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朧月市役所妖怪課 河童コロッケ (角川文庫) |
青柳 碧人 | |
KADOKAWA / 角川書店 |
この作品の主人公は、宵原秀也という青年。自治体アシスタントとして朧月市にやって来た。自治体アシスタントというのは、試験合格後に登録しておけば、自治体からの要請により期間限定で日本各地に派遣されるという設定だ。そして宵原が配属されてのがなんと「妖怪課」。この朧月市には日本全国の妖怪を封じ込める役割があった。事の初まりはマッカーサーの時代らしい。
妖怪課の職員はそれぞれ妖怪の血を引いているようで、みなちょっとした異能を持っている。しかしなぜ何も特別な力を持っていない宵原が配属されたのか。実は、彼にも妖怪に関する大きな秘密があったのだ(本人は無自覚だが)。そのために彼は妖怪課に来ることになったのである。
ちょっと内容で気になることがある。
「環境局の井上局長なんかは・・・」(p107)
「G県朧月市、人工八万弱のこの小さな地方自治体が、自分にとっての新しいステージだ。」(p11)
大きな市ならともかく、この程度の規模の市で局制ではなく部制だろう。Gの頭文字がつくのなら、群馬県か岐阜県ということか。人工八万弱という条件から群馬県なら渋川市か館林市、岐阜県なら中津川市といったところか。念のためにこれらの組織図を調べてみると、やはり部制である。(道府県の場合は地方自治法の絡みで部の下に局が置かれる場合があるが、一般には局はいくつかの部を束ねたものである。)
著者は、「浜村渚の数学ノート」で知られる青柳碧人。
ところで、この自治体アシスタントという制度、どうもうまくいっていないという設定のようだ。「お役人の考えることはうまくいかない。」ということか。その他にも著者がお役人に対する考えが出ていて、なんとも興味深い。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。