7月14日
朝食後にホテルをチェックアウト。
ここまでは大型タクシー2台を使っていたが、ここからはミニバス1台で移動する。
ウムハウゼンを出た車は小さな村をいくつも通り過ぎながらエッツタール谷を南へ下って行く。
谷のどん詰まり近く、オーバーグルグルからは山を登って行って
ホッホグルグルの有料道路料金所でトイレ休憩。立派な建物があるのはモーターサイクル博物館。というのもこの道はツーリングで大人気だからだそう。
目の前には3,000m越えの山々の東面がそびえ
眼下はエッツタール谷。右手がやって来た方向、左手が谷の突き当り。
この料金所を過ぎてしばらく行った所で道端に車を停め、ここから歩いて国境を越えることになった。
川べりを歩いて行くと
牛さんたちがのんびりしている。
しかしこの川べりはぬかるんでいて歩きにくい。そこで道路の反対側の山を上って行くことになるが
えっ、ここを上がるの?という斜面に実は道がついている。アルペンローゼが山肌を赤く染め、
その他の花々は小さく地面にへばりついて、イワカガミも見えた。
しばらく上って行くと眼下のワインディングロードがよく見えてきた。
車やバイク好きならなるほどこの道は楽しかろう。
我々の終点は山の上の山小屋。
下の道からずっと上って、1時間半でやっと到着。
ここがオーストリアとイタリアの国境になっていて、ピラミッドも片側はドイツ語、もう片側はイタリア語。
雪渓も残るここで記念写真を撮ったが、風の吹く標高2,509mの峠は気温が8℃。寒い!
峠のすぐ下には立派なレストハウスがあって、駐車場にはバイク野郎がいっぱい。
ここで車に乗り込み
この後はイタリア側の山道をグングン下りて行く。
下りて行くにしたがって緑が鮮やかになり、かわいらしい山小屋風の家がたくさん見えてくるが
イタリアに入ったとはいえホテルや店の標記はドイツ語、あちこちに見える旗は紅白に鷲の紋章のチロルの旗。
頻繁に国境争いのあったこの南チロルという地域、第一次世界大戦後からはイタリア領になっているが、地元民の意識はイタリア人というよりチロル人らしい。
山道を下ると気温は上がり
周りはリンゴ畑とブドウ畑だらけになった。
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7月13日 続き
滝の上からしばらく行くと大きな山小屋があり、ここでトイレ休憩の後、またハイキング再開。
カモと一緒に小川沿いを歩いて行くと
ニーダータイという小さな村がある。
すごい急斜面で草刈りをしていたり、丘の上の動物は羊かと思ったらアルパカだったり。アルパカは羊同様、毛糸を取るために飼育されている様子。
しかし村の中には入らず、右手の道を上がって行く。
ニーダータイ村を見下ろす峠まで上がり、そこから先は下り道。
Wiesle Almという山小屋に着いたところでやっとランチ。
この店自慢のリンゴジュースの炭酸割りをいただき、ランチプレートは今日もソーセージ、チーズにポテト。
しかしそれよりデザートのシナモンケーキとリンゴのシュトゥルーデルがおいしかった。
帰路はまた別の村を見ながら森の中を歩いて行く。
途中には大きな岩壁があって、ここにはロッククライマーが結構来ている。
今日もいろいろな花が見られたけれど
森の中で楽しいのはキノコがたくさん顔を出していること。
ガイドのシュテファンはどこで見つけたのか、いつの間にか大きなポルチーニ茸をゲットしていて、森の中では黄色が目立つアンズ茸を見つけては女性ガイドのジェーンともども崖をスルスル上り下りして取ってくる。どこの国でもキノコ狩りには燃えるものなのか。
他のキノコには目もくれず、やはりこの2種がおいしいらしい。
森の恵みはベリー類も同様で、
へびイチゴやブルーベリーを摘みながら歩くのも楽しい。
やがて山を降りてウムハウゼン村のはずれに着いた。
するとここには冷たい水を張ったプールと池があって、池の底は丸石がゴロゴロ。
水は10℃もないだろう、1分も浸けていられないほど冷たくて、石の床もとんでもなく痛い。
この施設、バスソルトで有名なクナイプが無料で提供していて、説明文には30秒以上は浸かるなとある。
しかし冷水と足裏マッサージのおかげで、きゃーきゃー言いながら足を浸けた後は本当に驚くほど足が軽くなった。
ウムハウゼン村に入って来た方を振り返ると
ここからでも小さくシュトゥイベン滝が見えていた。
5時過ぎにホテルに戻って、一休みしたら今夜も昨夜と同じレストランで夕食。
まず登場したのはガイドたちが山で収穫してくれたキノコ。
きれいに処理するのに1時間もかかったそうだが、バター炒めしたキノコはさすがのおいしさ。
今夜のデザートは残念ながらジェラートではなかったけれど、リンゴのフリッターも結構。この辺りではリンゴづくしだ。
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7月13日
ホテルの朝食は7時から。
ここで面白いのは自分で卵を料理できること。好きなだけ具を入れてオムレツが作れる。
8時半になったらロビーに集合して、今日は徒歩で出発。
かわいいウムハウゼンの村の中を歩いて行く。
大きな家の多くはペンションだろうか、ちゃんと消防署もある。
村はずれには広い原っぱが広がっていて、ここは飛行場にもなるのだとか。
この原っぱを過ぎると道は山の中に入って行き
勢いよく流れる川の支流には畑に水を流す水門も見える。
緩やかな坂をしばらく上って行くと最初の展望台に着いた。ここから見えるのが本日の目玉、シュトゥイベン滝。
昨日の雨のせいか、普段より水量が多いそうで、かなり離れたこの展望台からも水煙が見え、すごい音がする。
ということで動画はこちら ↓
ここからさらに坂道を上がって行くと、村からだいぶ上がって来たのがよくわかる。
さて、この先の滝の横にはスチール製の700段の階段があって、これで一気に159mを上がることができる。
階段の反対側、赤い線のルートは岩登りのルートで装備があればこちらでも上がれる。
次第に滝が間近に見えてきて、階段の前には吊り橋を渡る。
この吊り橋からは虹がきれいに見えて、よく見ると足の下にも虹。360°、完全な円になった虹が見えた。
そして始まる階段上り。
しかし途中には所々展望プラットフォームが作られているので思ったほど大変ではない。
ここから見える滝はさらに大迫力。
特に第3プラットフォームは全身ずぶ濡れになるほど水飛沫がかかって、楽しい!
頂上まで上がって反対側の展望台にも行ってみると2007年に作られたというこの階段の工事の様子がわかり
クライミングで上がって来る人たちにも遭遇。中には小学生ぐらいの子供もいるのにびっくり。
滝は決して珍しくはないが、こんな楽しみ方ができる所は初めて。面白かった。
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7月12日
朝食の後、インスブルックのホテルをチェックアウトして東へ小一時間、キュータイという小さなダム湖へやって来た。
予定ではここからハイキングのはずだったのだが、朝からの小雨がここに来て雷雨になってしまった。
そこでガイドの判断により予定変更、さらに南へ1時間走って今夜宿泊予定のウムハウゼンという小さな村のホテルに入った。
この辺りはスキーリゾートであると同時に最近はサイクリングも盛んらしく、ロビーには自転車の整備のための道具もしっかり備えられている。
ありがたいことに部屋にも入れて、ベランダからは山の麓の村も見える。
雨はほとんど止んできたので、荷物を置いたらまた車に乗り、15分ほどのエッツという村にあるロープウェイ乗り場へ。
この村の標高が1,000m弱、ゴンドラで上がるホッヘッツは2,020m。
降りた所には子供の遊び場などがあるが霧にけぶって真っ白。
サルオガセやアルペンローゼなど見える中を歩いて行くうち、時々霧が晴れて周りの山が見えるようになった。
1時間ほど歩いて見えてきたのはバルバック・アルムの山小屋、1,957m。
今日はこちらでランチ。チロルのハイキングではお弁当を持ち歩くことなく、毎日暖かいお昼を食べられるのだから優雅なものだ。
最初に頼んだのはエルダーフラワーのジュース。和名はセイヨウニワトコというそうだが、小さな花をシロップ漬けにしてあり、これが癖がなくておいしい。
麦の入ったスープに、今日はソーセージとザワークラウト。毎日食べていると味の良し悪しがわかってくる。
昼食を終えて外に出ると雲がどんどん晴れてきて
きれいな青空になった。雨に濡れた後の花もきれい。
眼下の村や背後の岩山を見ながら往路とは違う道をロープウェイ乗り場まで戻ると
所々にこの辺りで見られる動物の木彫りがあるのだが、これが微妙にヘタウマでおかしい。
ロープウェイ乗り場の脇にはこんな池があったとは。
ロープウェイでエッツに降りたら路線バスでウムハウゼンへ。
とんがり屋根の教会の脇を通ってホテルに帰還。
今夜の夕飯はこの教会の隣にあるレストランで。
箱にスプレッドと一緒に入っているのはカリカリのクッキー。この地方の物らしいが、これが塩味でおいしい。
メインはウィンナーシュニッツェルだけれど、ここのは平らに伸ばすのではなく丸めてある。
そして「ここのはおいしいんだよ」とガイドお勧めのジェラート、10種類以上あるうち全員同じものを3種類選べというのでみんなで多数決を取って大騒ぎ。結局バニラとアプリコット、チェリーに決まったけれど、本当にどれもおいしかった。
しかしジェラート一つでこれだけ盛り上がるとは、楽しい夕食になった。
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7月11日 続き
今回のツアーでは毎日ハイキング。
なので添乗員は山旅専門、さらにここから男女二人の現地ネイチャーガイドが付く。
彼らに先導されて大通りのバス停へ。
砂で上手に犬を作る人や路面電車の運転手に愛想を振りまかれながら
我々は路線バスでパッチャーコーフェルと言う所まで40分ほど。
途中、目立つ塔のような物を発見。
これは建築家、ザハ・ハディッドが設計したジャンプ競技台。反対側の山にはやはり彼女の設計したロープウェイ駅もあるそうだが、今回は残念ながら見られなかった。
インスブルック市街の標高は574m、そこから山道を上がって来たこの麓駅が1009m。
ここからロープウェイで1965mの山頂駅まで行き、そこから地図の赤い印を辿って別のロープウェイ駅まで歩くのが今日行くツィルベンヴェーク・ハイキングコース。
ロープウェイのゴンドラは8人乗り。ここは元々スキー場なので扉の外にスキー板を立てられるようになっている。
途中一回乗り換えがあって、到着した山頂駅にはきれいなテラス。
最高のお天気でここから周りの3,000m以上の山々がくっきり。この中にドイツ最高峰、ツークシュピッツェも見えていたはずだが2,962mなのでオーストリア人にはバカにされる。ちなみにオーストリア最高峰は3,798mのグロスグロックナー。富士山よりほんのちょっと高い。
ここから木の門をくぐってハイキング開始。
このコースはほぼ水平に歩くだけなので楽ちん。周りには子連れ、犬連れで手ぶらの人もいっぱい。
距離や所要時間、強度を示した標識も実に分かりやすい。
眼下にはインスブルックの街が見え
山肌を赤く染めるのはアルペンローゼ。名前はローゼだがツツジの一種だ。
ガイドはもう終わっているかもしれないと言っていたがまだきれいに咲いていてラッキー。
今日見つけたそれ以外の花はこちら ↓
こうして歩くこと4時間、トゥルファインアルムの山小屋が見えてきて、また木の門をくぐったらハイキング・コースは終了。
山小屋のテラスでお昼になった。
メニューに自家製とあったのでまずいただいたのはバターミルク。
牛乳からバターを作る脂肪分を除いた後のもので、乳酸発酵しているので濃ゆい飲むヨーグルトといった感じ。おいしい、けれどすごい量。これだけで一食分はゆうにある。
パンにチーズ、ベーコン、丼いっぱいのザワークラウトに続いては
きのこに青菜、ベーコン、チーズ入りと4種類もクヌーデルが出てきた。これをそのまま、あるいはコンソメスープに入れて食べる。クヌーデルとはマッシュポテトに片栗粉を入れたものなのでめちゃくちゃお腹にたまる。しかしこの昼食はいかにもチロルらしくて楽しかった。
食事を終えたら花畑の中をちょっと歩き、標高2,055mのGlungezerロープウェイ駅に到着。
ここからまたロープウェイを乗り継ぎ、トゥルフェスという村から路線バスでホテルに戻ったのが16時過ぎ。
この後はもう大きな町には泊まらないので、最初で最後の買い物をしようとホテルのすぐお向かいにあったデパートへ。
もう当然のごとく日本食ラウンジなんてものもあったが、リンツの山に引っかかってしまった。
夕食は今夜は街中のレストランで。
メインはこれも代表的チロル料理というTiroler gröstl。ベーコンとひき肉、茹でたジャガイモを炒めたものでチロル版肉じゃがといったところ。こう言っては失礼だが、ランチといいこれといい、昔のチロルは貧しかったのだろうな、と思わせられる料理。
デザートのアップル・シュトゥルーデルがさすが本場、とてもおいしかった。
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7月11日
昨晩早めに寝たために朝の3時頃に目が覚めてしまった。
布団の中でうだうだしているうちに友人も目を覚ましたので、外が明るくなった6時前に二人で散歩に出ることにした。
外に出てみると残念ながら雨が降っている。
旧市街の向こうに見える山にも低い雲がかかってぼんやり。
しかしまだ人通りの少ない大通りも脇の小路も、いかにもオーストリアらしい町並みで素敵だ。
6時半になったらホテルに戻って朝食。
オーストリアはパンやハムの種類が豊富で期待通り。
昨日夕食を食べたカフェでしっかり朝ごはん。
食事を終えてもまだ時間はある。観光は付いていないツアーなのでまた外へ。
するといつの間にか雲がとれて空が真っ青。
街並みの奥の山もちゃんと見えてきた。
インスブルックにはもう35年ほど前に一度来たことがあった。
ちょっと立ち寄っただけだったのでほとんど何も記憶にないが、これだけは覚えていた
黄金の小屋根。
16世紀の神聖ローマ皇帝、マクリシミリアン1世がイベント見学のために作らせたというバルコニー。
この周りの建物も凝った装飾がいっぱいで
ハードロックカフェにも黄金の屋根。
店先に下がる看板もかわいい。
開き始めた店先にはリンゴだけではない、何種類ものシュトゥルーデルが並び、パン屋のなんと魅力的なこと。
しかし「オーストリアに行く」と言ったら「カンガルーを見に行くのか」と言う間抜けはうちの弟だけではないらしい。
さあ、8時半集合なのでホテルに戻ろう。
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2024年7月9日~7月18日 南北チロルとドロミテハイキング
7月9日~10日
昨年のジョージアに続いてこの夏もヨーロッパでハイキングをしようとS社のツアーに参加。
成田に集合のところ、今回は日暮里から京成のスカイライナーで空港へ向かった。
自分の実家は京成線の沿線、もう50年も前から住んでいるが、沿線だったからこそ実はスカイライナーに乗るのは初めて。
京成王子の車内アナウンスを聞きながら日本で二番目(笑)に早い特急で飛ばすが、特急料金のいらないスカイアクセス線と実は10分ぐらいしか違わない。
空港に着いたらエミレーツのビジネスラウンジに行く友人とは別れるが、第二ターミナルでプライオリティパスが使えるようになった「KoCoo」なるラウンジはすぐその隣。
第一ターミナルの「Noa」よりも席数が多く、落ち着いた雰囲気もいい。
食事はカレーに白玉団子と抹茶チョコぐらいしかないが、去年はラウンジが使えなかったのでありがたい。
22時半出発のエミレーツでインドの上空など飛んで10時間半。
ドバイ到着はまだ真っ暗な午前4時。
去年も使った Marhaba Loungeで
またデーツとすごい色のピスタチオケーキで一息。
ドバイから乗り継いだミュンヘン行きは8:50発予定だったが、空港が混んでいたのか機内で1時間も待たされ、それでもイラクやトルコの上を飛んだ飛行機は定刻から15分遅れの13時半に到着。
ミュンヘンの空港はコンパクトだがその分入国審査の窓口が少なくて、空港を出るのに1時間以上もかかった。
今回のツアーは東京出発6名、大阪出発7名の計13人。
空港から大型タクシー2台に乗って、そのままオーストリアへ向かう。
平坦なドイツから山が見えて来たらオーストリアだが、ドイツとオーストリアの間はもうどこが国境だったか、標識にも気が付かないほど。
途中、ドライブインでトイレ休憩。
こんなに酒が並んでいていいのか、というほどワインやビールの品ぞろえが豊富だが、コーラ一缶が€3.5もしていてびっくり。成田で両替をした人は1€が178円だったそうで、それで計算すれば623円!この後もドライブインはどこも高くて、貧乏な日本人は水も飲めない。
この後はちょっとした渋滞にもあいつつ、本日の宿のあるインスブルックに到着したのは17:45。
旧市街の中心近くにあるホテルの部屋はそこそこ広いが、湯沸かしポットがないのが残念。
この後に泊まったホテルもすべてポットや冷蔵庫がなくて、B&Bでも必ずポットとお茶、ビスケットが置いてあったスコットランドはよかった。
ドイツ系のホテルで面白いのはどこでもベッドの上掛けが2つに折って置かれていること。これ、寝る時には自分で広げなければならないので結構面倒くさい。
長旅の後なので今夜の食事はホテルのカフェで。
キノコいっぱいのサラダに、鹿肉シチューにはシュペッツレというパスタ。
カイザーシュマーレンもオーストリアらしいデザートだが、フレンチトーストの小間切れにベリーソースが添えられている感じ。
オーストリアも日が長くて夕食を終えても外はまだ明るい。
気温は意外に高くて26℃。屋外は爽やかだが冬向けに作られているこちらの建物、窓を開けても風は通らず、エアコンなどは当然ない。夜は暑くて寝苦しかった。
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用事がなければとても外を出歩く気になれない今日この頃、仕方なく出かけたからには映画館で涼もうと考えた。
しかし夏休みのせいもあってやっているのはお子様映画ばかり。
そんな中、アメリカのどうやら人情コメディらしい、という情報だけで選んだのはこちら。
「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」 The Holdovers
やって来たのは勝手知ったる日比谷のシャンテシネマ。
平日の昼間なのに意外にも結構混んでいて、客席の6割以上は埋まっていただろう。
ただし客の年齢層はかなり高そうで、皆さん考えることは一緒だったか。
舞台は1970年、ニューイングランドの寄宿学校。クリスマス休暇でみんないなくなる中、金持ちの問題児が一人に教師一人、料理人だけがそれぞれわけあって取り残される。
アメリカの寄宿学校の生徒と先生の話というとロビン・ウィリアムズの「いまを生きる」を思い出すが、裕福な坊ちゃんの苦悩や教師と心を通わせるところなど共通点はありながら、こちらは全体のトーンがずっと軽い。
軽さの元は教師を演じるポール・ジアマッティで、偏屈で厳格な教師と言う設定の割にどこかコミカルで愛嬌がある。斜視を生徒にからかわれるのだが、ジアマッティ本人は斜視ではない。どうやって斜視にしているのだろう。
上手いのはコック役のダバイン・ジョイ・ランドルフという女優さん。ふてぶてしくて不愛想だが実は親切と言うのを実に自然に演じていて、これでアカデミー助演女優賞を取ったとは帰ってから知った。
この映画、他にも作品賞を始め5部門にノミネート、ジアマッティも主演賞候補だったとはまったく知らなかった。地味で助演の印象の方が強い人なので、この作品は代表作になるだろう。
コメディというよりは人情話、ちょっと昔のアメリカ映画と言う感じで、先日機内で見た「ボーイズ・イン・ザ・ボート」もそうだったが、ハリウッドはいささか懐古趣味になっているのだろうか。
ただしこの映画の設定である1970年は、コックの息子がベトナム戦争で死んだという以外にはまったく必然性がなく、時代背景が生かされているとは言い難い。現代の話であってもまったく問題なく、黒人スタッフとの交流もその方がずっと自然だっただろう。
ストーリーに意外性はないがラストまで気持ちよく見られて、こういう素直なアメリカ映画はいい。
しかし何よりよかったのはこれがまったく時季外れのクリスマスの話だったところ。
ニューイングランドの冬は雪景色でなにもかも凍っているが、寒そうというより涼しそうと思ってしまった。
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スコットランド、特にシェトランドまで足を運んだ大きな動機の一つはアン・クリーブスのミステリーシリーズ、「シェトランド」であったことは何度も書いた通り。
しかしスコットランドを舞台にしたミステリー小説は他にもいっぱいあって、渡航の前、帰ってからも何冊か読んでみた。
NC500で巡ったスコットランド北部の田舎を舞台にしているのはM.C.Burtonの「ハミーシュ・マクベス」シリーズ。
名前からしていかにもスコットランド人のハミーシュは田舎巡査のままでいたいばかりに実は鋭い頭の持ち主なのにわざと怠惰を決め込んでいる。しかし周りで殺人が起こればちょっと間抜けな振りをしつつ解決してしまうという、コミカルなコージー系のミステリー。
1作目はあまり感心しなかったが、2作目 、3作目は結構面白くて、旅行をした後では田舎の村で魚釣りをして過ごしたいというハミーシュの気持ちもよくわかる。
スコットランドで一番の人気らしいのはスコットランド人作家、イアン・ランキンのエジンバラを舞台にしたリーバス警部シリーズ。
リーバスは軍隊での特殊訓練によるトラウマを抱えていて、1作目はこれがちょっと暗すぎ、主人公の性格もひねすぎていてつらかったが、シリーズが進むにつれて性格は改善するらしい(笑)。3作目はリーバスが事情によりロンドンのスコットランドヤードに出向になる話で、これはイングランドでのスコットランド人の立場や感情がわかって一番面白い。スコットランド人の友人もファンだと言っていたし、もう何作か読んでみてもいいかも。
逆にイングランド人がスコットランド、しかもシェトランドのアンスト島に出向くのはフランシス・ロイドのジャック・ドウズ警部シリーズの1作。
その名も「シェトランド・キラー」では島の古城で殺人事件が起こるが、プロットはいささか強引、家にいた奥さんまで出向いて巻き込まれるのはいくらなんでも無茶すぎる。
このプロットはありえない、と指摘しているのはシェトランド観光局のHP。
なにしろ本とTVシリーズのおかげで実は英国内でももっとも殺人事件の少ないこの島なのに、シェトランドに行くというと「殺されないように気を付けて」なんて冗談を言われてしまうほどミステリーで有名になってしまった。
なので本屋の棚にはアン・クリーブスの本を始めミステリーがずらり。
去年はクリーブスの肝いりで有名ミステリー作家を何人も招いた Shetland Noir というイベントまで開催したのだとか。
このHPの記事でも取り上げられ、本屋にも並んでいたのはマルサリ・テイラーという作家のキャス・リンチを主人公にしたシリーズ。
作家は現在もシェトランド在住、なので帰ってから読むと情景がまざまざと思いだされて実に楽しい。ミステリーとしてのプロットもしっかりしているし、ヨット乗りの主人公も魅力的で、このシリーズはもっと読みたい。
と、どれも日本ではマイナーでなかなか入手できそうにない本だが、そこはアマゾンとKindle 様様、今では簡単に原書が読める。
帰ってからもまだまだスコットランドを楽しめるのだ。
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交通標識
動物の横断注意の標識、日本でも田舎に行くとサルやタヌキの看板を見る。
自然がいっぱいのスコットランドにももちろんあって
羊や鹿は定番、牛はたくさんありすぎて写真も撮らなかった。
ちょっと日本にないのは乗馬のマーク。
もっと珍しいのは
カワウソに赤リス。どちらも実物にはお目にかかれなかったのが残念。
卵売り
スコットランド高地の道端で見つけた卵の無人販売。
シェトランドにはもっとたくさんあって、特にフェリー乗り場によくあった。
右の巣箱のようなのが卵、冷蔵庫には蜂蜜とケーキの表示があるが、開けても何も入っていなかったのか、どうも思い出せない。
看板もかわいくて
ここのはちゃんと賞味期限まで書いてある。
値段は6個入りが一番安くて£2、高いのは£3.5。日本よりだいぶ高いが、生産者が近くを走り回っているのが見える、素性の確かな卵だ。
戦利品
さすがに卵は買って帰らなかったが、訪問先の経済にささやかな貢献活動。
青地に白いⅩはスコットランドの国旗の柄。ネス湖で靴下も買ったが、ネッシーというよりヘビみたい。
あまりに羊だらけなので、羊柄のエコリュックまで買ってしまった。
シェトランドではセーターは高くて買えないのでフェアアイルのベレー帽を一つ。その隣、「パフィンのうんち」はお米のパフにホワイトチョコをかけたお菓子。
Unst島の「英国最北端のパン屋」ではクッキーと大きな田舎パン。オーツケーキは小麦の育たないスコットランドでは昔からよく食べられていたというオーツ麦が原料のクッキー。硬くて甘さはまったくなく、バターにチーズやジャムを乗せて食べる。このパン屋さんの商品はどれもおいしかったが、スコットランドではドイツやロシアのようなライ麦は食べないようだ。
最後はスーパーで買い物。
自分は子供の頃、一時期イギリスに住んでいたので、お菓子売り場は懐かしさでいっぱい。
なにしろイギリスはお菓子の品ぞろえもパッケージも60年経ってもほとんど変わっていないのだ。週単位で品物が入れ替わる日本のコンビニとは大違い。
チーズもスコットランド産を買って、結構な荷物になった。
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