内田さんの浅見光彦シリーズはほとんど読んでいるが、そういえばこれはまだ読んでないと手に取った。収録されているのは5つの短編。5つの短編を収めていくので5人の女たちという訳だ。みな浅見光彦シリーズの話かと思ったが、光彦も内田センセも表題作しか出てこない。また、5人の女たちと言っているが、5人以上出てくるのはご愛敬。
内田さんは警部に捜査させるのが好きなようだ。「信濃のコロンボ」シリーズに出てくる竹村岩男の階級も警部だ。警部が現場に出ることがないとは言い切れないが、一応所轄の課長レベルの階級である。どちらかというと自分で操作するよりは部下に指揮命令する方が主になるのではないか。
「濡れていた紐」に使われているトリックは、よく分からない。紐は濡らして乾いたら縮む。警察がそれに思い当たるように紐を濡らしたというのだが、濡らさない方が、密室だと判断されて、自殺となる確率が高いと思うのだが。それにドアノブをどこに縛ったんだろう。
前に書いたように光彦が出てくるのは表題作の「逃げろ光彦」だけであるが、どうも違和感がある。なんかいつもの光彦とちょっと違うんだよな。やはり浅見光彦シリーズは長編に限ると思う。
5作に共通してのテーマは「女は怖い」ということか。
☆☆☆