心身ともに疲れ果てたお母さんの役。
思春期入口の娘、問題行動のある息子、それに生まれたばかりの乳児の世話をする姿は見ているこちらが苦しくなるほど。
これをこの役のために相当体重を増やしたのだろう、シャーリーズが贅肉たっぷりのおなかをさらしてリアルに演じる。

夜間だけのベビーシッターに助けられる話はラスト、なるほどとなるが、お母さんはどこの国でも大変だなと納得させられる。地味だけれどいい映画だ。

せっかくイタリアの飛行機に乗ったのだから、この後は日本ではもうあまり見られないイタリア映画を選択。
 Come un Gatto in Tangenziale (Like a Cat on a Highway)
これはEUのシンクタンクに勤める男の娘と、移民だらけの団地に住む女の息子が仲良くなって、親同士がやきもきしながら近づくというコメディー。
イタリアは階級社会だというのがよくわかって、外国人としては実に興味深い。
中学生ぐらいの子供たちが堂々と付き合って、でも親がどこにでも付いて行くのも面白い。

これが結構面白かったので、同じ男優が主演と同時に監督もした映画も見てみた。
 Contromano (Back Home)
真ん中のハゲのおじさんが監督・主演のアントニオ・アルバネーゼ。
ラインナップに2本もあるぐらいだから現在のイタリアの人気俳優なのだろうか。 

このおじさん、今度はミラノの靴下屋。老舗らしき店で靴下だけを商っているが、店先でセネガル人が安い靴下を通行人に売り出して商売あがったり。怒ったおじさんはセネガル人を誘拐して車に乗せ、アフリカに送り返そうとする。

一応コメディーだがあまり笑えるところはなくて、やはりヨーロッパの移民問題の深刻さが際立つ。
アフリカと言っても車とフェリーで行けちゃうし、イタリアは移民に寛容で、法の不備を移民に突かれても対応が遅いからますます増えるんだとか。

それにしても靴下だけの店って、商売になるのかな。

4本の映画を見ている間には
 おにぎりかサンドイッチのスナックが出て
 ローマ到着前にはこんな軽食。
ハムがおいしければ長時間のフライトの後はこんなものでちょうどいい。

やたらに多い料理関係のテレビ番組(すべておじさんが料理人)を見るうち、12時間でローマ到着。

 乗り継いだバーリ行きのA320は飛行時間50分なので飲み物が一杯でただけでも良かったとしよう。


帰路も同じ飛行機で
 当然飲み物一杯。
 成田行きB777は沖止めで、今度はお客の9割が日本人ながらやはり満席。

今度のフライトでは食事の前に飲み物サービスがあったが、
 その後に出たこの機内食はひどかった。
またもやチョイスなしで渡された和食のご飯はべちょべちょ、チキンは薄味というより味がなく、副菜には猫の餌のようなツナが載っている。

友人が食べたイタリアンはトマトソースと少しのチーズが乗ったパスタがカピカピでさらにひどかったらしく、ホームベース発でこの機内食はグルメ国の名がすたるだろう。

と文句を言いながらまた映画。
今度は韓国映画で
 ゴールデン・スランバー
2010年の日本映画の翻案だそうだが、オリジナルは見ていない。
お人よしで事件に巻き込まれる主人公をオリジナルでは堺雅人が演じていたと聞くと、今回の主演のカン・ドンウォンもその演技を踏襲している感じ。

国家のために、と称して情報部が民間人を犠牲にするこのストーリー、日本より韓国の方がリアリティがあるんじゃないだろうか。
スピーディーな展開で、なかなか楽しめた。

さらにまたイタリア映画を一本。
またコメディーで
 Io Sono Tempesta (I am Tempesta)
テンペスタとは主人公のおっさんで、投資家というか実業家で大富豪ながら脱税したり、政治家と癒着したりとあくどい事をしている。
弁護士などをこき使ってうまく法の目をかいくぐって来たが、ささいな脱税をどうしても逃れられなくてホームレス救済所で社会奉仕をすることになる。

社会奉仕でホームレスの体を洗ったりしながら、この富豪のおじさんがいつも素敵なシャツやスーツを着ているところがいかにもイタリア。
たわいもないストーリーが甘くて興ざめだが、おっさんのおしゃれを見ているだけでも結構楽しい。

それにしても最近のイタリア映画、若い男前スターはいないのかな。

この後しばらくウトウトしている間にはスナックのサービスもあったようだが、到着1時間前に朝食。
 小さなモッツァレラが付いているところがかろうじてイタリア?

しかしこのフライト中、クルーは水一杯配りに来ることなく後部のギャレーでイタリア人乗客と盛り上がり、サービスははっきり言って今年乗った数々の航空会社の中でも最低。

初めてのアリタリアはなぜ破産状態になるのかが実感できるフライトだった。


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イタリアから戻りました

2018-10-23 18:54:49 | 雑談
昨日無事にイタリア旅行から帰国。

今回の行き先はイタリアのかかとにあたるプーリア州。
丸7日間の滞在中プーリアからは一歩しか出ることなく、しかもへそ曲がりなので州内で一番有名なアルベロベッロには行かずじまい。

おかげで日本人旅行者にはほとんどお目にかかることなく、隣国の皆さんを見かけることもなく、すれ違う地元民に「日本人だ」とつぶやかれる、近頃では珍しい経験をすることになった。

食が最大の目的の今回の旅、しばらくはおいしそうな記事をお目にかけよう。


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イタリア・エッセイ読み比べ

2018-10-12 19:27:20 | 雑談
ここのところ続けざまにイタリア関連のエッセイを読んでいた。

まずは大御所、塩野七生先生の「男たちへ」。
 タイトルは「男たちへ」とあるが、掲載されていたのはどこかの化粧品会社のPR誌らしいので、むしろ女たちへ「私のようにセンスのいい女になりなさい」と言う内容。

塩野七生は学生時代に「ルネッサンスの女たち」や「チェーザレ・ボルジア」をとてもおもしろく読んだが、このエッセイは上から目線が強烈で辟易。
ルキノ・ヴィスコンティに呼び出されて遊んでいたなんて、そりゃ普通の女にはできない経験で自信満々にもなろうが、これを楽しく読めないのはこちらのひがみ根性だろうか。

続いてはイタリア語通訳の大御所、田丸公美子の2冊。
 
この人の名前はロシア語通訳の米原真理の本に良く出てくるので知っていたが、シモネッタのあだ名通り、下ネタというか男女のお話しが多い内容。
ご本人、グラマラスなボディーでもてたそうだが、イタリア好きな方は自己顕示欲が強いのだろうか。

笑いながら軽く読めるが、お友達の米原さんの本にあるようなするどい考察や批評はなくて、また米原真理の本が読みたくなった。

最後は初めて読んだ内田洋子のエッセイ。
 これは技あり。3人兄弟の魚屋をつなぎに食をからめたイタリアの点描が次々に展開する、グランドホテル形式。
登場人物との関係を説明するためにご本人も登場するのだが、こちらはあくまで脇に徹して自分のことは多く語らないのでむしろ内田さんと言う人に興味をそそられる。

内容もしっとりといい話が多く、登場する食べ物もおいしそう。
この人の本はもっと読みたい。

と、イタリアがらみの本ばかり読んでいたのは、もうおわかりであろう、今度はイタリアに行くから。
おいしいもの食べに、ちょっと行って来ます。


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武蔵小山の新しいワインビストロ 「エメ」

2018-10-11 17:26:13 | 食べ歩き
先日、夕方のニュース番組を見ていたら近所の店を紹介していたので早速偵察へ。

駅前アーケードから脇に入った道に面しているのはおしゃれな観葉植物の店。
 
ここは以前からあったもののおしゃれすぎて入りにくく、まさかその奥にレストランが開店していたとはまったく気が付かなかった。

お店の名前は「エメ」
シェフはフランスのバスクで修業をされたそうで
 
店頭にはバスクの小物がかわいらしく並べられ、マスタードや蜂蜜なども売られている。

 店内には普通のテーブル席の他にバーカウンターがあるが、これは両面お客さんが座るようになっているのが面白い。

ゆったりした配置のテーブルについて、友人と2人でいただいたのは
 まずは初めてのお店なのでオードブルの盛り合わせ。
パテドカンパーニュの他はキャロットラぺなど野菜中心の品揃え。

 こちらは姿が見えないが生ハムの下に炙ったマグロのマリネが隠れていて、これはパンチがきいてなかなかおいしい。

 お魚の濃厚な出汁で煮こんだキャベツはこれで半人前。

そしてメインに豚ひき肉と万願寺唐辛子のパイ包み焼きをオーダー。
 
パリパリのパイを割るとお肉の香りが立って、粗挽きの食感もいい。

ただこちら、値段の割に一皿のボリュームはかなり少なくて、食事と言うよりはワインのお伴という感じ。
バスクらしいメニューもあまり見当たらなくて、今年の5月にオープンしたそうだが、まだ発展途上だろうか。

いずれにしろご近所に若いシェフの新しい店が増えるのは大歓迎。
がんばっていただきたい。


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ラダックのドライ・アプリコット

2018-10-09 17:03:40 | チベット文化圏
ラダックでお土産になるものと言ったらアプリコット、以上。
と今までにも何回か書いてきたような気がする。

そんなわけで今回もレーのゾムサとアプリコット・ストアでアプリコット・ジャムを買ったが、その他にもう一つ。

まわりがアンズ畑だらけのカルツェのアプリコット専門店で
 
一番いいの、と指名して購入した丸干しアプリコット、一袋220ルピー。
色は黒ずんでいるし、まるで梅干しのような見た目だが、漂白もせず完全に天日干しされたこのアンズはまさに自然食品。カチカチに乾燥しているが、このままかじるとじんわりとアンズの甘さが広がっておいしい。

とは言え種もそのままなので食べにくく、これを買ったのは自分でジャムにするため。
日本に帰ってから何日も置かずにこの丸干しアンズを水に漬けて柔らかくしたが、これは3年前の経験があるから。
この時はラダックの北、ヌブラのトゥルトゥク村でやはり丸干しアンズを買ったが、これをしばらく放置していたら中から小さな蛾が飛び立ってくれちゃったのだ。

今回も水に漬けて柔らかくなったところで実を割って種を除くと、案の定小さな白い幼虫が何匹かこんにちわ。
うげげ、と思いながらもこれぞ天然ものの証し、と文字通り水に流して、お砂糖を少しと、だいぶ前から残っていたシナモンをたっぷりにクローブ、ちょうどもらったすだちにシークワーサー・ジュースも加えて実をつぶしながら煮れば
 
簡単にアプリコット・ジャムの出来上がり。

色は悪いがスパイスの効いた濃厚な味はヨーグルトにぴったり、と自画自賛。
一袋でジャム瓶が3ついっぱいになった。

ついでに他にラダックで買った物と言えば
 新しくできていたこぎれいなコンビニで飲み物各種。
Amulのラッシーは甘さにちょっと癖あり、それより隣のカルダモン・シェークが思いのほかのヒット。

 街道筋の雑貨屋やチャイ・ストップで買った小袋スナック菓子はどれもスパイシーなマサラ味で、辛いもの好きにビールのつまみに出したら大好評。
その手前はピーナッツをキャラメルで固めたもので、不気味な子供の顔が怪しいがとてもおいしい。

ザンスカールでは残念ながら買うものは何もなかった。


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ザンスカールからの葉書

2018-10-06 16:40:53 | チベット文化圏
今やお約束になっている自分あて絵葉書の投函。
しかしザンスカールから出そうとすると準備がいる。

そこでレーの街で訪れたのはメインバザールにある郵便局。
 
この中には売店があるので、ここで絵葉書と日本宛の切手、各20ルピーを買っておく。
というのも切手はともかく、絵葉書はレーを出たらどこにも売っていないのだ。

この絵葉書は時間のたっぷりあるプクタルで書いて
 
パドゥムに戻ったら宿の並びにある郵便局へ。
地面に置かれた看板だけで見落としてしまいそうなオフィスだけれど、局員のおじさんがちゃんとスタンプを押してくれるのを見届ける。

そして待つことしばし。
 7月26日に投函したこの葉書が東京の我が家に到着したのは9月11日。

世界一高所のスピティの郵便局からは2週間で届いたが、ザンスカールはさすがに遠かった。


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ザンスカールの花々

2018-10-04 17:18:14 | チベット文化圏
ザンスカールの花と言えば大好きなブルーポピー。

標高4400mのペンジ・ラに上がる途中から出現することは前回の訪問で知っていたので車の中から目を凝らしていたのだが、なかなか姿を見せてくれない。
いつもなら咲いているはず、とガイドが言う所にも見えなくて、昨冬に雪が少なかったのがこんなところにも影響しているらしい。

かなり標高を上げた所でようやく一つ見つかるとやはり前回より数は少ないがあちらこちらに目につきだした。
  
岩の影にまるで隠れているように咲いているが
 
この鮮やかなブルーは見逃さない。

 ルンゴー氷河をバックに咲いているのはヤナギラン。
 
 
ドゥルンドゥン氷河の辺りにはトラノオやフウロソウがいっぱい。

カルギルからパドゥムの間では他にも毎度おなじような高山植物ながらかわいい花がいろいろ見られて、トイレ休憩も楽しい。
  
  
  
  
  
  
  
  

一方同じように標高の高いプクタル・ゴンパの周辺。
こちらで目立つのはピンクの野バラぐらいで、あとはわずかな草がかろうじて小さな花を付けているぐらい。
  
 
過酷な環境だ。


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「ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅」@町田市立国際版画美術館

2018-10-02 19:31:01 | 機内食・映画・美術展
ザンスカール旅行記が終わった所でツアーリーダーだった山本高樹氏からイベントの紹介があり、雨の週末にでかけてみた。

場所はほぼ縁のない町田。
駅前の繁華街を通り抜けて徒歩15分、急坂を下った先に会場の町田市立国際版画美術館があった。
 
市立とは言えかなり立派な建物。
 まずは1階にある喫茶室でフルーツサンドとアイスティーのセット。
これで600円は良心的。

 
展示室は2階にあって、常設展は無料だけれど、お目当ての「ヨルク・シュマイサー展」は800円。
入口に珍しく「写真撮影可」の表示があって、学芸員さんの曰く「宣伝費がないのでSNSで拡散していただこうと思って」とのこと。なるほど。

不勉強にして知らなかったヨルク・シュマイサー氏はドイツ生まれの版画家。
ドイツの美術学校卒業後に京都に留学し、4年間滞在して日本女性と結婚したということで初期に日本を題材にした作品が多い。

 
技法はエッチングが多く、学生時代には中東で遺跡発掘の記録画家を務めたこともあると言うことで描写が細密。
 
オレンジ色をアクセントにするのがお好きだったよう。

これが特に中国を題材にした作品にはぴったりで
  
 
ニューヨークやヴェネチアもオレンジ色に染まる。

植物を描いた作品はいかにも記録画家らしく
 
作品の中に日記など細かい文字をたくさん書き込むのも特徴の一つだそうだが、文字が入ると古いドイツの印刷物のように見えるのが面白い。

オーストラリアに移住した画家は南極にも行ったそうで
 
晩年にかけて作風が変化して行くのが見えるのも回顧展ならでは。

さて、今回展示の180点のうち6点がラダック、ザンスカールを描いたもので
 
これらを前に山本氏と学芸員さんがギャラリートークをしてくださった。

シュマイサーがラダック、ザンスカールを旅したのは1984年のことで、6週間をかけすべて徒歩でまわったとのこと。
 この絵の隅に日程が細かく書き込まれているのだが、山本氏でさえ「これはすごい」というほどの強行日程。
学芸員さんが「旅行中はサラミとチョコレートしか食べず、奥様によると帰って来た時はひどいにおいだったそうです」と言うのがリアルでおかしい。30年前には交通手段も宿も食べるところもなかったことだろう。

 
いくつものイメージを合わせた絵の中には元ネタのわかるものもあって
 
これは明らかにマンギュの観音像。
 アルチ僧院の下の彼らはどこから来たのだろう。

 ティクセ・ゴンパの絵はブリューゲルのバベルの塔のよう。

 
ザンスカールのバルダン・ゴンパは写真と比べるとおもしろい。

さらに正確なのはこちらの山の絵。
 
元々のタイトルに山の名前はなかったが、山本氏がカルギルからザンスカールへの途次にあるランドゥムの山と特定したそう。
確かに自分の撮った写真の中にもそっくりなものがあって、「ただ地層の方向が実際とは逆なんですよね」とさすが山本氏。

ギャラリートークはもちろん、予想以上に楽しめた「ヨルク・シュマイサー展」。
11月18日までの開催、と学芸員さんのために宣伝しておこう。 


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