Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

壱岐・対馬の旅 2 湯ノ本・山口温泉

2020-10-31 12:07:27 | 国内旅行

10月19日 続き

夕食を終えた午後7時20分、呼んであったタクシーに乗って「湯ノ本温泉まで」とお願いすると運転手さん、「えっ」と驚いた顔をする。
「かなり遠いですよ」と言うが「構いません」と走り出すと、通行する車もほとんどなく真っ暗な道をかなり飛ばしてもなかなか着かない。

やがてちょっと明るい集落が見えてきて、赤い提灯が道に並ぶ先にこの島一番の温泉地、湯ノ本温泉があるが、目的地はここからちょっと離れてまた周りが真っ暗な中にある「山口温泉」。

実は壱岐にわたる前、博多駅のみどりの窓口で九州八十八湯めぐりの御湯印帖なるものを100円で入手していた。
 壱岐で該当するのはこちらの山口温泉だけ、パンフレットによれば最終受け付けは20時とある。

 そこで広い駐車場で車を降り、周りに何棟もある建物のうち明かりの灯る受付に行くと窓口にいたおばあちゃん、「温泉は8時で終わりだよ」と無情のお言葉、奥に座っていたじいさんはさらに不機嫌な顔で「8時にはお湯を落とすから」とにべもない。

この時点で時刻は7時40分、しかしせっかくここまでタクシーを飛ばしてきたし、もう一度ここに来るとも思えない。
乗ってきた車の運転手さんは親切に「湯ノ本の他の旅館なら10時まで入れますからそちらに行きますか」と言ってくれるが、20分で出るからと入浴料400円を支払い、運転手さんには待っていていただいてお風呂場へ急ぐ。

 受付から駐車場をはさんだ向かいにあるこちらの玄関から入ると
 
正面には休憩所の座敷があり、右手に浴場への入り口があって廊下の左右に男湯、女湯がある。

 
引き戸を開けると大きな岩の左右にいきなり棚があるだけの脱衣場、その先に仕切りもなく浴槽が2つ並んでいて、のれんなどが掛かっているわけではないので不用意に扉を開けたら入浴している人が見えそうなワイルドさ。

中に入ると女性が一人いたが、この人はお掃除をしていたらしく、こんな時間にやって来たこちらを不審な顔つきで見ていたがやがて出て行ったので広いお風呂を独り占め。
 
2つある浴槽には黄土色に濁ったお湯が張られ、お湯が少なくて濁りが強い方には「熱くて使用できません」との札。しかし触ってみれば45,6℃だろうか、入って入れないことはなさそうだがお湯も少ないのでもう一方の浴槽へ。
 こちらは41,2℃の適温、色が薄いのは98℃という源泉にかなり加水しているのだろうが、見た目通り金氣臭がして塩辛い。
個性的なお湯が楽しくてもっと入っていたいが、壁の時計をにらみつつ8時ちょうどに上がって待っていてくれたタクシーでまた宿へ。

「ここのお湯はベタベタするので子供の頃は嫌いだったんですよねえ」と物好きな客に運転手さんの口も軽い。
そこで「壱岐と対馬って仲が悪いと本で読んだけど本当?」と聞きづらいことを聞いてしまうと「そんなことないですよ~」と言いながら爆笑していたから本当らしい。
なんでも両島の中間に良い漁場があって、それも関係がよくない一因らしく、「交流はないですね」と正直だ。

いろいろな話を聞きながら宿に戻ると往復のタクシー代は5340円。
それだけかけて400円の温泉に20分だけ入りに行ったとは、我ながらほんと物好き。
 しかしおかげで無事八十八湯の最初のスタンプが入手できたし、入浴後は体がぽかぽか。
ちなみにタクシー代には地域共通クーポンを使わせてもらった。


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壱岐・対馬の旅 1 壱岐へ

2020-10-28 17:19:07 | 国内旅行

いつかは行きたいと思っていた壱岐・対馬、韓国からの観光客のいない今こそチャンスと考えていたところ、おなじみS社がタイミングよくツアーを出してくれたので早速参加してみた。

2020年10月19日~23日 「壱岐と対馬~実りの島と国境の島を巡る」

10月19日

7月以来の羽田空港。
 
さすがに以前よりは旅行者が増えたが、出発便の3割には欠航の赤いマーク。
しかしそのおかげか福岡行きのANAはほぼ満席。今の経営状態では1席づつ空けるなんて悠長なことは到底できまい。

 薄曇りの羽田を9:40に飛び立って
 
11:30には快晴の福岡に到着。

福岡空港はターミナルの地下に地下鉄駅があって
 
わずか6分で博多駅に着いてしまうのだから素晴らしすぎる。

 JR駅のすぐ横のバスターミナル地下でうどんを食べて
 駅前のバス停から博多ふ頭行きのバスに乗る。
バスは次々に来るし、パスモも使えるのでこれまた便利。

博多ふ頭までは20分ほど。

天気が良くて気持ちいい!

ここにはベイサイドプレイスという商業施設があるがお店は少なくてかなりわびしい様子。
 
一つ100円のお寿司屋さんだけがにぎわっていた。

集合時間の14:30に船のチケット売り場で無事ツアーご一行様と合流。
今回は男女4名づつの計8名、いつものごとく旅の大ベテラン揃い。
 
乗船券をもらって待っていると閑散としていたこの建物内もお客さんでいっぱいになってきた。

 出発時間の10分前に改札が始まって
 
待っているとこれから乗り込むジェットフォイル、「ヴィーナス 2」が入ってきて、乗ってきたお客を下ろしたらすぐに乗船、またすぐに出発と忙しい。

 全席指定だが乗船率は3割ほどだろうか。
 普通のフェリーなどのように甲板に出られないのが残念だが、今日は波も穏やか、まったく揺れることなく快適な航海。
 
スケジュール通り、1時間10分で壱岐の郷ノ浦港に到着。

港には宿の車が迎えに来てくれていて、町の中心からは15分ほどとちょっと離れた今夜の宿へ。
 
「太公望」さんはちょっと古めかしい割烹旅館。
 
10畳のお部屋には例によってすでに布団が敷かれ、夕陽の差し込む窓からは小さな漁港が見える。

本日の予定は夕食を食べることだけ。大広間のテーブルにはすでに料理が並んでいるが
 
カツオ、鯛、ヒラサ(=ヒラマサ)、アジ、イカのお刺身がさすがのおいしさ。
後から運ばれてきた揚げ出し豆腐は沖縄の島豆腐のように硬くて好み。
 次にやってきたのは大きな鯛の頭。
しっかり煮つけられたこれをバラバラにして骨をしゃぶればおいし~。
 
さらに壱岐牛とアスパラもこの島の特産だそうで、これでもうお腹いっぱい。

とツアーの予定はここまでだが、この後は個人的に行きたい所があるのだ。


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博多うどん食べ比べ

2020-10-26 16:48:38 | 食べ歩き

父親の住む千葉県佐倉市にしばらく前に福岡のうどんチェーン「ウエスト」の支店ができた。
場所は京成、国鉄どちらの駅からも遠くて車でなくては不便な所。にもかかわらずお昼時などなかなかの人気で、かくいう我が家でもお気に入りの店。

関東進出になぜこんな辺鄙な所を選んだのか謎だが、最初はうどんの方が目立っていたメニュー、いつの間にかそばの方が大きなスペースを占めるようになって、しかもそばはお替り無料と太っ腹。
しかしおいしいのはやっぱりうどんで、讃岐うどんのようなコシはないがやわらかすぎることはなく、なにより魚出汁のスープとごぼう天がうまーい。

そんな折、旅行で福岡に降り立った。
この機会に本場の博多うどんを食べてみようと、まずは博多駅周辺で店を探す。
「ウエスト」の博多店で関東とどれだけ違うか比べてみたい気もしたが、せっかくここまで来たのだからこの地ならではの店にしようと博多バスターミナルの地下へ。

 「牧のうどん」はカウンター席だけがずらりと並ぶ店。券売機でチケットを買うが、うどんとそばの選択肢があり、さらにチケットをお姉さんに渡す時に「やわ・中・かた」から硬さを指定する。

席についてほんの1,2分で注文の品が到着。
 肉ごぼう天うどんの中、730円。
さくっと揚がったごぼう天ぷらが5本にかなり甘い味付けの牛肉がたっぷり、さらに天かすが乗ってねぎはテーブルで乗せ放題。
うどんは確かにコシがなくて柔らかめだがチュルチュルと食べやすくておいしい。

しかしこちらのうどんは量が多くて、たくさん載った具材を食べているうちに麺が汁を吸って膨張、食べても減らない!
周りのお客さんのほとんどが硬めと注文している理由を納得。小さなヤカンに汁が付いてくるのもこのためらしい。

このスープ、どんぶりの中はお肉のために甘くなっているが、試しにヤカンからレンゲに入れて飲んでみると魚だしが濃厚ですごくおいしい。
今回は具材を欲張りすぎてうどんを食べきれなかったし、次回はシンプルにごぼう天だけにしよう、と決意。

この後3日間はうどんを食べる機会がなく、最後の福岡空港でようやく2軒目。

 ターミナル3階にある「やりうどん」。
 こちらは32cmもの長さのごぼう天が売りで、ごぼう好きとしては1本にしようか、3本にしようかと大いに迷う。
が、これも博多らしい丸天も食べたいので「博多やりうどん」を注文すると、こちらは10分ほども待たされて
 本当に長~いごぼう天が登場。
天ぷらは注文が入ってから揚げるので時間がかかるとのこと。ごぼうはかなり硬め、この長さで汁にも漬けずらいので歯が悪い人にはおすすめできない。
逆に丸天の方はまるではんぺんのようにフワフワで、ごぼうよりむしろこちらの方が印象的。

うどんは柔らかいながら真ん中にちゃんとコシがある感じ、こちらのスープも魚だしが効いて、添えられた液状の柚子胡椒を入れてもおいしい。

今回の2軒では「牧のうどん」がインパクト大だったが、「ウエスト」も含めて博多うどんにははまった気がする。

 福岡空港にはこんなラーメン街ができているが、福岡に来たらラーメンよりうどんだ!


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手作りジャム 第二弾

2020-10-18 16:49:19 | コレクション

コロナによる引きこもりを機に始めたジャム作り。
面白くなってしまって、第一弾に続けてその後も作り続けている。

まずは近所の八百屋に時々驚くほど安く出るパイナップル。
 煮崩れないのでフードプロセッサーで刻んで、そのままでは面白くないと生姜にシナモン、クローブを入れた。
遊びに来た友人に試食させると「ジャムと思って食べると驚くが、別物と思って食べればおいしい」とビミョーな評価。確かに生姜は邪魔だったかもしれない。

 
これも安売りしていた生プルーンは量が少なめだったので冷凍ラズベリーを足した。
するとたちまち鮮やかな紅色になって、味もラズベリーが勝ってしまった。ラズベリー、強し。

 チーズに乗せようと作ったのは輸入物のレッドグローブで作ったぶどうジャム。種がなく、皮ごと食べる品種なので半分に割って煮込むだけと簡単、ジャムにしたあとの皮も気にならない。
季節なので国産のブドウもいろいろ出回っているが、皮をむくのは大変だろうし、何より値段が高すぎる。

これまた安売りされていたのはイチジク。
 日本のイチジクは生で食べるとボケた味でおいしいと思えないが、ジャムにすると種のプチプチが楽しく、ウイスキーをどぼどぼ入れたら香りがして我ながらいい出来。

もう一つ、パンを焼いた時に使ったクルミがたくさん残っていたのでくるみバターを作ってみた。
 我が家のおもちゃのようなフードプロセッサーではかなり回してもペースト状にはならず、はちみつとプルーン、シナモンにオリーブオイルと水も少し足してようやくそれらしくなった。
しかし思ったほどくるみの香りがしないのは業務スーパーの安い輸入物を使ったせいだろうか。
仕上がりのイメージがちがうので、これはリベンジせねば。


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秋田の戦利品

2020-10-15 15:09:24 | 国内旅行

秋田と言えば最近の一番の売りは秋田犬。

 黒湯温泉でも玄関で迎えてくれたし
 
休暇村の売店にはぬいぐるみをはじめ秋田犬グッズがいっぱい。
ところが良く見ると
 ぬいぐるみの名前は「マサル」。
秋田犬の代表は「ハチ」ではなく、ザギトワの飼い犬になってしまった。

この休暇村の売店で見つけたのはかわいい秋田犬マスク。
 「もっちり蟹っこまんじゅう」は蟹場温泉のお土産。ハイキングに持っていったらおいしかったので買ったが、小さく「蟹は入っていません」と書いてあるのがおかしい。

「日本の名湯」は鶴の湯の売店で買った入浴剤だが、乳頭温泉組合とバスクリンの共同企画品だそうな。ただし5袋入った中身は全部同じ。7湯の再現ではないのがちょっと残念。

もう一つ、アルパこまくさでキャンディーを買った。
 ハイキングのために、と何気なく買ったのだがこれが意外な拾い物。一つ一つに番号が振ってある29個すべて違うフレーバーで、中に入っているフレーバー表を見ると

しいたけやらシシトウ、果ては比内地鶏スープまである。
まだ一部しか食べていないが、ばっけ味噌やら酒粕など、それらしきにおいがするのではなく、本当にそのものの味がして再現度の高さがすごい。
原材料表を見ると素材がずらりと並んでいるので本物を使っているらしく、買った時に500円もしてやけに高いと思ったがそれも無理はない。

キャンディーでロシアンルーレットができる。


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乳頭温泉めぐり 7 孫六、大釜、休暇村乳頭温泉郷

2020-10-13 17:29:22 | 国内旅行

乳頭温泉最終日。今日も朝から雨だけれど、湯めぐり帖はまだ3ヶ所残っている。

まずは黒湯をチェックアウトして荷物を預け、隣の孫六温泉へ。

川沿いにいくつもの建物が見え、
 
橋を渡るとその鄙び具合にグッとくる。

フロントに貴重品を預けて、まずは男女別の唐子の湯へ。
 
浴槽があるだけで周りには何もないシンプルそのもののお風呂。
単純温泉というお湯はわずかに濁って、38℃とぬるいので壁や天井を見上げながらゆったり。
 
お湯の底は壁が切れて男湯とつながっている。風呂桶がおなじみケロリンではなく、なぜかプーさん。

もう一つのお風呂、石の湯は混浴だけれど、脱衣場から女性専用露天に入れるのでそちらへ移動。
 
するとちょうど出てこられた奥様が「今つれも上がったので誰もいませんよ」と教えてくださったのでありがたく混浴のお風呂へ。
  
脱衣場から階段を下りた先にある湯舟は名前の通り大きな石に囲まれ、日によって色が変わるというお湯は今日はきれいな藍色。こちらは唐子の湯とは違って硫黄泉だそうだが硫黄の香りは強くなく、脱衣場にはちょっと熱めと書いてあったがこちらも今日は38℃とかなりぬるい。しかし入ればすぐにわかるほどお湯の鮮度が素晴らしくて、何と気持ちのいいお湯だろうか。

ついでにちょっと露天にも出てみたが
 
こちらは雨のためにさらにぬるくてすぐに退散。
川に面して解放感一杯のこの露天、以前来た時には天気が良くてとても気持ちよかった。

黒湯に戻って荷物を引き取り、湯めぐり号を待って大釜温泉へ移動。
 
こちらの黒い建物は元「本荘市立子吉小学校大釜分校」だったそうで、門の脇には立派な小屋に入った二宮金次郎くんもいる。
 
入り口の脇には足湯があるが、すぐに玄関を入ってフロントで手帳にスタンプをもらう。
 
元学校らしく天井から大きなそろばんが下がっていたりもするが、玄関から伸びる廊下の先にお風呂場の暖簾が見える。

 
こちらのちょっとウグイス色に濁ったお湯は「酸性含砒素ナトリウム塩化物塩泉」だそうだが香りは硫黄。
ここは黄色い大きな壁がやや圧迫感のある内湯より大きな露天の方が気持ちいい。

さて残りは一か所、2日目に大きなパフェを食べた休暇村乳頭温泉郷だが、またお風呂に入る前にカフェで一休みして
 本日は「秋田犬ソフト」。残念ながらあまり犬には見えないが、お味はソフトクリームというよりジェラートと呼んだ方がいいほど濃厚で、耳のクッキーまでおいしかった。

これを食べたらエレベーターで3階へ。
 

室内の写真はHPより

こちらの内湯には白く濁った硫黄泉と茶色っぽいナトリウム炭酸水素塩泉の2つの浴槽があり、さらに硫黄泉の露天がある。
風情はないけれど期待通り設備の整ったお風呂で、特にちょっとぬるめの茶色いお湯が他とは違った泉質でいい感じだ。

これで乳頭温泉の7か所はすべてまわった。
4日間で入浴回数17回、って我ながらバカみたい。
しかしどのお湯も個性があってそれぞれ気持ちよくて、まったく飽きることがなかった。
個人的に気に入ったのはお湯の良さで孫六の石の湯、内湯の風情は蟹場の木風呂と黒湯の新しい浴室、露天は鶴の湯、といったところだろうか。

 
やっと晴れてきた休暇村前からバスに乗り、田沢湖から新幹線で一番かっこいいと思う「こまち」ちゃんに乗って帰京。

楽しかった。


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乳頭温泉めぐり 6 黒湯温泉

2020-10-11 15:01:17 | 国内旅行

アルパこまくさから乳頭温泉に戻ると、お願いしてあった宿のお迎えが待っていてくれたので蟹場温泉さんに預けた荷物をピックアップして次の宿へ。

今夜のお泊りは黒湯温泉。歩けない距離ではないが、蟹場からは車でも10分ほどかかって到着。
 大きな駐車場には週末のためだろう、たくさんの車が停まっていて、ここから急な坂を下っていくと

黒い建物群が姿を見せる。

 
この宿も20年前に一度両親と泊まった所。こんなアプローチだったかな、と考えながら受付棟でチェックイン。
 気さくな仲居さんに案内されて入ったのは旅館棟。
 
部屋は以前と変わらず、トイレもテレビもない8畳間。ただし内装や照明などはさすがにきれいにされた様子。
 窓からは宿泊者専用の内湯が見える。

日帰り入浴が終了するのを待って行動開始。
旅館棟を出て坂を下りて行くと、木造校舎のような建物と茅葺の長屋のような自炊棟が表れる。
 
雰囲気満点の長屋では以前泊まった時にも釣りをしにきたらしいおじさんたちが温泉卵を作ったり、ビールを冷やしたりして楽しそうだったが
 今回も部屋の前に山で採って来たらしい大きな天然舞茸が無造作に転がっていて、こんなものが見つかるなら楽しくて山歩きをやめられまい。

この長屋の前には源泉の湯だまりがあるが
 
以前は勝手に温泉卵が作れたところにしっかり囲いができて、大きな黒卵が鎮座している。

 この横に以前からある男女別のお風呂。
 
そのさらに横に打たせ湯の小屋があるが、この中には脱衣場もなにもないのでどうしたらここを使えるのだろう。

内湯の方は人も少なくなって静か。
 
この浴室もきれいになったようだが、木壁で囲まれた浴槽に42℃とちょっと熱めの白濁硫黄泉があふれて、この気持ちいいお湯は記憶の通り。
 
この外には露天風呂と打たせ湯があるが、これは20年前にはなかったように思う。

この宿、以前泊まった時には夕食が5時からでびっくりしたが、今回は5時半か6時と言われ、お昼が軽かったので結局5時半からと早めにお願いした。
 
時間になると2階の渡り廊下のカーテンが開き、食事棟へ行けるようになる。

 
席に着くと初めに並んでいた皿に手を付ける暇もなく天ぷらが運ばれてきたが、これがさくっときれいに揚げられていて、今まで温泉旅館で食べた天ぷらの中では一、二を争う見事な揚げ具合。
 イワナや茶わん蒸しも熱いのが来て
 
今夜もきりたんぽと稲庭うどんで御飯の入る余地なし。

ところでこの食事処、窓が結構大きく開けられていて、コロナ対策のためとは言えもう寒い。
食後は受付横のカフェにコーヒーを飲みに行ったが、テレビのない部屋で早々に布団に入っても体が冷えて寒い。

そこでここも以前はなかったように思う旅館棟1階の内湯へ。
 ずらりと並んだ洗面台の隣にのれんがかっていて
 
浴室はこじんまりしているがやはり木の壁に囲まれている。1つしかない小さな洗い場にシャワーもカランもないのはいささか不便ながら、雰囲気は外のお風呂にそっくりで風情があって、この新しい内湯は気に入ってしまった。
入浴後はぽかぽかと温まって、良く寝られたのは言うまでもない。

 ちなみに黒湯は混浴風呂が有名で、仲居さんにも「源泉が違いますから」と勧められたが、最近では珍しく女性専用時間がなく、湯浴み着もない。
旅館棟の内湯が気に入ってしまったので結局入らずに終わってしまった。

翌朝も内湯に入り、朝ごはん(珍しく写真を撮り忘れた)をいただいたら黒卵をお土産に買ってチェックアウト。
 「今日はぶちになっちゃった」とフロントのおじさん。雨が降っていたりすると真っ黒にならないのだとか。

部屋の設備からするとこのお宿の1泊12,500円はちょっと割高だけれど、食事は以前より良くなっているし、宿の人たちは皆さんとても感じがいい。
乳頭温泉郷はどこもがんばっている。


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乳頭温泉めぐり 5 秋田駒ヶ岳&アルパこまくさ

2020-10-09 15:38:56 | 国内旅行

蟹場温泉を8:50に出て、バスで15分のアルパこまくさへ。
 
今日は幸いにして雨が止んだので、秋田駒ヶ岳に登る計画。
八合目までは土日にだけ運行するバスがあるので、情報センターなどのあるこの建物の中で往復切符を買っておく。
 このバスが運行する日はここから先は一般車両進入禁止。なのでここの駐車場を利用する人も多くて、出発する時にはほぼ満席になった。

 バスは細い道をグングン上がって25分で八合目に到着。
 
こちらの避難小屋にはきれいなトイレがあり、小さな売店もある。

用意を整えたら早速出発。
 
土曜日なので歩く人は結構いて、しかしめったに山を歩かない者としてはある程度周りに人がいてくれた方が安心。
初めはなだらかな道、途中からは整備されているけれどかなり段差のある岩の道が続いて
 

視界が開けると八合目の小屋やバス道が眼下になった。

秋田駒ヶ岳は夏に花がたくさん見られるので名高いそうだが、9月末ではさすがにもう遅い。
 
それでもヤマハハコやウメバチソウの花が残っていて、色鮮やかな実もいろいろ見える。
  
 これはアプリによるとマイヅルソウの実。夏に見たあの小さな花がこんなに大きな実をつけるとは。


登りが緩やかになったところで田沢湖が見えてきて
 左手には秋田駒ヶ岳の最高峰、1637mの男女岳が時々頂上を霞ませながら見えている。

 
 
やがて道が平らな木道になると、まわりは秋らしい紅葉の色になった。
この辺り、夏にはチングルマの群落が見られるらしい。


さらに少し行った所で水たまりのように浅い阿弥陀池が見えてきて、ここまで出発からちょうど1時間。

 この池のほとりに男女岳への登り口があるので行ってみると、結構な急階段で思ったより大変。元気な学生たちに追い抜かれながら、それでも15分で山頂へ。

雲が多いし、風が強くて寒いけれど
 
 
池の全景が見えるし
 田沢湖も見える。

 阿弥陀池の端には避難小屋があるので、山頂から降りたら風の当たらない壁際でお昼ご飯。
 おにぎりは朝のお櫃の御飯と梅干、のりで握ってきた。いぶり卵は鶴の湯の売店で見つけたもの。これが燻製の香りに塩味もほのかに付いてすごくおいしい。デザートは蟹場温泉のお着き菓子のおまんじゅう。これまた皮がもちもちしてうまい。

しばらく休んだら来た道を戻ったが

往路よりも雲が晴れて田沢湖とその周りがよく見えた。

八合目の小屋にちょうど3時間で戻り、30分ほど待ってバスでアルパこまくさへ。
ここから乳頭温泉に戻るにはバスを乗り換えなければならないが、ちょうど1時間あるのでアルパこまくさ内で一休み。
実はここには「自然ふれあい温泉館」という源泉かけ流しの温泉があるので、汗を流すのにちょうどいい。

 入浴料は550円。
 
他にお客さんのいない浴室は広々ときれいで、40℃と適温のお湯は薄く濁って硫黄の香り。
そして露天風呂の壁の欠けた所からは
 お湯に浸かりながら田沢湖が望めるという素晴らしさ。
あいにくの曇天だったけれど、天気が良かったらさぞ絶景だろう。

今年はにわか山ガール(?)と化した友人と自分。
次はやっぱり花の季節にここに戻ってきたいと思った。


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乳頭温泉めぐり 4 蟹場温泉

2020-10-07 12:09:21 | 国内旅行

鶴の湯から戻って今夜の宿、「蟹場温泉」にチェックイン。
 
 
玄関の脇にも蟹がいるが、付近の沢に蟹が多く住むので「蟹場温泉」と名づけられたそうな。

 小さなロビーのフロントでチェックインをすると、午前中に預けた荷物はすでに部屋に入れてくださったとのことで左手の新館2階へ。
 例によって部屋にはすでに布団が敷かれているが、トイレ洗面の付いたこちらの部屋は12畳と広く、内装もとてもきれい。

 
窓からは広い駐車場の向こうに温泉棟が見えるので、早速長い廊下を通って温泉へ。

まず一番手前には女性用露天があるので覗いてみると
 脱衣場のすぐ前に屋根のないお風呂。洗い場もなくかなり無理に作った感じで、雨脚も激しかったのでこちらはすぐにパス。

次に廊下の途中の岩風呂を覗いてみると
 
こちらはこじんまりと家族風呂と言ったほどの大きさ。

ここでもいいがもう一つのお風呂を見てから決めよう、と廊下の突き当りの木風呂へ行くと、ここが一番大きな内風呂。
 脱衣場に骨董品級の洗濯機があって驚いたが
 浴室は床、壁、天井とすべて木製、窓も大きくて見るからに気持ちがいい。
透明なお湯は分析書には単純温泉とあるが、少し硫黄の香りがしてお湯の中には溶き卵のような湯花も見える。38℃とぬるめながら長く入っていると温まって、ここは入り心地も気持ちいい!

食事は18時から食事処で。
 他のテーブルとの距離もしっかり。
 
名前にちなんでだろう、蟹グラタンが付くのがご愛敬だが、他は山菜メインで味付けもいい。
 秋田らしくきりたんぽ鍋が付いて、地味だけれど軽めの食事が我々にはちょうどいい。

ところでこの宿で一番有名なのは「唐子の湯」という露天風呂。
混浴だが夜の8時から1時間だけ女性専用になるので食後に行ってみた。

唐子の湯へは宿から出て50mほど外を歩かなければならない。
かなり激しく降る雨の中、水たまりもできた暗い道をしばらく行くと
 
小道からもう湯舟が見えるが、屋根のかかった部分はないし、雨でもうかなりぬるくなっている。
内湯とは泉質がちがうらしいので残念だが、今夜はもう無理とあきらめ、木風呂に入りなおしたのは言うまでもない。

翌朝もすっかり気に入った木風呂に行くと、朝は43℃ほどもあっておかげでしっかり目が覚めた。

 
朝ごはんもシンプルだけれど、イワナが開きになっているのはちょっと珍しい。

チェックアウト後もまた荷物を預かっていただいた蟹場温泉さん。
これで1泊10,100円は今回宿泊した3か所で一番お安かったが、一番お部屋が良かった。
乳頭温泉にまた来たらきっとまたここを選ぶだろう。


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乳頭温泉めぐり 3 水沢温泉&妙の湯

2020-10-05 17:52:45 | 国内旅行

「駒ヶ岳温泉」のチェックアウトは10時だが、次の目的地、乳頭温泉へのバスの時間は9時か11時。
9時では早すぎるので、1軒立ち寄り湯をしていくことにした。

「駒ヶ岳温泉」は20軒ほどの旅館やホテル、民宿のある水沢温泉郷の1軒なのだが、中心は前日に降りたバス停からさらに少し先にある。
そこで荷物を抱えて来た道を戻ると
 今にも雨が落ちてきそうな空模様ではあるが、今日もコスモスやススキの向こうに田沢湖が見える。

のんびりと30分ほどかけて目的地に到着。
 
露天風呂 水沢温泉」は湯治や自炊部屋もある施設で、10時から立ち寄り湯を受け付けている。
 開始時間ぴったりに地元の人らしいおじさんと玄関を入り、自販機でチケットを買って館内へ。
広い脱衣場からお風呂場の扉を開けると
 こちらも広くて大きな浴槽が2つ並んでいる。
片方はぬるいお湯で41℃、もう片方は44℃で「熱い湯」の看板に偽りなし。
含硫黄・カルシウム・マグネシウム・ナトリュウム―硫酸塩・塩化物泉という泉質は駒ヶ岳温泉と同じだが、こちらの方が細かい湯花が多くて濁りが強い。

さらに扉を開けて外に出ると
 
露天も温度に差がある浴槽が2つ。
 壁の向こう、緑の先に田沢湖も見えて、庶民的な雰囲気だけれど贅沢な温泉だ。
 コロナ対策のためだろう、ポツンポツンと椅子の並べられた休憩所で汗をひかせていると、次第にお客さんの数が増えてきて、地元の皆さんに人気があるとわかる。

 やがて時間になり、やって来たバスに乗って20分で乳頭温泉へ。
今夜の宿泊は蟹場温泉なのだが、バスの終点がこの宿の駐車場だったとは知らずラッキー。

とは言え時間はまだお昼前。
なので宿で大きな荷物を預かってもらい、フロントで「湯めぐり帖」1800円を購入。
 これは乳頭温泉郷内の宿に宿泊した場合にのみ購入可能なのだが、これがあれば宿泊宿以外の6つに一度づつ入ることができ、温泉郷内の循環バスにも乗り放題という優れもの。

そこでこれを持って早速向かったのが徒歩5分の「妙の湯」。
 
20年ほど前に乳頭温泉に来た時にはここに泊まったが、この温泉郷の中では一番お上品で女性好みのお宿。

決して大きくはない館内の女風呂に入ると
  
まずは金の湯の露天、階段を上がって銀の湯の内湯、さらに上がって銀の湯の露天。
どれもこじんまりした浴槽だが、特に内湯はライティングが工夫されていて素敵だ。

内湯への階段の途中には混浴への入り口があって、覗いてみると誰も入っていない。
 
これはラッキー、と茶色に濁った金の湯にどっぷり。
 なにしろ目の前に水の落ちるこの景色、乳頭では珍しい鉄分の多いこのお湯を堪能せねば。
入っていると若い男性も入って来たが濁りが濃いので肩まで浸かっていれば安心、温泉談義で盛り上がってしまった。

こちらの混浴はタオル巻きOK、宿泊していればバスタオルがもらえるが、立ち寄りの場合には湯浴み着があれば安心だろう。
どのお湯も40℃の適温に保たれてゆったり入れる。

妙の湯を出ると時間は1時を回っている。
お昼を食べたいが乳頭温泉には食堂や土産物屋はおろか、コンビニの1軒もない潔さ。
妙の湯でもお昼を食べられるが、それほどしっかり食べたいわけではないのでまた5分ほど歩いてこの温泉郷で一番大きな施設である「休暇村乳頭温泉郷」へ。
 
本日のお昼はこちらのカフェでマロンパフェ。マロンペーストの下に生クリーム、さらにチーズケーキ、ソフトクリーム、コーンフレークとコーヒーゼリーが入ってすごいボリューム。これにコーヒーがついて1000円はCP抜群。友人の頼んだリンゴのタルトもおいしかったようで、こちらのカフェはなかなか使える。

ここでゆっくりしているうちに「湯めぐり帖」で乗れる「湯めぐり号」がやって来た。
 頭に風呂桶を乗せているのがかわいい!
これで2度目の鶴の湯に往復したのだった。


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コメント (2)
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