Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

島根再訪 4 日御碕神社~物部神社

2012-11-29 22:41:52 | 国内旅行
11月16日 続き

お弁当を食べながら到着したのは日御碕(ひのみさき)神社。
 
今回巡っている中ではメジャーな神社で、江戸時代に建てられた社殿の朱色が目に鮮やか。
 
社殿の細部には象がいたり、麒麟がいたり、白い狐がいたり、いろいろ探すのが面白い。

 名前の通り、神社の目の前には海が広がっているが、すぐ沖合にある経島(ふみしま)が元々神社のあった場所で、ここは今でも神職以外は上陸が許されないそう。

海べりからちょっと陸を上がったところには隠ヶ丘という場所がある。
 ここもスサノオノミコトにちなむ「神跡」なのだそうだが、何があるわけでもない。

何も感じない凡人にはすぐそばに建つ灯台と、電話ボックスの方が楽しかったりする。
  

日御碕の次に向かったのは超有名どころ、出雲大社。
しかしここはちょうど一年前にさんざんうろつかせていただいたので、今回はお参りはパスして参道の甘味処で一休み。
 
出雲では旧暦10月の「神無月」が「神在月」となるのだが、この「神在(じんざい)」にちなむ餅がぜんざいの始まりだと称してこれを名物にしている。
入った店も「日本ぜんざい学会壱号店」なんだそうだが、紅白の白玉が入った、まあ普通のぜんざい。

一息入れたらまた神社まわりで、次は須佐神社。
 
名前の通り、スサノオノミコトを祭る神社だが、境内にはなにやら「須佐の七不思議」なる看板があり
 これもよくわからない亀のような石があって、なぜかむしろがかけられている。

道を挟んだ反対側にはお姉さんの天照大神を祭る神社。
  
しかし弟より偉いはずなのになぜかこちらの方がずっと質素なお社。

本日最後のお参りは物部神社。
 
石見国一宮ということで立派な神社だが、物部氏の御祖神ということで武運の神様とされていたらしい。
物部氏は蘇我氏に負けたのに、いいのかね。

 境内にあるこの手水石の勾玉は触ると財運が呼び覚まされる(!)というので触って来たが、さて。

日もすっかり落ちたところで今夜の宿泊地へ向かう。


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島根再訪 3 美保神社~鷺浦

2012-11-26 16:45:35 | 国内旅行
1月16日

弾丸オタクツアーの朝は早い。

一日目の出発集合時刻は6時。

 宿の目の前の小さな漁港ではもう船が入って魚の選別が始まっているが、外は真っ暗。

そんな中、宿から歩いてすぐの美保神社が本日最初の見学地。
 これは帰り際に撮った写真で
  
神社に着いた頃は写真も撮れないほどの暗さ。
しかしこの神社は大社造の本殿が左右二棟並立した珍しい造りで、事代主神を祭ったゑびす社の総本社という由緒ある神社なのだ。

 神社を出るころにようやく日ものぼり
 
目の前にそびえる大山の朝焼けをめでつつ、バスの中で朝食のおにぎり。

次に見学したのは黄泉の比良坂。
 
古事記に出てくる黄泉の国への入り口がここ↑というわけだが、正直何の変哲もない所に「神跡黄泉比良坂伊賦夜伝説地」という立派な石碑が建てられ、裏には石碑の建立者の名前が刻まれている。
ここから合流してくださった「出雲神話語り部の会」のガイドさんによると「この人が自分の土地のここが黄泉の比良坂だと言い始めただけですね」とあっさり。

次の見学地も普通の畑の中の木立。
 しかしここは「意宇杜(おうのもり)」と言って、国引きの仕事を終えた神様が杖を立てて「おう」と言ったという、立派な遺跡なのだ。

さらに岩坂陵墓参考地。
 これまた道端のこんもりと木の茂った丘にすぎないのだが、イザナミノミコトの陵墓として宮内庁の管理下に置かれ、調査もできないので「参考地」なのだとか。
出雲神話の遺跡はロマンなのだ。

ここからは宍道湖をぐるっと回って出雲大社方面へ。
日本海に近い山の中でバスを降り、林の中をしばらく歩くとスサノオノミコトが乗ったという「岩舟」がある。
 

その手前の鳥居をくぐるとその先は急な石段。
  
高さの一定しない、すべりそうな石段をハアハアしながら15分も上ると、その先には大きな岩があって、この狭い隙間をすり抜ける。
 そうしてようやくたどり着くのがこの小さな韓竃神社だが、8世紀ごろからの歴史があるらしい。
名前からも地理的位置からも韓国との関係、特に製鉄業との関係が濃厚そうで、大きな岩の隙間を抜けた先の崖の上といういかにもな場所と言い、とてもおもしろい。

秘境添乗員ツアーとしてはとても珍しい(笑)ことに、本日は行程が予定時間よりも早く進行している。 
そこでおまけの見学地と言うことで
 
この崖の下、漁船の並ぶ奥にある猪目洞窟へ。ここからは弥生時代、古墳時代の人骨や遺物が発掘されたそうだが、いかにも古代人が祖先を埋葬しそうなところではある。

 
洞窟の前にはきれいな海が広がって気持ちいい~。

この海沿いを走って、次は小さな港町、鷺浦へ。
 
ここにも伊奈西波岐神社という小さいながらも由緒ありげな神社があるが
 
それより昔は北前船でにぎわったという港町が雰囲気がいい。

この町には鵜峠地区と鷺浦地区があるので「うさぎ小学校」や「うさぎ郵便局」があり
 
古い郵便局を改装した「カフェうさぎ」は町の自慢らしく、すれちがったおばさんに「カフェもありますから寄って行ってください」と言われた。

きれいな川沿いの小さなカフェは本当にいい感じで入って見たかったが
 弾丸ツアーのお昼はバスの中でコンビニ弁当なのだった。


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目黒でミャンマー料理 「May Asian Foods」

2012-11-24 19:19:47 | 食べ歩き
赤坂で気に入っていたミャンマー料理屋「シュエジンヨウ」、ちょっとご無沙汰していたらいつの間にか閉店してしまったらしい。

シャンカオスエが好きだったのに、と残念に思っていたら、ランチで各国料理を食べ歩いているworld-lunchさんのブログで目黒のミャンマー料理屋が紹介されている。

これは行ってみなければ、と友人を誘ってランチに行ってみた。

場所は目黒の駅からすぐ、JRの線路脇のビル5階。
  May Asian Foods

事務所のドアのような扉を開けると、結構広い店内は明るく、テーブルとイスがぎっしり。
 
2台あるテレビモニターにはミャンマーのミュージックビデオのようなものが流れているが、ファッションといい音楽といい、アメリカのラッパーそっくり。
アメリカと「敵対」している国ほど、アメリカ文化に憧れているのが面白い。

他には誰もお客さんがいないので、「一番暖かい席にどうぞ」と案内されて、ランチメニューから注文。

 まずはヴェータァラァーヒンという野菜スープ。
いろいろな野菜にレンズ豆が入り、魚のだしが効いているがカレーのような香りもする。塩気がかなり強いのはスープとはいえご飯にかけて食べるものなのだろう。
これ自体に辛さはなく、一緒に出される干しエビ、干し魚、唐辛子のふりかけを少し入れるとうまい!

 本日のカレーはエビと里芋という珍しい組み合わせだが、これもカレーというよりちょっと和風の煮物のような感じがあり、やさしい味で食べやすい。

麺も一品ということで迷いつつ選んだのは
 ナンジットゥという幅広の小麦麺をココナッツミルクのソースであえたもの。
麺はパスタだし、ゆで卵も入っているのでこれはまるでカルボナーラ。鶏肉とレバーが入っているところがミャンマーらしいのだろうか。

食後にはコーヒーもついて、どのお料理もおいしくて大満足。
友人は辛いふりかけが気に入って帰りぎわにお買い上げ。
夜は予約のみだそうだが、ここはもっといろんな料理が食べてみたい。

デザートは席を移して、目黒駅ビル内の「果実園」でフルーツポンチ。
 ミックスジュースに食べにくいぐらい大きなフルーツをゴロゴロトッピング。

目黒のランチも楽しい。


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島根再訪 2 美保関

2012-11-23 00:29:37 | 国内旅行
11月15日 続き

境水道を渡ってやって来たのは島根半島の突端にある美保関。

 米子空港に着陸寸前の飛行機から、今夜の宿泊地がよく見えた。

もう夕方も遅いので、到着早々、宿にも寄らずにまずはお寺に仏像見物に。
  
仏谷寺と言うこちらのお寺、本堂は小さいが1200年の歴史があり、後鳥羽上皇や後醍醐天皇が隠岐に流された時には滞在したという由緒あるお寺なんだそうだ。

そんな由緒にふさわしく、本堂の向かいにある大日堂には重要文化財指定の仏像が5体。
    
どれも平安初期の一木造の立派なものだが、姿かたちにいささか統一性がないのはどうやら戦国時代の戦乱を逃れて別々のお寺から集められたものだからのよう。

同じ境内には八百屋お七の恋人、吉三の墓なんてのもある。
 江戸で放火をして処刑されたお七は実在したようだが、さて吉三は実在したのか。

仏谷寺の門を出ると昔ながらの狭い路地は石畳が敷き詰められていい感じ。
  

この路地には小さなお醤油屋さんがあって、樽の並ぶ店内を覗かせてもらうとぷ~んと醤油のいい香りがする。
  
  
そのちょっと先にはここのお醤油を小売りしているきれいな売店があったので、こちらでつゆとポン酢をお買い上げ。

そしてようやくチェックインした今夜の宿は小さな漁港の正面に建つ旅館・美保館。
  
風情ある旧館がすてきだがこちらは朝食会場にのみ使われているようで、お泊りはその隣の鉄筋のビル。
  
部屋の正面に港が広がって、とても景色がいい。

 無色透明、無味無臭の温泉もこの景色を見ながら入浴すればいい気持ち。

さっぱりしたところで今回のツアーの皆さんと合流してお夕食。
 
漁港の目の前の宿なので期待通りお魚三昧。特に生の紅ズワイガニが味噌まで甘くておいしかった~。

 懐かしの先割れイチゴスプーンで盛り上がって、オタクツアーは明朝から始まる。


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島根再訪 1 米子「アジア博物館」~境港

2012-11-20 23:02:59 | 国内旅行
2012年11月15日から11月18日 神話の国出雲の真髄に迫る旅:神楽編

11月15日

秘境添乗員、金子貴一氏と行くマニアック・ツアー。
昨年の出雲大社のお祭りに続き、今年は同じ島根県のさらにディープなお神楽を見に行くと言うのでまた参加させてもらった。

いつものごとく現地集合なのでお昼の飛行機で米子空港へ。
すぐ近くの出雲空港はJLだけ、こちらはANAだけの就航と棲み分け(?)ができているが、1時間も離れていないところに空港が2つって、なんだかなあ。

そして出雲が「縁結び空港」なら、米子は「鬼太郎空港」。
というわけで
  
荷物台には目玉おやじがまわっているし、鬼太郎は飛行機にまたがっているしで、空港中キャラクターだらけ。

到着早々、同行のお姉さま方と空港内で腹ごしらえ。
 もろもろついて750円は安い、なんて喜んでのんびりし、さてタクシーに乗ろうと外に出ると人っ子一人いない。
地方では、タクシーは待っているもの、なんて思うのが間違いなのだ。

配車をお願いしたタクシーで向かったのは米子空港から10分ほどの「アジア博物館」
 
広い敷地に立派な長屋門が建ち、その奥にも立派な建物がいくつも並んでいる。

木立の中を縫う順路に従って見て行くとまずは染織工房棟。
 
藍染めの釜や織機が並び、予約をすれば体験もできるらしい。

その隣にはかすり館というのがあって、日本各地のかすりが展示されている。
それというのもこのエリアには「弓浜絣」という鳥取県の無形文化財があるから。
 茶綿で縞や格子を表し、その中にかすりでめでたい文様などを織り出した布はとても手が込んでいてきれい。
コレクションも地味ながら見事だが、残念ながら写真撮影は禁止。

さらに隣には「ペルシャ錦館」
 こちらにはイランの収集家、ラヒム・アナビアン氏のコレクションが展示されているが、
 ペルシャの王族の衣装やら少数民族の衣装、
  (収蔵品の写真はカタログから)
カシミール産、イラン産の錦織やら刺繍やら、断片でさえうっとりするようなペイズリー文様がいっぱい。
 
アナビアン・コレクションは2000点もあり、保存をしながら展示替えもしているようだが、惜しむらくは建物の立派さに比べて内部の展示方法には工夫がなく、解説などもあまりないのが非常にもったいない。
私立の博物館ではこれが限界なのだろうか。

ペルシャの隣にはまた唐突に「モンゴル館」があり、中にはチンギス・ハーンの移動の模型やら衣装の展示。さらにその隣には本物のゲルが2棟。
 
これはモンゴルの首相から寄贈された、普通より立派なものなんだそうな。

そしてゲルの隣には今度は「井上靖記念館」。書斎や応接間が「模倣」され、故人の旅行用品なども展示されている。

シルクロード、中央アジアでつながりそうであまり脈絡のないペルシャ、モンゴル、井上靖。
これをつないでいるのは実はこの博物館を作ったダイニッカと言う会社の会長で、子供のころから好きだったモンゴル、柔道を通じて知り合った井上靖、井上靖からつながった江上波夫経由のペルシャということらしい。

個人の趣味でこれだけの物を作ってしまったのは大したものだが、いかんせんアクセスが悪く、ここに来るのは我々のような物好きだけだろう。平日の午後とて我々以外に見学者は二人だけ、この二人がいるだけでも正直びっくりした。そのためだろう、1993年の開館時には1500円と強気の入場料だったものが今では500円。設備維持の苦労がしのばれる。

見学終了後はとても親切な受付の方にまたタクシーを呼んでもらい、境港の駅へ。
 
「これは水木しげる記念館ですか」と思わず言ってしまったぐらい駅も電車も妖怪だらけ。
 
駅前には水木さん本人もいるし、郵便ポストにまで鬼太郎。

 
売店も当然のことながら妖怪だらけなもので、思わず妖怪トイレット・ペーパーなんて買ってしまった。まだ旅は始まったばかりなのに。

 売店には「竹島ものがたり(日の丸つき)」なんてものまであってしゃれがきいているが、こっそり目立たないポスターなのが日本人らしいかも。

博物館と移動に思いがけず時間がかかってしまったので境港の見学は駅の売店のみ。
今夜の宿のお迎えが来てしまったが、見ていないと言うと水木しげるロードを通ってくださる。
 道沿いの妖怪ブロンズ像は有名だが、街灯まで目玉おやじ。
妖怪関連のお店もまだ増えているそうで、街では観光客をリピートさせるための方策をいろいろ考えているとか。
鬼太郎におんぶにだっこの町おこしってどうなんだろう、と来る前は思っていたが、これだけ努力しているところを見ると大したものだと思わざるを得ない。

そんな話を宿のご主人としながら
 境水道大橋を渡って島根県に入る。


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「桃さんのしあわせ」@Bunkamura ル・シネマ

2012-11-09 11:36:38 | 機内食・映画・美術展
Bunkamuraでもう一本。

 香港映画、「桃さんのしあわせ」

アンディ・ラウ扮する映画プロデューサーが60年も家族につかえていた家政婦さんの老後を看取る話。
「危険なメソッド」のついでのつもりで見たが、こちらの方がずっと気に入ってしまった。

まずは香港の日常の風景。
魚や青菜があふれる市場とか、無愛想な店員のいる食堂、決して豪華ではない高層アパート。
香港に行くと好き好んで歩き回る景色がふんだんに出てきて、「おお、香港だ」。

そして香港を歩いているとよく見かける「老護院」の看板。
トラムなどに乗っていても目に付くのでよほど多いのだろうが、中があんなふうになっているとは。「個室」でさえもまるで災害避難所の仕切りのようで、食事もお粗末。ああいうところで最後をむかえるのはすごくわびしそう。

と入所早々はそのように感じさせて、慣れるにつれて親しい人間関係もできてくる、そのさりげない描写が人懐っこい香港人らしくてとてもいい。

大スター、アンディ・ラウが映画プロデューサーなのにいつも安っぽいジャンパー姿で、エアコンの修理工やタクシー運転手と思われるのがまたおかしい。
赤ん坊の頃から面倒みてくれた家政婦さんを最後まで見捨てないやさしい人なのだけれど、愛情表現がそっけないほどさりげないところ、アジアらしいと思う。
アンディ・ラウはちょっと高倉健に似て来たんじゃないだろうか。

子供の頃から苦労して、自らの家庭を築くこともなく、裕福な家族の家政婦であり続けた桃さん。
これまた多くを語ることなく、その人生を言葉の端や小道具で感じさせるところがうまい。
そして原題は A Simple Life。何が幸せか考えさせる。

アンディ・ラウが同世代だし、桃さんの姿も決して想像できない先の話ではない。
だからこそ身に染みるのだが、アジア的な抑制と優しさにあふれたこの映画、見てよかった。


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「危険なメソッド」@Bunkamura ル・シネマ

2012-11-07 23:55:01 | 機内食・映画・美術展
大好きな変態監督、デヴィッド・クローネンバーグがなんとフロイトとユングの映画を撮ったという。
撮る映画がどれもまるで精神分析の題材だらけのようなクローネンバーグ、これは見ないわけにはいかない。

というわけでBunkamuraのサービスデー、一律1000円の日に見てきた。

 「危険なメソッド」 A Dangerous Method

いきなり結論を言ってしまえば、今回はかなりがっかり。

クローネンバーグといえばいつも空気が凍りついたように澄みきり、張りつめているのだが、20世紀初頭のスイスとウィーンを舞台としながらなぜか季節はいつも夏のようで、暖かい空気とともに映画自体もぬるくなってしまったよう。

フロイトと言えば性的抑圧だし、ストーリーの中心がユングと患者の不倫関係、しかも患者の病気の原因が性的トラウマとなればクローネンバーグお得意の性的イメージ爆発を期待していたのだが、今回はびっくりするほどお上品、なんでクローネンバーグの映画がR-11なんだと思っていたが、これなら納得。

興味深かったのはユングが大金持ちの奥さんをもらったドイツ系のブルジョワ階級で経済的に全く困ることがなく、ユダヤ系で子だくさんのフロイトとは立場が全く異なっていたこと。
お上品に取り繕った奥に自らドロドロしたものを抱え込んでいるところも描かれるのだが、これがいつになくあっさりしていて、まったく肩透かしをくらってしまう。
フロイトとユングの不倫相手ザビーネがユダヤ人であることもあまり強調されすぎることはないのだが、これもテーマ臭いなと思ったらクローネンバーグ自身、ユダヤ系だそうだ。

ザビーネを演じたキーラ・ナイトリーは特に冒頭の病気の部分で大熱演。ナタリー・ポートマンやシャーリーズ・セロンなどもそうだが、あちらの女優さんは美人でも果敢に汚れ役を演じる。
しかしこの実在したというザビーネ、病気が治療のおかげで回復し、自ら精神分析医になった経緯にどうも説得力がない。
原作は舞台劇だそうだが、いっそ大幅に改変してザビーネの視点からこの話を語った方がおもしろかったんじゃないだろうか。

というわけでこの映画で気に入ったのは女優さんたちのレースのブラウスだけ。高いハイネックと膨らんだ袖が素敵なのだ。

年の行ったクローネンバーグに「デッドゾーン」や「戦慄の絆」のような映画はもう期待できないのだろうか。


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横浜散歩 2 人形の家

2012-11-05 15:36:07 | 国内旅行
セネガルのシチューでお腹を満たし、さらに横浜の海辺を散歩。

 
絶好のピクニック日和に山下公園は家族連れやカップル、観光客でいっぱい。有名な「赤い靴はいた女の子」像、初めて見たかも。

 氷川丸のまわりではカヤックに乗る人たちもいて気持ちよさそう。
 マリンタワーってこんなに小さかったっけ。

その先にある大きな建物は「横浜 人形の家」
  
一度来てみたいと思っていたが、こんなに立派な建物とは知らなかった。

 
展示はアメリカから贈られた「青い目の人形」とそのお返しに贈られた日本人形に始まり、日本各地の民芸品やらこけし、世界各地の様々な人形。
ヨーロッパの伝統衣装を着た人形は子供の頃、父親が出張のたびに買ってきてくれたっけ、とまたノスタルジーにかられる。ああいう人形、今でも買う人いるんだろうか。

   
今では南米やらアフリカの怪しげな人形の方がそそられる。

 
明治時代に作られた立派な雛飾りはするめまであるちまちまとした調度類がおもしろく
 
フランスのビスクドールは衣装コレクションがおもしろい。

ちまちましたものは大好きなのでそれなりに楽しんだが、寄せ集め感が強いのは人形と言う以外にテーマのようなものが見えないからだろうか。
立派な入れ物なのだからもうちょっと見せ方にも工夫があればいいのに。

人形の家を出て、やっぱりここは寄らないと、と中華街へ。
 世界中どこでも華やかな関帝廟の前を素通りして

一休みしようとカフェに入ったら大きな犬が寝そべっていてびっくり。
 
ココナッツアイスにかき氷コーヒーのアフォガードもおいしく、中華街らしからぬ静かなカフェでしばしまったり。

 
最後はお約束の月餅と中華まんをお土産に横浜散歩終了。

独特の「ハイカラ」な空気がある横浜はやっぱり楽しい。


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横浜散歩 1 高句麗壁画とセネガル料理

2012-11-01 18:52:33 | 機内食・映画・美術展
もう先週のことになるが、久しぶりに横浜に出かけた。

目的はこちら→ 

壁画フェチとして写真展とは言え珍しい北朝鮮にある古墳壁画を見たいと思ったのだ。

会場は日本大通りにある日本新聞博物館。
 
関東大震災の復興記念として建てられたという古い建物に高層階が接ぎ木された横浜情報文化センターの中にある。
 
吹き抜けになったロビーにはオフセット輪転機が飾られていかにも新聞屋さんらしい。

目的だった写真展は2010年と2011年に共同通信社が平壌郊外の古墳を独占取材した時のもの。
非常に珍しい写真だとは思うが、初公開という壁画そのものは保存状態がかなり悪く、残念なことになってしまっている。
ただし過去に取材したという古墳は写真で見る限りガラスで覆われて状態も悪くなく、平壌郊外に多くの古墳があるとは知らなかったので興味深い。
隋、唐の文化が高句麗に伝わり、それが日本にやってきたのがよくわかる。

しかしいくらきれいなプロの写真でもやはり大きさや質感がわからないのは寂しい。
機会があれば最後の秘境、北朝鮮に行ってみようか。

壁画写真を見た後は常設展も一巡り。
 
明治時代に始まった新聞の変遷がわかりやすく展示され
 
特に広告の移り変わりがおもしろい。

新聞博物館を見た後は久しぶりなので横浜をお散歩。

 
クラシックな外観の神奈川県庁の前では週末のこととてジャズの演奏会があり、その向こうには横浜税関の可愛い塔が見える。

さらに海岸まで出ると、国際フェスタなるイベントが行われている。
 
JICAや様々なNGO、NPOが海外支援の活動を紹介したり、グッズを売ったりしているが
 
一番にぎわっているのはやっぱり食べ物屋台。一番人気はなぜかペルーの店だけれど、せっかくなので珍しいものを食べようと
 セネガル料理を選んでみる。
 これはヤッサというレモン・マスタード・チキンシチューだそうで、名前の通り酸味が効いているが辛くはなく、濃厚な味でなかなかおいしい。

海岸ぺりの柵に寄りかかってシチューをいただけば、目の前には
 
みなとみらいに赤レンガ倉庫街
 さらに大桟橋国際客船ターミナルが広がって実に気持ちがいい。

はるか大昔の幼稚園の頃、我が家は横浜に住んでいて、週末に客船から投げられる紙テープを拾いに来たことがあるのを思い出した。
あの頃はもちろんこんな立派なターミナルはなかった。

気持ちがいいのでもっと散歩を続けよう。


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