本書は、「緋が走る」などで知られるマンガ家あおきてつおさんによる邪馬台国談義。ほとんどは文章で書かれているが、ところどころマンガ家らしくマンガが差し込まれており、読みやすさを増している。そのマンガはあおきさんが古代史研究部(こだけん)の3人の女子学生(たぶんJK)をところどころ登場させて、自分が解説しているという感じになっており、読者を飽きさせないように工夫されている。
邪馬台国の位置については、百家争鳴の感があり、私の知っているものの中で一番すごいのはエジプト説だらろうか。それというのも魏志倭人伝の記述が曖昧であり、色々な解釈ができるからだ。一番有名なのは、京都帝国大の内藤湖南の畿内説と、東京帝国大学の白鳥庫吉の九州説だろうが、このほかにも色々な説がある。
本書では、魏志倭人伝の記述の「45度修正説」と、結論として邪馬台国は、宇佐・中津を中心とするところにあったことが述べられている。もちろんこれらの根拠も本文中に示されており、興味があれば本書を読んで確かめていただきたい。
宇佐・中津が邪馬台国の中心ということは、つまりはあおきさんも九州説をとっているというわけだが、邪馬台国が東遷して大和朝廷となったという説には否定的である。邪馬台国と大和朝廷は別の勢力だったとしている。そっして記紀から邪馬台国が消されている理由を推理しているのだ。
もちろん、今となっては、当時どうであったかという明確な証拠を見つけることは困難だろう。しかし、日本の古代は謎だらけであり、僅かな手掛かりを元に推理することはものすごくロマンのあることだと思う。
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