本書は、歯科医でもあり経営者でもある著者の経験に基づき書かれたものだ。内容を一言で端的に言えば、速聴することにより、ワーキングメモリを鍛え、ポジティブな情報を潜在意識に刻みこもうということであろうか。
ここでワーキングメモリというのは、作業記憶とも呼ばれ、知的な作業を行う際に、一時的に情報を蓄えておく記憶領域のことである。例えば3つの数の計算をするとき、最初の二つの数の演算結果を覚えていなければならないだろう。これを覚えておくのがワーキングメモリという訳である。
また潜在意識というのは、心理学などの教えるところによれば、我々が意識している顕在意識の下には、ずっと大きい潜在意識の領域がある。この潜在意識は、無意識のうちに我々の行動に大きな影響を与えている。だから潜在意識を変えれば、我々の行動も変わるということだ。ただこの潜在意識を変えることはなかなか難しいのだが、速聴はそのための有効な方法であるという。
ワーキングメモリを鍛えるというところには、いろいろと参考になるようなところも多いが、潜在意識についての部分は、どうも私の心に染み込んでこないのである。
まあ速聴自体が効果があることは色々なところで聞くので、可変速で再生できるような録音機器を持っている人は試してみるといいと思う。これはといった書物を自分で録音し、高速で再生するのだ。
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