3月23日 続き
宿に連絡をしてバスターミナルまで迎えに来てもらい、また山の中に15分ほど入った元湯温泉へ。
元湯は今朝までいた新湯から谷を一つ隔て、直線距離で3㎞離れているだけだが、こちらの温泉が出なくなった時に開かれたのが新湯なのだそうだ。
同じように山の中に入ると言ってももみじラインにつながる新湯への道とは違ってこちらは対向車とすれ違うのも大変そうな狭い山道。
そのどん詰まりに今夜の宿、「大出館」があるのだが、近づくとびっくりするほどたくさんの車が停まっている。
玄関にも靴がびっしり並んでいて、土曜日のため日帰り入浴のお客さんで大人気の様子。
このフロントは3階にあり、案内されたのはエレベーターで降りた1階。
かなり年季の入った廊下にはこれまた相当年代物っぽい芸能人の色紙がいっぱい。
通された8畳間もふすまなど古いが、掃除は行き届いて問題なし。
部屋の外にあるトイレもウォシュレットではないが改装されてきれいだ。
窓の外、眼下に見えるのは隣の「元泉館」、その向こうには見えないがもう一軒「ゑびすや」があって、元湯温泉はこの3軒だけの温泉地。
部屋に用意されていたお迎え菓子はまた今井屋さんの温泉まんぢう。
部屋には浴衣と歯ブラシ、小さなタオルが用意されているが、バスタオルはない。
部屋で一息入れる暇もなく、すぐにお風呂へ。
浴室はすべて部屋と同じ1階にあるので便利だ。
手前には混浴の御所の湯と貸切風呂があるが、貸切の方は滞在中空いていることがなくて覗くこともできず。
その奥に女性専用の高尾の湯と、これぞこの宿の目玉、通常は混浴の墨の湯があって、ちょうどここが女性専用時間になる14時少し前に着いたのだ。
浴室の中には湯舟が2つあって、ウグイス色の濁り湯は五色の湯。
墨の湯の方は濃紺に見えるが、お湯も墨を流したように黒いわけではなく、よく見るととても細かな黒い粒子がたくさん浮かんで黒く見えるのだ。
写真は皆さんが上がった後で撮らせてもらったが、入った時には墨の湯の方はすでに10人ほどのお客さんで満杯。
そこで五色の湯の方から入ると、含硫黄 -ナトリウム- 塩化物 炭酸水素塩温泉というこちらは硫黄というよりもまるで発酵したお漬物か何かのような、なんとも不思議なにおい。
湯温は40℃と入りやすい温度だったが、常連さんによるといつもはもっと熱いそうで、湯口は55℃もあったから誰かがかなりうめたのだろう。
何人かのお客さんが隣の高尾の湯に移動したところで墨の湯の方に入ってみると、こちらは37℃とかなりぬるめ。
こちらも分析表上は五色の湯と同じ含硫黄 -ナトリウム- 塩化物 炭酸水素塩温泉になっているが、黒いのは鉄分ということで鉄っぽい匂いがして、しかし置かれたコップで飲んでみると意外に金気くささはなくてとても飲みやすい。
それにしてもこの浴室、壁のタイルははがれてボロボロ、温泉成分で色も変色して、お湯の色ともどもインパクトMax。
女性専用時間は1時間だけなので、15時には外で待っている男性陣に場所を譲る。
しばらくは温泉のおかげで暖かかったが、やがて体も冷えてきたので、日帰りの受付が終わる頃に今度は女性専用の高尾の湯へ。
こちらのお湯は五色の湯、壁は墨の湯と同じような状態で、ここにもコップがあったので飲んでみると、こちらは卵の腐ったような硫黄のにおいが強烈、味は苦みや渋みもあってまずいの一言。
この浴室からは外に出られて、階段を降りたところには露天風呂。
こちらは硫黄成分が底に沈んできれいなエメラルドグリーン。
湯口の温度は55℃と熱いが、少し離れれば湯温は41、2℃、空気はひんやりとさわやかで気持ちいい!
18時ごろにお膳が運ばれて来て、この宿も食事は部屋で。
ここではイワナがちょっと甘く煮てあるのが珍しく、しゃぶしゃぶもお肉たっぷり、栃木らしいイチゴのデザートがうれしい。
翌朝はカーテンを開いてみるとなんと外は雪。
おかげで思いがけず雪見露天が楽しめた。
典型的な旅館の朝ごはんをいただいて
チェックアウトの際にはフロントで墨の湯の温泉の素などお土産に買う。
このお宿、なかなか商売上手だ。
宿の人もこの時期ではびっくりという雪の中、車でバスターミナルまで送っていただいた。