![]() | 黒の扉は秘密の印 (第二の夢の書) |
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東京創元社 |
・ケルスティン・ギア、(訳)遠山明子
「紅玉は終わりにして始まり」の著者の新シリーズ第二巻。ジャンルはロマンティック・ファンタジーということだ。三部作なので、この巻がちょうど中間地点に当たる。ヒロインはリヴという15歳の女の子。ヘンリーという彼がいる。
この物語では、「夢」が重要な役割を果たす。登場人物たちは、現実の世界のみならず、夢の世界でも互いに関係を持っているのだ。そして夢の世界では、彼らは魔法を使ったり変身できたりする。ところが、この夢の世界に「北の死の将軍」と名乗るななんだか訳の分からないおっさんがうろつきだした。そしてリヴの妹のミアに夢遊病の症状が出るようになり、夢うつつでリヴを窒息させようとしたり、窓から飛び出そうとしたり。
さらには、シークレシーのブログという学校裏掲示板のような存在があり、なんだかやたらとリヴたちの行動に詳しい。彼女の母親のアンがラブラブなのがアーネストという男性なのだが、その母親のラクダー(これはあだ名で、本名は、フィリッパ・アドレード・スペンサー)がまさに因業ババアと言ってもいいような存在で、やたらとアンやリヴたちを目の敵にする。その仕返しにリヴとミアがラクダーが大事にしているミスター・ピーコック(単にツゲの木を孔雀の形に剪定しただけ)を薪にしてしまったとき、誰も知らないはずの犯人を名指しでブログに掲載するくらいなのだ。
この巻での謎は3つだ。一つ目は「死の将軍」とは誰かということ。二つ目はリヴの妹であるミアの夢遊病の原因は何かというもの。そして三つ目は、ブログの管理人であるシークレシーの正体は何者かということである。このうち最初の2つはこの巻で答えが出るのだが、3つ目のシークレシーの正体については次巻のお楽しみということである。でもブログに書かれている内容からは割と身近な人間がその正体のような気がするのだが。
1巻を読んでないので、話に入り込むのに時間を要した。1巻のあらすじのようなものをつけたらどうか。読者がみんな1巻から順番に読むとは限らない。途中から読んで面白かったから、遡った巻も読んでみようという読者も結構いるのではないかと思う(少なくとも私はそのタイプだ)。ちょっとしたことで、読者が離れていってはもったいないと思う。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。