Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

北イタリアの旅 7 Osteria Francescana

2014-11-27 19:33:14 | ヨーロッパ
10月31日 続き

モデナの市場から地図と首っ引きでたどり着いたのは Osteria Francescana


他に店などない静かな道に扉を固く閉ざしているが、ここがミシュランで三ツ星、ペレグリーノ主催の「世界のレストラン Top 50」で連続して3位に選ばれていると言う店。
旅行のひと月前にこの店のことを知り、予約なんて取れるのかな、とHPから入れてみたら取れてしまったのだ。

予約時間ぴったりの12時半に呼び鈴を押すとドアが開かれ
 モダンな内装のホールに通されると黒服が何人もいてびっくり。
テーブルに着くまでに3人ほどに引き継がれた。

レストラン内の部屋は3つほどに分けられ、通された一番奥の部屋にはテーブルが3つ。
 
壁には古い映画女優たちの額が並ぶだけで豪華さはない。

メニューを渡され、選んだのは Tradition in Evolution という170ユーロのコース。
ほとんどの客はこのコースを選ぶものと思われる。

 まずはしっとりとおいしいパンとオリーブオイルが来て
  
アミューズはモルタデッラ(本物のボローニャ・ソーセージね)のムース。これはいささか塩気が強くて、こんなもんかいな、と思っていたところ、「後で食べてください」と言われた白い四角形を食べてびっくり。こちらは豚の脂だと説明されたが、薄くパリパリに焼かれ、パルミジャーノやハーブが乗ってすごくおいしい。

これは期待できるかも、と思っていたらパンかごが取り替えられた。
 ここで出てきたグリッシーニが特筆物。
いままでグリッシーニなんてパサパサしていておいしいと思ったことがなかったが、これはちがう。この後の料理を考えていくらも食べられなかったのが悔やまれるほど。

 そして登場した一皿目は「ポー川をさかのぼるうなぎ」。
ふっくらと柔らかいうなぎにバルサミコを使っているが、甘い味付けはおそらく日本の蒲焼きに影響されている。その意味で日本人にとってはあまり驚きはない。

 二皿目は「From Modena to Mirandola」。
とうもろこしのクッキーのような生地の上に乗せられたコテキーノというサラミ・ソーセージがミランドラの名産とのことだが、これは上にかけられた甘いザバイヨーネ・ソースにランブルスコ・ワインの香りが効いて、全部を合わせて食べるととてもおいしい。ただ下の生地が固くて、どこのテーブルからもガチャンとナイフが皿に当たる音が響く。

三皿目は「エミリアのシーザーサラダ」。
 
縦に細長い皿に小さなレタスが丸ごと、お尻を向けて置かれるが、この葉っぱの間にパルミジャーノや様々なハーブ、バルサミコ酢など20種類の材料がはさまれていると言う遊び心あふれる一品。
おもしろいが、20種類の材料はわからなかった。

四皿目はこの店自慢の一皿
 「5種類のパルミジャーノ・レッジャーノを異なる温度とテキスチャ―で」
名前の通り、パルミジャーノがソース、ムース、クリーム、泡、おせんべいになっていて、あるものは冷たく、あるものは暖かい。そして口に入れればどれもまぎれもなくパルミジャーノ・レッジャーノ。特に泡は口に入れるとチーズの味がふわっと広がって、これはさすがにすごい。

 五皿目「ラグーソースのタリアテッレ」は本場の「スパゲティー・ボロネーズ」。
「うちのラグーにはトマトもミルクも使っていません」とウェイターが言うのはこれぞ本式と言うことなのだろう、手で刻んだと言う肉に存在感がある。
この店にしてはひねりのない一皿だが、「前にここで食べたお客さんがパスタが出なくてがっかりしていた」と前日のガイドさんが言っていた通り、こういう皿もコースに入れないと遠来の客は納得しないのだろう。

 六皿目はジャクソン・ポロックにインスパイアされたという仔牛肉。
「グリルはしていません」とウェイターが言うので調理法を聞くが、早口でなまっているのでよくわからない。真空調理だろうか、焼いたハーブを周りに付けた肉はとても柔らかく、ビーツ、ポテト、クロレラにバルサミコのソースもうまい。

もうおなかはパンパンだが、ここで棒付きアイス登場。
  
と見せかけて、これが周りにナッツをまぶしたフォワグラで、真ん中には50年物のバルサミコ酢が入っている。
これを手で持って食べると言うのも遊び心なのだろうが、ここでフォワグラはヘビー。おいしいので食べてしまったが。

そしてようやく最後のデザート。
 チョコレートの中にチェリーとコーヒーのソースが入っているのだが、これが食べてみると驚き。チョコレートのシェルがまるで繊細な飴細工のように口の中でパリンと割れる。普通のチョコレートのつもりで食べると本当にびっくりする。いったいどうやって作っているのだろう。

さらにコーヒーと一緒に小菓子が出てきたが、とても食べきれないので持ち帰りたいと言うと
 
なかなかシックなエコバッグに入れてくれた。
 帰り際には「お土産です」とバルサミコ酢の小瓶もくれたが、これを裸でひょいと渡されたのには笑ってしまった。

食事中にはシェフも愛想よく挨拶に出てきてくれたし、すべてがものすごくおいしいと言うわけではないが、地の食材を生かしながら驚きのある料理はとても面白かった。

しかし2万円以上を払ってまたここで食事をしたいかと問われれば、答えは「ノー」。

その理由の第一はサービス。
黒服のウェイターが大勢、入れ代わり立ち代わり登場するのだが、みんなクールというより愛想がない。
料理の説明も毎日何十回も同じことを繰り返さなければならないからだろうが、とにかく早口で相手に何かを伝えようという姿勢がまるで感じられない。
170ユーロのうちのいくらが食事の楽しさを盛り上げるどころか盛り下げる彼らのためなのかと考えるとかなりがっかり。

そしてもう一つ、これはあるいは店側のせいではないかもしれないが、同じ部屋のテーブルに5歳ぐらいの子供を連れたドイツ人家族がやって来て、この子供が走り回りはしないものの、大きな声を上げたり、飽きるとおもちゃを投げたりしているので驚いた。
おとなしくできない子供をこんなレストランに連れてくる親にまず責任があるが、店も子供連れを容認しているのか。うるさくしているのに一言もなかった。

と不満もあるが、経験としては非常に興味深かった。
モデナ在住のガイドさんは「モデナに見る物は何もない」なんて言っていたが、大聖堂と市場を除いてもとても落ち着いた街で歩くのが楽しい。来る価値は大いにあり。

食事に3時間かかったので、ボローニャに帰り着いた時にはもう17時になっていた。


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北イタリアの旅 6 モデナ

2014-11-25 17:26:27 | ヨーロッパ
10月31日 続き

グランデ広場にある世界遺産はモデナの大聖堂とギルランディーナと呼ばれる尖塔。
 
大聖堂は11世紀に建てられたロマネスク様式の白い大理石造り。
  
入口の脇や屋根の上にはまるで狛犬のようなライオンがたくさんいて、高いところから見下ろしているのはこの町の守護聖人、聖ジミニャーノ。
 正面は広場ではなく、横の道路の方に向いているが
 
優雅なアーチの下にはアダムとイブとか、カインとアベルのお話がいかにもロマネスクらしい純朴さで彫られているのがかわいい。

 教会の内部は外の白さとは打って変わって重厚な雰囲気。
 正面の主祭壇は一段高くなっていて
 
前面は最後の晩餐などの彫刻で飾られている。
 
主祭壇脇のマリア様の頭上の羊がかわいく
 
聖歌隊の座席まで見事な象嵌細工で飾られている。

主祭壇の下にはクリプトがあって
 
ここにある聖母子像は15世紀のもの。

他にも側廊にはフレスコ画やら彫刻やら、時代の異なるものがいろいろあって
  
 
さすがエステ家の支配したモデナ、世界遺産指定は伊達ではないと思わせる充実ぶりで見ごたえがある。

 側廊から外に出ると目立たないドアがあるが、これが尖塔への入り口。

12世紀から建造が始められ、15世紀に上部のゴシック式の尖塔が加えられたというギルランディーナは高さが87m。
  
内部の階段はしっかりしているので登りやすいが、見下ろすとまるでエッシャーの絵のように見える。

 普通に上がれるのは塔の四角い部分の最上階まで。
ここは遠足らしい子供たちで大騒ぎだったが、どこの国でも塔の上は大抵子供だらけだ。
  
しかしこういう高い塔を見ると登らずにはいられないのは、自分も精神的にお子ちゃまということだろうか。

塔から降りたら次はすぐ近くの市場へ。
 ハロウィーンなので角をはやしたお姉さんが立っている、これがメルカート・アルビネッリの入り口。
 
中は中央に女の子の像が立つ屋根つきのきれいな市場。
壁際には肉屋やパン屋が並び、中央には野菜を中心とした店が並んで、その華やかさはさすが食の都モデナ。
 
野菜はどれもみずみずしくておいしそうだし、ポルチーニは山になり、白トリュフの文字も見える。
 
お惣菜屋さんには大きいのやら小さいのやら、中身もさまざまなトルテローニやトルテリーニがいっぱい。
 おいしそうなものだらけだけれど、ここで買い食いをするわけにはいかない。

これから本日のメイン・イベント、3つ星レストランでのランチに行くのだ。 


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北イタリアの旅 5 イタリア国鉄でモデナへ

2014-11-22 15:21:25 | ヨーロッパ
10月31日

朝、アパートを出てボローニャの駅までぶらぶら歩く。

  
ボローニャはイタリアでも有数の大都市だが、旧市街の建物はクラシックで
  
ほとんどの建物の正面はポルティコ(アーケード)になっている。その柱や天井が一つ一つ違っているのが楽しい。

写真など撮りながらぐずぐず歩いていたので駅まで20分かかってしまったが、まっすぐサクサク歩けば10分強。
 
ボローニャ・セントラルの駅舎は小さくてあまりぱっとしないが、この地域のハブ駅なのでプラットフォームの数は多く、掲示版にもたくさんの列車が並ぶ。

ホールには大きな切符の自動販売機がいくつも並んでいるのでその一つへ。
 表示は英語やスペイン語など、多言語対応。行き先の駅を選ぶと乗れる列車の候補が現れるので、普通、急行など好みの列車を選び、1等、2等のクラスを選ぶ。値段は近距離でもこの選択によって随分違うので、日本の券売機より複雑と言えば複雑。人数を入力して現金、クレジットカードの支払方法を選べば発券、ということで使い方は簡単。

しかしこの券売機、日本の物に比べると反応が遅い!
現金ならおつりが出るのに時間がかかるし、クレジットなら認証されるまで待たされる。
日本なら数十秒で買える切符がここでは一人何分もかかるので、券売機の前はすぐに行列になる。

 
発券される切符は航空券のように大きく、人数分はまとめて一枚。ちなみに本日行くモデナまでは普通列車の2等で3.75ユーロ。
これを駅のあちこちにある機械に入れて時刻を刻印。これをしていないと車内検札で罰金を取られるそうだが、検札が来ないことはあまりないようなので忘れないように。

ついでにイタリア国鉄の時刻表はこちらで確認でき、切符を買うこともできる。
http://www.trenitalia.com/
イタリアの列車は幹線でも日本ほどは頻繁にないし、まして小さな駅では停車する列車は1,2時間に1本。しかも「普通列車」でも列車によって停まる駅が違うようなので、この時刻表はとても役に立つ。

ホールからは地下道を通ってプラットフォームへ。
 
車寄せの表示がしゃれているが、同行の友人に指摘されて初めて気が付いた。欧米では普通の表記なのだろうか、空港では見かけないような。

  
ホームで待っていると隣にイタロがやってきた。
イタリア初の民営高速鉄道だそうだが、フェラーリが出資しているとかで真っ赤な車体がかっこいい。

 こちらはイタリア国鉄の高速鉄道、フレッチェビアンカ。これでモデナに行くこともできるが、時間は5分しか変わらないのに値段は3倍もするので
 
我々はもちろん普通列車。
 座席は固いが、乗り心地は決して悪くない。

この列車で26分でモデナ駅に到着。
  
ヨーロッパの町の常でこの駅は町の端にあるので 
  落ち着いた静かな街並みをてくてく。

 やがて巨大な建物に突き当たるが、これが写真ではわかりづらいが本当にでかい。バロック建築としてはイタリアでも1,2を争う大きさらしい。
フェラーラからこの地に移されたエステ家の宮殿が現在は陸軍士官学校になっているそうで、町では制服姿の凛々しい男の子も見かけた。


さらに旧市街の中心に近づくとここにもポルティコ。

  1605年創業の世界一古いデリがあったり
 とても立派な箱に入ったバルサミコ酢を売るお店があったり、モデナは美食で有名な町なのだ。

 やがて大きな広場に出るとこれが世界遺産になっているグランデ広場。大きな時計台のついた建物は市庁舎。
この正面にもう一つの世界遺産がある。 


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北イタリアの旅 4 ボローニャの宿

2014-11-19 17:48:55 | ヨーロッパ
10月30日 続き

車で横付けしてもらったのはこれから4泊お世話になる Residenza Ariosto
少し長めの滞在なので、今回はキッチン付きアパートメントを選んでみた。

  
旧市街の大通りからは細い横道に入ったところにあるごく普通の建物。入口に小さな看板があるが、部屋のブザーを押すとオーナーが迎えに降りて来てくれた。大きな荷物はものすごく遅いエレベーターに乗せて、階段を2階に上がればアパートの入り口。 
  とても小さなフロントデスクの先に長い廊下が伸び、部屋は全部で6つあるがそのうち一つにはオーナー一家が住んでいるのでなにかあればすぐに来てもらえる。

今回は4人旅なので2人づつに分かれて宿泊。自分が宿泊した部屋は1ベッドルームのお部屋。
 
扉を開けるとダイニングキッチン。棚の中には鍋釜や食器類はもちろん、洗剤や調味料まで揃っていて、先日の東北の自炊宿に比べてずっと充実している。
 
壁一面に収納のあるベッドルーム。ベッドがくっついていたので「ツインのはず」と言うと、翌日にはちゃんと離してベッドメイクをしてくれた。
 
バスタブはないが広いバスルームには洗濯機まで完備され、熱いお湯がしっかり出て設備はパーフェクト。
窓は細い路地に面しているので夜うるさいこともない。

案内してくれたオーナー氏は英語でテキパキとWiFiの説明をし、地図に近所のおすすめレストランを書き込んでくれた。
しかし昼食を食べ終わったのが午後3時、生ハムをたらふく食べたので、今夜はもうレストランに行く余力はない。

そこで一通り荷物を片付けてからお惣菜を買いに外へ。
 10分もかからずに着いたのは老舗惣菜店のタンブリーニ。
 
ショーウィンドウには魅惑的な食材がぎっしり。
 
 
広くはない店内には本場ボローニャ・ソーセージ、モルタデッラはもちろん、豚足までぶら下がっている。

ここで食べたいものをいくつか仕入れ、その先の市場通りをちょっとお散歩。
もう8時を過ぎていたのでほとんどの店は閉まってしまったが
 
唯一開いていた八百屋さんの店先にはイタリアらしい野菜類がきれいに並べられておいしそう。

トリノ発祥でいまや日本にも支店のあるイータリーのボローニャ店は3階まである大きな建物だが
 
本屋と食材店、バーやレストランが同居した不思議な店。
本も料理関係ばかりではなく、児童書の棚の隣にはパスタの棚があったりする。

 ボローニャのシンボルである双子の斜塔を見上げつつ宿に戻り
 気楽なテイクアウト・ディナー。
これもまた楽し。


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国宝展見て銀座で中東料理@Mish Mish

2014-11-16 16:15:33 | 食べ歩き
 東京国立博物館で開催中の「日本国宝展」を見てきた。

夜8時まで開館している金曜の午後4時ごろ。
  
帰宅する人の流れに逆らって歩けば、夕陽が紅葉に当たって美しい。

館内は夕方でもあり、開始からしばらく経って正倉院御物の展示も終わったので普通の入り。
自分のペースで見られるので助かる。

展示物すべてが国宝と言うなんとも贅沢な空間。
今回は祈りがテーマということで寺社関連の展示が多くちょっと地味目だが、最初の方の飛鳥・奈良時代の工芸品と、最後に集められた仏像が好み。
特に普段は大倉集古館にいらっしゃる普賢菩薩が超イケメンで離れがたい。

もう一人今回の展示で目立ったのは善財童子。
ポスターになっているのは最近国宝指定されたという快慶作の彫像だし、かわいい絵巻もあった。
 
ショップにはこんなマスキングテープまであったものでおもわずお買い上げ。

上野からは銀座に移動して、旅仲間と中東料理のお店、「Mish Mish」へ。
 
泰明小学校からすぐのところだけれど、ビルの2階で目立たず、中の見えない扉は開けるのに勇気がいる。
 しかし中に入れば白木を基調とした店内は明るく、
 
右手のカウンターや壁際のテーブルにはアルコールがふんだんにあって、アラブ色はまったくない。
この店は日本人経営のキッチン&バーなのだ。

メニューはアルコールを含むドリンク飲み放題、料理おまかせのコースのみなので何が出てくるかと待っていると
  
まずは中東料理定番のホムスにタブーリサラダ、ピクルスとザータルにピタパンが来た。
お腹が空いていたので写真を撮る前に食べてしまったけれど、量はかなり少なめ。
 次にはムール貝が来て、ここまでは前菜。

タジン鍋で登場したのは
 意外にもお魚の煮込み。
タラのような白身を一度揚げてからトマトベースのソースで煮込んであるが、魚とオリーブが合うとは知らなかった。サフランライスにかけてペロリ。
 半身で登場したのはローストチキン。皮はパリッと、中はふっくらとおいしく焼けていたが、ハリッサなど中東のスパイスを使ったと言う割にはかなりおとなしい味付けで、これはもっとインパクトがほしいところ。

「まだお腹に余裕ありますか」と聞かれたのでイエスと答えると
 モロッコのハリラ・スープが登場。
これは骨付き羊肉やひよこ豆、レンズ豆が入り、中東らしいスパイスも効いて美味。
求めていたのはこれよ、と旅仲間も納得。

これで3時間飲み放題3500円は銀座とは思えないお値段。
4人(というか3人)でワインを3本空けた我々としては、この値段で大丈夫かと心配になってしまう(笑)。
お料理は味も量も上品で、そのためかほぼ満員になった店内はすべて女性客ばかり。
もうちょっと中東らしいパンチとボリュームがあれば、と思うがそれでは一般受けはしないだろうか。
 まだ8月にオープンしたばかりというお店、若い店長にはぜひ頑張っていただきたい。


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代々木でカレーな午後

2014-11-14 02:20:19 | 食べ歩き
代々木上原に住む友人とランチをすることになったので検索してみると、ちょっとおもしろそうな店が引っかかった。
すぐ近所に住んでいるはずの友人に聞いてみると、「店は知ってるけど入ったことがない」と言うのでそちらへ。

Cafe Room Basis A
 場所は代々木上原と幡ヶ谷のちょうど中間あたり、静かな住宅街で、友人と一緒でなければ迷子になりそう。
小さな黒板はたくさん出ているが、食べ物屋というよりちょっとした雑貨屋さんのような外観の店に入ってみると
 右手には壁で囲われたキッチンスペース、左手には2人掛けの小さなテーブルが一つ。その間をすり抜けて奥に入ると4人掛けテーブルが一つにカウンターが2席というとても小さなお店。
壁際にはスリランカのお菓子や優しい感じの小物などが並んでいて、一人で店を切り盛りしているらしい女性の趣味趣向がよくわかる。

食事はメインのカレーが選べるサブジ定食だけだが、選択肢がカブと菊芋のカレーかダルスープだけだったので野菜カレーを選択。
友人とおしゃべりしながら待つことしばし
 やってきたプレートの色鮮やかさに声を上げる。
ご飯を中心に白菜や小松菜、ニンジン、カリフラワー、大根、かぼちゃと、それぞれ甘かったり、酸っぱかったり、あっさりしていたり辛かったり、と味に変化を付けた野菜がいっぱい。
カレーの隣の豆は意外にも揚げた大豆で、ニンニク強めながらカリカリと楽しい食感。
青菜の下にあるのは銀杏と干しエビなどを合わせたもの。
そしてメインのカレーは優しい味で、これらを混ぜ合わせながらいただくと複雑な味と食感になっておいし~。

これに食後のチャイが付いてランチは1300円。
一つ一つのおかずに手がかかっているから、これはお得。
今まで入ったことはなかったと言う友人も気に入ってくれて、「これからもちょくちょく来るわ」って、近所でいいなあ。

食後は静かな住宅街をキョロキョロしながらお散歩して、徒歩10分ほどのところにある東京ジャーミーへ。
   
近所にあることは知っていたが来たことはなかったので、旅仲間の友人が案内してくれたのだ。

 誰でもウェルカムという入口を入るとトルコ風の暖炉があり、ロビーにはトルコの小物もいろいろ並べられている。
このモスクはタタール系トルコ人商人たちによって建てられたので現在も所属はトルコ大使館とのこと。
そのため置かれたパンフレットの中にはタタール語やオスマントルコ語、さらにはヒッタイト語講座なんてものまであって、そのマニアックさが素敵すぎる。

  
2階に上がって礼拝堂に入り、上を見上げれば、おお、ここはトルコか。
 
小さならせん階段を上ると上は女性用の礼拝場所。
 ここから見下ろせば美しい礼拝堂が一望できる。
  
ランプやら、トルコらしく小さなチューリップの入った壁のカリグラフィーまでかわいくて、つい先日ヨーロッパのキリスト教教会に浸かって来たばかりだが、やっぱりイスラムはもっと好きかも。

ここからまたてくてく歩いてお茶をするところを探すうち、NHK裏の渋谷アップリンクまで来てしまった。
そう言えばここで上映中の映画がちょっと見たかったということで、お茶してちょうどいい時間になったので2階の小さな映写室へ。

 「聖者たちの食卓」 Himself He Cooks

インドのアムリトサルにあるシーク教の総本山、黄金寺院。ここの一日を、毎日10万食供されると言う無料の食事を中心に、セリフもナレーションもなしに紹介するベルギーのドキュメンタリー。
「毎日10万食うんぬん」という説明も最後の最後に字幕が一枚出るだけなのだが、65分のこの短い映画がすこぶる興味深い。

それというのも数年前、シーク教の聖地であるヘムクンドに行った。(その時の旅行記はこちらから)
その巡礼路で大勢のシーク教徒に親切にしてもらい、シーク寺院ではこの映画のように無料の食事をふるまわれてすっかりシーク教徒のファンになっていたから。

それにしても総本山の巡拝者数は半端じゃない。
10万食をどうやってさばくかと言うとすべて信者のボランティア。
黙々とにんにくの皮を剥いたり、玉ねぎを切ったり。ひたすらチャパティをこねる人、伸ばす人、焼く人と大勢が役割分担して、その様はその作業自体が修行のよう。楽しそうにしているわけじゃないが、つらそうでもない。無念無想で、自分も延々とにんにくの皮むき作業を手伝ってみたい。

映画は宗教的なことにはほとんど触れず、ひたすら作業する人々、食事する人々を映すが、玉ねぎで涙を流す人がいたり、チャパティをひっくり返す様が見事だったりと、そこはかとないユーモアがある。
カメラをじーっと瞬きもせずに見つめる人も多くて、そんなところにもインドらしさを感じる。

ところでなぜこの映画の中心が食事かというと、大人も子供も、男も女も、異教徒でさえもシーク教の寺院では一緒に食事をするから。
あのガンディーでさえも家人に低カーストの人と一緒に食事をさせることはできなかったと言うぐらい、これはインドでは大変なこと。
シーク教はヒンドゥーのカーストを否定するところから始まっているので、これこそ教義の中心思想の一つなのだ。
短いけれどとても良くできたドキュメンタリーだと思う。

ふるまわれる食事はもちろんカレー。
帰りのデパ地下でまたカレーを買いそうになった。


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北イタリアの旅 3 美食ツアー後編

2014-11-12 21:44:33 | ヨーロッパ
10月30日 続き

バルサミコ工場の次には、ほど遠からぬところにあるランブルスコ・ワインの工場へ。

 
ここは2006年にできたと言う近代的な大型工場。
昔は農家ごとに作られていたワインも、今は集約されてこのような大型工場に変わりつつあるのだそうだ。

もうブドウの収穫は終わってしまったので設備を見るだけだが、各農家から運ばれたブドウはこの機械で砕かれ
 
ジュースにされてタンクの中へ。
 
ずらりと並んだこの密閉タンクの中で発酵して、自然の微発泡ワインになるそうな。

 
工場の表にはもちろんワインの直売所があって
 
なんとタンクからの量り売りもある。こちらのワインだと1リットルで200円程度、へたするとガソリンより安い。
瓶に入っているものでも300円ちょっとなので、ガイドさんのお義父さんなど毎年新酒が出ると1年分300本をまとめ買いするのだとか。
ワインの中でもアルコール度数の低いランブルスコは「イタリアのコーク」と呼ばれているそうだが、それを言うならファンタ・グレープだろう。

ここで我々ももちろん試飲。
3本まで好きなものを試せるとのことなので、白、赤、ロゼをチョイス。
  ちなみに開けてくれたのはちょっと男前な本日のドライバー氏。
お味はすっきりとフレッシュだが、昨晩の宿で飲んだものの方がおいしかったかも(とは所詮、下戸の感想)。 
 栓を開けたものは持ち帰りOKなので、酒好きの同行者たちが嬉々として宿に運んだ。

ワイン工場の後はパルマ郊外のコロルノという村まで小一時間のドライブ。
パルマと言えば生ハム(プロシュート)が有名だが、豚の足先から太ももまでを使う普通の生ハムに対して、お尻と腿裏だけを使う生ハムをクラテッロと言い、パルマの郊外、ポー川流域の8村で作られているものだけが「ジベッロのクラテッロ」という最高級ブランドになる。
コロルノはその8村の一つなのだ。

静かな郊外の住宅地という感じの一角で車を停めると、眼の前にあるのはいい雰囲気のレストラン。
  
看板には「1780」の文字も見える老舗だが、レストランで出すクラテッロを自家製造していたところ、それがおいしいと有名になったのだそうだ。

ということで早速レストランの裏にある貯蔵庫へ。
 
小さな扉をくぐって半地下に下りて行くと
 
壁、天井からびっしりと生ハムがつり下がっていて壮観!そして部屋中にはむせるほどのカビのにおい。
貯蔵庫には予想に反して窓があり、外から光と風が入る。
このポー川流域には霧が出て湿気が多く、塩漬けして豚の膀胱に入れた肉にはカビがつく。これがクラテッロに独特の風味を与えるということらしい。

  
製造から1年経ったところで、パルミジャーノ同様、検査が入る。馬の骨でできた串を差して香りを確かめ、木づちで叩いて中に虫食いなどのないことを確認、合格して初めて Curatello di Zibello のタグが付けられる。

この蔵の中には他にもサラミや、太ももの表側を使った丸太型のフィオッコがぶら下がっている。
 
 おいしそ~、ということで表のレストランへ。

 中に入ってみると真っ白なクロスのテーブルが並び、ビジネス接待と思われるグループもいる高級な店。

しかしここではこれを食べねば、ということで
  
(皿上、右から)クラテッロの16ヶ月、26ヶ月、38ヶ月もの3点盛り。これで2人前、32ユーロは安すぎる~。
で食べ比べてみると、熟成の長いものはうまみが凝縮して香りが強いが、若い方は肉の甘みが感じられる。
若い方がいい、いや、年が行って渋い方がいい、って何の話やら。とにかく切りたてはおいしくて、ここまで来た甲斐があった。

さらになるべく日本では食べられないものを、ということで
 
この店のスペシャリテだと言う Tortel d'ols というパスタを頼んでみると、レシピまで付いてきた。
中には梨のジャムのようなものが入っていて甘いが、上にはトマトソースとチーズがかかっているのであくまで食事。確かにここでしか食べられない。

さらにカエルのリゾットに野菜のグリル。
 
この店でおいしいのは生ハムだけではない。

 ハロウィーンが近いと言うことでコーヒーにはこんな小菓子がついて、この昼食には大満足。

食事に2時間近くもかかったので、店を出たのは午後3時。
ボローニャまで高速を飛ばしていると不思議な建物が出現する。
 
これが駅なのだが、何駅なのかは聞きそびれてしまった。
(追記:同行者よりレッジョ・エミリア駅とのご教示あり。)
しかしまわりには何もないところにぽつんとある駅、デザインが斬新すぎてエレベーターに救護用のストレッチャーが入らず、作り直す羽目になったとはガイドさんの話。「いかにもイタリアらしい」とイタリア人のご主人が言ったとか。 

名物食材の生産現場を見ることができるこのツアー、味はもちろんだがそれ以上に現場でしかわからないにおいまで満喫できてとても楽しかった。
お世話になったガイドさんとはモデナの町でお別れして、ボローニャの宿には5時に到着した。


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北イタリアの旅 2 美食ツアー前篇

2014-11-10 18:02:16 | ヨーロッパ
10月30日

アグリツーリズモの朝ご飯。
  
テーブルには期待通り、生ハムやチーズが並んで、む~、おいしい。
 
パンとともに並んでいるのは自家製のジャムで、生姜入りのアプリコットジャムがうま~い。他にもラベンダー入り桃ジャムやら、ミント入りプラムジャムやらもしっかり販売中。
 商売上手だけれどとても楽しいご夫妻、お世話になりました。

さて、本日はモデナ近郊の美食ツアーということで、ツアー主催会社の日本人女性オーナー自らがガイドとして登場。
車で宿泊地からほど近いマラネッロという町へ。

まず訪問したのはパルミジャーノ・レッジャーノの工場。
興奮のあまり外観を撮り忘れてしまったが、思っていたよりも大きい施設。

しっかりとビニール・コート、靴カバー、ヘアネットを着けて工場に入ると
 ずらりと並んだ解剖台のようなテーブルは毎朝、新鮮な牛乳を入れるところだそう。ここで生クリームを分離してバター作りにまわし
 
残りのミルクは銅釜に入れ、レンネットという凝固酵素を入れて温める。そうするうちにタンパク質が豆腐のように固まってくるのでこれをまとめ
 袋に入れてしばらく水分を抜いたら
 
型に入れ、重しを載せる。
この作業、ミルクの温度は50℃ほど、釜から引き上げるチーズは100キロ近くと大変なのだが、牛乳は毎日届くので、365日、毎日休みなしなのだそうだ。

そして釜に残った乳清からはリコッタチーズが作られ
 
さらに残った液体は設備の清掃に使われたり、豚のえさになって残らず使われるとか。

さて、この部屋はミルクのにおいでいっぱいだったが、次の部屋へ行くとチーズのにおいになった。
 
ここで側面に製造年月日などの入った刻印のための原版が巻かれ、しばらく置いたら次には真ん中が膨らんだ金属の型に入れて、おなじみの形になったら
 
塩水のプールへ。室温は一定に保たれ、プールの縁に付けられた入れ物から塩分も飽和状態に保たれている。上下をひっくり返しながらここに25日間漬けるそう。

この工程の後には熟成庫に移されるのだが、ここが圧巻。
 
床から天井までチーズでぎっしりの棚が何列も。
この工場で一日に作られるチーズはたったの15個だが、これを1年から3年も熟成させるのだからこんな光景になるわけだ。

そしてここでおもしろかったのはこの機械。
 
棚の間を全自動で動き、チーズを一つ一つ取り出してはブラシでまわりをこすり、上下をひっくり返してまた棚に戻す。
完成したチーズの重さは一つ38キロだそうだから、これを手でやっていた昔はさぞ大変だったことだろう。
この優れものの機械がどこ製かは見そびれた。

さらにこの熟成庫内は煙くさかったのだが、その原因はこのおじさん。
  
熟成後1年が経ち、検品して合格した物に焼き印を押す作業をしている。結構はでに炎が出るし、棚の上まで作業しなければならないので大変だ。
 これが認定パルミジャーノ・レッジャーノの印。 
 しかし棚をよく見るとお腹に穴の開いたものもちょこちょこある。これはカビが出たところを削った跡だそうで、こうしたものは下等品として安く売られたり、粉チーズにされるそう。

工場見学を満喫したら付属の売店でチーズの試食とお買いもの。
 
若いものより長く熟成した物の方がやっぱり味が濃くておいしく、1キロの値段がこんななんて、信じられない。

チーズの次にはそのすぐ近く、これまたこの地方特産のバルサミコ酢の工場へ。
 と言っても仕事を引退したご夫婦でやられているという、家内工業のようなところ。

  
原料となるブドウ畑は目の前、ジュースを煮詰める釜が並んでいるが、今年の作業はすでに終了。
 
金属タンクで発酵させたお酢は木の樽に詰められ、年月が経って量が少なくなるにつれて小さな樽に詰め替えられる。
 
木の樽はオークやクリ、サクラなど材料によっても風味が変わるそうで、また子供の誕生を記念して仕込んだ樽には名前が書かれていたりもする。

 
ここでももちろん試食が待っていて、25年物などまるで黒蜜のように甘い。
ここでは100mlを30ユーロで売っているが、街中で立派な瓶とケースに入ったものは100ユーロ以上もしていた。

いつまでもお酢をなめていたいけれど、まだ先があるので出発しよう。


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北イタリアの旅 1 アグリツーリズモ滞在

2014-11-08 23:24:08 | ヨーロッパ
2014年10月28日から11月4日まで イタリア、エミリア・ロマーニャ州の旅

10月28日

成田発のトルコ航空は22時30分の予定が20分早く出発。
20時を過ぎると免税店などもほとんど閉まってしまう成田はガラガラ、夜便は出来るだけ早く出発させるのだろうか。
A330の搭乗率は50%ほどで、こちらも楽々。

10月29日

12時間半のフライトでイスタンブールには早朝の4時に到着。

 
10数年ぶりに来た空港はぐっと広くなり、免税店なども大幅に増えていてびっくり。
トルコはここをドバイやドーハのようなハブ空港にしたいらしいが、確かにアジアからヨーロッパへ飛ぶには地理的に最適の場所にある。
4時間の乗り継ぎは安心だが、イスタンブール空港は座るところが少ないのが玉にきず。

乗り換えたボローニャ行きのA320の方はぎっちり満席。
 2時間半で到着したボローニャ空港はいかにも地方空港のかわいらしさ。

空港でピックアップの車に迎えられ、30分ほどのドライブでモデナ近郊、Castelvetro di Modenaという村へ。

本日はこちらのアグリツーリズモ、Diamante Podere 1884で一泊するのだ。

 
3つに分かれた棟の左手はラベンダーオイルやジャムを作る作業場、中央は食堂、右手が宿泊棟で、早速マダムに迎えられて3階の部屋へ。
   
名前の通り1884年に建てられた農家ということで天井には太い梁が走り、シンプルな部屋も広くはないが、各室にバスルームがついて必要十分。

まずはウェルカムということで、テラスでワイン。
 
飲めない自分ながら微発泡のこの白ワインがおいしく、
 
それ以上に目の前に広がるのんびりした景色がおいしい。美しく紅葉した葡萄はこの地方特産のランブルスコ種。この農場では他にアプリコットなどの果実とハーブを栽培しているらしい。

「一休みしたらキッチンでパスタの作り方を教えてあげる」とマダムが言うのでのんびりと食堂へ。
 
アグリツーリズモは食事だけ摂りに来るお客さんもいるのでダイニングもキッチンも本格的。

エプロンに帽子まで渡されて、まず教わるのはトルテローニの作り方。
  パスタは粉と卵だけで他には何も入れず、力を入れて良くこねたらしばらく休ませる。
  
これをパスタマシーンで薄~く伸ばしたら縦横に切れ目を入れるのだが、均等に切れるようにいくつもの刃がつながった道具が面白い。
  
中に入れる具はフレッシュなリコッタチーズ(これだけでもすごくおいしい )に茹でて絞ったほうれん草、塩・胡椒・ナツメグ少々にパルメザンチーズをたっぷり。これを正方形の生地の真ん中に絞り出したら半分に折り、両端をくるっとくっつけたら出来上がり。

他にクッキーとジャム・タルトを作ったが、マダムは説明し、我々に全行程を手伝わせ、写真を撮ってはフェイスブックにアップして、と大忙し。観光客が何を喜ぶかよくわかっている、楽しいマダムだ。

料理教室を終わっても時間はまだ3時。
Castelvetro di Modena の村がきれいだというので、食事前の散歩に行く。

 
宿の前の一本道をトコトコと2キロ。まわりは牧草地と葡萄畑ばかり。
 
最後は結構な急坂を下って村の中心へ。

街中に入ると長い立派な石塀が続いているので、お城かと思って中に入ってみると
 
これがなんと墓地。壁に遺灰が収められた団地形式が多いが、たくさんの人が花を手にお参りに来ていたのは特別な日だったのか、普段から墓参りが多いのか。

 さらに先にも城壁らしきものと尖塔が見えるのでそちらに行ってみる。

 
城壁内の家々は石造りで、ヨーロッパに来たぜ、という感じ。
 
尖塔の横にはもちろん教会がある。
 
その向かいにある立派な建物はこの地方を治めていたランゴーニ家の宮殿。端にある四角い塔は牢獄だったらしい。

この宮殿の正面に回ると、これまた立派な村役場のあるローマ広場。
  
広場の端に建つ時計塔は13世紀頃に作られたそうだ。

行きは楽チンだった坂をヒイコラ登って、宿に帰りつくとお茶の時間。
 先ほど作った自家製プラムジャムのタルトはすごくおいしいけど、たくさん食べたら夕食が入らなくなってしまうので我慢。

その夕食は7時半から。
食堂へ行くと、マダムは厨房でお料理、給仕は昼間見かけなかったオーナー氏がしてくれる。

まず登場したのはじゃがいもとかぼちゃのお団子にこってりチーズのソースがかかったもの。
 
本場のバルサミコ酢もかかっておいしいけど、しょっぱなからかなりヘビー。

 次が先ほど作ったトルテローニで、さらにパルミジャーノ・レッジャーノが乗っている。中身がしっかり入っているので、5つも食べたらく、くるしい。

しかしメインはまだこれから
 
ほろほろ鳥のグリルにバルサミコ酢と何かのベリーのソース。

これをやっと食べたと思ったら
 ランブルスコのシャーベット、3スクープは多すぎる。

しかしこのランブルスコという地元のワイン、
 これまた微発泡なのだが、飲めない自分にもすごくおいしくて、グラスに3分の1ほども飲んでしまったがなんともなかった。アルコール度数が低めなのだろうか、ドライと言えども辛すぎず、スルスル飲める。

ところで給仕のオーナー氏、一皿運ぶごとに日本語にグーグル翻訳した料理の説明をタブレットで見せ、その合間にはもう一組のお客と同じテーブルで自分のご飯を食べている。
お料理と言い、サービスと言い、本当に知り合いの農家にご飯を食べに来ているみたいで楽しい。

お腹いっぱいになって、長い一日がようやく終了した。


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トルコ航空の機内食と映画

2014-11-06 18:40:14 | 機内食・映画・美術展
今回のボローニャ行き、トルコ航空あらためターキッシュ・エアラインズを使ってみた。
イスタンブールからボローニャに直接入れて朝の到着、その上運賃が一番安いので選んだのだが、最近の好評通り、この選択は大正解。

出発は成田から夜の22時30分、の予定が20分も早まって22時10分発。
イスタンブールまでは12時間半のフライト。

出発前にまず配られるのが
 トルコ名物、ロクム。
へたなものに当たると歯に付くばかりでおいしくないお菓子だが、さすがにこれはナッツがいっぱい入っておいしい。紙の容器もかわいく、ウェルカム・スイーツはうれしいサービス。

飛び立つとメニューとアメニティーの配布。日本や欧米のエアラインでは廃止されたこのサービスが中東系(トルコはヨーロッパのつもりらしいが)ではいまだ健在。
 ペンケースにちょうどいいポーチの中身はアイマスクに耳栓、歯ブラシに靴下と普通だが、リップクリームが入っているのはポイント高し。

日付の変わる頃に一回目の機内食。
 ペンネはこれからイタリアに行くので避けて魚を選択。
肉厚のタラの味付けが良く、添えられたご飯のサフラン風味がトルコらしい。
サラダにはオリーブオイルとレモンのドレッシングがついて、これがあっさりと大好評。デザートのプロフィトロールもおいしくて、家で夕食を食べて来たのにまた食べちゃう。

食事の後はなかなか寝つけないので映画を見る。
ラインナップはエミレーツやカタールにはかなわないものの、日系よりはずっと豊富。

そんななかから、一本目の選択は
 「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」 Grace of Monaco
ニコール・キッドマンがどんな風にグレース・ケリーを演じるかという興味で見たが、どうもニコールは最初からそっくりさん演技をしようとはしていないようだ。
確かにオーストラリアのイモ姉ちゃんから努力してのし上がったニコール、アメリカ人とは言え上流のお嬢さんだったグレースとはちがうのでこれはこれで正解かも。しかしそれならアメリカ人で王妃らしからぬとバカにされていたのを必死に勉強し、いかにグレースが王妃として演技したかにもっと焦点を絞ればもっと面白い映画になっただろう。
そういう場面もあるにはあるのだが、フランスとの併合問題をからめてクライマックスとされている演説場面などもうひとつ盛り上がらない。あんなもんで冷徹なドゴールが感心するか、と説得力がないのだ。

全編出ずっぱりのニコールの王妃ファッションと、疑惑の皺なし額をアップで確認する映画。

といささか不完全燃焼で、2本目は韓国映画を選んでみた。
 The Fatal Encounter 逆鱗
日本語タイトルは「王の涙 イ・サンの決断」として12月に公開されるらしい、ヒョンビン演じる正祖の暗殺未遂事件を描いた映画。

イ・サンはなにしろテレビドラマを見ていたので予習ばっちり、李氏朝鮮史を知らないとわかりにくい背景もおかげで問題なし。血みどろのクライマックスはいささかえぐいが、精悍な韓国人男優たちのアクションがかっこいい。
テレビドラマではけなげなソンヨンを演じていた同じ女優が、いじめる側だった貞純王后を悪役として演じているのもおもしろい。
韓国の俳優さんたちは演技がうまい。

そうこうしているうちに2回目のお食事。
 朝食に選択肢はなくオムレツだが、チーズがかかってボリューム満点。

イスタンブールで4時間の乗り継ぎ後はボローニャまで2時間のフライト。
普通ならサンドイッチ程度のところ、トルコ航空はちゃんと温かい食事を出す。
 
朝食なのでまた卵料理だが、ほうれん草入りのトルコ風パイ、ボレキがおいしい。
そして特筆すべきはレモネード。メニューに「ホームメイド」とある通り手作り風、ちょっと甘いがミントの風味が効いて、これはうまい!
このレモネード、成田からのメニューにもあったが頼んでみると売り切れ。日本語の上手なかわいいスッチーさんによるとトルコからしか積み込まず、すぐ無くなってしまうので成田発では飲めないのだそうだ。
イスタンブール発のトルコ航空では絶対のおすすめ!


そして帰路、ボローニャ発は18時40分でまた2時間の旅に暖かいお食事。
 メニューには「ビーフ・ハンバーガー」とあったが、これはトルコのキョフテ。ボリュームがあり、添えられたトマトソースはフレッシュ、豆の煮込みもとてもおいしい。

成田行きの出発は午前1時近くなので、この機内食が出てきたのは午前3時近く。
 このチキンはさすがに食べられなくて、デザートのライスプディングだけおいしくいただく。

イタリア疲れで数時間眠った後、1本だけ選んだ映画がまた食べ物系(笑)。
 Chef
確か最近のフランス映画にも同じタイトルのものがあったと思うが、こちらはジョン・ファブロー監督・主演のアメリカ映画。ジョン・ファブローは「アイアンマン」の監督として有名らしいが、アメコミ物は苦手なので見ていない。これはインディー映画らしいが、友情出演なのか、ダスティン・ホフマン、ロバート・ダウニーJr、スカーレット・ヨハンソンなどがほんの脇役で出てきてなかなか豪華。

お話はファブロー扮するフレンチのシェフが評論家とツイッター上でけんかしてレストラン・オーナーから首にされ、何をしているのか金持ちらしい元妻とその元旦那の企業家の出資を受けてキッチンカーでキューバ・サンドイッチの屋台を始め、キューバ系の元同僚と、SNSを使いこなす10歳の息子に助けられて大成功、評論家と仲直りして新しいレストランの共同オーナーとなると言う他愛のないもの。

なによりもプロの料理人がやはりプロの評論家とけんかするなんてありえないし、フレンチのシェフが工夫もなくキューバ・サンドイッチを売って客が群がるなんて、どちらの料理もバカにしているとしか思えない。
その肝心のキューバ・サンドも「なぜそこまでカロリー増やす?」という代物で、イタリアで飽食した後で見る物ではなかった。

映画の中でのツイッターの扱いはおもしろいが、いささかスマホの宣伝くさくもあり、よかったのは元妻の父親のキューバ音楽ぐらい。日本公開はないだろう。

 こんなスナックもいただきつつ
 日本到着前の夕食はまたチキン。
しかしこちらはアラブ風のスパイスが効いた香りでご飯が進む。

 中身は往路と同じながら、復路には缶入りのアメニティーもいただいて、トルコ航空の旅は無事終了。


最近乗った飛行機の中ではエコノミーの食事としては一番おいしかったトルコ航空。
飛行時間から言ってもヨーロッパで乗り継ぎが必要ならいい選択肢だと思う。


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