戦力「内」通告 ハーバードが教えてくれない「本当に生き残れる社員」 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション) | |
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・ダン ラスト ,(訳)武藤 陽生
本書に述べられていることを端的に表すとすると、以下の述べる2つになるだろう。まず一つ目は、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」ということだ。これはよく知られた孫子の言葉だが、ビジネスの世界においても当てはまるものである。
ここで「彼」とは、ビジネスの場において、自分を取り巻く、上司、同僚、部下、顧客といったものだろう。世の中には様々な人間がいるものだ。うっかりしていると足元を救われる。また人には多面性がある。一面だけ見てその人に反感を持ってもいけないのだ。本書が教えるのは、注意深く観察すること、判断のための情報を集めることなどだ。そのうえで適切な行動をとっていく。決して、一時の怒りにまかせて短絡的な行動をとってはいけない。それはかならず自分に跳ね返ってくるのからだ。
そして「己」を知ることも大切だ。失敗は、なぜ失敗したのかを自分のこととして考える。それが自分の成長に繋がるのである。自分の能力を把握しておくことも大切だ。何ができて何ができないのか。それを知ったうえでどのような行動をとっていくのか。自分自身をよく理解しておかないと、誇大妄想のような自信家になったり、必要以上に自分を卑下したりということになりかねないだろう。
そしてもう一つは、いかにして自分のことを相手に知らしめるかということだろう。いくら能力があっても、それがキーパーソンに伝わっていなければなんにもならない。世の中には、隠れた才能を見つけ出してくれるような名伯楽なんて、そうそういるものではないからだ。
本書は、このようなことを、多くの事例を示しながら教えてくれる。もちろん著者の住んでいる米国と日本では雇用慣行も違う。著者も経験したようだが、何か悪いことでもしない限り、いきなりリストラを宣告され、直ちにパソコンを取り上げられて、私物だけを持って会社から放り出されるということは日本ではまず考えられない。しかし、本書に述べられている考え方自体は日本でも役立つに違いない。これからキャリアを積んでいこうとする人は、一読しても損はないものと思う。
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※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。