10月31日 続き
モデナの市場から地図と首っ引きでたどり着いたのは Osteria Francescana
他に店などない静かな道に扉を固く閉ざしているが、ここがミシュランで三ツ星、ペレグリーノ主催の「世界のレストラン Top 50」で連続して3位に選ばれていると言う店。
旅行のひと月前にこの店のことを知り、予約なんて取れるのかな、とHPから入れてみたら取れてしまったのだ。
予約時間ぴったりの12時半に呼び鈴を押すとドアが開かれ
モダンな内装のホールに通されると黒服が何人もいてびっくり。
テーブルに着くまでに3人ほどに引き継がれた。
レストラン内の部屋は3つほどに分けられ、通された一番奥の部屋にはテーブルが3つ。
壁には古い映画女優たちの額が並ぶだけで豪華さはない。
メニューを渡され、選んだのは Tradition in Evolution という170ユーロのコース。
ほとんどの客はこのコースを選ぶものと思われる。
まずはしっとりとおいしいパンとオリーブオイルが来て
アミューズはモルタデッラ(本物のボローニャ・ソーセージね)のムース。これはいささか塩気が強くて、こんなもんかいな、と思っていたところ、「後で食べてください」と言われた白い四角形を食べてびっくり。こちらは豚の脂だと説明されたが、薄くパリパリに焼かれ、パルミジャーノやハーブが乗ってすごくおいしい。
これは期待できるかも、と思っていたらパンかごが取り替えられた。
ここで出てきたグリッシーニが特筆物。
いままでグリッシーニなんてパサパサしていておいしいと思ったことがなかったが、これはちがう。この後の料理を考えていくらも食べられなかったのが悔やまれるほど。
そして登場した一皿目は「ポー川をさかのぼるうなぎ」。
ふっくらと柔らかいうなぎにバルサミコを使っているが、甘い味付けはおそらく日本の蒲焼きに影響されている。その意味で日本人にとってはあまり驚きはない。
二皿目は「From Modena to Mirandola」。
とうもろこしのクッキーのような生地の上に乗せられたコテキーノというサラミ・ソーセージがミランドラの名産とのことだが、これは上にかけられた甘いザバイヨーネ・ソースにランブルスコ・ワインの香りが効いて、全部を合わせて食べるととてもおいしい。ただ下の生地が固くて、どこのテーブルからもガチャンとナイフが皿に当たる音が響く。
三皿目は「エミリアのシーザーサラダ」。
縦に細長い皿に小さなレタスが丸ごと、お尻を向けて置かれるが、この葉っぱの間にパルミジャーノや様々なハーブ、バルサミコ酢など20種類の材料がはさまれていると言う遊び心あふれる一品。
おもしろいが、20種類の材料はわからなかった。
四皿目はこの店自慢の一皿
「5種類のパルミジャーノ・レッジャーノを異なる温度とテキスチャ―で」
名前の通り、パルミジャーノがソース、ムース、クリーム、泡、おせんべいになっていて、あるものは冷たく、あるものは暖かい。そして口に入れればどれもまぎれもなくパルミジャーノ・レッジャーノ。特に泡は口に入れるとチーズの味がふわっと広がって、これはさすがにすごい。
五皿目「ラグーソースのタリアテッレ」は本場の「スパゲティー・ボロネーズ」。
「うちのラグーにはトマトもミルクも使っていません」とウェイターが言うのはこれぞ本式と言うことなのだろう、手で刻んだと言う肉に存在感がある。
この店にしてはひねりのない一皿だが、「前にここで食べたお客さんがパスタが出なくてがっかりしていた」と前日のガイドさんが言っていた通り、こういう皿もコースに入れないと遠来の客は納得しないのだろう。
六皿目はジャクソン・ポロックにインスパイアされたという仔牛肉。
「グリルはしていません」とウェイターが言うので調理法を聞くが、早口でなまっているのでよくわからない。真空調理だろうか、焼いたハーブを周りに付けた肉はとても柔らかく、ビーツ、ポテト、クロレラにバルサミコのソースもうまい。
もうおなかはパンパンだが、ここで棒付きアイス登場。
と見せかけて、これが周りにナッツをまぶしたフォワグラで、真ん中には50年物のバルサミコ酢が入っている。
これを手で持って食べると言うのも遊び心なのだろうが、ここでフォワグラはヘビー。おいしいので食べてしまったが。
そしてようやく最後のデザート。
チョコレートの中にチェリーとコーヒーのソースが入っているのだが、これが食べてみると驚き。チョコレートのシェルがまるで繊細な飴細工のように口の中でパリンと割れる。普通のチョコレートのつもりで食べると本当にびっくりする。いったいどうやって作っているのだろう。
さらにコーヒーと一緒に小菓子が出てきたが、とても食べきれないので持ち帰りたいと言うと
なかなかシックなエコバッグに入れてくれた。
帰り際には「お土産です」とバルサミコ酢の小瓶もくれたが、これを裸でひょいと渡されたのには笑ってしまった。
食事中にはシェフも愛想よく挨拶に出てきてくれたし、すべてがものすごくおいしいと言うわけではないが、地の食材を生かしながら驚きのある料理はとても面白かった。
しかし2万円以上を払ってまたここで食事をしたいかと問われれば、答えは「ノー」。
その理由の第一はサービス。
黒服のウェイターが大勢、入れ代わり立ち代わり登場するのだが、みんなクールというより愛想がない。
料理の説明も毎日何十回も同じことを繰り返さなければならないからだろうが、とにかく早口で相手に何かを伝えようという姿勢がまるで感じられない。
170ユーロのうちのいくらが食事の楽しさを盛り上げるどころか盛り下げる彼らのためなのかと考えるとかなりがっかり。
そしてもう一つ、これはあるいは店側のせいではないかもしれないが、同じ部屋のテーブルに5歳ぐらいの子供を連れたドイツ人家族がやって来て、この子供が走り回りはしないものの、大きな声を上げたり、飽きるとおもちゃを投げたりしているので驚いた。
おとなしくできない子供をこんなレストランに連れてくる親にまず責任があるが、店も子供連れを容認しているのか。うるさくしているのに一言もなかった。
と不満もあるが、経験としては非常に興味深かった。
モデナ在住のガイドさんは「モデナに見る物は何もない」なんて言っていたが、大聖堂と市場を除いてもとても落ち着いた街で歩くのが楽しい。来る価値は大いにあり。
食事に3時間かかったので、ボローニャに帰り着いた時にはもう17時になっていた。
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モデナの市場から地図と首っ引きでたどり着いたのは Osteria Francescana
他に店などない静かな道に扉を固く閉ざしているが、ここがミシュランで三ツ星、ペレグリーノ主催の「世界のレストラン Top 50」で連続して3位に選ばれていると言う店。
旅行のひと月前にこの店のことを知り、予約なんて取れるのかな、とHPから入れてみたら取れてしまったのだ。
予約時間ぴったりの12時半に呼び鈴を押すとドアが開かれ
モダンな内装のホールに通されると黒服が何人もいてびっくり。
テーブルに着くまでに3人ほどに引き継がれた。
レストラン内の部屋は3つほどに分けられ、通された一番奥の部屋にはテーブルが3つ。
壁には古い映画女優たちの額が並ぶだけで豪華さはない。
メニューを渡され、選んだのは Tradition in Evolution という170ユーロのコース。
ほとんどの客はこのコースを選ぶものと思われる。
まずはしっとりとおいしいパンとオリーブオイルが来て
アミューズはモルタデッラ(本物のボローニャ・ソーセージね)のムース。これはいささか塩気が強くて、こんなもんかいな、と思っていたところ、「後で食べてください」と言われた白い四角形を食べてびっくり。こちらは豚の脂だと説明されたが、薄くパリパリに焼かれ、パルミジャーノやハーブが乗ってすごくおいしい。
これは期待できるかも、と思っていたらパンかごが取り替えられた。
ここで出てきたグリッシーニが特筆物。
いままでグリッシーニなんてパサパサしていておいしいと思ったことがなかったが、これはちがう。この後の料理を考えていくらも食べられなかったのが悔やまれるほど。
そして登場した一皿目は「ポー川をさかのぼるうなぎ」。
ふっくらと柔らかいうなぎにバルサミコを使っているが、甘い味付けはおそらく日本の蒲焼きに影響されている。その意味で日本人にとってはあまり驚きはない。
二皿目は「From Modena to Mirandola」。
とうもろこしのクッキーのような生地の上に乗せられたコテキーノというサラミ・ソーセージがミランドラの名産とのことだが、これは上にかけられた甘いザバイヨーネ・ソースにランブルスコ・ワインの香りが効いて、全部を合わせて食べるととてもおいしい。ただ下の生地が固くて、どこのテーブルからもガチャンとナイフが皿に当たる音が響く。
三皿目は「エミリアのシーザーサラダ」。
縦に細長い皿に小さなレタスが丸ごと、お尻を向けて置かれるが、この葉っぱの間にパルミジャーノや様々なハーブ、バルサミコ酢など20種類の材料がはさまれていると言う遊び心あふれる一品。
おもしろいが、20種類の材料はわからなかった。
四皿目はこの店自慢の一皿
「5種類のパルミジャーノ・レッジャーノを異なる温度とテキスチャ―で」
名前の通り、パルミジャーノがソース、ムース、クリーム、泡、おせんべいになっていて、あるものは冷たく、あるものは暖かい。そして口に入れればどれもまぎれもなくパルミジャーノ・レッジャーノ。特に泡は口に入れるとチーズの味がふわっと広がって、これはさすがにすごい。
五皿目「ラグーソースのタリアテッレ」は本場の「スパゲティー・ボロネーズ」。
「うちのラグーにはトマトもミルクも使っていません」とウェイターが言うのはこれぞ本式と言うことなのだろう、手で刻んだと言う肉に存在感がある。
この店にしてはひねりのない一皿だが、「前にここで食べたお客さんがパスタが出なくてがっかりしていた」と前日のガイドさんが言っていた通り、こういう皿もコースに入れないと遠来の客は納得しないのだろう。
六皿目はジャクソン・ポロックにインスパイアされたという仔牛肉。
「グリルはしていません」とウェイターが言うので調理法を聞くが、早口でなまっているのでよくわからない。真空調理だろうか、焼いたハーブを周りに付けた肉はとても柔らかく、ビーツ、ポテト、クロレラにバルサミコのソースもうまい。
もうおなかはパンパンだが、ここで棒付きアイス登場。
と見せかけて、これが周りにナッツをまぶしたフォワグラで、真ん中には50年物のバルサミコ酢が入っている。
これを手で持って食べると言うのも遊び心なのだろうが、ここでフォワグラはヘビー。おいしいので食べてしまったが。
そしてようやく最後のデザート。
チョコレートの中にチェリーとコーヒーのソースが入っているのだが、これが食べてみると驚き。チョコレートのシェルがまるで繊細な飴細工のように口の中でパリンと割れる。普通のチョコレートのつもりで食べると本当にびっくりする。いったいどうやって作っているのだろう。
さらにコーヒーと一緒に小菓子が出てきたが、とても食べきれないので持ち帰りたいと言うと
なかなかシックなエコバッグに入れてくれた。
帰り際には「お土産です」とバルサミコ酢の小瓶もくれたが、これを裸でひょいと渡されたのには笑ってしまった。
食事中にはシェフも愛想よく挨拶に出てきてくれたし、すべてがものすごくおいしいと言うわけではないが、地の食材を生かしながら驚きのある料理はとても面白かった。
しかし2万円以上を払ってまたここで食事をしたいかと問われれば、答えは「ノー」。
その理由の第一はサービス。
黒服のウェイターが大勢、入れ代わり立ち代わり登場するのだが、みんなクールというより愛想がない。
料理の説明も毎日何十回も同じことを繰り返さなければならないからだろうが、とにかく早口で相手に何かを伝えようという姿勢がまるで感じられない。
170ユーロのうちのいくらが食事の楽しさを盛り上げるどころか盛り下げる彼らのためなのかと考えるとかなりがっかり。
そしてもう一つ、これはあるいは店側のせいではないかもしれないが、同じ部屋のテーブルに5歳ぐらいの子供を連れたドイツ人家族がやって来て、この子供が走り回りはしないものの、大きな声を上げたり、飽きるとおもちゃを投げたりしているので驚いた。
おとなしくできない子供をこんなレストランに連れてくる親にまず責任があるが、店も子供連れを容認しているのか。うるさくしているのに一言もなかった。
と不満もあるが、経験としては非常に興味深かった。
モデナ在住のガイドさんは「モデナに見る物は何もない」なんて言っていたが、大聖堂と市場を除いてもとても落ち着いた街で歩くのが楽しい。来る価値は大いにあり。
食事に3時間かかったので、ボローニャに帰り着いた時にはもう17時になっていた。
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