文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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銭形平次捕物控 006 復讐鬼の姿

2021-09-10 10:57:05 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 この話は、まだ平次がお静と夫婦になっておらず、許嫁だったときの話。お静が、平次が日頃世話になっている八丁堀の与力・笹野新三郎のところで行儀見習いとして働いている時の話だ。

この笹野の周りで不気味な事件が起きる。鈴ヶ森で処刑されたはずの男が磔柱を背負って追いかけて着たり、窓格子に獄門首が括くくられたりと言った具合だ。

 ところで銭形平次のライバルといえば、三輪の万七が有名なのだが、この話に出てくるのは、石原の利助という岡っ引き。新三郎の妻のお国が相談したのが、普段新三郎が世話をしている利助というわけだ。ところが、この利助ひどい迷探偵ぶりである。

 笹野の家には、新三郎と縁談があったが、両親が亡くなったために縁談が流れ、現在は笹野家の居候として暮らしているお吉と言う女性がいた。利助が目を付けたのが、このお吉であるが当然のことながら無実。

 そうこうしているうちに、新三郎の一粒種で5歳の新太郎とお静が行方不明になった。

 利助は、お吉に縄をかけてしょっぴこうとする。しかし、吟味与力の家から縄付きを出したということになれば新三郎は破滅してしまう。しかし、売り出し中の平次に対して普段から嫉妬しており、自分の手柄に目がくらんでいる利助は、平次の言うことに耳を貸そうとしない。仕方がないので平次は実力行使に出る。

 実はこの事件は、三年前に獄門になった米屋の息子たちが企んだ復讐劇。新太郎とお静は、雁字搦めにして猿轡をかまされたうえに川の上に吊るされ、新三郎も罠にかかって落とされ、二人が吊るされている麻縄を掴んでなんとか落下を免れている始末。

 しかし、犯人の一人は、正に命綱となっている麻縄を一本一本切っていく。最後の綱を切ろうとしたとき、それを防ぐのが平次という訳である。平次は麻縄を切ろうとしていた奴を下の川に放り込んだ。犯人たちを捕まえろという新三郎に平次は言う。

「多分死にましたよ、放つておきましょう。親が無實で死んだと思ひ込んでいるんですから、可哀想ぢゃ御座いませんか――それに、あの兄弟は二度とあんな惡戯をする気づかひはありませんよ」
 と、けろりとしております。



 なんか、テレビで視ていた銭形平次と性格が若干違うような。それに下にいた犯人の方には何もやられていないので本当に一件落着か?また、犯人の親が無実でなかったということの説明はなかったので、真相は藪の中という感じだ。それに利助はお吉に縄をかけているが、岡っ引きには本来逮捕権はないはずである。

☆☆

 

 

 

 

 

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