丸の内に出たらスープカレーを食べて
久しぶりに三菱一号館美術館へ。
現在開催中なのは「上野リチ」展。
上野リチさんとは今回初めて知ったのだがオーストリア生まれのグラフィック・デザイナー。
1910年代にウィーン工房に入り、1925年に日本人建築家と結婚して来日、京都を中心に活躍した人なのだ。
ウィーン工房はウィーン分離派とも関係が深く、アールデコの先駆けのような存在なので趣味にぴったり。
ということでこの展覧会に行ってみたのだが、リチさんのデザインは「かわいい」。
以下、展示品は撮影不可なのでネットから拝借。
工房ではテキスタイル・デザインを主に担当していたようだが、植物をモチーフにしたものが多く、後年になるほどカラフルになって行く。
まるで落書きのようなタッチの絵がとにかくかわいくて
日本の屋台などをモチーフにしたものもキュート!
日本の影響では金箔、銀箔を使った屏風がとても素敵で、
ついお土産にクリアファイルを買ってしまった。
七宝の小箱やマッチ箱カバーもまったく時代を感じない。
リチさんは戦時中も日本にいたそうだが、出身国のオーストリアがドイツに加担したような形だったので迫害されなかったのだろうか。大体彼女はユダヤ系だったそうなので、生国にいたらそれこそ大変なことになっていただろう。
いずれにしろ戦前から日本に暮らすというのは並大抵の苦労ではなかっただろうと思うが、かわいいもの好きの日本はリチさんに合っていた、と言えるのではないか。
美術館の中で復元された建物の屋根裏がのぞける一室だけは写真撮影可。
作品に登場する魚や鳥もやっぱりかわいい!
細かいものを展示するにはぴったりのこの美術館、平日昼間でも多くの観覧者で予想よりも混んでいたが、お客の90%は女性だった。
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先週の金曜日のこと、まだ早いのはわかっていたけれど、春の日差しが気持ちいいので皇居の周りの花見に行ってきた。
地下鉄九段下で降りると、この日は武道館で日大の卒業式があるとのことで、きれいなお振袖に袴姿のお嬢さんたちがいっぱい。
この卒業式に袴姿、いつから定番になったのだろうか。自分が卒業した頃にはなかった風習だけれど。
インド大使館前のモクレンはきれいに咲いていたけれど
千鳥ヶ淵はこの日まだ2,3分咲きの状態。それでも結構な人が花を求めて歩いていて
ボートに乗る人もいっぱい。
代官山通りを竹橋方面に曲がると、皇居の周りを走る人たちがちらほら。
先日のタモリ倶楽部で「日本最大の居ぬきは江戸城を居抜いた皇居」と言っていたが、確かに皇居は広いと周りを歩くと実感する。
北の丸公園の一角にあるこのかっこいい建物は旧近衛師団司令部庁舎。
2年前までは東京国立近代美術館工芸館だったが、工芸館は金沢に移転してしまった。現在内部は公開されておらず、工芸館だった時に入っておけばよかった。
その先にあるのが東京国立近代美術館。
現在「美術館の春まつり」として桜をテーマにした展示があるというので入ってみると
暗い室内のぐるりに明るく照らし出された春らしい作品の数々。菊池芳文の屏風に
河合玉堂の屏風。桜の枯れ枝の大きな作品は写真かと思ったら日高理恵子さんと言う方の絵画。何年もかけて描いたそうで迫力。
跡見玉枝の《桜花図巻》は様々な桜を描き分けたものでボタニカルアートそのもの。
桜がきらいな日本人はいないよね。
この春まつりは美術館の収蔵品展の一部だったので、会期ごとに作品が入れ替わるらしいいわば常設展も拝見すると、明治以降、古い時代の日本人の絵は西洋の模倣が多くて正直「だれそれ風」と言うものが多い。物まねではなくなったのは20世紀も半ばぐらいからだろうか。
中で興味深かったのは戦争画を集めた一角。
日本画の戦争画は絵の具の色が美しすぎて複雑。
不勉強にして今まで知らなかった松本竣介という画家を知ったのも収穫。
美術館を出たらお堀端をぐるっと歩いて丸の内に出た。
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3月3日、4日
別所温泉には外湯が3つある。となれば当然、全部入ってみなければ気が済まない。
まず1か所目、安楽寺を見学してから入ったのは温泉街の端にある石湯。と言っても北向観音から5分も離れてはいない。
立派な屋根の小ぶりな建物、入浴料はたったの150円、外の券売機で買って、番台に出す。
脱衣所は狭く、浴室は階段を何段か下った所。
以下、内部の写真はネットから拝借。
浴槽は奥のすぼまった三角形で、名前の通りまわりは大きな石作り。
わずかに濁ったお湯は硫黄泉でちょっと甘いような香りがするが、こちらのお湯は43℃ほどもあるだろうか、結構熱い上に周りが囲われて圧迫感がある。
あまり長居はできなかった。
次は南條旅館のすぐ脇、部屋に荷物を置き、宿で入浴券をもらって行った大湯。
こちらの玄関前には「木曾義仲ゆかりの葵の湯」の石碑。義仲が上洛前、愛妾の葵とこの湯に浸かった、ということになっているらしい。
時間の関係か、石湯よりもこちらは入浴客が多くて賑わっていたが
たまご臭のする内湯はきれいな緑色、42℃ほどと入りやすい温度でつるすべ浴感、石湯より気持ちいい。
石湯は50℃以上ある別所4号源泉、こちらはそれに36℃とぬるい大湯源泉が加えられているそう。
さらにここには露天風呂が付いていて
なぜかインド風の彫像が見守る浴槽内のお湯は緑ではなく灰色に濁っている。空気に触れるためだろうか。
150円で気持ちいい内湯と露天に入れるのだから、ここの人気があるのもむべなるかな。
最後の大師湯には翌日行ったが、これは前日の木曜日が定休日だったため。3つの外湯は曜日をずらしてそれぞれお休みの日があるのだ。
北向観音の参道脇にある大師湯は3つの中で一番大きな建物。
タイル張りの浴室の洗い場は広いが浴槽は5,6人で一杯になりそうなものが一つあるだけ。
別所3号源泉のお湯は42℃ほど、たまご臭もそれほど強くなかったが、入っていると何というか、お湯が肌にしみ込んでくるような心地よさ。中のタイルが青いのでよくわからなかったが、常連さん曰く「今日はいつもよりお湯が緑っぽい」とのこと。温泉は日によってコンディションが変わるらしいのが面白い。
大師湯を出たら参道入り口にある飲泉所でたまご臭のお湯をちょっといただき
その先のハレTerraseで湯上りジェラート。こちら選択肢が多いのは楽しいけれど、ダブル850円はちょっと高すぎる。
と、温泉を満喫してまたかわいい駅から上田電鉄に乗車、新幹線で東京へ。
別所温泉は東京からも簡単に行けて値段もリーズナブル、前から気になっていた温泉で期待を裏切らなかった。
しかし蔓延防止期間中の平日とは言えお客が少なすぎた。これから旅行客は戻ってくるだろうか。
がんばれ、別所温泉!
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3月3日 続き
さて、本日別所温泉でお世話になるのは北向観音から徒歩5分ほどの「南條旅館」さん。
入り口の大きな石碑に「浩宮皇太子殿下ご宿泊処」とあるが、今上のだいぶ若い頃にいらしたらしい。
ロビーはなかなかシックな造りで
まずはウェルカムのリンゴジュースをいただいたら記帳をして部屋へ。
通されたのは2階のエレベーターに近い一室。
横長の10畳+ソファスペースの部屋は明るく、バス・トイレ付き。
口コミでは部屋が古いなんて評判もあったが、昨日の明治のお部屋から来ると昭和くささも十分新しい(笑)。
入った時にお布団の敷かれていない部屋は最近では少数派になった。
全23室の宿だが館内は増築を重ねたらしく、同じ2階にある浴室までは廊下を曲がって曲がって、と思いのほか遠い。
浴室前の洗面台が並ぶ所には椅子、テーブルが置かれ、ジャズが流れて努力の跡が見える。
脱衣所は広々と清潔で浴室内にはシャンプーがいっぱい。
少し緑がかったお湯は湯面に少し湯の花が見え、硫黄泉だけれどなんだかかつおだしのようなにおいがする。
内湯は40℃ほどの適温、外には石壁に囲まれた小さな露天もあるが、こちらは38℃ほどとさすがに外ではぬるすぎる。
食事は3階の食事処なので指定した時間に行くと
天井からの布で仕切られたテーブルはたくさんあるが食事の用意がされているのは一つだけ。なんと、今日もこの旅館が貸切なのだ。
まだ入ったばかり、とちょっとぎこちないお姉さんにサーブされつついただいたお料理。
七苦離籠盛りという前菜には野沢菜や上田産みどり大根が使われ、チーズの中に蜂の子が面白い。
3月3日の土瓶蒸しはハマグリ入り、お造りは信州サーモンと信州大鱒のカルパッチョ。
ゆり根饅頭をおいしくいただき
鶏のお鍋は信州みそ入りのデミグラスソースとちょっと変わっていて、中の具を食べたら御飯とチーズを入れてリゾットにしてくれる。
最後の杏仁豆腐もとてもおいしくて、こちらはお料理も信州らしく、かつ特徴を出そうと努力していると思う。
ロビーでコーヒーや紅茶類が飲み放題、部屋に持って行けるように紙コップも用意されている工夫もありがたい。
夜も朝も当然お風呂を独占して
また一人の朝ごはんは最近苦手だったお粥がおかわりしたくなるほどおいしく、お豆腐の豆乳鍋も良かった。
チェックアウトの際には「一人で寂しくてすみません」なんて言われてしまったが、こちらこそ一人のために電気や暖房をつけていただいて恐縮してしまう。
お風呂が混雑している宿なんていやだけれど、そこそこの賑わいはやっぱり必要と実感した。
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3月3日 続き
別所温泉駅前には店などあまりなく、中心部に向かって歩くと四辻に地蔵堂がある。
七苦離地蔵堂と名付けられたこのお堂は最近作られたものっぽい。
このお堂の右手に入って行くと道の両脇に立派な屋根付きの仁王堂があり、そのずっと先の階段を上がると
見事な茅葺き屋根の常楽寺。庭には樹齢350年という御舟の松があって、確かに舟の形に見える。
本堂の脇、苔むした石塔を見ながら先に進むと石造多宝塔というのがある。
この場所は別所温泉で一番有名な北向観音が出現した場所とされているのだそうだ。
常楽寺を出てさるすべり小道なる遊歩道を行くと、眺望が開けて塩田平とその先の山の景色がとてもいい。
途中にあるフレームには山の形と名前が彫り込まれていて、これはわかりやすくて気が利いている。
遊歩道は石畳の道に突き当たるが、道の先の方には雪がいっぱい残っている。上田周辺は長野の中では雪が少ない所なのだけれど、今年は雪が多かった、とはますやのご主人の話。
その手前を右手に折れてまた階段を上ると
これも立派な屋根の本堂が見えて、常楽寺は天台宗だったが、こちらは曹洞宗の安楽寺。
本堂の脇には拝観料を収める受付があり、その先、お地蔵様の並ぶ階段を上がって行くと
途中の白いお堂の中に安楽寺の初代と二代目の和尚の像がある。鎌倉時代に作られたという写実的で見事なもの。
さらに上がった所に見えてくるのが国宝の八角三重塔。
八角形と言うのが珍しく、屋根は4つあるが初層は裳階と言ってひさしに数えるので三重塔とのこと。
朝見た大法寺の三重塔より少し古いそうで、これはうっとりするほど美しい。
安楽寺を降り、来た時には通らなかった黒門を通ると右手には大型旅館が並んでいる。
正面には北向き観音への門があって、階段を降りると土産物屋が並ぶ短い参道。
そしてその先が北向観音堂。
お寺の創建は平安時代初期と古く、お堂が北を向いているので北向観音。ご近所の善光寺さんは南を向いていて、向き合った両方をお参りするのがいいとされているとか。
境内の愛染かつらの木は今や縁結びのパワースポット。手水は温泉で温かい。
北向観音は厄除け観音だそうなので、しっかりお参りせねば。
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3月3日
朝6時半に目を覚ますと、暖房を切って寝た部屋の温度は3℃。
快晴の空の下、谷に霧がかかっているのを見ながらすぐに朝風呂へ。
内湯はゆっくり入れたけれど、この気温でぬるい露天はさすがに無理だった。
朝食は食事処で。
煮物の味付けがよくヘルシー。
10時前に大女将に見送られ、若女将の運転で宿を出る。
バスターミナルまで送ってもらう予定だったが、近くにある大法寺を見に行くつもりと言うとお寺まで送ってくれることになってラッキー。ますやさんには本当によくしていただいた。
宿から大法寺までは10分ほど。お寺は山をちょっと上がった所にあるので助かった。
駐車場からすぐの所にあるのは本堂。
この脇の小さな祠や道端に並んだ羅漢像を見ながらさらに坂道を上がると
大きな屋根の観音堂。中には厨子が見えたが、中に入っていたという十一面観音は本堂にいらっしゃったのだろうか、平安時代の古いものらしいが見逃してしまった。
この大法寺は飛鳥時代に藤原鎌足の息子が開いたとされる古刹だそうだが、ここに寄った理由は観音堂の奥に見える三重塔を見学するため。
1333年に作られたという塔は高さ18.38m、大きくはないがどっしりとして、全国に13ある国宝指定の三重塔の一つなのだそう。
周りをぐるっと歩くと
塔が塩田平を見下ろしていてとても気持ちのいい風景。
観音堂から少し下った所には青木村郷土美術館があり、中に三重塔内部の復元壁画があるというので200円を支払って入ってみた。
撮影不可なのが残念だが、創建当時は内部は華やかに装飾されていた様子。今はほとんど残ってはいまい。
他に郷土出身の画家さんたちの絵や彫像が展示されているが
昭和初期に農閑期に農家で作られたという木片人形が面白い。
お寺から坂道を下り、遠くの山を見ながら歩くと天気が良くて気持ちいい。
バス停までは15分。やっぱり若女将に送ってもらえてよかった!
上田駅に戻ったらJRの隣の上田電鉄別所線の駅へ。
乗り込んだ車両はまたもや真田だらけ。
千曲川を渡ってのんびり各駅停車。
終点の別所温泉まで30分、590円。
古い駅舎がかわいい!
駅前におはぎの店があったのでこちらでお昼。
片側は野菜やお惣菜を売る店、もう半分はなぜかピザ・レストランになっているが、座って食べさせていただいた2個216円のおはぎ、とてもおいしかった。
さあ、腹ごしらえができたら別所温泉を歩こう。
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3月2日 続き
上田駅前から青木バスターミナル行きの千曲バスに乗車。
乗り込むと大きなコンテナーが2つも席を占拠していて、見ると青木村行きとある。普通の路線バスを配送に使っているらしい。
この路線は地元の脚らしく、ほとんど各駅停車で人の乗り降りがある。
そんなわけで終点までは30分かかったけれど、乗車賃は300円とお安い。
バスを降りると宿の迎えの車が待っていて、ご主人と話すうち10分もせずに目的の田沢温泉に到着。
狭い石畳の温泉街(?)に入ってすぐ、「ますや旅館」の看板が見え
門の内側には堂々たる旅館建築がそびえている。こちら、本館、西館、東館など明治から昭和までの建物が複雑に入り組み、うち6棟が登録有形文化財に指定されているとのこと。最近この有形文化財にほんと弱いのだ。
玄関に入ると小さなロビーにはお雛様を始め物があふれているけれど
鉄道省指定旅館の看板や、明治初期の旅館の絵図など歴史を感じさせて素敵。
受付は小さな大女将の担当。最初こちらに予約の電話をした時の応答はなにやらそっけなくて、特に東京からだと告げると「一応お受けしますが」と嫌がっているようにも聞こえて不安だったのだが、来てみれば愛想良く、上田を観光してきたというと皆さん喜ぶ。
ここから先はお嫁さんが接客をしてくれて、「今日は空いているので大きい部屋にしました」と通されたのは
ロビーを出てすぐの急階段の上にある「藤村の間」。
8畳2間続きの奥の部屋にはこたつが置かれ、大きな額の下手な字(失礼!)は藤村の息子が書いたもの。
藤村がまだ若い明治24年にこの部屋に泊まったとのことで、部屋は基本当時のまま。
なので部屋は微妙にかしいで外側のガラス窓には隙間が見え、障子を閉めていないと寒い。
そのため丹前とカイロまで用意してくれていたが、ファンヒーターを着けてこたつにもぐれば問題なく、障子の威力を実感。
洗面とウォシュレットもこの部屋専用で、一番安い部屋をお願いしたのに一番いい部屋にしてもらっちゃった。
窓から外を見ると長い廊下のかなり先に湯屋の屋根が見えるので館内探検に。
藤村の間への急階段の向かいには東館への階段。
その手前の扉の先には長い廊下が伸びて、たくさんの色紙や古いポスターが並んでいる。
途中、卓球室の表示が見えたので行ってみると
懐かしや、「ピンポン室」には卓球台が3台。この宿、「卓球温泉」なる1998年の松坂慶子主演の映画のロケ地だったのだそうだ。
廊下はさらに続き、左手の障子の向こうは大広間、右手のガラス戸の向こうには東館、その向こうに自分の部屋も見える。
そしてやっと大浴場に到着。
この宿でここが一番新しいだろう、旅館の他の部分に比べて趣はないが、小さな露天まで付いた浴室は機能的で清潔だ。
と浴室は覗いたが、まだ明るいので外へ。
田沢温泉の石畳沿いにはますやさんの他にあと2軒旅館があるが、斜め向かいのたまりやさんは既に廃業したとのこと。
そのまた向かいにあるのが共同浴場の「有乳湯(うちゆ)」で、これに入りに来た。
入浴料は200円だが、宿で券をもらってきたので受付のおじさんに渡す。
中は5、6人で一杯になる浴槽が一つにシャワー付きのカランが5つ。洗い場は一つづつ仕切りが付いて使いやすく、シャワーを出すと硫黄がぷーんとにおう。
浴槽のお湯は無色透明で40℃あるかないか、入るとたちまち体に細かい気泡が付いて、これをぬぐうとつるつるしてものすごく気持ちいい!
地元の奥様方でにぎわっていたが、ぬるいので皆さん口元までお湯に浸かってゆったり。本当に出たくなくなるほどいいお湯だ。
良く温まった所で宿に戻り、テレビを見ながらうだうだしていると、若女将が本来は食事処でとる夕食を部屋出しにしてくれるという。
聞けば本日の客は自分一人、食事処を暖房するより持ってきた方がいいということらしい。
そこでありがたく部屋に運んでいただいた食事。
最初から品数多く、手の込んだ八寸。手毬の器に入っていたのは地蜂の蜂の子。甘辛い佃煮になっていて、見ても虫とはわからずおいしくいただく。
揚げそばの入った鍋はかなり甘目の汁だが、黒コショウが効いて意外な味付け。
馬刺しや桜鱒のお造りの手前はかぼちゃ餡の茶わん蒸し。中にチーズまで入って具沢山のプリンのよう。
その後来たのはきれいなビーフシチュー。これもお肉たっぷり、その上大根やカブ、むかごまで入ってとてもおいしく、御飯にはフキ味噌、お味噌汁は山椒が効いてどの皿も工夫されて味付けもいい。
デザートの黒いものも一つは羊羹、一つはチョコブラウニーで大満足。
なんとかお腹を落ち着かせたら、お風呂は22時までだというので長い廊下を通って浴室へ。
暗い廊下から振り返ると、自分の部屋にだけ明かりがともっているのが見える。
こちらのお湯も40℃ほどの長風呂仕様。湯口にコップがあったので飲んでみるとしっかり卵のような硫黄臭がする。
ただしこちらのお湯では有乳湯のような泡付きは見られない。若女将は同じお湯と言っていたが、有乳湯は田沢2号のシングルモルト、宿のお湯は田沢1,2,3号の混合でちょっと違う。温泉とは微妙なものだ。
部屋にすでに敷かれていた布団は厚いマットが2枚、羽毛の上掛けの上下に毛布があって、食事の前には湯たんぽも入れてくれた。
温泉で温まって布団にぬくぬく。古くて静かな宿は落ち着く。
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目指せ月一温泉、と言うわけでもないが、すっかり気楽な一人温泉旅が癖になって、3月は信州上田に行ってきた。
3月2日
上田までは東京駅から新幹線の「あさま」で1時間40分かからずあっという間。
駅の壁には六文銭。
駅前の大きな水車の横には真田幸村像。
町を歩き出してもいたるところに六文銭があって、上田は真田氏一色。
駅前の大通りをまっすぐ行くと
池波正太郎・真田太平記館なるものがあった。
街中には真田十勇士のやたらにかわいらしい像が散らばっていて、見かけた中では霧隠才蔵しか知らないけれど、そのうち真田太平記も読んでみよう。
さて、まず最初に目指したのは信州と言えば、の蕎麦屋。
ネットで良さげなところをと検索して、15分も歩いて「おお西」と言う店に来たが
店頭にはなぜか始皇帝の兵馬俑やらごちゃごちゃと並び、店内はとても広いが12時ちょっと前とは言えお客が誰もいない。
火の入る暖炉の脇にはギリシャ遺跡の前に立つ店主の写真が飾られていて、これはちょっと変わった店に来ちゃったな、と思ううち、とても立派な漆器に入ったおそばがやってきた。
こちらのおそばは店主考案と言う発芽そばの十割手打ちだそうで、透き通るような細切りのそばは甘みとコシがあっておいしい!あっという間に食べてしまって、これは大盛にすればよかったかと後悔するほど。
ただしこちらは普通盛りでも1650円といいお値段で、食べている間も他の来客がなかったのはそのせいかもしれない。
「おお西」があるのは江戸末期からの町屋を保存した柳町という通り。
蕎麦屋の隣には保命水という井戸があったり
味噌屋や酒屋があったり、200mほどだと思うがいい雰囲気。ただしこの日は水曜日だったので閉まっている店が多かったのが残念。
道が国道に突き当たった先には上田大神宮。
手前には蔵を改造したこじゃれた店があって、これは玉井フルーツというドライフルーツのお店。
柳町からは西に歩いて上田城跡公園へ。
堀端には桜の木がたくさん植えられていて、花の季節にはさぞやと想像できる。
橋を渡った所には市立博物館があるがこの日は休館。
その先に東虎口楼門があって、この門は平成6年に復元されたものだそうだが、この両脇と
少し先にある3つの櫓だけは江戸初期から残る物とのこと。
ただし上田城を作った真田昌幸の時代の物ではなく、真田氏の後に上田藩主となった仙石氏が作ったものらしい。
肝心の真田氏の上田城はと言えば
本丸跡がこの通りで何も残っていない。徳川に負けなかったとはいえかなり小さな城だったようだ。
その代わり本丸跡の脇には真田神社があって
幸村の大きな赤カブトがある。
こちら、上田城が「不落城」だったというので受験生に人気があるらしいが、そういう御利益はもう不要だ。
公園を出て少し行ったところにかわいらしい建物があった。
大正4年に建てられた旧上田市立図書館。
さらに歩いて市役所の裏に回るとお濠と土塀が続く一角。
ここは関ケ原で徳川方についた真田信之の居館跡だそうだが、中は現在では県立上田高校になっている。
城下町ではお城や城主の館跡に学校が作られることが多いよう。
上田中心部の見どころはこんなところなので駅前に戻ると立派な石造りの建物がある。
これがみすず飴というお菓子で有名な飯島商店の本店。
あまりに立派な店舗なので中も覗かせていただくと
古いオルガンや時計も並ぶ店内は重厚で上品そのもの。
みすず飴が1つからでも買えるようになっていたので6種類を1つづつ買い求めると、わずか216円の買い物に丁寧な接客をされてこちらが恐縮してしまう。
みすず飴は以前から長野県内の土産物屋には必ずあるので知ってはいたが、たかがゼリー菓子と食指が動くことはなかった。が今回初めて食べてみると、確かに寒天ゼリーではあるが本物の果汁が使われていて、甘さも程よくおいしい。さすが、立派なビルが建つだけのことはある。
これからは長野に行ったら必ずみすず飴を買いそう。
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昨日3回目のコロナワクチン接種を終了。
モデルナなら早い予約ができたので選んだら、さすがに今回は注射した所に筋肉痛を感じる。
しかしそれ以外には何の不都合もなく、熱も出ないので近所で河津桜が咲いているという林試の森公園へ。
公園に着いていつもソメイヨシノがいっぱい咲く広場へ行ってみると、こちらはまだ小さなつぼみが硬くて枯れ枝状態。
河津桜はどこかいな、と公園をぐるっと歩いてみると、さすがにまだ花は少なくて
水仙と
北見福寿草とリュウキンカ(by Picture This)ぐらいしか見えない。
大勢の犬を散歩させる人たちとすれ違いながら公園の反対側まで来ると
おお、ここに咲いていたか、満開の河津桜。
つい先日、TVを大画面にするついでに店員にそそのかされてスマホをiPhone13miniに変えたのだが、カメラ師匠のスクムビットさんによるとカメラ機能がいろいろ充実したというので試してみた。
なかで一番感心したのは超広角撮影。
左が広角、右が超広角でこれはいいかも。
縦位置にしても今までとは違って見える。
ボケも表現できるというのでf値を変えて撮ってみると
確かに背景がボケるけれどなんだか不自然。
広告ではスマホを使ってプロが素敵な写真を撮っているけれど、あれはやっぱり知識とセンスの差だよなあ、と改めて実感。
大体iPhoneには説明書も付かないので、露出補正やf値の変更もネットでお勉強しなければ知らないで終わってしまったに違いない。
なんてぼやきつつ、途中で買ったキュウリサンドで花見ランチ。
最近開店した総菜パン専門店だけれど、きゅうりとキャベツのマヨネーズあえがフワフワのパンに合っていける。
花の下には幼稚園児に保育園児、スカーフ姿の外国人グループも楽しそうに写真を撮っていて、日本の平和のありがたさを改めて感じる。
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ネットで珍しいウズベク料理屋があることを発見、新宿に用があった一日、ちょっと足を延ばして高田馬場へ行ってきた。
JRの改札を出て目の前、斜めに伸びるさかえ通りをしばらく行く。
両側には居酒屋やら中華やら、小さな飲食店がぎっしり。
その道をまっすぐ歩いて、まだかな、もう通り過ぎてしまったかと思った頃、やっと目指す店の小さな立て看板を発見。
このこぎれいなビルの3階にあるのが「サマルカンドテラス」。
エレベーターを降りるとこの扉。Openとはあるけれど店名はなく、中も見えないのでおそるおそる開けると
室内は両側が一面の窓になっていて明るく、内装はモダンなカフェ風で、これ見よがしのエスニック風はほとんどない。
ただしカウンターの中の人も、オーナーらしき人も明らかにウズベキスタン人。
メニューはこれだけで、スープは羊と豆スープと麺入りの野菜スープの2種類と説明されるので、ラグメンにも心惹かれつつ、羊に転んでスープを注文。
やがてやって来たのはこちらのプレート。
スープの他にひき肉がぎっしりの揚げマントゥとラタトゥイユのような野菜を包んだクレープが乗っていて、特にクレープがおいしい!
スープはひよこ豆と骨付きの羊。お肉はスプーンで簡単にほぐれる柔らかさ、シンプルな塩味ながら出汁をよく出ていてうまい。
運ばれてきた時には量が少ないかと思ったが、豆がいっぱいなので完食すればしっかり満腹。
正直、ウズベキスタンで食べた料理よりおいしくて、けれど日本人向けにしているというわけではなく、料理人の味付けのセンスがいいのだと思う。
お昼もちょっと遅めに行ったので客は少なかったが、来るのは日本人客。
ウズベキスタン人と思われる人たちは食事ではない用事で来てオーナーと話し込んだりしている。
日本在住のウズベキスタン人って何人ぐらいいるのだろうか。
キッチンのカウンターにナンがあったので一つお持ち帰り。
ぎっちりと詰まったナン、初めてウズベキスタンに行った24年前を思い出した。
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