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死の幻像 |
藪下 明博 | |
アトリエOCTA |
私の持論だが、詩集を編むには何らかのテーマで纏める必要がある。詩集というからには、単にひとつひとつの詩を集めただけではないということだ。このタイトルからは、暗い暗い深淵を覗くような詩が集められているものと期待していた。確かに最初の方はそんな感じかなと思ったのだが、この詩集全体を読み終えてみて残るのはユーモラスな読後感だ。
「蝦クリアン博士」なるものがこの詩集にはたくさん登場してくる。どうもこのキャラクターは、著者のお気に入りのようだ。最後に収録されている石堂蘭氏の「余白に -死と詩ー」によれば、これは「エピキュリアン」のもじりだそうである。「エピキュリアン」を調べてみると、古代ギリシアの哲学者エピクロスを信望する人、転じて快楽主義者・享楽主義者のことを言うらしい。この「蝦クリアン博士」グラタンの材料にされかかったり、さんざんである。
また、駄洒落も多い。例えば、こんな具合だ。
ドクドク ドクドクと
ドク・ホリディ(笑)(p27:死神)
そいつをバジリコ
いや、バジリスクという蛇の前に置く(p44:回想ー博物誌)
他にもいくつかあるが、自分で探して欲しい。
これはどういう意味だろうか。
穴は入れるものである
いや、穴は出すものである
一部「覗く」という行為を誘発するものの
やたらと穴を夢見るものは
臆病者の論理と心得よ(p34:類推の穴)
私のような想像力の貧困(いや想像力過多か(笑))な者からは下ネタを想像してしまう。
そして全体的に文字が多すぎるのだ。詩はもっとぎゅっと言葉をしぼった方が私の好みだ。
☆☆