文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:黄色の扉は永遠の階

2018-12-20 10:06:23 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
黄色の扉は永遠の階 (第三の夢の書)
クリエーター情報なし
東京創元社

・ケルスティン・ギア、(訳)遠山明子

 「紅玉は終わりにして始まり」の著者の新シリーズ第三弾にして完結編。この作品では、登場人物たちは、現実世界だけでなく、「夢」の世界でも繋がっている。そしてある条件を満たせば、人物を現実世界で操ることが可能なのである。

 他人を自分の思う通りに操り、破滅させるアーサー・ハミルトン。彼と戦うのはリヴ・ジルバーとその彼氏であるヘンリーそしてリヴの妹のミアとリヴの母親の結婚相手の息子であるグレイソンたち。アーサーは、グレイソンを操って、リヴを殺させようとする。果たして、リズたちはこの企みを阻止できるのか。

 ところでリヴは、ヘンリーに自分は経験者だと見栄を張るのだが、実は未経験。苦し紛れに名前を挙げたのが、自分が飼っていた犬。このようなラブコメ感もなかなか楽しい。しかしこの物語の本筋は、夢の世界を悪用しようとするアーサーをどうやってやっつけるのかというものだ。その方法も夢の世界ならではのものだろう。

 前巻から引き継いだ謎。学校裏掲示板のような、シークレシーのブログの管理者は誰かというものなのだが、ついに意外な正体が明らかになる。これには、ミアの名探偵ぶりが光り、なかなかいい味を出している。それほど深い内容がある訳ではないが、軽めのエンターテイメントとしては楽しめるだろう。

 最後に余談になるが、本筋とは関係ないものの、一か所気になる部分を見つけた。

<それによると<真実の影の道を歩むもの>は、一九九九年の大晦日、世紀の変わり目に・・・>(p221)

 20世紀は2000年までで、2001年から21世紀になるので、世紀の変わり目は2000年の大晦日になるはずなんだがなあ・・・。

☆☆☆

コメント
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