これもなろう系異世界もののひとつだ、追放もの、ざまあものでもある。追放ものの場合は、ほぼ追放した方はクズだと決まっているのだが、この作品もその例に漏れない。
ニグリスは、突然、属していたSランクパーティ「銀の翼」を追放される。リーダーはアゼルというクズ。もちろん、二グリス以外の連中も、もれなくクズである。成り上がり志向の「銀の翼」の連中の眼には、二グリスは無能と映っていたのだ。銀の翼の連中は二グリスの持つ「鑑定」の能力を利用する気が満々だったのだが、彼の能力の神髄は「鑑定」の力だけでなく、それに裏打ちされた「治癒」の力にあったのだが、「銀の翼」の連中には分からない。なにしろ一瞬でダメージを治療することができるのである。
もちろん、二グリスを追放して以降の銀の翼は、落ち目街道まっしぐら。一方、二グリスの周りにはどんどん有能な人間が集まってくる。元奴隷だったエルフのフェリス、才能がないとして差別されているニーノ人の天才魔導士アリサ、貧民街の女帝フローレンスなど。
本当の無能は「銀の翼」の面々であり、有能な人に助けてもらって成果を上げていたのに、それを自分たちの力だと勘違いする。そして真に有能な人を迫害しだす。無能な人間ほど、その人個人を見ずに、出自などで決めつけてしまう。現実でもよく聞く話だ。正確に自分や人の力を把握できる人間になりたいものである。
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