銭形平次捕物控 167 毒酒
野村 胡堂
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平次のライバル?ともいえる三輪の萬七親分も少しだけ出てくるが、いつものように誤認逮捕。迷探偵ぶりをやはり発揮している。
「でもろくろ首のお鳥の方が美人といふんでせうね。あれは凄いが、これは可愛い方で、あつしは誰が何んと言つても此方へ札を入れますよ」八五郎君、美人系より可愛い系の方が好みだったようです。
事件の方は、山の宿の鐵というならず者が、車坂の呉服屋中田屋杉之助の合羽を着て、藥種屋長崎屋の印の入つた提燈を持つた浪人の大寺源十郎を襲って返り討ちにあう。更には、花見船の中で、中田屋杉之助が毒酒を飲んで死んでしまった。
銭形平次といえば、真っ先に現場に出張って、事件を解決するというイメージがあるが、実は安楽椅子探偵の資質が強かったようで
「それさへありや、俺は此處に坐つて居ても下手人を言ひ當てるよ」この言葉通り、平次は見事に事件の謎を解いている。平次ファンの人には外せない話だろう。
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