文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

銭形平次捕物控 306 地中の富

2023-12-10 09:24:58 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 今回の話は、インチキ修験者の話だ。名前を大膳坊覺方という。火事と喧嘩は江戸の華という位、昔の江戸は火事が多かった。銀行制度もない。だからお宝があれば地中に埋めて隠したはずだ。金なら錆びることはないので、地中に埋めて小判などを隠すのはそれなりに理にかなっているといえる。金持ちの大町人は、財産を地中に隠したに違いない。だから江戸の街の地中には、沢山の金が埋まっているはずだ。

 そこで出てきたのがを大膳坊覺方という怪しげな修験者。なにしろ、金がかくしてあれば分かるという触れ込みである。事実これまでもたくさんの金を掘り出した実績があるらしい。おまけに出た金の1/3は大膳坊覺方の取り分で、彼はそれをすべて貧しい人々への施しにするという。

 今回の事件の舞台は、傳馬町にある両替屋の越前屋。なんと大膳坊は1万両の金があるというのだ。うさん臭さを感じた平次だが、この事件は八五郎に任せる。八五郎に手柄を立てさせてやろうという親心だ。

 結果は、大膳坊と越前屋の内儀が殺されるといったものだ。しかし、大膳坊はインチキながら、最初に金を掘り当てたときに、どんなトリックを使ったのかよく分からない。人が掘ったのか、それとも自分で掘ったのか?

 もうひとつ、なんだかこの話はホームズの「赤毛クラブ」を連想してしまったのは考えすぎか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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