本書は、まだたかもちげんさんが描いていた時代のものだ。3巻の途中で、病気に倒れ、その後アシスタントだったやぶうちゆうきさんが引き継いで描いている。だから4巻からはたかもちさんは原案者ということで掲載されている。主人公の椎名啓介は、本池上署の署長であり、階級は警視正。警視正で署長ということは、本池上署は大規模署という設定なのだろうか。ここで豆知識をひとつ。普通の警察署の署長は階級は警視だが、大規模署はその一つ上の警視正を署長におくようだ。
この椎名啓介というのがまったく異例な署長なのだ。なにしろキャリアなのに、10年も本池上署の署長を務めている。おまけに本池上署の管内は、椎名の出身地でもある。(普通キャリアは1~2年で転勤していくし、出身地への配属は警察ではタブーとされているらしい。でも私は、警視庁ではないが、某県警の所轄の課長で出身地に配属された人間を知っている。)椎名署長昼行燈という評判があるにも関わらず、現場には出るわ、適切な捜査指揮はするわでもう完全に名署長。
絵柄は、最近の流行とは大分違い、おじさんが好みそうなものだ。でも読み進めるうちに、あまりそんなことは気にならず、続きが読みたくなってくる。
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