この作品は、半七捕物帳の中の話だ。このシリーズの多くの話と同様。前半はスリラー仕立て。後半は「不思議など何もなかった」とばかり、ミステリーにもどる。
この作品も、明治になって、語り手に半七が思い出話をするというスタイルになっている。これは、半七が小金井に、幡随院長兵衛の法事で出かけたときの話だ。ついでに、府中の六所明神に参拝ということになった。六所明神とは、現在の大國魂神社でここでは闇祭りと書かれているが、くらやみ祭でも知られている。
その闇祭りの夜、見物に来た四谷の和泉屋という呉服屋の跡取りの清七が宿場女郎のお国と心中してしまう。この府中には友蔵というとんでもないオヤジがいた。娘が二人いたが、なんと姉のお国を宿場女郎に売り、妹のお三は子守奉公に出しているという。清七はお国を身請けしようとしたが、友蔵は清七を騙して、身請けの金をだまし取ってしまう。この友蔵の家にはお国と清七が化けて出るとのもっぱらの噂だが、友蔵は平気の平左。相変わらず遊んで暮らしている。そして、この和泉屋の女房のお大が闇祭りの夜に江戸で行方不明になる。
そして、闇祭りの見物に来た四ツ谷坂町の老舗の酒屋・伊豆屋の女房のお八重が、祭り見物の最中にこつぜんと消えてしまった。果たして二つの事件は関係があるのか。
さすがは半七親分である。親分の名推理が冴えて、最後にはこの事件を見事に解決する。しかし、友蔵は最後には死罪になるのだが、もっと早く捕まえていれば、この悲劇も大分違ったものになったのではないだろうか。
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