人工知能時代に生き残る会社は、ここが違う! リーダーの発想と情熱がデータをチャンスに変える | |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
・ジョシュ・サリヴァン、 アンジェラ・ズタヴァーン、(訳) 尼丁 千津子
本書によれば、人工知能時代を生き残るのは、マセマティカル・コーポレーションであるという。ここで、マセマティカル・コーポレーションというのは、企業活動にマシンインテリジェンス(MI)を活用している組織のことを言う。そしてその活動の源泉はデータ活用にある。我々の周りには天文学的な量のデータが存在している。
人間は、主に目と耳で外界の情報をインプットしている。しかしその処理速度には限界があるのは言うまでもない。ところがこれがコンピュータになると、無数のセンサーからの入力を短時間で処理することができる。そして、その処理速度は年々上がっているのだ。コンピュータの優位性というのは、人間には処理が不可能な大量のデータを迅速に扱えるところだろう。
しかし、その一方で、コンピュータは与えられたアルゴリズムに従って、データ処理をしているに過ぎない。どのようなアルゴリズムを与えるのかについては、人間様の出番ということになる。また、コンピュータにどのような問題を与えるかについても人間様の領分なのである。
本書を読んで思ったのは、これから生き残れる会社の条件は、ビッグデータを活用できることのようだ。今後は、人間とコンピュータがうまく役割分担をしていくことが重要になるだろう。その一方では、これまでコンピュータの得意な領分で仕事をしていた人間はその役割を奪われていくのだろう。考えてみれば、文明の発展とともに、多くの職業が無くなっていった例はいくらでもある。人間様も新たな変化に適応していかなくてはならないのである。
ところで、帯に、「ビッグデータを生かせるリーダーの共通点は文系力だった」とあるが、ここで文系力とはいったいなんのことを言っているのだろう。本書中に何か明確な定義があるかと気をつけて読んではいたが、それらしいものは見当たらなかったのだが。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。