これもなろう系異世界ものの作品。主人公はフェイクという青年。世界一の鍛冶師を目指している。元々は地方で鍛冶屋をやっていたが、宮廷魔術師にスカウトされた。ところが、彼が働くことになった鍛冶課というのが超ブラック職場。そこのトップのモルガン以下がとんでもない無能。そして自分たちの無能ぶりを棚にあげて、フェイクを無能呼ばわりして、殴る蹴る、給料のピンハネ、とんでもない量の仕事を押し付けられて休みなしでで、碌に睡眠時間も取れないフェイクは倒れる寸前。しかし辞めると、鍛冶師資格を剥奪され、この国で鍛冶はできなくなる。
そんな彼に救いの手を差し伸べたのが、隣国の公爵令嬢アリシア・バーナスト。好きな人と結婚したいので、自分の婚約者を装い沢山の婚約者候補の風除けになって欲しいというのだ。アリシアの家は公爵家とはいえ、元々鍛冶の家系なので、有事の際に、火事ができるように誰かが鍛冶師の血を取り込むらしい。純粋に鍛冶の腕が優秀であれば、身分とかを気にせず誰と結婚してもいいというのだ。実はアリシアの好きな人というのは、フェイクなのだが、にぶちんのフェイクは気が付かない。
ここから読み取れるのは次の二つ。自分より上の能力を持っている人のことを正しく見ることはできないということと、人を育てるにはやり方があるということ。モルガンたちのやり方では絶対にメンバーは育たない。それにしても隣国の侯爵家が鍛冶の家系というのが面白い。また、モルガンは騎士団長の剣にエンチャントし直す(フェイクの仕事を横取りして)ことになったが、果たしてどうなるのだろう? まあ、流れとして、大失敗するのが目に見えるが。
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